9月発売の「Elite 5」は格安優秀な前機種「Elite 4 active」を超えられるのか?
本編の検証に進む前に、前機種「Elite 4 active」と9月発売の「Elite 5」の概要について触れておきましょう。
過去にベストバイを獲得している「Elite 4 active」
Jabra
Elite 4 active
実勢価格:1万1500円
重量:約5g×2(本体のみ)
連続再生時間:最長7時間(本体のみ)
コーデック:SBC、aptX
充電端子:USB Type-C
防水・防塵性能:IP57
まず、前機種の「Elite 4 active」は、家電批評2022年4月号の「安くて良いANCワイヤレスイヤホン」テストにおいて、1万円クラスのベストバイを獲得した逸品。
ノイズキャンセリング性能に優れ、外音取り込みの精度に関しては、当時のAirPods並みという高評価を獲得。なのに、1万円前半という良心的な価格帯を実現。まさに、安くて良いイヤホンの代名詞と言える製品でした。
ちょっぴりお高め。9月発売の「Elite 5」
Jabra
Elite 5
実勢価格:1万8480円
重量:約5g×2(本体のみ)
連続再生時間(ANCオフ):最長9時間(本体のみ)
コーデック:AAC、SBC、aptX
充電端子:USB Type-C
防水・防塵性能:IP55
対する、9月発売の新製品「Elite 5」は、実勢価格で前機種の「Elite 4 active」よりも約8000円高い、1万8480円(10月前半時点)です。
この値段の差を考えると、消費者心理としては、安くて良い「Elite 4 active」よりも高性能であることは絶対であってほしいところ。
また、2万円近い価格であれば他社製品も群雄割拠であることから、そこからも頭ひとつ抜けないとベストバイとは言い切れません……。
ややハードルを上げてしまいましたが、それだけ完全ワイヤレスイヤホン市場が活況であることも加味したうえで、実際に検証していきましょう。
予備知識!「Elite 5」と「Elite 4 active」の数字には意味があります
本製品の数字からは、前機種と後継機などの関係性を思い浮かべてしまいますよね。
しかし、これはJabra社がはじめたナンバリングシリーズというもので、数字が上がるほど高性能・高価格となり、数字の後に「active」などが付くと、運動に向いた製品などという分類がされるのだとか。
つまり「Elite 4 active」と「Elite 5」の違いは「性能・価格は向上しているけど、運動向きではなくなった」点といえます。実際、IP57→IP55と、防塵性能が少し下がっていますね。
ということで、「Elite 4 active」と「Elite 5」とでは、そもそものコンセプトが違うということなんです。
しかし、そのナンバリングを信じるならば、やはり音質などの機能・性能は向上しているはず!
これらを予備知識として踏まえ、比較検証を行っていきます!
テスト1:音質は良くなってるのか?
結果:方向性は大きく異なるけど、レベル的にあまり差はなし!
「Elite 4 active」はボーカルを膨らませつつ、低音を効かせたサウンド。日本のロックやJ-POPを聴くのにピッタリで、狙いはハッキリしています。
一方で「Elite 5」はモニター指向。全体的な中音域の表現力が上がっていて、楽器の演奏音や音空間の広がりをより感じられるようになりました。
ただしその分、ボーカルは「Elite 4 active」と比べて少し埋もれ気味です。
また、1万5000円クラスの製品と相対的に比べてみても、コスパ的にイマイチという結果になりました。
レベル的に大きな差はありません。「Elite 4 active」からの音質の向上を目的とするなら「Elite 5」を買う意味はないでしょう
テスト2:ノイズキャンセリング性能は向上してるのか?
結果:プロが「Elite 5は全然上」と絶賛!
ノイズキャンセリング(ANC)機能は、「Elite 4 active」と比べて「Elite 5」がぶっちぎりで優秀との結果に。
そもそも「Elite 4 active」のノイズキャンセリング性能は高評価でしたが、今回テストした場所では、室内のエアコンや自動販売機の音が入ってしまいました。
対する「Elite 5」は、より中高域の騒音もある程度カットできるようになっていて、ノイズキャンセリング性能としてはこっちの方が全然上。
ノイズキャンセリング性能で不満を感じることはあまりないはずです。専用アプリでノイズキャンセリング強度を5段階に調整できるのも魅力です!
重低音を中心に騒音をカットしている「Elite 4 Active」と比べて、全面的にカットしてくれる「Elite 5」はかなり優秀です!
テスト3:外音取り込み機能をチェック
結果:アプリで調整すれば実際の音よりもハッキリ聴こえた!
多くの完全ワイヤレスノイキャンイヤホンには、「外の音を取り込む」機能が搭載されています。散歩中などにイヤホンを使用していた場合、車や人の声が聴こえないと危険にさらされる場合もあるからです。
今回のJabraイヤホンの場合、どちらの機種も専用のスマホアプリでその外音取り込み(HearThrough)レベルを5段階で調整できます。
HearThroughのレベルを上げるとある種の補聴的な機能にもなり、イヤホンを着用しているとときよりも外音がハッキリ聴こえるようになりました。これは「Elite 4 active」発売当初にはなかった機能です。
テスト4:通話時のマイク性能はどちらが優秀なの?
結果:両製品ともにほとんど変わりませんでした
マイク性能は、「Elite 5」と「Elite 4 active」の両製品の間にほとんど違いはありませんが、騒音を拾わないという点においては「Elite 5」がかなり優秀という結果になりました。
また、「Elite 4 active」は機械的な音の不自然さが多少ありましたが、「Elite 5」ではその点が改善されていました。とはいえ、少しだけ、です。
全体的に性能が向上したElite 5! ノイキャン機能やアプリ性能目的ならアリ!
音質面は前述の通り、そこそこ程度。
買って後悔するレベルではありませんが、手ごろな価格だった「Elite 4 active」からほとんど性能の向上がなく、正直言って期待外れ感がありました。
一方でノイズキャンセリングやアプリ性能など、機能面では「Elite 5 」に買い換える価値アリ。ANCや「HearThrough」(外音取り込み)機能を5段階で調整できるのはこの価格帯でも中々ありません。
機能面を含めて総合的に考えるなら、値段相当な製品。買って後悔することは少ないでしょう。
ただし、さらに価格が高い製品には、音質面で「Elite 5」を超えるイヤホンもあります。そこを踏まえた上で機能面などに魅力を感じる方には特におすすめです。
アプリを使ってANCや外音取り込み機能の細かい調整ができる製品はこの価格帯では結構珍しいので、それ目的で買うのはアリ!
テスト結果を総まとめ!
Jabra
Elite 5
実勢価格:1万8480円
重量:約5g×2(本体のみ)
連続再生時間(ANCオフ):最長9時間(本体のみ)
コーデック:AAC、SBC、aptX
充電端子:USB Type-C
防水・防塵性能:IP55
▼テスト結果(ソニー「WF-1000XM4」を満点と想定し、減点方式で評価しました)
評価 | 音質(低音域) | 音質 (中音域) | 音質(高音域) | 音質(解像感) | 音質(ボーカル) | 装着感 | 通話時の聴きやすさ | マイク性能 | 外音取り込み | ANC性能 | 操作性 |
A | 8/10点 | 9/10点 | 7/10点 | 8/10点 | 7/10点 | 10/10点 | 9/10点 | 10/10点 | 8/10点 | 9/10点 | 2/10点 |
最後にJabra「Elite 5」のよかった点と残念だった点をまとめました。
▼よかった点
- ノイズキャンセリングは中高音域のノイズもある程度カットされ、前機種よりも性能が向上した
- 外音取り込み機能を使うと、外の音が非常にクリアに聴こえる
- 同価格帯のイヤホンよりもアプリの使い勝手や機能性が優秀
▼残念だった点
- ボーカル音がやや埋もれぎみで、価格相応とは言いづらい
- マイク性能の向上はわずか
- コスパのいい製品とは言えなくなった
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Jabraとしてはナンバリングを揃えてユーザーに選択肢を与えるのが目的と予想されるので、「Elite 5」が発売されたからといって「Elite 4 active」の販売が休止される恐れは少ないでしょう