17年越しの新商品 PURE i9王者ルンバに勝てるのでしょうか?
スウェーデンの老舗家電メーカー、エレクトロラックス。実は17年前に世界で初めて家庭用ロボット掃除機「トリロバイト」を発売したのがエレクトロラックスです。
しかし、この確固たる事実よりもスティッククリーナーのエルゴラピードがベストセラーであることの方が有名な話。そんな同社が今年ロボット掃除機業界に再参入! 新たなる刺客「PURE i9」を開発しました。
エレクトロラックス
PURE i9
実勢価格:10万5300円
サイズ:W325×D280×H85mm
重量:2.5kg
連続使用時間:約40分(通常モード)、約60分(エコモード)
集じん容量:700ml
充電時間:約3時間
なんでも、17年前に納得できなかった技術面でのリベンジをはたすことができたからとのこと。他のメーカーが王者ルンバになかなか追いつけない現状の中、満を持して今年3月に発売されたPURE i9ですが、はたして勝算はあるのでしょうか?
吸引力とエラーの数が勝負のカギPURE i9の実力を徹底テスト
筐体は三角形でパナソニックの「ルーロ」と似ていますが、ルーロよりはやや小ぶり。ルンバなどと同様にSLAM(Simultaneous Localization And Mapping:マッピングに加え自分が今どこにいるのか把握する)技術を採用しています。
マッピング機能「障害物認識」がウリで、「ロボット掃除機を使うために床を片付けたりする事前の片付け」が不要とのこと。もちろん、専用アプリで掃除の予約や機器のアップデートをすることもできるといいます。
障害物や段差を立体認識する3Dビジョンテクノロジー搭載。確かに、椅子があっても隙間をスイスイ進みます。
トレンド機能を搭載し、ロボット掃除機の従来の悩みを解決したと謳う本機。今回はこのPURE i9の真の実力を査定することにしました。
テストでは下記の3要素を中心に検証。結果をABC評価であらわします。
テスト1:吸引力
掃除機だけに掃除能力があるのは大前提。ゴミの吸引力や部屋の隅や椅子、ソファーの下などもくまなく掃除できるかどうかを検証しました。
テスト2:エラー率
段差に落ちたり、コードに絡まったりしないかどうかや途中で止まったり、定位置にきちんと帰ってこれるかどうかをテスト。
テスト3:効率性
いかに賢く掃除ができるかも検証。充電と掃除をダラダラ繰り返したりせず、効率よく掃除できているかどうかをチェックしました。
絶対王者ルンバを超えるには、確実な「吸引力」と掃除をやり遂げる「エラー」の少なさがキーポイントとなります。それでは、検証中の様子をリアルタイムで押さえた写真とあわせて、PURE i9の実力を詳しくみていくことにしましょう。
【吸引力】四隅や椅子の周りも丁寧カーペットでも吸引力は十分です
四方を壁と木の板で囲み、そこに小麦粉とおがくずをまいて吸引力をテスト。椅子の周りや隅にもおがくずを置き、基本の掃除性能を検証しました。
肝心の吸引力は、なかなか上々。小麦粉はフィルターに詰まり吸い残しもありましたが、おがくずは大きめのロールブラシで、ほとんど吸い込みました。
部屋の隅やピンポイントな箇所への対応に強い三角形型ということもあり、壁に強くぶつかることもなく、サイドブラシで賢くゴミをかき集めていく姿が見てとれました。ゴミがほんの1、2個残りはしましたが、隅に撒いたおがくずもサイドブラシでかき集めて吸引しています。
通り道に置いた椅子にも丁寧に回り込み、通り抜けられると判断するや否や、迷うことなく突入。ギリギリの隙間でもしっかりと進んでひととおり周回し、おがくずなどを吸い込みました。
吸引口が比較的大きめだからか、カーペットの上でも安定した吸引力。
しかし、ルンバやルーロのようにゴミセンサー機能があるわけではないので、取り残したゴミを再度掃除することはあっても、ゴミのある箇所を念入りに掃除することはありませんでした。
【エラー率】障害物はうまく回避コードにも絡まらず、帰還率も優秀
障害物やコードへの対応をウリとしているだけあって、障害物の回避能力は優秀。絡まったコードから脱出したり、走行中に人が通りすぎてもぶつかったりエラーにならないのは好評価でした。
帰還率も優秀でしたが、掃除が終わるとどうやら充電台ではなく、掃除を開始した箇所に戻るよう。充電スタンドからスタートしなかった場合には、手で充電台に戻す必要があります。
【効率性】え、そこ掃除しないの?フロアのカバー力には不満ありです
障害物を織り交ぜた検証中、部屋の全てを掃除せずに満足して帰ってしまうことが何度か起きました。掃除できていない範囲というのが、下の緑の部分。割と残っています。
コードに絡まったり、イレギュラーな障害物と出くわした時、ストップはしないものの、掃除していない部分をそのままスルーして帰るのはイタイ。マッピングや自分の位置把握に狂いが生じることが原因かもしれません。
【結果】王者ルンバには歯が立たずカバー力への不安からB評価でした
エレクトロラックスのPURE i9を検証した今回、吸引力とエラー回避力は満足いくレベルでしたが、カバー率にはやや不安が残る結果に。そのため王者ルンバはおろか、Aクラスの製品の足元にも及ばず、B評価となってしまいました。
専用のスマホアプリはアップデートで活動記録も表示してくれるようになり、外出先からのモード設定やスケジュール予約が可能です。アプリの機能に関しては標準的といったところでしょう。
17年ぶりの再参入にルンバを超える期待が高まったPURE i9。価格はルンバの上位モデルと同等ながら、正直性能は今ひとつ。次回作に期待をしたいところです。