AV機器音質をパーソナライズするイヤホンが登場

人の耳は形や特性も個人差があるため、イヤホンの性能を100%出し切るのはなかなか難しいこと。そこで注目されているのがパーソナライズイヤホンです。

スマホを使った簡単な計測で個人の耳に合わせた音質を補正できるようになったことで、数年前からこの手のイヤホンが登場しています。とはいえ、その多くは付加機能としてでした。

しかしnuraから登場したイヤホン、nura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」は付加機能としてではなく、メイン機能としてパーソナライズを盛り込んでいます。

nuraってどんなメーカーなの?

「nura」は、聴覚検査の技術を応用して個人に最適化した音を聴かせてくれる新鋭のイヤホンメーカー。

初めて製品化された「Nuraphone」はクラウドファンディングで180万ドル以上も支援を集め、現在も開発が続いています。

2019年4月発売の「Nuraphone」

2019年4月発売の「Nuraphone」 イメージ

nura
Nuraphone
実勢価格:4万円

2019年4月に登場したnura「Nuraphone」

2019年4月発売の「Nuraphone」 イメージ2

イヤーカップの中心部にカナル型イヤホンのようなものがあるヘッドホンです。

2021年7月発売の「NuraLoop」

2021年7月発売の「NuraLoop」 イメージ

nura
NuraLoop
実勢価格:1万6300円

nura「NuraLoop」は、nura「Nuraphone」登場の2年後に一般発売された新型モデル。一体型のワイヤレスイヤホンです。

そして2022年12月、最新モデルのnura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」が登場しました。

AV機器nura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」

nura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」 イメージ

nura
NuraTrue Pro
NR-TWSPRO
実勢価格:4万5980円

(日本正規代理店) プリンストン
サイズ:φ26×D22mm・8.6g(イヤホンのみ)
再生時間:最大8時間(イヤホン)
コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive、aptX Lossless
Bluetooth:5.3
防水・防塵性能:IPX4

nura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」は、ユーザーの耳の特徴に合わせて周波数特性や音圧レベルを補正し、最適化してくれます。

nura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」 イメージ2

では実際にパーソナライズ後の音源がどのように聴こえるのか複数人で試聴したところ、音が鳴っている空間やボーカル・楽器が聴こえる方向と距離を明瞭に感じることができました。

個人差はありますが、フィットするイヤーピースを使えば解像感や音像定位の明確さや広大な音場を誰でも体感できると思うので、音楽好きなら試聴してみるといいでしょう。

簡易的なパーソナライズ機能とは違う!200万人の聴覚プロファイルから作成

イヤホンのパーソナライズは各周波数帯域のピーという音が聞こえたら、スマホをタップして聴力を測定する手法が一般的。

この方法だと人の判断によって補正値が左右されますが、nura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」は新生児の聴力検査技術を応用しています。

簡易的なパーソナライズ機能とは違う!200万人の聴覚プロファイルから作成 イメージ

耳にフィットするイヤーチップを装着し、60秒ほどテスト信号を聴くだけで、プロファイルを作成することができます。

簡易的なパーソナライズ機能とは違う!200万人の聴覚プロファイルから作成 イメージ2

計測後に表示されるグラフは人によって色や形状が変化しますが、見方は公開されていません。

AV機器パーソナライズ後の音を編集部員が聴き比べ

人によって音の鳴り方は違えど、nura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」イヤホンで補正すると音の聞こえ方は似るはず。という仮説のもと、8人の編集部員がパーソナライズ前と後の音を聴き比べました。

その結果、共通していたのは音場の拡大と解像度の向上です。感覚的にはエネルギー量が増え臨場感が高まり、どんな楽曲も楽しく聴かせてくれることがわかりました。

それでは、編集部員ごとの検証結果を紹介します。

編集部員1:20代前半・女性

▼作成されたグラフ

編集部員1:20代前半・女性 イメージ

よく聴く曲/歌手

  • 藤井風
  • クリープハイプ

パーソナライズ前

音が平坦に聞こえ、ぼんやりとした音像。音楽を聴くというより流し聴き向きかもしれません。

パーソナライズ後

音に立体感が出て繊細な感じに。でも低音はズンズン、高音は穏やかで聴きやすくなりました。

装着感

医者に指摘されるほど耳が小さく、うまく耳にフィットせず落ちてしまいました。

編集部員2:20代後半・男性

▼作成されたグラフ

編集部員2:20代後半・男性 イメージ

よく聴く曲/歌手

  • 宇多田ヒカル
  • 山下達郎

パーソナライズ前

パーソナル前の音も特別悪い感じはしないけれど、輪郭はややぼんやりで音がタイト。

パーソナライズ後

窮屈さは解消され聴いていて疲れません。粒立ちがいい反面、ノイズっぽさが残りました

装着感

耳にぴったりフィットして、激しい動きをしても外れる感じはなくスゴくよかったです。

編集部員3:20代後半・男性

▼作成されたグラフ

編集部員3:20代後半・男性 イメージ

よく聴く曲/歌手

  • 乃木坂46
  • ケミカル・ブラザーズ

パーソナライズ前

不満はないけど、音が平面的で膜が張ってあるような印象。ワクワク感にも欠けました。

パーソナライズ後

斎藤飛鳥ちゃんの声が生々しいです。音場が広く高音がしっかり鳴り、聴き疲れもしませんでした。

装着感

右耳は快適に装着できましたが、左耳には若干異物が入っているかのような違和感がありました。

編集部員4:30代前半・男性

▼作成されたグラフ

編集部員4:30代前半・男性 イメージ

よく聴く曲/歌手

  • アニソン

パーソナライズ前

コスパ高イヤホンを愛用しており音質にこだわりがないものの、音がこもっているのがわかりました。

パーソナライズ後

ボーカルやコーラスなどさまざまな歌声がクリアに。楽器もしっかり分離して聴こえました。

装着感

装着感自体は悪くないですが、イヤホン本体が大きいような気がしました。違和感が拭えません。

編集部員5:40代前半・男性

▼作成されたグラフ

編集部員5:40代前半・男性 イメージ

よく聴く曲/歌手

  • 星野源
  • 宇多田ヒカル

パーソナライズ前

フラット寄りの傾向。BGM的に流し聴きをするならエッジが丸いニュートラルが割といいです。

パーソナライズ後

ボーカルが立っているますが、低音の存在もしっかりあります。音場が広く、解像度も高いです。

装着感

カナル型イヤホンを普段使わないからか、装着すると耳に異物が入ったような違和感がありました。

編集部員6:40代後半・男性

▼作成されたグラフ

編集部員6:40代後半・男性 イメージ

よく聴く曲/歌手

  • ゲームサントラ
  • J-POP

パーソナライズ前

重低音やボーカル曲が平たく聴こえます。自分が愛用しているイヤホンと変わりません。

パーソナライズ後

BGMが抑えられボーカルが際立っている印象。ただ古めの曲は合成っぽく聞こえました。

装着感

カナル式イヤホンは耳が痛くなるから普段は装着しないですが、コレなら問題ありません。

編集部員7:30代後半・男性

▼作成されたグラフ

編集部員7:30代後半・男性 イメージ

よく聴く曲/歌手

  • くるり
  • ダイアナ・クラール

パーソナライズ前

面で押すエネルギーのあるサウンドですが、低音過多でこもりがち。ただし悪い印象はありません。

パーソナライズ後

水平・垂直方向に空間が広がります。低音がクリアで分離も向上。高音の補正効果はやや雑でした。

装着感

カナル型の完成度が高いです。低音の聴こえ方が重要なので、イヤーピース選びがポイント。

編集部員8:30代後半・男性

▼作成されたグラフ

編集部員8:30代後半・男性 イメージ

よく聴く曲/歌手

  • 星野源
  • Vaundy

パーソナライズ前

全体的にこもっています。楽器の音など低音が奥に引っ込んだ印象で、物足りなさを感じます。

パーソナライズ後

解像度が向上して音場が上下左右に拡大。低音のエネルギーが強調され、臨場感もアップしました。

装着感

右耳がしっくりハマる位置を発見するのに苦労しました。ただ入れば、ズレる感覚はありません。

AV機器専門家がパーソナライズされた音を評価

次は専門家2人がじっくりパーソナライズされた音を聴き、音質をチェックしました。

その結果、低域と中低域にボリュームがあるのに中高域の解像度が落ちないと高評価。また、音量を上げても音はなめらかで刺激が少なく、長時間聴き続けられます。

高音質なワイヤレ接続であるSnapDragonサウンド対応スマホで再生すると、さらに音像定位が向上しました。

原田裕弘 氏
東京音研放送サービス代表
原田裕弘 氏 のコメント

普段の音とは異なって聴こえ、数曲聴くうちに新たな音世界が広がりました。

ゴン川野 氏
オーディオライター
ゴン川野 氏 のコメント

自分の耳の装着感がよく、耳にフィットするのでジムで使っています。

AV機器ノイキャンとパススルーはイマイチ

ノイキャンとパススルーはイマイチ イメージ

音楽表現の優秀さをアピールしたnura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」ですが、現在のイヤホン市場で欠かせないノイキャン性能は低評価。高音の騒音除去どころか、低音も残っていました。

電車内でも試しましたが、オンになっているのがわからないレベルです。

AV機器まとめ:誰でも効果を実感できるパーソナライズイヤホン

最後に、nura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」のテスト結果と合わせておすすめポイントや残念ポイントをまとめてお伝えします。

まとめ:誰でも効果を実感できるパーソナライズイヤホン イメージ

▼総合評価

  • 評価:A
  • 暮らし充実度:4/5点

▼テスト結果詳細

低音域 中音域 高音域 ダイナミクス 解像度 装着感 遮音性 ノイキャン パススルー 通話性能 操作性 付加機能
優秀 優秀 優秀 優秀 合格 合格 優秀 不合格 合格 合格 微妙 優秀

▼おすすめポイント

  • 補正された音で聴ける
  • パーソナライズ方法がラク
  • 自分だけのイヤホン

▼残念ポイント

  • サイズが大きめ

以上、nura「NuraTrue Pro NR-TWSPR」の検証レビューでした。

高音の表現がやや雑ということと、イヤホンサイズが大きくてフィット感を得られない人がいるようなので、向き不向きがあるかもしれません。とはいえ、自分だけの最適化イヤホンがわずか数分で手に入るのには感激でした。

音楽好きの人は、ぜひ試聴してみてください。

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