ティファールの炊飯器「ザ・ライス」の特徴は?
T-fal
ザ・ライス RK880CJP
実勢価格:3万4000円
サイズ:W258×D312×H232mm・約5.1kg
炊飯容量(白米):5.5合炊き・1.0L
炊飯方式:遠赤外線:IH
メニューモード:10モード
炊き具合:3種類(やわらかめ・ふつう・かため)
保温機能:24時間
定格消費電力:1150W
T-fal(ティファール)といえば、取っ手の取れるフライパンや電気ケトルなど、さまざまな調理器具を扱っている海外の大手メーカーです。
そんなティファールは、最近は「炒め」に対応した電気調理鍋で話題を集めましたが、2022年10月にまさかの炊飯器のファーストモデル「ザ・ライス RK880CJP」を発売しました。
ポイント1:遠赤外線とIHの熱で釜内を高火力で包む
日本メーカーのミドル、ハイエンドクラスの炊飯器は圧力IHタイプが主流ですが、T-fal「ザ・ライス RK880CJP」は「遠赤外線」と「IH」の2つの熱源で炊飯する独自システムを採用しています。
本体のフタから遠赤外線を放射。上部の遠赤外線と底面のIHヒーターで釜内を包み、米の甘みや旨みを凝縮するそうです。
ポイント2:10種類のメニューモードや保温モードなど機能は充実
10種類の炊飯モードや3種類の炊き分け、保温や洗浄モードなど、国産メーカーの炊飯器と遜色ない多彩な機能を搭載しています。
操作パネルはタッチ方式です。
バルミューダの炊飯器「BALMUDA The Gohan」の特徴は?
バルミューダ
BALMUDA The Gohan
K08A
実勢価格:4万7025円
サイズ:W242×D266×H219mm・約4.6kg
消費電力:670W
炊飯容量(白米):0.5~3合
炊飯モード:5モード
電源コード長:約1.2m
保温機能:なし
タイマー:あり(炊きあがり時刻指定/2件登録可能)
バルミューダは2017年にリリースした「BALMUDA The Gohan」の新モデル、バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」を2022年12月に発売しました。
ポイント1:二重釜の蒸気で包み込んで炊く
前モデルは、お米と水を入れる内釜と蒸気になる水を入れる外釜の「二重釜構造」で炊飯することで、お米を動かさずに均一に熱を通す仕組み。粒立ちがよくて“しゃっきり”した食感のご飯を目指すコンセプトでしたが、新モデルもその方式を踏襲しています。
底面のヒーターにより、外釜の水が蒸気になり、内釜とご飯を包み込んで加熱します。
ただ、新モデルは外釜の厚さを「1.2mm」から「2.0mm」に増やし、内ブタの蒸気口の形状も前モデルより狭くしています。
ポイント2:温度制御の進化でご飯の甘みや旨みがアップ
新モデルは温度制御も調整して、お米に伝わる熱効率を上げてふっくら感を向上させています。緻密なコントロールによりお米の甘み・香りを最大限に引き出すそうです。
今回の検証方法は?
今回の検証では、T-fal「ザ・ライス RK880CJP」とバルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」を比較。本当においしいご飯が炊けるのか、食とお米のプロ3人がジャッジしました。
検証方法1:おいしさ
「炊きたて」「冷やご飯」「冷凍ご飯」「保温ご飯」「早炊き」のおいしさを比較しました。
早炊きは炊きたてを試食。それ以外は普通モードで炊飯。冷やご飯は常温保存、冷凍ご飯は冷凍庫で保存、保温ご飯は保温モードで16時間保存しました。
検証方法2:機能性
炊飯モードや食感炊き分けなどの機能をチェック。ボタンの操作感や液晶の見やすさなどの使い勝手も調査しています。
検証方法3:お手入れ
洗うパーツの形状や数に加えて、釜の重さも調査。パーツの着脱しやすさなど、アフターケア全般をテストしました。
なお、今回のテストでは雑誌『家電批評』の炊飯器テストでベストバイ常連のシリーズ、タイガー「JPL-S100」をベンチマークとしています。食感はもっちりで激ウマのご飯が炊ける炊飯器です。
ベンチマークのタイガー「JPL-S100」
タイガー
JPL-S100
実勢価格:9万9980円
それでは、テストの結果を順に解説していきます。
おいしさ:健闘した「BALMUDA」、難ありだった「T-fal」
雑誌『家電批評』ではどの炊飯器も、無洗米を浸漬せずに炊くという高難度の条件でテストしています。お米の表面にしか水分が回らず、旨みや甘みを引き出すのが難しいからです。
ということで、今回も無洗米を浸漬せずに炊いたご飯を専門家と一緒に実食しました。結果としては両製品とも芯残りを感じ、中心部まで十分な加熱ができていませんでした。
また、あとで紹介する日立の同価格帯の炊飯器で炊いたご飯と比較して、旨みや甘みも薄かったです。温度や火力不足で糊化が不十分だと推測します。
なお、糊化とは米に含まれるでんぷんが水と一緒に加熱されると、でんぷんに水分子が入り込み、粘りが出てやわらかくなることです。
T-fal「ザ・ライス RK880CJP」のテスト結果
T-fal「ザ・ライス RK880CJP」は、どのご飯も糊化が少なめで、お米の旨みや甘みが十分に引き出せていない印象。全体的にかためで、舌触りやのどごしが微妙でした。
炊きたて【評価:難あり】
芯までしっかり炊けておらず、ゴワゴワとした食感。表面もざらついていて、甘みも旨みも少ないです。炊飯前の浸漬は必須です。
冷やご飯【評価:微妙】
表面が乾燥してパサついてしまい、のどごしの悪さを感じました。ただ、時間経過でご飯が落ち着いたのか、炊きたてよりマシです。
冷凍ご飯【評価:微妙】
再加熱による乾燥はわりと少なく、食感もやわらかめで芯残りは感じませんでした。ただ、甘みや旨みはかなり薄いです。
保温ご飯【評価:微妙】
釜内の上側は水分が飛んでしまい、パサパサでかため。底部分は水分が多めでベチャついていて、保温ムラが気になりました。
早炊き【評価:難あり】
浸漬なしで炊いたためか、芯が残っていて炊けていません。糊化が十分ではないため、甘みも旨みも少なく、食感もボソボソしていました。
バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」のテスト結果
バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」は、前モデルに比べて、全体的にやわらかめの食感。早炊き以外はまずまずですが、もう少し糊化を促進して、旨みや甘みが欲しいです。
冷やご飯は割と食べやすいですが、早炊きが残念です。
炊きたて【評価:合格】
中心はかためですが、お米の輪郭がはっきりしていて、粒感のある炊きあがり。ご飯の甘さは弱いですが、旨みは感じられました。
冷やご飯【評価:良好】
表面は乾燥せずにしっとりをキープ。お米の芯が残っている食感もなく、コシがあってかみ応えがあります。甘みはやや少なめでした。
冷凍ご飯【評価:合格】
加熱しても粒感がある程度残っていたのは立派。ただ、表面はかためなのにコシが弱くなり、しゃっきり感が低くなったのは少し残念です。
保温ご飯【評価:なし】
保温したご飯は炊きたてよりも劣化するため、あえて保温モードを搭載しないのがバルミューダ流。専門家も「冷凍保存して、レンチンするほうがおいしいのは確か」と語っています。
早炊き【評価:微妙】
芯まで炊けておらず、かなりかための炊きあがりに。糊化も不十分で、甘みや旨みも少なかったです。早炊きするなら必ず浸漬をしましょう。
機能性:多機能なら「T-fal」、シンプル派は「BALMUDA」
T-fal「ザ・ライス RK880CJP」は炊飯モードや炊き分け機能など、一般的な炊飯器が標準搭載している機能はおおよそカバーしています。
ただ、操作表示が見にくく、長押ししないとタッチボタンが反応しないのは、ややストレスを感じます。
一方、バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」は炊き分けや保温機能が非搭載でシンプル。ボタンや液晶表示が大きく、迷わず操作できたのは高評価でした。
T-fal「ザ・ライス RK880CJP」のテスト結果
【評価:良好】
タッチボタンは長押ししないと反応せず、慣れるまで違和感あり。文字の表示も少し見にくいです。
10種類の炊飯モードや3種類の炊き分け、保温や洗浄モードなどの標準的な機能は搭載しています。
バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」のテスト結果
【評価:合格】
炊飯モードは5種類ありますが、炊き分けや保温などは非搭載。ボタンは大きくて押しやすいです。
内釜にお米と水を入れるほか、外釜にも水を入れる必要があるため、セッティングは少し手間でした。
お手入れ:釜の重さや内ブタの着脱など、両方とも少し使いにくい
両モデルを実際に洗ってみて、お手入れのしやすさをチェックしました。
T-fal「ザ・ライス RK880CJP」は洗うパーツが3つだけと少ないのは高評価ですが、釜の重さや分解して洗う蒸気口など、お手入れに少し手間を感じるシーンもありました。
一方、バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」は2つの釜が軽くフラットで、手軽に洗えます。ただ、内ブタを引っ張ったり、押し込んで着脱したりが面倒でした。
T-fal「ザ・ライス RK880CJP」のテスト結果
【評価:微妙】
内釜は厚みがあり重さもずっしり。また、釜の側面が湾曲しているため、少し洗いにくいです。
洗うパーツは内釜、内ブタ、蒸気口の3つ。ただ、蒸気口は分解して洗う必要があります。
バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」のテスト結果
【評価:微妙】
2つの釜の側面はフラットな形状で洗いやすいです。ただ、釜を2つ洗うのは少しだけ面倒でした。
内ブタはマイコン式に多い本体にある突起物にはめ込むタイプ。本体が熱いと着脱しにくいです。
「T-fal」と「BALMUDA」の炊飯器の検証のまとめ
最後に、それぞれの総合評価です。
T-fal「ザ・ライス RK880CJP」
T-fal
ザ・ライス RK880CJP
実勢価格:3万4000円
サイズ:W258×D312×H232mm・約5.1kg
炊飯容量(白米):5.5合炊き・1.0L
炊飯方式:遠赤外線:IH
メニューモード:10モード
炊き具合:3種類(やわらかめ・ふつう・かため)
保温機能:24時間
定格消費電力:1150W
総合評価:C
▼よかった点
- 炊飯モードや食感炊き分けなど機能は十分
- 釜は重いが本体の天面はフラットで拭きやすい
▼残念だった点
- ご飯は糊化しきれず甘みや旨みが少なめ
- タッチパネルのレスポンスが鈍く、感度が悪い
- 液晶が小さく、文字表示も見にくい
C評価となったT-fal「ザ・ライス RK880CJP」。今回の無洗米を浸漬なしで炊飯するテストでは、全体的に甘みや旨みが薄く、舌触りや食べ応えもイマイチ。機能性は十分ですが、4万円台のミドルクラスとしてはおいしさが物足りません。
冷やご飯は割と食べやすいですが、早炊きが残念です。
バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」
バルミューダ
BALMUDA The Gohan
K08A
実勢価格:4万7025円
サイズ:W242×D266×H219mm・約4.6kg
消費電力:670W
炊飯容量(白米):0.5~3合
炊飯モード:5モード
電源コード長:約1.2m
保温機能:なし
タイマー:あり(炊きあがり時刻指定/2件登録可能)
総合評価:C
▼よかった点
- 冷やご飯はしっとりしていてまずまずの風味
- 液晶は大きく、ボタン操作もシンプルでわかりやすい
▼残念だった点
- 保温や洗浄モード機能がないのは好みが分かれる
- 外釜にも水を入れるなど、炊飯までに手間がかかる
- 糊化が弱めで旨みや甘みが弱い
きちんと浸漬すれば、芯が残らず味もまずまずです。
バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」もC評価に。きちんと浸漬すればしゃっきり食感が楽しめます。しかし、お米本来の甘みや旨みが薄めでした。操作は迷いにくいですが、デザイン性は十分なので、刺さる人なら選んでもアリかもしれません。
同価格帯なら日立のミドルクラスがおすすめ
日立
沸騰鉄釜
RZ-V100FM
実勢価格:3万2480円
日立「沸騰鉄釜 RZ-V100FM」は、兄弟誌『MONOQLO』の炊飯器テストで、高級機を押しのけて5位に輝いた日立のミドルモデル。ご飯はツヤツヤで旨みたっぷり。価格も4万円以下と手頃です。
以上、T-fal「ザ・ライス RK880CJP」とバルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」の比較結果やおすすめ炊飯器の紹介でした。
T-fal「ザ・ライス RK880CJP」はおいしさが低評価となり、日常使いは厳しそう。バルミューダ「BALMUDA The Gohan K08A」は味の改善は見られたものの「ウマい!」まではあと一歩という結果となりました。
購入しようか気になっていた人は、今回の検証を参考にしてみてください。
なお、どの炊飯器も短くても30分ほど浸漬を行うだけで、芯まで炊けて旨みや甘みもアップします。ご飯を炊くときは、やはり忙しくとも浸漬はするのがおすすめです。
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30分〜1時間は浸漬しないと、おいしく炊けません。