2020年ノイキャンヘッドホンに革命が起きた!

ノイズキャンセリングヘッドホンといえば、長年培ってきた技術力でソニーやBoseを思い浮かべる人が多いと思います。どちらもノイキャン精度と強度はすでに知れ渡っているところで、人気と実力を二分しているかたちです。

そんなすでに完成に近づきつつあるノイキャンヘッドホンですが、「ノイキャンが強ければそれでいいのか?」と、『家電批評』編集部はあえて提言したい。騒音をかき消すために、ツーンと鼓膜に負荷がかかっては、肝心の音楽が聴きにくくなっていませんか?

そこで今回は、適度なノイキャン強度で音楽を快適に楽しめることができるヘッドホンを探すべく全22製品を、識者協力のもと試聴し、ランキング化いたしました。ベストバイはソニーかBoseか、はたまたそれ以外のメーカーか…

新勢力の台頭にご覧あれ!

外音がカットされて聴こえるのはナゼ?

外音がカットされて聴こえるのはナゼ? イメージ

ところで、ノイキャン機能が備わったヘッドホンやイヤホンを何気なく使っていますが、今さら「ノイキャンって何スか?」とは聞けません。一体ノイキャンとはどんなシステムなのでしょうか。

そもそも航空機のパイロットの耳を保護するために、高レベルの騒音をカットしながら、管制塔などの外部の通信を可能にするものです。25年前にソニーが初めて商品化した「MDR-NC10」というヘッドホンから現在に至っていますが、今後さらに需要が高まり、進化が期待されている機能です。

では、具体的にノイキャンとは一体何なのか説明していきたいと思います。

ノイキャンは「パッシブノイズキャンセリング(PNC)」と「アクティブノイズキャンセリング(ANC)」の2つから構成されていて、それらを組み合わせることでノイズを低減させています。

●パッシブノイズキャンセリング(PNC)
PNCはイヤーパッドなどで物理的に中~高域の騒音を形状や素材で密着し遮断します。

●アクティブノイズキャンセリング(ANC)
ANCは、PNCで遮断できない低音を電気的な回路で遮断します。俗に「ノイキャン」と呼ばれていますが、主にANCが搭載されているものを指します。

ではそのANCを一言でいうと“ノイズに対して逆位相の音を生成し、ぶつけることで音を消す技術”のこと。下の図のように、緑の線で示すノイズが存在したとします。マイクでノイズを拾い、その音とは位相が正反対の音を生成します(青い線)。すると互いが打ち消し合い、結果的にノイズが低減されるのです。

[外からの音]

外音がカットされて聴こえるのはナゼ? イメージ2

外部のノイズをマイクで拾います。

[逆位相を育成した音]

外音がカットされて聴こえるのはナゼ? イメージ3

逆位相の音を生成します。

[耳に入ってくる音]

外音がカットされて聴こえるのはナゼ? イメージ4

再生音にミックスします。

以上が、簡単なノイキャンの仕組み紹介です。次は、ノイキャンの進化の過程を順を追って深堀りしていきたいと思います。実際にノイキャンイヤホンを購入する際、気をつけておきたいポイントを紹介します。

ノイキャンはエントリーモデルからハイスペックモデルまでさまざま

ノイキャンの性能は、ノイズを拾う集音マイク、増幅するアンプなどのクオリティにより性能が決まります。

最初に製品化されたノイキャンは、集音し逆位相をぶつけるだけの割と単純な回路でしたが、日進月歩で進化を続けた結果、まるで別の代物にといってもいいくらい騒音をカットしてくれます。

それでは、ノイキャンの方式を紹介します。

●フィードフォワード方式

ノイキャンはエントリーモデルからハイスペックモデルまでさまざま イメージ

特徴1:外部マイクでノイズを拾う
特徴2:耳から遠いので性能は低め
特徴3:価格は安い


ANCの最もシンプルな方式がフィードフォワード方式です。イヤーカップの外側に集音マイクを設置し、ノイズを拾い、逆位相の音を生成します。再生音にミックスすると、外部のノイズだけが消えるという仕組みです。シンプルで小型化しやすいので、安価なNCヘッドホンに採用されていることが多かったり、ノイキャン技術が未発達だった初期型に見られます。

ノイキャンはエントリーモデルからハイスペックモデルまでさまざま イメージ2

ソニー
WF-SP700N
(2018年4月発売)

こちらはイヤホンになりますが、外部マイクがひとつだけついたモデル。左右独立のスポーツモデルとしては初のノイキャン搭載機として人気を博しました。


●フィードフォワード方式+フィードバック方式

ノイキャンはエントリーモデルからハイスペックモデルまでさまざま イメージ3

特徴1:外と内の二重処理でノイズを遮る
特徴2:耳から近いので性能は高め
特徴3:価格は高い


フィードバック方式はヘッドホンの内側に集音マイクがあります。特徴として、いったんノイズと音楽をまるごと消してしまい、そこに改めて音楽だけを追加して再生します。マイクが耳に近い分、精度の高いノイキャン効果を得ることができます。オーディオメーカーによるノイキャンヘッドホンは大体フィードフォワード方式とフィードバック方式の長所をうまく組み合わせた製品が多い印象です。

ノイキャンはエントリーモデルからハイスペックモデルまでさまざま イメージ4

ソニー
WI-1000X
(2017年10月発売)

2年前に発売されたネックバンド型のノイキャンイヤホン。外側と内側にもマイクを備えており、当時としては高いノイキャン精度でした。

●デュアルノイズキャンセリング方式+独自プロセッサ

ノイキャンはエントリーモデルからハイスペックモデルまでさまざま イメージ5

特徴1:外と内の二重処理でノイズを遮る
特徴2:高い処理能力(プロセッサ)でノイズをさらにカット
特徴3:価格はさらに高い


ソニーやBose、beatsのノイキャンが特に強力なのは、独自開発のプロセッサを搭載しているからだと思われます。ソニーの最新ノイキャン技術には、従来のプロセッサよりも高い処理能力でノイズを打ち消してくれる「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1/QN1e」が搭載されています。今後、ノイキャンイヤホンの開発競争が始まると予測されますが、技術に蓄積がないメーカーとの差が生まれそうです。

ノイキャンはエントリーモデルからハイスペックモデルまでさまざま イメージ6

ソニー
WH-1000XM3
(2018年10月発売)

ソニーのノイキャンヘッドホンの中で最新機である本機は、独自プロセッサを搭載した強いノイキャンを実現しました。

失敗しないノイキャンヘッドホンの選び方

数ある製品のなかから、どれを選べばいいのかわからない……。ヘッドホンを選ぶうえで永遠のテーマですが、音質面をとってみてもさまざまな要素から“良い音質”が成り立っています。

そのうえで、ノイキャンヘッドホンを買ううえで押さえておきたい「音質」「装着感」「接続安定性」「再生時間」「ANC性能」「防水性能」の重要性を解説していきます。

選ぶポイント1:音質「好みの音質を見極める」

俗に音質が良いと言われるヘッドホンは、高音・中音・低音がバランス良く出力され、迫力のある音のことです。

モデルが新しくなるごとに技術革新が行われ、音質はかなり向上してきており、今後はさらに発展していくと予測されます。

【1:対応コーデックの種類と特徴】

 

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もっともわかりやすい音質面での技術でいうと、「コーデック」がそれにあたります。コーデックとは音声を圧縮する方式の名称で、その種類によって音質は変化します。圧縮率が低ければ高音質ともいわれますが、近年はQualcomm社のaptXシリーズの技術革新によって高音質を実現しています。

また後ほど解説する通信の安定にもコーデックが関わってきます。圧縮率が低いと通信速度にも影響が出てしまうので、データが大きければいいというわけではありません。高音質と通信速度を兼ね備えたコーデックが理想のヘッドホンといえます。

●SBC
標準的な音質。汎用性が高く、ほぼすべてのBluetooth製品が採用しています

●AAC
データの変化が少なくSBCより高音質。iPhoneやiPadに搭載しています

●aptX
CD音源相当の音質で、SBCやAACより高音質。Androidスマホに標準搭載しています

●aptX HD
ハイレゾ音源の高音質を再生し、SBCやAAC、aptXより高音質です

●aptX LL
音源の伝送遅延量は圧倒的に低いですが、音質はAAC相当です

●aptX adaptive
ハイレゾ音源でaptX HDより高音質。対応スマホはSDM865搭載したAndroid

●LDAC
ソニー開発のハイレゾ音源を再生する最上位音質です

と、コーデックの種類を紹介してきましたが、実はコーデックは手持ちのプレーヤーに依存してしまうため、iPhoneを使っている人はAACでしか再生できません。逆にプレーヤーにAndroidスマホを使っている人は、コーデックの種類が豊富なので状況に応じて好みのコーデックで再生することができます。

ただしAndroidユーザーでも注意することがあります。たとえばaptX adaptiveに対応するイヤホンでも、それに対応するプレーヤーは新しいスマホに限定されます。手持ちのスマホのCPUを確認しましょう。

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ヘッドホンの部分が完全に遮断しているタイプで、そのため外部音が聞こえにくく、音楽を聴くことに集中することができます。また音圧を直に感じることができ、より音楽を楽しめることが可能です。

●開放型(オープンエアー)

ヘッドホンの部分が開放されているタイプで、高音の伸びを比較的大きく感じられ女性ボーカールの音楽を聴くのに適しています。メリットとしては長時間聴いても疲れないという面が挙げられますが、一方デメリットは音漏れが激しいので外で聴くのは適していません。

●半開放型(セミオープン)

ヘッドホンの部分が小さく開いているタイプで、密閉型と開放型のいいとこどりというタイプです。低音も高音もほどほどに楽しめますが、大得意というわけではありません。

選ぶポイント2:接続安定性「旧チップのイヤホンは遅延が起こりがち」

選ぶポイント2:接続安定性「旧チップのイヤホンは遅延が起こりがち」 イメージ

発売当初から比べると格段に改善されましたが、Bluetoothイヤホンの宿命で音の遅延や音の途切れが発生してしまいます。混戦エリアともなるとブツブツと音が切れがちで音楽を聴くうえで相当なストレスです。

「内蔵チップ(プロセッサ)」や「Bluetoothバージョン」「Class」先に解説した「コーデック」によって接続安定が大きく左右されるので購入する際にチェックが必要になってきます。

【1:内蔵チップの種類と特徴】

 

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日進月歩で進化を続けるイヤホンのなかで、最もスピードが速いのが内蔵チップです。あまりにも進化が速いため、新しいモデルでさえ、わずか半年で旧モデルと位置付けられてしまうこともあり、チップはワイヤレスイヤホンにとってかなり重要な部品となっています。

で、そもそも「チップって何?」って感じですよね。

一言でいうとスマホとイヤホンの「通信の安定接続」と「省電力」を担ってくれるものです。これまで100本以上のBluetoothイヤホンを試聴してきてわかったのは、チップがグレードアップすると、より快適に使用することができるということです。

そのためメーカーは新チップを搭載したイヤホンを開発するのに競争が起きています。ほとんどのメーカーはアメリカの大手半導体メーカーであるQualcomm社のものを使用していますが、開発力のあるAppleやソニーは内製化しています。

下の図は各メーカーが採用しているチップ一覧です。新しいチップほど音質や使い勝手の評価が高く、逆に古くなるほど音質は低下し、バッテリー持ちや通信安定性が微妙になっていきます。価格が安いからといって迂闊に手を出してしまうと、思わずしっぺ返しを食らうことがあるので、“壁”を見極めることが重要です。

●Apple(アップル)のチップ

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「W1チップ」を内蔵したAirPods第1世代から3年を経て発売されたAirPods第2世代には「H1チップ」が内蔵されています。音質は2段階以上良くなり、通信速度やバッテリー持ちも向上しています。

また最新のAirPods ProにはH1チップをベースとしたアンプなどをパッケージ化したSiPを搭載しています。

●SONY(ソニー)のプロセッサ(チップ)

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ノイキャンに力を注いできたソニーは、昨年ヘッドホンのほかイヤホンにプロセッサを応用しました。ご存知のとおり「WF-1000XM3」は識者から高評価を得て、音質面でベストバイを獲得しています。

●Qualcomm(クアルコム)のチップ

ワイヤレスヘッドホン・イヤホンに欠かせないクアルコムのチップ。上質なコーデックが揃っており、また今後の進化も期待できます。ただし、すべてのAndroidスマホで使えるわけではないので、事前に確認してください。

●BOSE(ボーズ)のチップ

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2020年に新製品を発売したBose。ヘッドホンも好調ですが、チップも新型を搭載し、人気も実力も衰え知らずです。

ただし、イヤホンを購入するうえで物差しにもなる内蔵チップですが、公開していないメーカーもあります。その際は、以下で解説する「Bluetoothバージョン」を物差しにするといいでしょう。

【2:Bluetoothバージョンと特徴】

 

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そもそもBluetoothというのはデジタル機器用の近距離無線通信規格のひとつで、対応する機器同士がワイヤレスでデータのやりとりを行うものです。

Wi-Fiと混同する人もいますが、Wi-Fiが複数の機器で通信をするのに対して、Bluetoothは1対1の通信を主な目的としています。転送速度はWi-Fiと比べると遅いですが、消費電力が少ないことからスマホやタブレットにも搭載されています。

●Bluetooth 1.1
初めて一般公開された最も普及したバージョン

●Bluetooth 1.2
2.4GHz帯域のWi-Fiなどとの干渉対策が盛り込まれた

●Bluetooth 2.0
最大通信速度を3Mbpsに切り替えられるEDRがオプションで追加

●Bluetooth 2.1
ペアリングが簡略化され近距離無線通信のNFCに対応

●Bluetooth 3.0
最大通信速度が24Mbpsとなり約8倍の速さに

●Bluetooth 4.0
大幅に省電力化されたLow Energyが追加

●Bluetooth 4.1
Low Energyにモバイル端末向け通信サービスの電波との干渉を抑える技術、データ転送の効率化、自動の再接続機能、直接インターネット接続できる機能が追加

●Bluetooth 4.2
Low Energyの通信速度が2.5倍高速化

●Bluetooth 5.0
Low Energyのデータレートが4.0の2倍、通信範囲が4倍、通信容量は8倍に。またメッシュネットワークにも対応

●Bluetooth 5.1
方向探知機能を追加

●Bluetooth 5.2
LE Audio規格の追加を含む複数の改良

当然新しいほど通信は安定するので、選ぶ際はBluetooth5.0以降の機種を選ぶといいでしょう。

【3:Classの種類と特徴】

 

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Bluetoothには電波の強度を規定した「Class」があります。電波の強度により分類されていて、Classによって有効通信範囲が異なります。

●Class1
最大出力数は100mWで、想定通信距離はおよそ100m程度

●Class2
最大出力数は2.5mWで、想定通信距離はおよそ10m程度

●Class3
最大出力数は1mWで、想定通信距離はおよそ1m程度

イヤホンのほとんどがClass1もしくはClass2に分類されています。日常で使用する場合、スマホから100m以上離れることはないと思いますが、Class1だとより心強いです。

【4:各コーデックによる遅延と特徴】

 

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先ほど音質面でも紹介しましたが、コーデックは音声データ容量差から、通信速度にも影響が出てきます。圧縮率が低いとデータ容量が重くなり、通信速度が遅くなる傾向がありますが、aptXシリーズは音質を良い状態にしたままで通信速度を安定させています。

●SBC
遅延目安170~270ミリ秒。標準コーデック

●AAC
遅延目安90~150ミリ秒。主にiOSで採用され、Android8.0以降でも対応

●aptX
遅延目安60~80ミリ秒。主にAndroidで採用

●aptX HD
遅延目安130ミリ秒前後。aptXのハイレゾ版

●aptX LL
遅延目安40ミリ秒未満。aptXの低遅延バージョン

●aptX adaptive
遅延目安50~80ミリ秒。電波状況に応じて転送ビットレートを可変

●LDAC
(非公開)

遅延だけでみればaptXシリーズが圧倒的な数値で、データサイズが大きいLDACは遅延がかなり生じます。

音質と通信速度を兼ね備えたaptX adaptiveが今後台頭してきそうなので期待が高まります。

選ぶポイント3:再生時間「長時間再生+急速充電の対応」

選ぶポイント3:再生時間「長時間再生+急速充電の対応」 イメージ

どんなに音が良くても、移動中にバッテリーが切れては意味がありません。当初は短い時間程度しか持たなかったバッテリーも、最近のヘッドホンは20時間を超えるものまで登場しています。

オススメは急速充電にも対応するヘッドホン。バッテリーが切れてしまっても、すぐに使えて便利です。

選ぶポイント4:ANC性能「ノイキャンと合わせて外部音取り込み機能もチェック」

選ぶポイント4:ANC性能「ノイキャンと合わせて外部音取り込み機能もチェック」 イメージ

トレンドのノイキャンヘッドホンはノイキャン機能に加え外部音取り込み機能にも対応しています。ノイキャンと外部音取り込みは触れたりタップするだけでシームレスに切り替えられるので、かなり利便性が上がります。

ノイキャンヘッドホンの購入を考えている人は、この点もしっかりチェックしてみてください。

選ぶポイント5:防水性能「汗や雨にも強いと安心感が違う」

選ぶポイント5:防水性能「汗や雨にも強いと安心感が違う」 イメージ

突然の雨などにも心強い防水性能。ランニングなどトレーニング時の装着することがあるので、あるに越したことはありません。

●IPX1
鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響がない。防滴Ⅰ型

●IPX2
鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない。防滴Ⅱ型

●IPX3
鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない。防雨型

●IPX4
あらゆる方向からの飛沫による有害が影響がない。防沫型

●IPX5
あらゆる方向からの逆流水による有害が影響がない。防噴流型

●IPX6
あらゆる方向からの強い噴流水による有害が影響がない。耐水型

●IPX7
一時的に一定水深の条件に水没しても内部に浸水しない。防浸型

●IPX8
継続して水没しても内部に浸水しない。水中型


これだけ見てもわからないと思うので、補強しますと、IPX1~IPX3までは水滴が対象になっていて、IPX4は雨や水しぶきが対象になっています。

IPX5やIPX6になると、より防水性が高まり、シャワーの水や流水に濡れてしまっても大丈夫です。

さらにIPX7になると完全に水中に落としても大丈夫。30分ほどなら水泳をしながら音楽を楽しめるようになります。


さて、長々と解説してまいりましたワイヤレスイヤホンですが、ためになったでしょうか。ここからは、豊富な知識と経験から裏打ちされた音のプロによる検証が始まります。

音のプロと編集部が音質と通信安定性を厳正にチェック!

いくらひとつひとつのスペックが高くても、必ずしも高音質になるとは限らないのが音の難しいところです。最終的に製品にあたり各メーカーの思想や技術者の手腕が試されるので、性能を生かし切れていないことも珍しくありません。

そこで今回は音のプロであるサウンドプロデューサーの大澤大輔氏と、東京音研放送サービス代表の原田裕弘氏にご協力いただき、「音質」「装着感」「遮音性」を検証してもらいました。

音のプロと編集部が音質と通信安定性を厳正にチェック! イメージ

辛口識者による厳正なテストで行ったテスト内容は以下の通りです。

検証1:音質「各音域の出力量とバランスの良さが重要」※各20点満点

検証1:音質「各音域の出力量とバランスの良さが重要」※各20点満点 イメージ

採点方法は音質にこだわるために、「高音域の質」「中音域の質」「低音域の質」を各20点満点。低音好き、高音好きなど好みはあると思いますが、純粋に万人に受ける音としてバランスの良さを重視しています。

また総合的なおとの広がりや響などを考慮する「ダイナミクス」も20点満点とカウントしています。

検証2:装着感「長時間使用しても疲れないか」※10点満点

検証2:装着感「長時間使用しても疲れないか」※10点満点 イメージ

また装着感の良さは音楽を聴くうえで大事な要素です。ヘッドバンドがキツめで耳が痛くならないものがオススメです。

検証3:遮音性「音漏れがしにくいヘッドホンがいい」※10点満点

検証3:遮音性「音漏れがしにくいヘッドホンがいい」※10点満点 イメージ

ヘッドホンを適切に装着した状態で、外の音がどの程度遮断できるかを検証。ノイズキャンセリングモデルについては、ノイズキャンセリングの強度と精度も合わせて検証しています。

以上、合計100点とし、接続安定性を考慮したうえで、今買うべきノイキャンセルヘッドホンのランキングを作成しました。

それではご覧ください!

SHURE「AONIC 50」|ぶっちぎりの1位! 歴代最高得点を獲得

SHURE「AONIC 50」|ぶっちぎりの1位! 歴代最高得点を獲得 イメージ

SHURE(シュア)
AONIC 50
実勢価格:3万9102円

重量:334g
充電端子:USB Type-C
再生時間:最長20時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、aptX Low Latency、LDAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 16.5/20点
  • 中音域の質: 17.0/20点
  • 高音域の質: 16.5/20点
  • ダイナミクス: 17.0/20点
  • 装着感: 9.5/10点
  • 遮音性: 8.5/10点
  • 合計: 85/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 9.0/10
  • 精度: 9.0/10

音質とノイキャン強度が乖離するかたちで新製品が開発され、奇しくもソニーの過去モデルがベストバイに君臨し続けていたノイキャンヘッドホンですが、ここに来てオーディオメーカーのSHURE「AONIC 50」がこう着状態を打破しました。

直径50mmのダイナミックドライバーを有し、接続は無線と有線2種(USBと3.5mm)の3系統を備えたハイスペックヘッドホン。

また独自設計のヘッドホンアンプを活用したハイレゾ再生にも対応しているほか、無線コーデックには上位コーデックのaptX HDとソニーが開発したLDACをサポートしています。

そのうえノイキャンだけでなく外部音取り込みにも対応。しっかりアプリでも調節できるあたり抜け目がありません。一見値段が高いように感じますが、このスペックでこの価格はむしろ安いかもしれません。

気になる音質も、大澤氏いわく「高級感あふれる抜群の音質。広い空間で音楽を聴いているような錯覚にさえとらわれるほど没頭感のある音」と本誌ヘッドホン批評史上最高評価を下しています。

SHURE「AONIC 50」|ぶっちぎりの1位! 歴代最高得点を獲得 イメージ2

中音域を中心にバランスがとれた、ややワイドな音場。低音に余裕があります。

SHURE「AONIC 50」|ぶっちぎりの1位! 歴代最高得点を獲得 イメージ3

中音域が全体のベースになっていて、高級感のある音づくりが魅力的です。

SHURE「AONIC 50」|ぶっちぎりの1位! 歴代最高得点を獲得 イメージ4

特筆すべきは3.5mmのアナログ入力とUSBによるデジタル接続での音質。民生機にもかかわらず、プロの現場でも通用すると識者の2人も驚いていました。

原田裕弘 氏
東京音研放送サービス代表
原田裕弘 氏 のコメント

ノイキャン強度は強いですが、音質に影響があります

大澤大輔 氏
サウンドプロデューサー
大澤大輔 氏 のコメント

音に高級感があり、音楽を楽しめます

Bowers & Wilkins「PX7」|高級感のある音質もノイキャンも高評価

Bowers & Wilkins「PX7」|高級感のある音質もノイキャンも高評価 イメージ

B&W
PX7
実勢価格:4万6233円

重量:310g
充電端子:USB Type-C
再生時間:最長30時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、aptX Adaptive

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 15.0/20点
  • 中音域の質: 15.0/20点
  • 高音域の質: 14.5/20点
  • ダイナミクス: 15.5/20点
  • 装着感: 8.0/10点
  • 遮音性: 8.5/10点
  • 合計: 76.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 9.0/10
  • 精度: 9.0/10

これまで王者だったソニーを破り、高得点を獲得したB&W の「PX7」。SHUREの影に隠れがちですが、こちらもかなりいい。

特徴的な音づくりで人気を博すB&W が高級感はそのままに民生機仕様の音になりました。ノイキャンには「環境適応型NCモード」を搭載し、環境に応じて騒音を除去してくれます。低音の荒さがなく、量も豊富で質の高さ。高音もうるさくなく高級感のある音づくりです。

ノイキャンの使いやすさではB&Wのほうが上でしょう。

原田裕弘 氏
東京音研放送サービス代表
原田裕弘 氏 のコメント

B&Wのクセのある音が和らぎ、日本人に合った音づくりに好感がもてます

ソニー「WH-1000XM4」|AIを搭載し音質とノイキャンの使い勝手が向上

ソニー「WH-1000XM4」|AIを搭載し音質とノイキャンの使い勝手が向上 イメージ

SONY(ソニー)
WH-1000XM4
実勢価格:3万7422円

重量:254g
充電端子:USB Type-C
再生時間:最長30時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 14.0/20点
  • 中音域の質: 14.5/20点
  • 高音域の質: 14.0/20点
  • ダイナミクス: 14.0/20点
  • 装着感: 9.0/10点
  • 遮音性: 6.0/10点
  • 合計: 71.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 9.5/10
  • 精度: 9.0/10

2年の時を経て新発売されたソニーのノイキャンヘッドホン「WH-1000XM4」。見た目に変化はありませんが、音質と性能面に強化が見られました。

一世代前の「WH-1000XM3」は音質の評価が下がってしまいましたが、今回は音質とともに最強のノイキャンがさらに強くなりました。

また性能がさらに進化し、リアルタイムでノイキャンを行うほか、使い勝手の面ではヘッドホンを装着したまま会話ができる「スピーク・トゥ・チャット」機能を搭載。AIを活用して、ユーザーの声を感知して音楽を止め、外部音取り込みモードに自動で切り替わるという優れものです。

唯一残念なのは、コーデックからaptXが排除されたこと。androidデバイスで聴いている人はSBC接続になってしまいます。高音質を楽しむのならLDAC対応デバイス、つまりウォークマンが必要になります。

原田裕弘 氏
東京音研放送サービス代表
原田裕弘 氏 のコメント

シリーズ最高峰といえるノイキャンの強度です

ソニー「WH-1000XM2」|ノイキャン弱めだけど音質はいい

ソニー「WH-1000XM2」|ノイキャン弱めだけど音質はいい イメージ

SONY(ソニー)
WH-1000XM2
実勢価格:2万9800円

重量:275g
充電端子:USB Type-B
再生時間:[NC ON]最長30時間、[NC OFF]最長38時間
Bluetooth規格:4.1
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 13.5/20点
  • 中音域の質: 14.5/20点
  • 高音域の質: 13.5/20点
  • ダイナミクス: 14.0/20点
  • 装着感: 9.0/10点
  • 遮音性: 7.0/10点
  • 合計: 71.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 8.5/10
  • 精度: 8.5/10

SONY製の中で最も人気があるのは、歴代最強といわれる精度と強度を誇るヘッドホンは「WH-1000XM4」ですが、旧モデルの「WH-1000XM2」はノイキャンの強度が丁度よく、音質に悪影響を及ぼしません。

Bluetoothのバージョンは4.2と型落ち感は否めませんが、音質の良さは「WH-1000XM3」を凌ぐ評価を獲得しています。価格も手頃なのでSONY好きは是非チェックしておきたいヘッドホンです。

ソニー「WH-1000XM2」|ノイキャン弱めだけど音質はいい イメージ2

中高域~高域にかけてオープンで聴き心地がいい。音のキレや迫力は、後継機「1000XM3」よりは確実にあります。

ソニー「WH-1000XM2」|ノイキャン弱めだけど音質はいい イメージ3

中~高音は多少多めで洋楽を聴いても気になりません。J-POPの女性ボカールは少しキツいときがあります。

原田裕弘 氏
東京音研放送サービス代表
原田裕弘 氏 のコメント

高域・低域がすんなり聴こえる。過去最高品質です

大澤大輔 氏
サウンドプロデューサー
大澤大輔 氏 のコメント

中高域~高域にかけて聴き心地がいいです

5位: Beats「Beats Solo Pro」|良い意味で裏切られた感じ

5位: Beats「Beats Solo Pro」|良い意味で裏切られた感じ イメージ

Beats
Beats Solo Pro wireless
実勢価格:2万9501円

重量:267g
充電端子:Lightning
再生時間:[NC ON]最長22時間、[NC OFF]最長40時間
Bluetooth規格:4.0
対応コーデック:SBC、AAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 13.5/20点
  • 中音域の質: 13.5/20点
  • 高音域の質: 13.5/20点
  • ダイナミクス: 14.0/20点
  • 装着感: 7.5/10点
  • 遮音性: 9.0/10点
  • 合計: 71.0/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 9.0/10
  • 精度: 8.5/10

「Solo Pro wireless」は、これまでのBeatsのイメージとは違いますが、高域がとても特徴的に持ち上がっており、全域にわたって出音の質はきちんと高い印象です。キレも分離もくっきりしていて、あまり他にないバランスで高音質のヘッドホンです。

6位: DALI「IO6」|老舗が投下したノイキャンは大音量で真価を発揮!

6位: DALI「IO6」|老舗が投下したノイキャンは大音量で真価を発揮! イメージ

DALI
IO-6
実勢価格:3万9800円

重量:325g
充電端子:USB Type-C
再生時間:最長30時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD
防水性能:IP53

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 14.5/20点
  • 中音域の質: 14.5/20点
  • 高音域の質: 14.5/20点
  • ダイナミクス: 14.5/20点
  • 装着感: 9.0/10点
  • 遮音性: 6.0/10点
  • 合計: 70.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 8.0/10
  • 精度: 7.0/10

「IO-6」はスピーカーなどを主に製造するオーディオメーカーDALIが発売したノイキャンヘッドホン。ソフトで品のある低音。普通の音量だと芯がない感じですが、大きめの音量だとボーカルが立ってきます。しかも大音量でも外への音漏れが少ない遮音性は見事です。

6位: beyerdynamic「LAGOON ANC JP EXPLORER」|線が細めでコンパクトに密度の高い音

6位: beyerdynamic「LAGOON ANC JP EXPLORER」|線が細めでコンパクトに密度の高い音 イメージ

beyerdynamic
LAGOON ANC JP EXPLORER
実勢価格:4万4840円

重量:283g
充電端子:USB Type-C
再生時間:[NC ON]最長24.5時間、[NC OFF]最長45時間
Bluetooth規格:4.2
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Low Latency、mSBC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 14.0/20点
  • 中音域の質: 14.5/20点
  • 高音域の質: 13.5/20点
  • ダイナミクス: 14.0/20点
  • 装着感: 8.0/10点
  • 遮音性: 7.0/10点
  • 合計: 70.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 7.5/10
  • 精度: 6.5/10

「LAGOON ANC JP EXPLORER」はやや線の細めの、コンパクトに密度の高い音が印象的です。あまり広がりや包まれるような空間を感じられませんが、平均値的な普通の音質。ノイキャンは圧迫感ある割りにはノイズが消えているように感じられませんでした。

8位: Jabra「Elite 85h」|ジャンルや楽器を選ばずよく鳴らしてくれる

8位: Jabra「Elite 85h」|ジャンルや楽器を選ばずよく鳴らしてくれる イメージ

Jabra(ジャブラ)
Elite 85h
実勢価格:2万8000円

重量:296g
充電端子:USB Type-C
再生時間:[NC ON]最長36時間、[NC OFF]最長41時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 13.5/20点
  • 中音域の質: 13.5/20点
  • 高音域の質: 13.5/20点
  • ダイナミクス: 14.0/20点
  • 装着感: 8.0/10点
  • 遮音性: 7.0/10点
  • 合計: 69.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 7.5/10
  • 精度: 7.0/10

Jabra「Elite 85h」は、低~高音までスムーズに出ているので、ジャンルを選ばずどんな楽器でもよく再生しています。ボーカルもスムーズです。

9位: ソニー「WH-1000XM3」|強度が強すぎるのが残念

9位: ソニー「WH-1000XM3」|強度が強すぎるのが残念 イメージ

SONY(ソニー)
WH-1000XM3
実勢価格:2万8800円

重量:255g
充電端子:USB Type-C
再生時間:[NC ON]最長30時間、[NC OFF]最長38時間
Bluetooth規格:4.2
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 13.0/20点
  • 中音域の質: 13.5/20点
  • 高音域の質: 13.0/20点
  • ダイナミクス: 13.0/20点
  • 装着感: 9.5/10点
  • 遮音性: 6.0/10点
  • 合計: 68.0/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 9.0/10
  • 精度: 9.0/10

一世代前の「WH-1000XM3」はキレやインパクトはなく地味でおとなしい。妙な音の固まり方をするので、全域にわたってもう少し均一に耳辺りが良ければ、ポテンシャルは感じられるだけに、仕上げが少し雑に感じます。WH-1000XM2よりノイキャンは強めです。

9位: ソニー「WH-H910N」|万人受けしそうな音質

9位: ソニー「WH-H910N」|万人受けしそうな音質 イメージ

SONY(ソニー)
WH-H910N
実勢価格:2万3527円

重量:251g
充電端子:USB Type-C
再生時間:[NC ON]最長35時間、[NC OFF]最長45時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 12.5/20点
  • 中音域の質: 13.5/20点
  • 高音域の質: 12.0/20点
  • ダイナミクス: 14.0/20点
  • 装着感: 8.5/10点
  • 遮音性: 6.0/10点
  • 合計: 66.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 9.0/10
  • 精度: 8.5/10

高音質とはいえませんが、嫌味が少なく、普段使いでも飽きのきにくい耳障りの悪くない音質の「WH-H910N」です。低域はクセがあるので、試聴してちょうどよければ選択肢に入ってきそうです。ペアリングが速かったです。

11位: Beats「Studio3 wireless」|Beatsらしい低域の厚みが好感

11位: Beats「Studio3 wireless」|Beatsらしい低域の厚みが好感 イメージ

Beats
Studio3 wireless
実勢価格:3万3821円

重量:260g
充電端子:USB Type-B
再生時間:[NC ON]最長22時間、[NC OFF]最長40時間
Bluetooth規格:4.0
対応コーデック:SBC、AAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 14.0/20点
  • 中音域の質: 13.0/20点
  • 高音域の質: 11.5/20点
  • ダイナミクス: 13.0/20点
  • 装着感: 8.0/10点
  • 遮音性: 6.5/10点
  • 合計: 66.0/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 7.0/10
  • 精度: 6.5/10

「Studio3 wireless」は抜けが悪く、開放感もない印象ですが、中低域~低域の厚み、密度はさすがBeatsの一言。

11位: Bose「NOISE CANCELLING HEADPHONES 700」|中高域を主体としたBoseらしい音楽

11位: Bose「NOISE CANCELLING HEADPHONES 700」|中高域を主体としたBoseらしい音楽 イメージ

Bose(ボーズ)
NOISE CANCELLING HEADPHONES 700
実勢価格:3万7400円
重量:250g

充電端子:USB Type-C
再生時間:最長20時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 12.0/20点
  • 中音域の質: 13.5/20点
  • 高音域の質: 12.5/20点
  • ダイナミクス: 13.0/20点
  • 装着感: 8.0/10点
  • 遮音性: 7.0/10点
  • 合計: 66.0/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 9.5/10
  • 精度: 9.0/10

Boseの最新ノイキャンヘッドホン「NOISE CANCELLING HEADPHONES 700」はやや歪み気味で質が高いといった印象からは遠いですが、中高域を主体とした音楽のバランスの捉え方は、Bose独特のものといえます。US-POPsではそれほど気にならなりませんが、J-POPの女性ボーカルはキツメに聞こえました。

13位: Bose「QuietComfort 35」|ノイキャンの強度はあるけど全域に渡ってごちゃつく

13位: Bose「QuietComfort 35」|ノイキャンの強度はあるけど全域に渡ってごちゃつく イメージ

Bose(ボーズ)
QuietComfort 35 wireless headphones
実勢価格:3万2377円

重量:240g
充電端子:USB Type-B
再生時間:最長20時間
Bluetooth規格:不明
対応コーデック:SBC、AAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 13.0/20点
  • 中音域の質: 12.5/20点
  • 高音域の質: 12.5/20点
  • ダイナミクス: 13.0/20点
  • 装着感: 7.5/10点
  • 遮音性: 6.5/10点
  • 合計: 65.0/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 9.0/10
  • 精度: 9.0/10

Boseの定番ヘッドホン「QuietComfort 35 wireless headphones」は全域に渡ってごちゃごちゃ感があり、分離が悪くスッキリしません。どんな楽曲でも再生してくれますが、女性ボーカルは多少きつく聞こえました。音量はあまり上げない方が良いかもしれません。ノイキャンは強めです!

13位: audio-technica「ATH-ANC900BT」|中~高音が多めでうるさく輪郭も曖昧

13位: audio-technica「ATH-ANC900BT」|中~高音が多めでうるさく輪郭も曖昧 イメージ

audio-technica
ATH-ANC900BT
実勢価格:2万1491円

重量:263g
充電端子:USB Type-B
再生時間:[NC ON]最長35時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC、aptX

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 11.5/20点
  • 中音域の質: 12.0/20点
  • 高音域の質: 11.5/20点
  • ダイナミクス: 12.0/20点
  • 装着感: 8.5/10点
  • 遮音性: 8.5/10点
  • 合計: 64.0/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 6.0/10
  • 精度: 5.0/10

「ATH-ANC900BT」は、薄い霧の様なものを間に挟んだ様な、輪郭が曖昧な音です。また奥行きや厚み、迫力も感じられませんでした。中~高音が多いのでうるさく、特にJ-POPを聴くのは厳しそうです。

13位: SONY「WH-CH710N」|ソニーのエントリーモデル

13位: SONY「WH-CH710N」|ソニーのエントリーモデル イメージ

SONY(ソニー)
WH-CH710N
実勢価格:1万1259円

重量:223g
充電端子:USB Type-C
再生時間:[NC ON]最長35時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 11.5/20点
  • 中音域の質: 12.5/20点
  • 高音域の質: 12.5/20点
  • ダイナミクス: 12.0/20点
  • 装着感: 8.0/10点
  • 遮音性: 7.0/10点
  • 合計: 63.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 7.5/10
  • 精度: 8.5/10

「WH-CH710N」SONYのエントリーモデルのノイキャンヘッドホン。ハイスペックのヘッドホンと比較すると音質はイマイチですが、1万円以下で購入できるので、お試しでノイキャンを使ってみたいという人に向いています。

16位: AKG「N700NCM2 WIRELESS」|ノイキャンは強いけど音質はあまり高くない

16位: AKG「N700NCM2 WIRELESS」|ノイキャンは強いけど音質はあまり高くない イメージ

AKG
N700NCM2 WIRELESS
実勢価格:3万9380円

重量:277g
充電端子:USB Type-C
再生時間:[NC ON]最長23時間
Bluetooth規格:4.2
対応コーデック:SBC、AAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 12.0/20点
  • 中音域の質: 12.5/20点
  • 高音域の質: 12.0/20点
  • ダイナミクス: 13.0/20点
  • 装着感: 7.0/10点
  • 遮音性: 6.5/10点
  • 合計: 63.0/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 8.5/10
  • 精度: 7.5/10

AKG「N700NCM2 WIRELESS」は、音を楽しむコツを知っている人には物足りません。音質はお世辞にも高くなく、ぼやっと緩い低域に、高域は薄っぺらい印象です。音量を上げるとうるさくかんじました。ノイキャンは強力で周りの音がほぼ消えました。

17位: Panasonic「RP-HD610N」|音がゆがんで安っぽい作りが気になる

17位: Panasonic「RP-HD610N」|音がゆがんで安っぽい作りが気になる イメージ

Panasonic(パナソニック)
RP-HD610N
実勢価格:2万4554円

重量:275g
充電端子:USB Type-B
再生時間:[NC ON]最長24時間
Bluetooth規格:4.2
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDAC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 11.0/20点
  • 中音域の質: 11.5/20点
  • 高音域の質: 12.0/20点
  • ダイナミクス: 12.5/20点
  • 装着感: 7.5/10点
  • 遮音性: 6.0/10点
  • 合計: 60.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 7.0/10
  • 精度: 6.5/10

ほかのノイキャンヘッドホン同様に、極端なゆがみ方をしており、安っぽい音の「RP-HD610N」。中~中高音が多めで、低音は少なめだが悪くない

ノイキャンの強度は「High」「Middle」「Low」の3種類あり、高音が立っている音源はキツく感じます。

18位: DENON「AH-GC30」|高級オーディオメーカーとは思えないガッカリ音……

18位: DENON「AH-GC30」|高級オーディオメーカーとは思えないガッカリ音…… イメージ

DENON
AH-GC30
実勢価格:2万3145円

重量:287g
充電端子:USB Type-C
再生時間:[NC ON]最長20時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 11.0/20点
  • 中音域の質: 11.0/20点
  • 高音域の質: 11.0/20点
  • ダイナミクス: 12.0/20点
  • 装着感: 8.5/10点
  • 遮音性: 6.5/10点
  • 合計: 60.0/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 8.5/10
  • 精度: 7.0/10

高級オーディオメーカーDENONの音としては寂しい「AH-GC30」。一聴して派手そうに感じるかもしれないが、アクが強くて聴き心地が良くありません。ノイキャンは3モードあります。

19位: Marshall「MID ANC Bluetooth」|典型的なドンシャリサウンド

19位: Marshall「MID ANC Bluetooth」|典型的なドンシャリサウンド イメージ

Marshall
MID ANC Bluetooth
実勢価格:2万6800円

重量:約208g
充電端子:USB Type-B
再生時間:[NC ON]最長20時間、[NC OFF]最長30時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、aptX

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 11.5/20点
  • 中音域の質: 10.5/20点
  • 高音域の質: 11.5/20点
  • ダイナミクス: 12.0/20点
  • 装着感: 7.0/10点
  • 遮音性: 7.0/10点
  • 合計: 59.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 7.0/10
  • 精度: 6.0/10

ドンシャリでうるさめです。本来の意味での高域はあまり感じられない「MID ANC Bluetooth」、低域もリズムの芯自体はありますが、低域の厚さや量感はありません。

中域も実体を伴わず、安い音の製品に多いドンシャリで重要度はあきらかに低く感じられます。ノイキャンは良いが、オンイヤータイプで長時間は疲れるかもしれません。

Marshallファン向け。

20位: Pioneer「SE-MS9BN」|見た目はゴージャスだけど音にプロ感はありません

20位: Pioneer「SE-MS9BN」|見た目はゴージャスだけど音にプロ感はありません イメージ

Pioneer(パイオニア)
SE-MS9BN
実勢価格:1万9800円

重量:290g
充電端子:USB Type-B
再生時間:[NC ON]最長24時間、[NC OFF]最長27時間
Bluetooth規格:4.2
対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 12.0/20点
  • 中音域の質: 11.0/20点
  • 高音域の質: 12.0/20点
  • ダイナミクス: 11.5/20点
  • 装着感: 8.0/10点
  • 遮音性: 4.0/10点
  • 合計: 58.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 6.0/10
  • 精度: 7.0/10

Pioneerの「SE-MS9BN」は密度や肉厚さはありませんが、全体に渡ってなめらかに軽めのタッチです。プロ感はないが民生用機の中級機といった感じ。ノイキャンはソコソコ……。

21位: IR by MPOW「X4.0J」|旧時代的な音質でノイキャンも微妙

21位: IR by MPOW「X4.0J」|旧時代的な音質でノイキャンも微妙 イメージ

AIR by MPOW(エアーバイエムパウ)
X4.0J
実勢価格:6273円

重量:230g
充電端子:USB Type-B
再生時間:最長20時間
Bluetooth規格:4.1
対応コーデック:SBC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 10.5/20点
  • 中音域の質: 11.5/20点
  • 高音域の質: 11.0/20点
  • ダイナミクス: 10.5/20点
  • 装着感: 7.5/10点
  • 遮音性: 6.0/10点
  • 合計: 57.0/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 5.0/10
  • 精度: 4.0/10

すべての面で物足りなさが残る完成度が低いAIR by MPOWのヘッドホン。音質は旧時代的で音量を大きくしないと聴けません。ノイキャンに関しては、作動しているかどうか判別するのも難しかった。

22位: Skullcandy「VENUE」|らしさが消え出音が極端

22位: Skullcandy「VENUE」|らしさが消え出音が極端 イメージ

Skullcandy
VENUE
実勢価格:1万4000円

重量:232.5g
充電端子:USB Type-B
再生時間:最長24時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC

▼音のテスト結果

  • 低音域の質: 11.5/20点
  • 中音域の質: 10.0/20点
  • 高音域の質: 11.0/20点
  • ダイナミクス: 11.0/20点
  • 装着感: 7.5/10点
  • 遮音性: 3.5/10点
  • 合計: 54.5/100点

▼ノイキャンのテスト結果

  • 強度: 8.0/10
  • 精度: 7.0/10

「VENUE」は耳を軽く手で覆って音を聞いている様な、かなり極端な出音バランスです。Skullcandy特有の低音もユルく残念でした。


以上、今回はノイキャンヘッドホンを音質重視でランキングしました。ただノイキャンの強さだけでなく、快適に音楽を楽しみたいという人は是非参考にしてみてください!