小型・軽量の「iPad mini」が3年ぶりの新型に!
Apple「iPad mini」は、スマホより大きな画面でマンガや動画を楽しむほか、カフェや交通機関などの狭い場所で作業する際にも便利な、小型・軽量に価値を見出すユーザーに人気のiPadです。
そんな「iPad mini」の新モデルが発売されました。今回の目玉は、型番が示す通り、プロセッサーが「iPad mini(A17 Pro)」に更新された点です。
これにより、アップル独自の生成AI「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」に対応を果たしました。ただし、日本語環境での利用は少し先になる予定です。
コンパクトで持ち運びやすく、iPhoneとは異なりApple Pencilも利用できるiPad miniこそ、「アップルインテリジェンス」の活用に最適なデバイスかもしれません。
こうした期待を込めつつ、本記事では最新の「iPad mini(A17 Pro)」の基本性能、新機能である「アップルインテリジェンス」でできること、そして前モデルである「iPad mini(第6世代)」との比較を通して、コストパフォーマンスが向上しているのかをチェックしていきます。
iPad miniの製品グレードはシリーズ中位に位置
「iPad mini」はライフスパンが長く、新しいモデルには最新のスペックを搭載して登場する傾向があります。
「iPad mini(第6世代)」が出たばかりの頃は当時のiPad Airよりもスペックが高く、iPad Proの次の位置にいたほど。さすがに過剰だったのか、今回は最新のA18チップではなく、1世代古いA17 Proが採用されました。
画面サイズやモバイル用途が中心であることを考えると、かえってバランスのよい選択といえるでしょう。
iPad mini(A17 Pro)はiPad mini(第6世代)と何が変わった?
Apple Intelligence対応チップで将来の活用にも期待できる
Apple Intelligenceは単なるAIの位置付けではなく、iPadのユーザー体験全体を変える可能性があり、モバイルしやすい「iPad mini」だからこその活用が期待されます。写真の編集や画像生成、文章の作成や要約などに真価を発揮するはずです。
Apple Pencil Proに対応し描画力がアップ!ただしペン価格は2万1800円……
純正のタッチペンは「Apple Pencil Pro」に対応。指先への振動で操作に応答ペンを超えたペンです。書き味やペンを超える描画支援機能はiPadユーザーの憧れですが、ペンの価格は結構高額です。
残念なことに「Apple Pencil(第2世代)」には対応しなくなったので、買い替えが必要です。
最新のiPad mini(A17 Pro)と前モデルを比較
外観は第6世代と瓜二つですが、新モデル「A17 Pro」は”買い”でしょうか? 気になりますよね。
今回は、雑誌『家電批評』編集部が、最新のApple「iPad mini(A17 Pro)」と前モデルApple「iPad mini(第6世代)」を比較しました。
今回使用したiPad mini(A17 Pro)はモバイル回線を使った通信も可能な「Wi-Fi+Cellular」の512GBモデル。
比較用に前モデルのiPad mini(第6世代)を合わせて検証しました。こちらは「Wi-Fi+Cellular」の256GBモデルです。
最新のiPad miniの実力は?
iPad mini(A17 Pro)
- AppleiPad mini(A17 Pro) Wi-Fiモデル 128GB
- 実勢価格: ¥73,000〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥78,800〜
アイテム毎日更新中!楽天市場で見る¥73,000〜
※256GB、512GBモデル、セルラー版もあり
- 総合評価
- おすすめポイント
-
- Apple Intelligence対応で さまざまな新機能が使える
- 販売価格が意外と安く 前モデルよりも高コスパ
- 手軽に持ち歩けるサイズ
- がっかりポイント
-
- 筐体が前モデルの流用で 面白みを感じにくい
- 最新のA18チップが搭載 されなかった
- 前モデルのApple Pencil を流用できない
- 幅
- 134.8mm
- 奥行
- 195.4mm
- 高さ
- 6.3mm
- 重量
- 293g(Wi-Fiモデル)、297g(Wi-Fi+セルラーモデル)
- OS
- iPadOS 18
- ディスプレイ
- 8.3インチ(Liquid Retinaディスプレイ) 2266×1488ピクセル、326ppi
- プロセッサ
- Apple A17 Pro
- アウトカメラ
- 約1200万画素、F値1.8
- インカメラ
- 約1200万画素、F値2.4
- 無線LAN
- Wi-Fi 6E
- センサー
- Touch ID、3軸ジャイロ、 加速度センサー、環境光センサー、気圧計
- バッテリー駆動時間
- 最大10時間(Wi-Fi利用、動画再生時)
- カラー
- スペースグレイ、ブルー、パープル、スターライト
- 型番
- IPAD MINI WI-FI 128GB 2024 GR
モデル・価格
Wi-Fiモデル
- 128GB:¥7,880
- 256GB:¥94,800
- 512GB:¥130,800
Wi-Fi+セルラーモデル
- 128BG:¥104,800
- 256GB:¥120,800
- 512GB:¥156,800
比較した前モデル「iPad mini(第6世代)」
- AppleiPad mini(第6世代) (Wi-Fi, 64GB) パープル
- 検証時価格: ¥78,799〜
同じ仕様で3度の価格改定を実施
Apple「iPad mini(第6世代)」は、発売から3年を経過する間に円安の影響を受け、3回値上がりしました。
そのため現在の中古販売価格は、登場当時の直販価格とそれほど変わらない場合が多いようです。それでもまだまだ現役レベルなので状態の良い中古品であれば、それに見合う価値は十分にあります。
- 幅
- 134.8mm
- 奥行
- 6.3mm
- 高さ
- 195.4mm
- 重量
- 293g
- 輝度
- 500nit
- ディスプレイ
- 8.3インチ、広色域(P3)
- 型番
- MK7R3J/A
第6世代の販売価格の変化
- 2021年9月発売<¥59,800>:コスパ良しの 名デバイス登場
- 2022年6月発売<¥72,800>:一気に大幅アップ
- 2022年10月発売<¥78,800>:短期間で再度の値上がり
- 2024年5月発売<¥84,800>:次モデル発売の5ヶ月前に再アップ
Check1:見た目は前モデルと同じ!ハードウェア性能はどれだけ変わった?
【基本性能】CPUのマルチコアは約35%の性能アップ&メモリー倍増!
Geekbench 6でCPU、GPU性能を比較
3D Markでグラフィック性能を比較
Geekbench AIで比較
ベンチマークのCPUスコアを見ると、「iPad mini(A17 Pro)」の方が「iPad mini(第6世代)」よりも1.2〜1.36倍程度高速だったのに対して、Neural Engine(NPU)の性能は最大1.7倍高速でした。
また3DMarkで計測したGPU性能も約1.4倍あり、CPU以上にNPU、GPUが強化されています。これは、Apple Intelligenceを快適に動作させるためと考えられます。
搭載メモリーは第6世代が4GBなのに対し、iPad mini(A17 Pro)は倍の8GB。アプリの切り替えや手書きノートアプリでの画像のコピペなど、AI以外の用途でもサクサク操作できます。
【ディスプレイ】画質の向上はないものの「ゼリースクロール」を改善
第6世代はWebサイトなどで画面をスクロールすると表示がぐにゃぐにゃ揺れる「ゼリースクロール」と呼ばれる現象が問題になりました。本体を縦にした際の画面の左側と右側とでリフレッシュのタイミングにずれがあるためと言われています。
Appleは液晶ディスプレイの正常な動作であるとし、修理や交換は行われていません。「iPad mini(A17 Pro)」でも完全になくなるわけではありませんが、ゼリースクロールへの対策が取られているようで、ぐにゃぐにゃ度合いの低減が確認できます。
人によるとは思いますが、前モデルよりも不快に感じる人は少なくなるでしょう。
【インターフェース】USBの高速化は大歓迎!
セルラーモデルはSIMカードの廃止でeSIMのみに変更
モバイル回線でも使える「iPad mini(A17 Pro)」の「Wi-Fi+Cellularモデル」は物理SIMスロットが無くなり、eSIMでしか利用できなくなりました。これまで物理SIMで運用していた場合は注意が必要です。
USB-Cの転送速度は実測で2倍にアップ
外部接続用のUSB-C端子は規格が「USB 3.2 Gen 2x1」に変更され、理論転送速度が最大2倍の10Gbpsに。実測値も約2倍でした。
動画のようなサイズの大きなファイルを外部から取り込む際など、これまでよりも圧倒的に速く転送できます。
USB-Cの対応転送速度
前モデルの筐体を流用している「iPad mini(A17 Pro)」ですが、地味に細部が変更されています。まず「Wi-Fi+Cellularモデル」で物理SIMスロットが廃止。モバイル回線の使用にはeSIMの契約が必要です。
また見た目は変わらないUSB-C端子も高速な「USB 3.2 Gen 2×1」にアップデートされています。
Check2:カメラ性能は前モデルから据え置き
フロントのカメラは短辺側のまま、縦位置から変わらず。横置きで使うことの多いビデオ会議では、センターフレーム機能が活躍します。とはいえ、フロント側のカメラは長辺に設置してほしいです。
新モデルに搭載のカメラは背面が 12MPの広角、F値1.8のシングルで、前面は12MPの超広角でF値2.4。前モデルと同じ性能です。
しかし写真撮影時の処理が「スマートHDR 3」から「スマートHDR 4」になり、人物や影をより豊かに表現できるようになりました。
そのほか、撮影後の写真から不要なものを削除する「クリーンアップ」機能や、「書類をスキャン」で撮影した際に写ってしまったiPadの影を消す機能など、「iPad mini(A17 Pro)」のパワーが随所に発揮されています。
Apple版の“消しゴムマジック”「クリーンアップ」で不要なものを消去!
Apple Intelligenceの機能をすぐに試すなら「クリーンアップ」が最適です。言語に関係ないため、iPad OS 18.1プリで利用可能。
被写体を認識して消す対象を提案してくれたり、指で大まかに囲むだけで正確に選択したりといったところにAI機能が生かされています。そのためApple Intelligence対応の「iPad mini(A17 Pro)」では利用できますが、「第6世代」は残念ながら非対応です。
人が写り込んでも大丈夫
簡単な操作で消せます
「写真」アプリで対象の写真を開いたら、編集アイコンをタップして「クリーンアップ」を選択。写り込んでしまった人やものをなぞるか丸で囲むと対象が光りながら認識され、きれいに削除されます。
対象の影も自動的に選択される場合も。正確に認識されずに一部が残ってしまったら何度か繰り返せばほとんどはうまくいくはずです。
紙の書類に落ちるiPadの影を気にせずスキャンできる
会議などで配られた紙の書類をiPadに取り込んで管理したり、手書きでメモに書き込んだりする際に便利な「書類をスキャン」機能。「iPad mini(A17 Pro)」で強化されてさらに使いやすくなりました。
「iPad mini(A17 Pro)」では、撮影時にフラッシュをオンにしておくと書類の上にかかってしまったiPadの影を消せます。この機能はM4チップ搭載iPad Pro以外はiPad mini(A17 Pro)だけの対応です。
iPad mini(第6世代)
撮影時にiPadの影が写ってしまう。
iPad mini(A17 Pro)
iPadの影が消えた!
書類をスキャンでフラッシュをオンにして撮影します。内部ではフラッシュあり/なしなど、複数回の撮影が行われていて、それらが合成されると書類上にかかったiPadの影が消えた1枚の画になります。
スマートHDR 4で逆光撮影時の仕上がりが大幅に改善
スマートHDRはiPhoneやiPadのコンピュテーショナルフォトグラフィー機能の1つ。
「iPad mini(A17 Pro)」では前モデルのバージョン3からバージョン4にアップデートされました。集合写真で人物ごとに明るさや肌の色が最適化されるとアナウンスしています。
加えて逆光での撮影にさらに強くなっていて、明るいところから暗いところまでより豊かに、かつ自然に表現される傾向にあります。
iPad mini(第6世代)
空が完全に白飛びしてしまった。
iPad mini(A17 Pro)
逆光でも空の青と影を表現。
手をかざした逆光の撮影で比較しました。第6世代でも手が明るく、肌の色がきれいに表現されていますが、空が白く飛んでしまっています。スマートHDR 4搭載のiPad mini(A17 Pro)では空の青さや雲がしっかりと写せました。
Check3:「Apple Intelligence」は何ができるのか?試してみました!
日本語環境への完全対応はもう少し先です
Apple Intelligenceは2024年10月28日にアメリカ英語環境で先行リリースされ、対応言語は徐々に増加中です。ただし、アメリカでも提供前の機能があり、それらは2024年内の対応がアナウンスされています。
日本語への対応は早くても2025年4月と見られますが、現在でも端末とSiriの言語をApple Intelligence対応言語に設定して試せます。また、テキストの要約や校正、Siriを使ったユーザーの活動履歴を元にした提案など、いかにもAIといった機能が注目されていますが、言語を介さない機能の中にはすでに日本語環境で使えるものもあり、前ページで紹介したクリーンアップはその一つです。メモアプリでの録音も日本語環境で可能ですが、テキストへの変換にはまだ対応していません。
文章の校正や要約で効率的なテキストの作成が行えます [米国で実装済み]
Apple Intelligenceの作文ツールはユーザーが書いた文章を校正したり、簡単な操作で思い通りのトーンや言葉使いに変更でき、気に入るまで何パターンでも試せます。システムの機能として搭載されているため、さまざまなアプリから呼び出して利用可能です。また、作文ツールをサードパーティ製アプリから呼び出すためのAPIも提供されています。
作文ツールでは文章の校正やトーン、言葉使いを簡単な操作で提案してくれます。
長文が要約されました。作文ツールを呼び出し「Summary」で概要を表示。元の文章の置換も可能です。
画像生成「Image Playground」でオリジナル画像を瞬時に作成 [米国で2024年内に実装予定]
「Image Playground」はテキストプロンプトで指定した画像をAIが作成する機能。「画像マジックワンド」はユーザーのラフスケッチや周囲の文章から画像を作成します。これらはApple Intelligenceのリリース時には搭載されず、アメリカ英語環境でも2024年内の対応予定です。
このほか新しい絵文字を生成する「Genmoji」も同様です。AIを使った効果を手軽に実感できる機能なので、日本語環境への対応が今からとても楽しみです。
Image Playground
プロンプトで指示した画像を生成。AIを使った画像生成アプリで、アニメーションやイラスト、スケッチなどのスタイルから数秒で画像を作成できます。
画像マジックワンド
長文メモの挿絵をAIが作成。Apple Pencilのツールパレットの新しいツールで、ラフスケッチを美しい画像に作り変えられるようになる予定です。
機能が統合されて賢くなったSiriでアプリを横断したリクエストを実行可能に [米国で実装済み]
リクエストに音声とテキストを臨機応変に使えます。
Apple Intelligenceの力を得たSiriは言語理解能力が一層深くなります。「アラーム、じゃなくて5分のタイマーをセットして……、あ、やっぱり10分で」といった言い間違いの訂正や、会話のような文章になっていないリクエストにも対応可能です。
またユーザーが直前にした行動を覚えているので、「さっきの」や「その」といった自然なコミュニケーションでのリクエストも行えるようになります。
専門性の高いAI処理はChatGPTと連携して処理
Apple Intelligenceは端末内のアプリや機能に蓄積されたユーザー行動履歴を横断し、自然の会話に近いやり取りで提案を引き出す、身近なAIという位置付けです。
リクエストをChatGPTの方がうまく対処できると判断した場合は、ユーザーの許可を得てChatGPTに送信。その結果をユーザーに返す形で連携します。
ChatGPTにリクエストを送信
ChatGPTのアカウントは必要なく、連携機能は無料です。自分のサブスクリプションでChat GPT Plusも利用できます。
Check4:前モデルは度重なる値上げを実施!最新iPad miniのコスパはいかに?
AI対応の可否は大きいけれど……
「iPad mini(第6世代)」は「iPad mini(A17 Pro)」の3年前に登場したにも関わらず、当時の最新チップであるA15 Bionicが搭載したのが功を奏して、2世代分しか古くなっていません。現行の無印iPad(第10世代)よりも高速であり、実用的には十分現役で活躍できるレベルです。
一方、「iPad mini(A17 Pro)」はApple Intelligence対応と今後の機能追加も見込め、長く使える点が魅力。
また「iPad mini(第6世代)」が現行モデルだったときの価格と比較すると、「iPad mini(A17 Pro)」はやや安価に設定されているため若干お得感があります。
しかし、「iPad mini(第6世代)」の認定整備済製品ならより安価に購入できるのが魅力です。動画視聴や読書がメインなら認定中古を狙うもの十分ありでしょう。
第6世代は同じ仕様で3度の価格改定を実施
iPad mini(A17 Pro)は容量が2倍にアップし前モデルの2年前の価格と同額
一番安いのはAppleの認定整備済製品新品バッテリー&新品外装に加えて1年保証付き!
中古でも値崩れしにくいApple製品は、認定整備済製品よりも高額なことも。
本家サイトがどこよりも一番お得!
iPad整備済製品 - iPad mini - Apple(日本)
URL▶https://www.apple.com/jp/shop/refurbished/ipad/ipad-mini
Apple公式サイトで扱っている認定整備済製品は、Appleによって厳格な検品と整備がされ、1年のハードウェア保証付きです。また、バッテリーと外装は新品に交換されており、いずれも純正パーツである点が他の中古品にないアドバンテージ。検証時には、iPad mini(A17 Pro)のベースモデルより容量が倍の256GBモデルをラインナップしていました。
ただし、常に販売されてはいないので、Webサイトのこまめなチェックをおすすめします。
AI機能が日本語でフル提供されるまで第6世代も!
以上、iPad miniの最新の「iPad mini(A17 Pro)」の紹介でした。
前モデルのiPad mini(第6世代)とは外観は瓜二つながら、使ってみると単に速くなっただけではない、違いがあることがわかりました。
とはいえ、AI機能が日本語でフル提供されるまでは、第6世代の認定中古を狙うのも充分ありです。
気になる人はぜひチェックしてみてください。
大幅な進化をしたわけではないので、次モデルに期待したいです。
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タブレットのAmazon・楽天の売れ筋ランキングは、以下のリンクからご確認ください。
英語のみだと使い道が限られるので、早く日本語でも試したいですね。