新技術を導入した耳を塞がないヘッドホンとイヤホンを検証
音楽を聴きながら外の音も聞こえる「外音取り込み機能」は、近年イヤホンの人気機種ですが、すでにより進化した製品が登場しています。
それが今回ご紹介するオーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」とNTTグループ初のコンシューマー音響ブランド、nwm(ヌーム)の初製品となる「パーソナルイヤースピーカー MWE001」です。
どちらも耳を塞がないことで、外音も聞こえるという最近流行のタイプとなります。もちろんオーディオ機器である以上、音楽や通話がきちんと聴こえなくてはなりません。
そこでオーディオテクニカとヌームはそれぞれ新しい技術を導入して高音質化に挑んでいます。
オーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」
※画像はAmazonより
オーディオテクニカ
ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン
ATH-CC500BT
実勢価格:1万4514円
通信方式:Bluetooth 標準規格 Ver. 5.1 準拠
重量:約35g
2022年10月に登場したオーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」。耳周辺の軟骨を振動させ、音を伝える技術により、従来の骨伝導でデメリットだったステレオ感がなくなる問題も解決しています。
装着感がなく外音もきちんと聞こえる
ヘッドホン型で形がほぼ固定されているので、装着すれば自然と軟骨に当たるのが楽。装着時の圧もほとんどなくちょっとしたメガネをかけている程度の重さです。軟骨に当てているだけなのに自然な音がします。
骨伝導イヤホンとの違い
- 骨伝導よりも頭部への圧迫感がない
- きちんとステレオ感も得られる
- 2台のBluetoothに同時接続できる
nwm「パーソナルイヤースピーカー MWE001」
※画像はAmazonより
nwm(ヌーム)
パーソナルイヤースピーカー
MWE001
実勢価格:8250円
重量:9g(コード含まず)
接続コード:1.2m
2022年11月に発売されたnwm「パーソナルイヤースピーカー MWE001」は耳元にスピーカーを置いているような方式のイヤホン。そのままだと周囲に音が漏れまくるところを独自の「PSZ技術」で防いでいるといいます。
耳にのせるだけの新技術を採用
独特な形状で、最初は装着するときにちょっと迷うかもしれません。しかし、つけ心地はかなり軽く、イヤホンをしているという感じは一切しません。有線接続なのでそこだけ気を使います。
既存イヤホンとの違い
- 耳を塞いでないので外音も自然に聞こえる
- PSZ技術で音漏れしにくい
- 圧倒的に軽いので装着感がなく疲れない
装着感はどちらもストレスなし
実際に使用してみて、驚くのがストレスのなさです。どちらも製品も装着しているという圧があまりなく、自然に付けていられる点は従来の骨伝導イヤホンなどとは異なる点です。
音質を検証
AV評論家の折原さんの協力のもと、オーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」とnwm「パーソナルイヤースピーカー MWE001」の音質を徹底的にチェックしました。
比較対象としては、雑誌『家電批評』おすすめの1万円台で購入できる完全ワイヤレスイヤホン、Jabra「Elite 5」を用意しました。
音質の検証結果はこちら
Jabra「Elite 5」
▼評価
- 総合点 :49/60点
- 低音域 :9/10点
- 中音域 :8/10点
- 高音域 :8/10点
- 解像感 :8/10点
- ボーカル:8/10点
- 装着感 :8/10点
音質重視ならやはりJabra「Elite 5」。本物のイヤホンが最も音質がよいです。
低音域は引き締まり、リズムの刻みも感じられ低音も伝わります。中音域はナチュラル志向で情報量重視。楽器の音も自然に鳴っていました。高音域は若干伸びやかでキツさのないタイプで音楽的にベストです。
解像感は全帯域で情報量に偏りがありません。ジャンル問わず高音質です。ボーカルは質感のあるナチュラル系。楽器とのバランスは対等。完全ワイヤレスイヤホンとしての装着感は自然で良好でした。
オーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」
※画像はAmazonより
オーディオテクニカ
ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン
ATH-CC500BT
実勢価格:1万4514円
▼評価
- 総合点 :40/60点
- 低音域 :5/10点
- 中音域 :7/10点
- 高音域 :8/10点
- 解像感 :6/10点
- ボーカル:6/10点
- 装着感 :8/10点
オーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」は、骨伝導タイプで最も高音質ですが、イヤホンには負けます。
低音は正直スカスカ。一応感じられるますが物足りません。中音域では、歌はなんとかクリアに立って聞こえるものの楽器はイマイチ。繊細な高域を伸ばせるタイプですが音の繋がりはよくありません。
解像感は骨伝導よりは遥かに高音質。歌声を高域まで伸ばすため、そこだけ聞けば十分美しいです。また、耳を塞がない所は快適ですが、左右一体型で髪にかかります。
nwm「パーソナルイヤースピーカー MWE001」
※画像はAmazonより
nwm(ヌーム)
パーソナルイヤースピーカー
MWE001
実勢価格:8250円
▼評価
- 総合点 :44/60点
- 低音域 :7/10点
- 中音域 :8/10点
- 高音域 :9/10点
- 解像感 :8/10点
- ボーカル:8/10点
- 装着感 :4/10点
nwm「パーソナルイヤースピーカー MWE001」は、"耳を塞がないのにイヤホンっぽい音"が評価されました。
音楽リスニングとして通用する低音ですが、強くはありません。中音はナチュラルに響き、高域まで伸びやか。中音域と高音域はイヤホンに近いリスニングです。
解像感は総合的にソコソコの情報量で7000円のイヤホン程度。歌声がややクリア系に聞こえるため、聞き取りやすいです。有線なのでワイヤレス慣れしているとケーブルが邪魔に感じます。
1万円クラス完全無線イヤホンと比較しても遜色なし
機能抜きで音質と装着感で採点した結果、新技術を採用した音質は予想より高音質で十分使えるレベルでした。
骨伝導系は音質がイマイチな結果が多いですが、オーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」は上々の評価。
さらにnwm「パーソナルイヤースピーカー MWE001」はきちんと耳の中でステレオ感を感じることができ、Jabra「Elite 5」に匹敵する高音質と大健闘しました。ただし、どちらも低音はいま一歩。音漏れ対策でしょうがないかもしれませんが。
どちらも防水仕様なのは良し
オーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」とnwm「パーソナルイヤースピーカー MWE001」は、どちらも防水はIPX4準拠のものとなっています。
なので水没させたり湿度の高い風呂場などでの使用はアウトですが、汗や雨で水飛沫がかかる程度ならば問題ありません。ながら聞きの場合は外で使う場面も多く考えられるので、こういった防水性能もあると安心です。
音漏れはするので注意
残念ながら普段聞いている音量レベルでも、選曲によっては周囲に漏れてしまいます。小音量に絞ればわからないレベルにはなりますが、過信は禁物です。
まとめ:想像以上の快適さと高音質
以上、耳を塞がないイヤホン、オーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」とnwm「パーソナルイヤースピーカー MWE001」の紹介でした。
2製品のヒット予測指数とよかった点、残念な点は以下のとおりです。
オーディオテクニカ「ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン ATH-CC500BT」
※画像はAmazonより
オーディオテクニカ
ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン
ATH-CC500BT
実勢価格:1万4514円
nwm「パーソナルイヤースピーカー MWE001」
※画像はAmazonより
nwm(ヌーム)
パーソナルイヤースピーカー
MWE001
実勢価格:8250円
【予測ヒット指数:80%】
▼よかった点
- 長時間のながら聴きでもストレスがない
▼残念な点
- 音量をあげると音漏れする上に低音も弱い
ヒット予想のもうひとつの理由:「耳に入れない」は衛生面でも◎
耳を塞がないというもうひとつのメリットは、耳の穴に入れないので汚れにくいということです。イヤホンは貸すのも借りるのもちょっと抵抗あるという人は多いです。しかし肌に触れるだけのこれらなら、抵抗は少なく感じるでしょう。
これからも、このような新技術を使った耳を塞がない高音質イヤホン&ヘッドホンは進化が続きそうです。
ながら聴きならこちらも必見
DANCING TECHNOLOGY
Oladance
ウェアラブルステレオ
実勢価格:2万6225円
DANCING TECHNOLOGY
Oladance
イヤーフック・サポーター
実勢価格:1899円
雑誌『家電批評』が認定した、ながら聴き最強のイヤホンであるDANCING TECHNOLOGY「Oladance ウェアラブルステレオ」。高音質が特徴の製品ですが、特徴的な形状で、耳のカタチによってはズレやすいなどの問題がありました。
ところが、そんな問題を解決するDANCING TECHNOLOGY「Oladance イヤーフック・サポーター」が登場。
その名の通りフックに追加するだけで耳たぶをしっかり支えてくれる追加パーツで、安定性がかなり増します。「便利なんだけど装着感が……」と迷っていた人は、ぜひコレを試してください。
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どちらも新しい技術ですが、十分に実用的と言えるクオリティでした。