テレビ用手元スピーカーのメリットとは?
手軽に人の声を立たせて楽しめる!
難聴で悩む人に合わせてテレビの音量を上げると、一緒にテレビを楽しむ健聴者の人にとっては音が大きすぎることも。また、テレビの音をあげすぎると音が歪んでしまい、シンプルに音質が悪くなるという弊害もあります。
そんな悩みを解決するのが「ミライスピーカー」に代表される、有線で人の声を際立たせるスピーカー。一般的なスピーカーは音全体を増幅する設計ですが、「テレビ用手元スピーカー」は人の声を中心に強調して聴きやすくする点が特徴です。
しかも、ミライスピーカーのHPに「テレビの音量を上げずに、言葉が聞こえやすくなるため、聞こえづらい方もそうでない方も、同じお部屋でストレスなく楽しめます」(製品ページより)とあるように、健聴者も一緒にテレビを楽しめるとのこと。
しかし「ミライスピーカー」の問題点は、コンテンツごとに音質を調整できない点。今回取り上げるドウシシャは、5つのモードを搭載することでその問題を解決しているんです。
最新のドウシシャ「GRAND・SPEAKER GS-SP1」を「ミライスピーカー・ステレオ」と徹底比較!
格安テレビブランドの「ORION」などで知られるドウシシャから、音量を上げずにテレビの声を聞こえやすくするスピーカー「GRAND・SPEAKER GS-SP1」が発売されました。
一番の特徴は、5つのモード(下記)がある点。
・人の声を特に際立たせる「はっきりくっきりモード」
・人の声の高域成分を持ち上げて、声をより明瞭にする「ニュースモード」
・人の声を強調しつつもテレビ音声自体の自然さをあまり失わない「ノーマルモード」
・音楽番組を臨場感バツグンで楽しめるという「音楽モード」
・迫力ある低音域と直進性が高い高音域を大きくアップさせるという「映画モード」
サウンドバーなどのテレビ音声の迫力を増してくれるスピーカーにあるような「音楽モード」や「映画モード」の性質が特に気になるところ。今回は本製品と同じステレオスピーカーかつ、健聴者と一緒にテレビを楽しむことを目的とした「ミライスピーカー・ステレオ」と比較しながら、さまざまなジャンルの番組を視聴します。
比較視聴は、軽度の難聴傾向があり、健康診断でも何年か再テストを行なっている筆者、AV評論家の野村ケンジさん、20代の男女などのテスター5 名で行いました。
※なお、本記事の検証はテスター・野村ケンジさんとも健聴者による評価を中心に構成しています。実際の使用感は個人の聴力状態や環境により異なる場合があるため、ご購入前の体験・試聴を強くおすすめします。
モードによって健常者もちゃんと楽しめる! ドウシシャ「GRAND・SPEAKER GS-SP1」が高評価に
ドウシシャ「GRAND・SPEAKER GS-SP1」
- ドウシシャGRAND・SPEAKER GS-SP1
- 検証時価格: ¥39,600〜
- ニュース番組
- ワイドショー
- 音楽番組
- アクション映画
- 使い勝手
- おすすめポイント
-
- 5つのモードを搭載
- 声の聞こえやすさのバランスに優れる
- 接続がわかりやすくてすぐに使える
- がっかりポイント
-
- 値段がちょっと高め
- 幅
- 410mm
- 奥行
- 142mm
- 高さ
- 70mm
- 重量
- 1kg(約)
また、ミライスピーカーについての評価も掲載いたします。
サウンドファン「ミライスピーカー・ステレオ」
- サウンドファンミライスピーカー・ステレオ
- 実勢価格: ¥25,440〜
- ニュース番組
- ワイドショー
- 音楽番組
- アクション映画
- 使い勝手
- おすすめポイント
-
- 声は確かに聞き取りやすくなっている
- 接続がシンプルでわかりやすい
- がっかりポイント
-
- モードは一種類
- 音のバランスが健聴者には辛いことも
- 幅
- 542mm
- 奥行
- 160mm
- 高さ
- 87mm
- 重量
- 1.7kg(約)
- 型番
- SF-MIRAIS 6
5つの項目で徹底検証!
検証1:ニュース番組は?
結果:喋る声はちゃんと聞こえるもののザラザラ音が気になる
災害情報など聞き逃せない情報も多いニュース番組視聴のテストは、「ニュースモード」で実施しました。ドウシシャは、テスターからは「自然と耳に音が届く」「基本的には聞き取りやすい」など好評の声が聞かれたものの、一方で「ロケリポーターの声のザラザラ音が気になる」「疲れやすい」などの意見も。
より人の声を強調した「はっきりくっきりモード」は、健聴者にとっては明らかに不自然なレベルで人の声を強調してくれます。難聴者だけで使うのであれば便利ですが、健聴者も一緒なら不向きでしょう。
一方のミライスピーカーも「声に奥行きがあり、人の声が聞こえやすい」「音の響きが落ち着いていて聞き取りやすい」との声がありつつも「男性の低い声は聞きにくいことがある」「多少の音ズレを感じる」という意見も出るなど、賛否両論でした。
また、AV評論家の野村ケンジさんの評価では、2製品とも比較的高い評価に。ただ「ニュース」や「はっきり」などニュース番組に適したモードを複数から選べる点から、ドウシシャの方が高評価となりました。
ドウシシャは「ニュースモード」を使用すると、人の声の特徴も含め、聞き取りやすくニュアンスもわかりやすかったです。
ドウシシャの「はっきりくっきりモード」は人の声を過剰に立たせていて、健聴者には辛いことも。個人的には初代「ミライスピーカー」と近い印象を受けました。
検証2:ワイドショーは?
結果:ドウシシャは聞こえ方に違和感が少なくバランスに優れている!
こちらは「ノーマルモード」で視聴。ワイドショーはニュース番組と異なり、複数人が一度に喋ることが多く、賑やかですが、テスターからは「声に偏りがなく、バランスよく音が聞こえた」との声が多数上がりました。ただし、一方で人の声以外の音が立ってしまっているためか「音がこもっている」と感じるモニターも少数いました。とはいえ、基本的には高評価です。
ミライスピーカーは平均的な評価で、「声が聞き取りやすくなったり、聞き取りにくくなったりと安定しない」という声が複数人から上がりました。
野村ケンジさんは2製品とも同等の評価に。両製品とも声を聴きとりやすいものの、健聴者にとっては声がキンキン聴こえてしまう問題が気になります。ミライスピーカーは、女性の高い声の癖が強く聴こえてしまうこともありました。
検証3:音楽番組は?
結果:ドウシシャは担当者の音楽へのこだわりがわかる完成度!
音楽番組は「音楽モード」で視聴。歌唱シーンのみで評価しましたが、テスターによって評価が真っ二つに分かれる結果になりました。高評価では「音のバランスが良く聴きやすい」「包み込まれる感じがする」などの声が聞かれたものの「こもっている感じ」「ザラザラ音がする」という低評価の声も。
ミライスピーカーと比べると、ドウシシャの方が「臨場感がある」という意見が複数ありました。
野村ケンジさんは両製品とも好印象だったものの、特にドウシシャが圧倒的な評価に。ミライスピーカーは「ギターやボーカルははっきり聴こえて、ステレオの広がりがある。ただ楽器の音色が普段聴いているものと印象が変わっている印象もある」とのこと。
一方でドウシシャは「音楽モード」の完成度が高く、文句なしの評価でした。
ドウシシャの「音楽モード」はステレオイメージがしっかり作られていて、音のバランスは高域に多少クセがあるものの傾向はフラット。この価格帯や構造にしては最適なサウンドバランスを構築しています
検証4:アクション映画は?
結果:ドウシシャはサウンドバーに近い感覚の映画モードを実現
アクション映画を映画モードで視聴しました。結果としては、今回の検証では数少ない、全員一致の高評価。テスターからは「迫力と臨場感があった」「すべての音がはっきりと立っていて聞こえやすい」という声が続々と上がってきました。野村ケンジさんも「低域の量感をしっかりあげて、映画に向いた音を作ろうとしている」と語るほどです。
一方のミライスピーカーは「ダイナミックレンジを狭める方向で調整していて、アクション映画は難しい印象」(野村さん)と難しい評価になりました。
ドウシシャは一般的なサウンドバーに比べてサイズが小さすぎるので、アクション映画を十分に楽しむのは難しいものの、映画モードでサウンドバーに近い音質調整を達成しているのは評価に値します。
検証5:使い勝手はどう?
結果:本体だけで手軽に操作できて楽チン!
編集部で実際に使ってみて使い勝手をチェック。複数あるモードは本体天面に装着する操作ボタンで切り替え。それぞれのボタン自体も大きくて視認性が高いので迷いません。「ウーファー」や「ホーン」ボタンで中高域や低域の調整も可能です。
テレビとの接続は、一般的な3.5mmオーディオケーブルをテレビのヘッドホン端子からスピーカーの音声入力端子につなぐだけと簡単。光デジタルケーブルも使用できるので、ヘッドホン端子がないテレビでも安心です。
また、興味深いのは本体の左右端を外側に可動できる点でしょう。広げることでよりステレオ感が生まれ臨場感が上がるのを筆者も感じました。
モードによって本体前面のライトの色が変わるので、現在のモードが何か、一目でわかる点も便利です!
【まとめ】テレビ用有線スピーカー「GRAND・SPEAKER」はモードごとの完成度が高く健聴者も聴きやすい一台
- ドウシシャGRAND・SPEAKER GS-SP1
- 検証時価格: ¥39,600〜
- ニュース番組
- ワイドショー
- 音楽番組
- アクション映画
- 使い勝手
- おすすめポイント
-
- 5つのモードを搭載
- モード変更がわかりやすい
- 低音や中高音の調整も可能
- 接続がわかりやすくすぐに使える
- がっかりポイント
-
- 値段がちょっと高め
- 幅
- 410mm
- 奥行
- 142mm
- 高さ
- 70mm
- 重量
- 1kg(約)
ドウシシャの「GRAND SPEAKER GS-SP1」は、単に“音量を上げずに声を聴きやすくする”だけでなく「ニュース」「音楽」「映画」など視聴ジャンルに応じて音のチューニングを切り替えられる多機能モデルです。
AV評論家の野村ケンジさんはそれぞれのモードを下記のように評価。
- ノーマルモード:比較的良好なテレビの内蔵スピーカーを思わせます。人の声は比較的聞きやすいレベルで、全体的にナチュラルな音質。
- はっきりくっきりモード:人の声だけを聞こえるようにしています。自然さよりも、聞こえやすさに特化。
- ニュースモード:「はっきりくっきりモード」よりも広く声が聞こえて、人の声の特徴も含めて聞き取りやすくわかりやすいニュアンスを再現しています。健聴者でも自然に楽しめるはず。
- 音楽モード:フルレンジかつ音楽向けの調整がされているモード。高域をくっきりと立たせながらも、低域も程よく量感を持たせています。ボーカルの声がちゃんと一番聞こえやすくなっていますが、ギターの音にも低域が感じられて厚みがありました。
- 映画モード:低域を豊かにしてアクション映画にも合うようにバランスよく調整されています。ウーファーボタンとホーンボタンで調整すれば部屋の広さにも合わせやすいでしょう。
今回は健聴者による評価のみでしたが、テスターや野村ケンジさんからは「違和感なく、自然に聞こえる」「聴き疲れしにくい」といった意見が多く聞かれました。特に映画や音楽といった「声+環境音」が混在するコンテンツでは、ミライスピーカーよりも高い臨場感が得られたのが印象的です。
もちろん、価格が約4万円とやや高いのはネックですが、「手軽に音を最適化できる操作性」「ステレオ感を強調する構造設計」など、総合的に見ても完成度の高い一台と言えるでしょう。
「家庭内におけるテレビ音量の悩みを減らしつつ、健聴者も難聴者もストレスなく一緒に番組を楽しめる」という理想を、実用性と多機能性で叶え得る製品です。まずはぜひ、店頭や試聴イベントなどで体験してみてください。
健聴者も難聴者も楽しめるという難しい問題を複数モード搭載によって解決しようとしています。近距離で楽しめるのもメリット。よく考えられた製品です!
ドウシシャは普通のミニバースピーカーとしての実力を備えつつも、聞こえにくい人の声を強調するモードを搭載。幅広い活躍ができるはずです