食器を拭く手間を減らすなら「食器乾燥機」という選択肢
洗った食器を棚にしまう前、ラックに立てかけて自然乾燥させたり、ふきんで拭いたりすると思いますが、水滴が残ったまましまうとカビ発生の原因になってしまいます。それに、始めはきっちり拭けても、後半になるにつれふきんが湿っぽくなってきて1枚の皿を拭ききるのに時間がかかってイライラしてしまうことも……。
食器洗い乾燥機を使えばそうした悩みをある程度軽減できますが、予算や設置場所の兼ね合いで自宅に置けない人もいますよね。しかし、「洗う」機能を省いて「乾かす」機能に特化した食器乾燥機というアイテムがあることをご存知でしょうか。
じつは、東芝、パナソニック、三菱、タイガー、象印、山善、コイズミなどの大手メーカーから発売されており、コンパクトタイプから大容量タイプまで、ラインナップも豊富。手頃なものだと、数千円で手に入る製品もあるんです。
三菱電機の最新キッチンドライヤー「TK-ST30A」の実力は?
三菱電機
キッチンドライヤー TK-ST30A -H(ステンレスグレー)
実勢価格:1万8700円
サイズ:W489×D401×H359(ふた開口時:376)mm
重量:約4.8kg
最大消費電力:265W
電源コード長さ:1.4m
ステンレス製で清潔に使える食器乾燥機・三菱電機「キッチンドライヤー TK-ST30A」が、2022年11月1日に発売されました。
約6人分の食器が入り、まな板専用乾燥室やSIAA認定抗菌はし立ても搭載している優れモノなんだとか。
通常モードは約50分、食器少なめだと約25分で乾燥が完了するとのことですが、実際のところはどうなのでしょうか?
キッチンドライヤー(食器乾燥機)というと、食洗機以上に耳なじみのないキッチン家電のため、どんなものなのかもよくわかりませんよね。
そこで今回は、数々の家電のレビューを手かげてきた家電ライターの石井和美さん協力のもと、実際にお皿やコップなどの食器をちゃんと乾かせるのか、使い勝手はどうなのか、設置した時のサイズ感はどうなのかといったポイントを深掘りしてみました!
テスト1:食器の収容量や入れやすさは?
結果:フタがガバッと開いて入れやすく、収容量もたっぷり!
90度以上にガバッとフタが大きく開くため、直径の大きなお皿も引っかからずに入れられます。また、上から庫内を見渡せるため、食器を配置する際も見晴らしが良いです。
中皿6枚、小皿2枚、茶わん大小8つ、コップ2つ、カトラリー類を余裕をもって収納できました。
ボウル状の食器はややセットしづらいかも……
ステンレス製の食器カゴには皿を立てかけるための曲がり部分や、ボウル状の食器を立てかけるための湾曲した部分があります。おおむねセットしやすいですが、ボウルを引っかける部分が小さいため、ある程度枚数を重ねないと安定しづらかったです。
ボウル状の食器が立てづらい場合は、逆さにして並べても良いですが、庫内で場所をとります。
テスト2:規定時間でちゃんと乾燥してくれるの?
結果:
一部水滴は残ったけれど、おおむね乾いた!
中皿6枚、小皿2枚、茶わん大小8つ、コップ2つを庫内に並べ、カトラリー類ははし立てに入れてスイッチオン。標準モード(約50分)で乾燥したところ、お皿やカトラリーの底に近い部分には少々水滴が残りました。
逆さに置いたコップの底面には水が残ったので、地面に対して水平になる箇所の水気はよく払っておいたほうが良さそうです。一方で、立てかけて食器同士重なり合う部分が多かったにも関わらず、茶わんはまんべんなく乾いていました!
これぐらい乾燥できれば上出来でしょう。食器を拭く手間を格段に減らせます。
【参考値】庫内の温度と湿度の変化もチェックした!
今回の性能評価には含みませんが、サーモレーダーのセンサーを上段と下段(まな板乾燥室)の中心に配置。標準モード(約50分)で運転を開始し、温度と湿度の変化を50分間計測しました。
庫内温度は緩やかに上昇し、上段は69.9℃、下段は65.7℃に達しました。
庫内湿度は運転時間10分程度で急速に下がり、最終的に上段は5%、下段は9%をキープしました。
運転開始10分程度で内部は高温低湿となって乾燥環境が整い、さらに温度は高くなっていきます。
テスト3:使い勝手〜つくりやお手入れのしやすさは?
結果:とにかく“まな板乾燥室”がありがたい!
乾燥機庫内にまな板を入れると、構造によっては、まな板で風路が塞がれてしまって温風が食器にしっかり当たらず乾きが悪くなることも…。三菱電機「キッチンドライヤー TK-ST30A」はまな板専用の独立した乾燥室を備えているため、庫内を広く使えますし、衛生面が特に気になるまな板を、まんべんなく乾かすことができます。
この「まな板乾燥室」は画期的ですね!
まな板サイズは、最大 短辺250×長辺420×厚さ30mmまで対応しています。
食器カゴだけでなく、ボディや着脱シンクもステンレス製で清潔!
食器カゴの底にあるシンクもステンレス製。「ステンレス着脱シンク」「はし立て」「ステンレス食器カゴ」は取り外せるため、汚れが気になった時に丸洗いできます。
操作は超シンプルでわかりやすい! けど、終了時のお知らせ音が欲しかった
ボタンは「入/モード選択」と「切」だけと、操作はとってもシンプルで迷いようがありません。運転中はライトが点灯し、運転が終了するとライトが消灯する仕様ですが、音が鳴らないのでいつ運転が終わったか少しわかりにくかったです。
個人的には、運転終了時に音でお知らせしてくれるとなお良かったです。
テスト4:キッチンに置いた時のスペース感は?
結果:6人用なのでやっぱり場所はそこそこ取ります
キッチンカウンターに置くと、奥行きに余裕がない印象。本体を周囲から4.5cm離して設置する必要があるため、購入前に置き場所の寸法はしっかりチェックしておきましょう。
水受けに水はほぼ溜まらず。シンク横じゃなくても設置しやすい
ステンレスシンクの穴から水受けカップに水が流れていくつくりになっていますが、濡れた食器を入れて標準モード(約50分)で2回運転させたところ、2回とも水受けカップに水は溜まりませんでした。
水受けカップのゴム栓の代わりに付属の100cmロング排水ホースを取り付ければ、キッチンのシンクに直接排水することも可能です。
本体サイズはそれなりに大きいですが、排水の便は悪くないし、電源コードが1.4mと長いため、電源を確保しやすいです。広いキッチンであれば、意外と置き場所の選択肢はありそうです。
食洗機よりも手頃な価格で食器乾燥できるのは大きな魅力
乾かすという機能に特化した食器乾燥機は、設置場所や予算の都合上、食器洗い乾燥機を使えない人や、「食器は手洗い派だけど拭く手間を減らしたい」という人にうってつけの商品だと感じました!
ただし、一般的な食器洗い乾燥機と同様、使用できる食器にある程度制限が設けられています。その点を把握したうえで活用すれば、家事のストレスがグッと軽減されそうです。
三菱電機「キッチンドライヤー TK-ST30A」の場合:熱に弱いものや以下の食器は入れない
- ひびの入った食器(割れの原因)、漆塗りの食器(変形の原因)
- カットグラス・クリスタルガラス(割れの原因)
- 耐熱温度100℃以下のもの、スチロール製のもの、耐熱温度表示のないもの(変形の原因)
木製の食器やまな板、プラスチック製のタッパー容器も、耐熱温度や食洗機対応の表示が無い場合は変形のおそれがあるので入れないほうが良いでしょう。
今回、食器乾燥機のイメージカット撮影で木製のお椀を入れましたが、実際の運転時は入れていません。
テスト結果とアピールポイントを総まとめ!
三菱電機
キッチンドライヤー TK-ST30A -H(ステンレスグレー)
実勢価格:1万8700円
サイズ:W489×D401×H359(ふた開口時:376)mm
重量:約4.8kg
最大消費電力:265W
電源コード長さ:1.4m
▼テスト結果
総合評価 | 総合得点 | 収容量・ 入れやすさ |
乾燥性能 | 使い勝手 | 設置の しやすさ |
A | 16.5/20点 | 4.5/5点 | 4/5点 | 4.5/5点 | 3.5/5点 |
最後に、三菱電機 キッチンドライヤー TK-ST30A -Hの良かった点と残念だった点をまとめてみました!
▼良かった点
- フタがガバッと開いて食器がたっぷり入る
- まな板乾燥室付き
- ステンレス製や抗菌加工のパーツで清潔に使える
- 操作がシンプルでわかりやすい
▼残念だった点
- 食器の置き方や位置などによって乾き方に多少ムラがある
- 終了時に音が鳴らないので運転が終了したかどうかがわかりづらい
- 設置にある程度のスペースは必要
以上、三菱電機 キッチンドライヤー TK-ST30A -Hのレビューでした。
人数の多い家庭にぴったりの大容量サイズで、まな板乾燥室付きというのは大きな魅力ですよね。とはいえ、食器の使用量やキッチンのスペースは家庭によってさまざまなので、容量や仕様を吟味して、家事の時短を助けてくれる食器乾燥機の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
実際に6人分入れるとパツパツになりそうですが、3〜4人分の食器であれば余裕をもって入れられるサイズ感だと思います。