とろみ剤とは? 使うメリット
「とろみ剤」とは、飲み物や食べ物にあんかけのような“とろみ”をつける調整食品のこと。
飲み込む力が弱まった高齢者の誤嚥(食べ物や飲み物が気管内に入ってしまうこと、『ごえん』と読む)を防ぐために使用します。
飲食物にとろみがつくと食道を下る速度が遅くなるため、気道を塞ぐ力が弱くなった高齢者でも飲み込みがしやすくなります。
介護の現場では必須ともいえるとろみ剤ですが、元の飲食物(水やお茶、味噌汁など)を加工するだけに、介護食の味の変化や加工のしやすさは気になるところです。
快適に使える介護アイテムをプロとテスト
介護シーンではさまざまな問題や悩みが発生しますが、このとき大きな頼りとなるのが、各種の介護アイテムです。
とはいえ、ドラッグストアや通販サイトが扱う介護グッズは製品数が多く、初心者だとどれを選んでいいのかわかりませんよね。
そこで晋遊舎発刊のムック本『体と心が疲れない!はじめての親の介護完全ガイド』では、「要介護者と介護者にとって本当にいいもの」を探し、ドラッグストアをはじめネット通販でも購入できる多くの介護アイテムを本気でテスト。
介護福祉士・酒井大輔さんにそのアイテムを使うメリットや選び方のポイントを教えてもらいました。
その中から今回は、とろみ剤を紹介します。
とろみ剤の選び方は?
介護ケアアイテムは、要介護者にとっても介護者にとっても快適に使えるという点がポイントです。
おすすめ商品を紹介する前に、まずはとろみ剤の選び方のポイントをお伝えします。
選び方1:適度なとろみで飲みやすい【要介護者目線】
飲料に適度な「とろみ」がついていると誤嚥を防げます。製品によってとろみの濃度が違っていたり、好みの濃度にとろみを調整できるものがあります。
とろみの濃度には「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3つに分けられます。
要介護者の嚥下障害のレベルによってそれぞれ飲み込みやすい粘度のとろみをつける必要があるので、とろみ剤を使用する前には医師や管理栄養士に相談をした方がいいでしょう。
選び方2:元の飲料と味が変わらない【要介護者目線】
とろみ剤を使用すると、お茶や味噌汁など元の食べ物から味や香りが変わってしまうことがあります。無味無臭のものだと料理の風味を損なわず、飲食がしやすいでしょう。
選び方3:作業の手間が少ない【介護者目線】
とろみ剤は製品によって使用量が決まっています。大容量タイプはコスパはいいですが、スプーンで量る必要があります。初心者は個包装で1回分の使用量が分かりやすいものや、量の調整がしやすいものを選びましょう。
また、ダマにならず溶けやすいものだと、とろみをつけるときの作業の手間が少ないです。
選び方4:コスパがいい【介護者目線】
とろみ剤は毎日使うものなので、コストがあまりかからないものを選ぶことも大切です。
今回のテストでは各製品の1回あたりのコストも算出しているので、参考にしてみてください。
とろみ剤の比較方法は?
今回は、ドラッグストアや、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングといったネット通販で購入できる介護食向けのとろみ剤をピックアップ。30〜60代の一般モニターの方々と一緒にテストしました。
テスト1:味の変化・飲みやすさ
薄いとろみをつけた「お茶」と「味噌汁」を、10人のモニターに試飲してもらい、とろみをつける前後の味の変化、飲みやすさを評価してもらいました。
テスト2:使い勝手
飲料に混ぜるときの計量のしやすさ、ダマのできにくさなどで編集部が評価しました。
テスト3:コスパ
「薄いとろみ」をつける分量と購入価格から、1回あたりのコストを算出して評価しました。
それでは、テスト結果を評価の高かった順にとろみ剤のおすすめ商品を紹介します。
※評価はテスト結果とともに参考テストのコスパなどを総合して行っています。点数が同じでも評価、順位が違う商品もあります。
※1回あたりのコストは、検証当時の購入価格で計算しています。本記事に表示される価格と違う場合があります。
とろみ剤のおすすめは?
プロと一緒に実際に使ってみた、とろみ剤のおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。
商品 | ||||||
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日清オイリオトロミアップ エース
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3g×50本 |
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明治明治かんたんトロメイク
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2.5g×50包 |
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キユーピーやさしい献立 とろみファイン
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1.5g×50本 |
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マツキヨココカラ&カンパニーmatsukiyo リブ とろみをつけるパウダー
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300g |
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イオントップバリュ とろみサポート スティックタイプ
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3g×100本 |
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アサヒグループ食品バランス献立 とろみエール
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2.5g×30本 |
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キッセイ薬品工業新スルーキングi スティック
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2g×30包 |
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クリニコつるりんこQuickly
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3g×30本 |
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ピジョンタヒラハビナース 液体とろみかけるだけ
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14g✕4包 |
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くらしリズムトロミクイック
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3g×50包 |
【1位】日清オイリオ「トロミアップ エース」
- 日清オイリオトロミアップ エース
- 実勢価格: ¥1,121〜
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- 味
- 使い勝手
- コスパ
コストの低さは随一!とろみ有りでもおいしい
とろみ剤のおすすめランキング1位でベストバイに選ばれたのは、日清オイリオ「トロミアップ エース」でした。
味の変化の検証において、味が変わらないとお茶・味噌汁ともに最高評価だったのが、本製品。
特にお茶は「渋みが消えて飲みやすくなった」と複数のモニターが高評価にしていました。
また、1回分が約4円と低コストな点も魅力のひとつ。計量の手間がかかるという弱点はありますが、味とコスパで選ぶなら、本製品がおすすめです。
1回あたりのコスト:約4円
- おすすめポイント
-
- 1回4円とコスパが高い
- とろみ感や味の変化が少なく飲みやすい
- ダマができにくく溶かしやすい
- がっかりポイント
-
- 軽量に手間がかかる
- 内容量
- 3g×50本
- 型番
- 18108
お茶は渋みだけが消えて飲みやすい!
お茶は渋みが消え、モニターのほぼ全員が飲みやすいと回答。また味噌汁は他の製品と同様に味が若干薄まるものの、元の味に最も近いとの意見が多数でした。
とろみ感も少ないため、味の変化に敏感な人にも使えます。
1日3回の使用しても年間コストは約4200円
検証当時の購入価格は1160円。薄いとろみ1回分のコストは約4円と、今回検証した10製品中で最安。1日3回、1年間毎日使っても約4200円というリーズナブルさが大きな魅力です。
1回の分量が1g以下で計量に手間がかかる
薄いとろみをつける場合の規定分量は、飲料150mlに対して0.75g。微妙に測りづらい分量なのが難点です。とはいえ、粉が溶かしやすく「ダマ」(溶け残り)もできにくい点は好印象でした。
【2位】明治「明治かんたんトロメイク」
- 明治明治かんたんトロメイク
- 実勢価格: ¥1,127〜
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- 味
- 使い勝手
- コスパ
味・使い勝手・コスパのいずれも欠点が少なくバランスがいい
とろみ剤のおすすめランキング2位は、明治「明治かんたんトロメイク」でした。
全体的に薄くなるものの、味の変化検証ではお茶・味噌汁ともに2位評価だった本製品。
使い勝手にも大きな弱点は見られず、コスパもやや高めながら及第点というバランスのよさで、全体2位となりました。
本剤の追加によって多少の白い濁りが出るため、水など透明度の高い飲料に使うと見た目が悪くなる点は注意が必要です。
1回あたりのコスト:約11円
- おすすめポイント
-
- 薄味になる以外の変化はほとんどない
- 大きめの粉で調合しやすい
- がっかりポイント
-
- 透明度の高い飲料はにごりが少し目立つ
- 内容量
- 2.5g×50包
- 型番
- E347731H
元の飲料の風味は残しつつ全体的に薄味に仕上がる
お茶・味噌汁とも、とろみが強く薄味というコメントが多数。ただ、元の味とほぼ変化がなかったこともあり、モニターの多くが1位に次ぐ高評価にしていました。
冷・温で用量が異なるものの大きめの粉で調合はしやすい
飲料の温度によって分量が異なるところが、やや難点。ただし、冷・温のどちらもスティックの約半分が目安なうえ、粉も大きめなので量の調整はしやすいです。
【3位】キユーピー「やさしい献立 とろみファイン」
- キユーピーやさしい献立 とろみファイン
- 実勢価格: ¥798〜
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- 味
- 使い勝手
- コスパ
基本の味は変わらずも薄さが強まる
とろみ剤のおすすめランキング3位は、キユーピー「やさしい献立 とろみファイン」でした。
お茶の苦味、味噌汁の風味は変わらないものの、だいぶ薄味に感じるとの意見が多数挙がりました。
スティック単位で分量がわかる点は、介護者側からすると非常に便利。
また、使用時の濁りが少なく、水に使用しても見た目の違和感がありません。
1回あたりのコスト:約13円
- おすすめポイント
-
- スティック単位で使用量がわかりやすい
- 使用時のにごりが少なく見た目の違和感がない
- 内容量
- 1.5g×50本
- 型番
- 68132
使用量が“本”単位でわかりやすい
「150mlに1本」といったように、飲料側で分量を調整可能。計量カップがあれば、簡単に適量のとろみがつけられるので、作り手側としては非常にラクです。
【4位】マツキヨココカラ&カンパニー「matsukiyo リブ とろみをつけるパウダー」
- マツキヨココカラ&カンパニーmatsukiyo リブ とろみをつけるパウダー
- 実勢価格: ¥1,382〜
- 味
- 使い勝手
- コスパ
水に使っても見た目の違和感が少ない
とろみ剤のおすすめランキング4位は、マツキヨココカラ&カンパニー「matsukiyo リブ とろみをつけるパウダー」でした。
袋タイプしかない「マツモトキヨシ」のプライベートブランド製品。規定用量でもとろみが強く、味がグッと薄まるという意見が多数挙がりました。
一方で濁りが少なく、水や色の薄い飲料の使用には向いています。1回5円というコスパも良好。お財布にも優しいです。
1回あたりのコスト:約5円
- 内容量
- 300g
薄いとろみは作りやすい
飲料100mlに1gと、薄いとろみはキリのいい分量。1gスプーンを用意しておけば、簡単にとろみを着けた飲み物が作れます。
【4位】イオン「トップバリュ とろみサポート スティックタイプ」
- イオントップバリュ とろみサポート スティックタイプ
- 検証時価格: ¥1,924〜
- 味
- 使い勝手
- コスパ
100本入りの大容量で購入回数が減らせる
とろみ剤のおすすめランキング4位は、イオン「トップバリュ とろみサポート スティックタイプ」でした。
3g(薄いとろみなら300回分)100本入りと大容量で数ヵ月は購入の必要がないのが魅力。
コスパはよいものの、強めのとろみでお茶は味が変わるというコメントもあり、要介護者との相談は必須かもしれません。
1回あたりのコスト:約6円
- 内容量
- 3g×100本
【6位】アサヒグループ食品「バランス献立 とろみエール」
- アサヒグループ食品バランス献立 とろみエール
- 実勢価格: ¥470〜
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- 味
- 使い勝手
- コスパ
苦みや塩味は抑えられる
とろみ剤のおすすめランキング6位は、アサヒグループ食品「バランス献立 とろみエール」でした。
使用による味の薄まり方が強く、複数のモニターがお茶も味噌汁も“薄い”とコメント。
とろみが弱めで苦味や塩味もグッと薄れるため飲みやすくはなるものの、元の飲料の味をきちんと味わいたい人には向きません。
1回あたりのコスト:約10円
- 内容量
- 2.5g×30本
- 型番
- 0
【6位】キッセイ薬品工業「新スルーキングi スティック」
- キッセイ薬品工業新スルーキングi スティック
- 実勢価格: ¥505〜
- 味
- 使い勝手
- コスパ
粉の目が細かく分量調整がやや難しい
とろみ剤のおすすめランキング6位は、キッセイ薬品工業「新スルーキングi スティック」でした。
サラサラした粉なのでスティック内でギュッとまとまりやすく、投入時に粉が一気に出てしまうことも。
とろみがつく力も強いので、混ぜながら入れてもダマができやすいです。味は全般的に薄くなる傾向があります。
1回あたりのコスト:約9円
- 内容量
- 2g×30包
【8位】クリニコ「つるりんこQuickly」
- クリニコつるりんこQuickly
- 実勢価格: ¥926〜
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- 味
- 使い勝手
- コスパ
濁りが少ないので味&見た目重視ならアリ
とろみ剤のおすすめランキング8位は、クリニコ「つるりんこQuickly」でした。
味はやや薄まるものの、元の飲料に近いとのコメントが多数。濁りも少なく、水に使ってもあまり違和感がありません。
一方で分量は100mlに1gと明快ながら、スティックが幅広で分量調節が難しめです。
1回あたりのコスト:約13円
- 内容量
- 3g×30本
- 型番
- -
【8位】ピジョンタヒラ「ハビナース 液体とろみかけるだけ」
- ピジョンタヒラハビナース 液体とろみかけるだけ
- 実勢価格: ¥757〜
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- 味
- 使い勝手
- コスパ
コストの高さと見た目が問題
とろみ剤のおすすめランキング8位は、ピジョンタヒラ「ハビナース 液体とろみかけるだけ」でした。
液体なのでダマができにくく、味の変化も少ない点は魅力。
ただ、1回のコストが約71円と高いうえ、使用時は白い濁りで見た目が悪くなってしまうのが難点です。
1回あたりのコスト:約71円
- 内容量
- 14g✕4包
- 型番
- 1025800(14フクロ)
【10位】ツルハドラッグ「くらしリズム トロミクイック」
- くらしリズムトロミクイック
- 実勢価格: ¥1,275〜
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- 味
- 使い勝手
- コスパ
とろみがつきすぎて味に違和感が出てしまう
とろみ剤のおすすめランキング10位は、ツルハドラッグ「くらしリズム トロミクイック」でした。
ツルハドラッグのPB商品です。
“薄め”の規定分量でもドロっとした強いとろみになるのが特徴で、味は少し薄まるだけなのに違和感を覚える……とのコメントが多数。
誤嚥防止に強めのとろみがいる要介護者向きの製品といえます。
1回あたりのコスト:約13円
- 内容量
- 3g×50包
とろみ剤のおすすめ まとめ
以上、とろみ剤のおすすめランキングでした。
今回は人気・売れ筋のとろみ剤を集めて比較してみました。その結果、ベストバイに選ばれたのは日清オイリオ「トロミアップ エース」でした。
コスパが高く飲みやすい日清オイリオ
日清オイリオ
トロミアップ エース
日清オイリオ「トロミアップ エース」は、検証当時の購入価格では検証した全商品の中でもっとも1回あたりのコストが安かった点が魅力。味も変わらず、とろみ感も少ないので飲みやすいです。
味覚は人によって大きく変わるため、要介護者の意見も聞きつつ、ベストバイの製品から試してみるのがおすすめです。とろみの濃度は要介護者に合わせる必要があるので、とろみ剤を使用する前には医師や管理栄養士に相談してください。
ぜひ、今回のランキングを参考にしてみてくださいね。
とろみ剤の売れ筋ランキングもチェック!
とろみ剤のAmazon・楽天の売れ筋ランキングは、以下のリンクからご確認ください。
お茶の渋みが消えて飲みやすい! 味噌汁もおいしい。