電気を使わない炊飯釜の実力は?
今回は、2023年10月に新発売されたタイガー魔法瓶「魔法のかまどごはん」を実際に使用して、その実力を徹底検証しました。
テストは、科学する料理研究家・さわけんさん、ライターの平岡祐輔さん、そして数多くの炊飯器を検証してきたMONOQLO編集部が担当しています。
タイガー魔法瓶「魔法のかまどごはん」はWEB限定商品
- タイガー魔法瓶魔法のかまどごはん(屋外専用) KMD-A100K
- 検証時価格: ¥19,800〜
タイガー魔法瓶「魔法のかまどごはん」は、同社の創立100周年記念モデルとして生まれた製品。新聞紙一部があれば、電気がなくてもご飯を炊くことができます。なお、本製品はWEB限定商品となっています。
「魔法のかまどごはん」のテスト結果は?
それではさっそく、防災用炊飯釜「魔法のかまどごはん」でご飯を炊いた結果を見ていきましょう!
といいつつ、上の写真をご覧ください。こんなに美味しそうに炊けるだなんて正直思っていなかったので、びっくりしましたよ!
調理工程:説明書通りに行えば、大人も子どもも楽しめる!
本製品のほかに必要なものは、お米、水、新聞紙、点火棒(チャッカマンなど)、軍手、バケツ、時計(タイマー)です。
新聞紙は1ページサイズにしてから対角線で半分に折り、折り面を下にした状態でつぶし、半分に折りたたんで軽くひねります(約15cm)。
洗ったお米と水をなべに入れて、吸水させます。今回は2合のお米を使用し、45分吸水させました。吸水時間は、冬場だと40〜3時間、夏場だと30分〜2時間が推奨されています。
かまどの中にすのこ網、五徳、なべをセットして、ふたをします。かまどの下部には2カ所に丸い投入口が空いていますが、片側の投入口に新聞紙を1つ入れます。
新聞紙に点火棒で火をつけます。
1分半経過後、反対側の投入口に新聞紙を1つ入れて火をつけます。最初の9分まで(新聞紙6回目を投入するため)は、1分半間隔で左右交互に新聞紙を投入口に入れ、火をつけます。
投入時間を間違わないよう、しっかり計るのがポイントです。
9分経過(新聞紙7回目投入)以降は、1分間隔で左右交互に新聞紙を投入口に入れ、火をつけます。
ときどきなべの横から炎が上がり、キャンプをしているような気分になります。
7本目の新聞紙投入後あたりから、中のお湯が湧いてきている印象です。
最後の新聞紙(炊飯用)に火をつけてから約10分後に、むらし用の新聞紙を投入口に入れて火をつけます。
なべとふたとのすき間から水蒸気が上がってきて、中で炊けていることがわかります。
これにより、なべの中に残っている水分を飛ばし切ります。
おそるおそるふたを外してみると、しっかりご飯が炊けていました! 炊飯完了までは31分かかりました。
約5分間むらしたら、ふたを開けてご飯をほぐします。これにより、余分な水を蒸発させます。
電気やガスの炊飯器のようにボタンひとつでOK、というわけではなく、手間がかかり気をつけるポイントもありますが、外でご飯を炊く行為はキャンプをしているようなワクワク感があります。
炊き方は、昔のかまどで炊くご飯と同じような方法です。
後日、小学生、幼稚園の子どもと一緒に調理・試食してみました。キャンプ気分が味わえて非常に楽しく、「イベント感」「エンタメ感」がすごく好評! 子どもたちも注意をしながらですが、参加してくれました。
炊いたご飯の味:キャンプや防災用としてなら超アリ!
実際に炊いたご飯を試食したさわけんさんの感想は「一言でいうと2万5000円くらいの炊飯器で炊いたご飯の味」。コンビニ弁当の白米よりはもちろん上で、タイガーの最高級炊飯器ほどとは言えませんが、十分にお米のおいしさを味わえると評価しました。
たまにできている「おこげ」は、直火で炊いたご飯ならではでうれしくなります。またキャンプで飯ごうと薪を使って炊くと火加減が難しいですが、この製品で取扱説明書通りに炊けばご飯が焦げ焦げにならず、失敗することは少ないでしょう。
キャンプや防災用としてなら味は十分! 直火での炊飯が簡単にできることに価値があります。
かまの中の温度変化:昔からのご飯の炊き方を踏襲していました!
かまの中に無線式温度計を入れて、炊飯中の温度を測定しました。
火をくべると同時に水温も上昇しており、新聞紙1本でも水温を上昇させる十分な火力があることがわかります。
新聞紙7本目までの火の投入間隔は1分30秒で、これは弱火~中火に相当すると考えられます(始めちょろちょろ)。
新聞紙8〜15本目の火の投入間隔は1分で、これは中火~強火に相当すると考えられます(中ぱっぱ)。
15本目以降、十分に沸騰したら火を弱めて(じゅうじゅう吹いたら火をひいて)、16本目の火の投入で釜内の余分な水分を飛ばし(一握りのワラ燃やし)、炊き上がりまでお米を蒸らしています(赤子泣いてもふた取るな)。
このように、昔からあるご飯の炊き方を踏襲していることが分かります。
高額の電気炊飯器だと徐々に水温が上がっていき、その後急速に加熱させているのが特徴です。「魔法のかまどごはん」はフタをのせているだけなので圧力がかけられないため、ご飯の仕上がりが少々硬くなっていると考えられます。
お手入れ:灰の後始末や洗浄の手間が少なめで嬉しい
なべを外すと、かまどの中には新聞紙の灰が残っています。
かまどの中の灰の火が完全に消えていることを確認します。かまどの丈夫を覆うように新聞紙で包み、ひっくり返して中から灰を出し、灰の中からすのこ網を取り出します。
灰を新聞紙で包みます。
水をかけて濡らし、ごみとして処分します。
なべなどはスポンジを使って洗います。灰をキレイに落とすことができました。
汚れは簡単に落ち、面倒くささはありませんでした。
防災用のほか、キャンプで炊飯を失敗したくない人にもおすすめ!
最後に、タイガー魔法瓶「魔法のかまどごはん」のテスト結果をまとめてみました。
タイガー魔法瓶
「魔法のかまどごはん」
- タイガー魔法瓶魔法のかまどごはん(屋外専用) KMD-A100K
- 検証時価格: ¥19,800〜
- ご飯を炊く楽しさ
- 炊いたご飯の味
- お手入れの簡単さ
炊き込みご飯にすると、白米より美味しく作ることができるでしょう。
新聞紙とはいえ煙が出るので、顔に当たらないよう風向きには注意しましょう。
タイガー魔法瓶「魔法のかまどごはん」は、そもそも普段使いする製品ではありません。
外に出て、風が当たらないよう対策をして、しっかり時間を計る必要があります。炊いたご飯も、おいしいでですが、さすがに高級炊飯器の味には敵いません。
ただ、燃料は用意や保管が面倒な薪が不要で、新聞だけで済むのが画期的。取扱説明書どおりに炊けば、ご飯が焦げ焦げになったり生煮えになったりする失敗も、ほぼ起こらないと思われます。
防災用のほか、キャンプや学校での教育用としてなら優秀な製品と言えます。
新聞紙はつぶしすぎると燃えにくい原因となるので注意しましょう。