新製品ほかiPad合計7台で比較検証
Appleから新しく登場したのは「iPad Pro 第4世代(11インチ)」「iPad Pro 第6世代(12.9インチ)」「iPad 第10世代」の3製品です。
加えて「iPad Air」と「iPad mini」の最新世代、前世代の「iPad 第9世代」と「iPad Pro 第5世代(12。9インチ)」と、計7台で検証。現行iPadはどれを選ぶべきなのか、プロと一緒に比較しました。
まずは新型「iPad Pro」の2製品のレビューから紹介します。
iPad Proの新製品を検証
Apple「iPad Pro 12.9インチ第6世代」
Apple
iPad Pro
12.9インチ第6世代
Wi-Fiモデル
128GB
実勢価格:17万2800円〜
※256GB/512GB/1TB/2TBモデルもあり
Apple「iPad Pro 11インチ第4世代」
Apple
iPad Pro
11インチ 第4世代
Wi-Fiモデル
128GB
実勢価格:12万4800円〜
※256GB/512GB/1TB/2TBモデルもあり
「iPad Pro」はチップがM1からM2へと変わり、性能が向上しましたが、前世代の時点でタブレットとしては十分すぎるほど高性能でした。
目玉となったペンの落ちる位置がわかる「ホバー機能」は、一般人にはほぼ不要です。負荷の大きい動画編集も、M1チップの前世代で十分快適。細かいタッチ操作の追従性は「iPad Air」より上質ですが、「iPad Pro」同士で体感差はほぼありません。
そのくせ、値段は12.9インチで17万円とかなり高め。もし大画面や「iPad Pro」ならではの高性能を楽しみたいなら、前世代の型落ち購入で十分です。ということで、「進化はしているけど一般用途にはオーバースペック」という印象です。
今回のテスト方法は?
テストでは、以下の項目をチェックしました。
【処理性能】
ベンチマークアプリ「Geekbench 5」でスコアを計測しました。
【携帯性】
スペックから重量を測り、比較しました。
【バッテリー】
同一の4K動画を最大輝度の状態で、YouTubeで再生。100%まで充電した状態から、バッテリーが切れるまでの時間を計測・評価しました。
【画質・スピーカー】
AV評論家の折原一也さんが同一のYouTube動画・Netflixの映画などを視聴し、評価しました。
【機能】
ビデオグラファーの橋詰高志さんが4K動画をアプリ「Adobe Premiere Rush」で編集。編集時の快適性などを評価した結果に加え、編集部が各種機能を評価。最終的な評価を算出しました。
新型「iPad Pro」のテスト結果
Apple「iPad Pro 12.9インチ第6世代」
Apple
iPad Pro
12.9インチ第6世代
Wi-Fiモデル
128GB
実勢価格:17万2800円〜
※256GB/512GB/1TB/2TBモデルもあり
▼テスト結果
- 総合評価 :A
- 合計点 :85/100点
- 処理性能 :20/20点
- 携帯性 :6.5/10点
- バッテリー:12/20点
- 画質 :19/20点
- スピーカー:9/10点
- 機能 :18.5/20点
Apple「iPad Pro 11インチ第4世代」
Apple
iPad Pro
11インチ 第4世代
Wi-Fiモデル
128GB
実勢価格:12万4800円〜
※256GB/512GB/1TB/2TBモデルもあり
▼テスト結果
- 総合評価 :A
- 合計点 :83/100点
- 処理性能 :20/20点
- 携帯性 :2/10点
- バッテリー:11/20点
- 画質 :20/20点
- スピーカー:10/10点
- 機能 :20/20点
【総評】
ホバー機能に唯一対応している「iPad Pro」。持ち歩きには不向きなことや、輝度が高くバッテリー持ちが悪いことなど惜しい点はありますが、スピーカーはスケール感に感動を覚えるほどです。画質も高評価で「iPad Pro」と「iPad Air」に明確な差があることがわかりました。
処理性能のテストでは圧倒的な数値を発揮し、総合で7機種中トップの成績を達成しました。
美点1:ベンチマークは高いけど、そこまで必要?
「Geekbench 5」を用いたベンチマークテストでは、2位の前世代「iPad Pro」を1000以上引き離す圧巻のスコアを達成しました。
とはいえ、前モデルでも十分、高負荷の4K動画編集がサクサクできます。一般的な使い方では、違いはほとんど出ないのでは。これだけの性能は、現時点ではオーバースペックに感じます。
美点2:ガチでイラストを描くならアリ
本製品の目玉は「Apple Pencil」のペン先がどこに落ちるかをタップ前に示すホバー機能。ペンタブの定番機能なので、イラスト制作がはかどります。
また、iPad最大サイズの12.9インチならではの、正確な色再現を実現したリファレンスモードはホワイトポイントも細かく調整可能です
イマイチな点:画質・音質はスゴいけど前世代との差は少なめ
※写真左:iPad Pro(第6世代)、写真右:iPad Pro(第5世代)
AV評論家の折原さんと行った画質・音質検証。結果はわずかに「iPad Pro 第6世代」が上回ったものの、一般的なSDR映像は前世代と大きな差はありません。
続いては、Apple「iPad 第10世代」の検証レビューです。
新型「iPad 第10世代」を検証
Apple
iPad 第10世代
Wi-Fiモデル
実勢価格:6万8800円〜(64GB)、9万2800円〜(128GB)
Apple「iPad 第10世代」はホームボタンが廃止され、無印として初のUSBーC充電と、前世代からの変化は一目瞭然。入門機としては十分な性能を備えますが、そのぶん値段が7万円近くまで上がってしまいました。
iPadのヘビーユーザーに話を聞いても「コスパがイマイチ」との意見が続出。正直、薦めにくい製品です。
より性能が高い「iPad Air」の最新モデルが約9万円から購入できることを考えると、少し予算を上げて「iPad Air」の購入。予算的にキツければ、入門機として5万円以下で買える第9世代の購入をオススメします。
iPad 第10世代のテスト結果
▼テスト結果
- 総合評価 :C
- 合計点 :59.6/100点
- 処理性能 :15.4/20点
- 携帯性 :6.2/10点
- バッテリー:10/20点
- 画質 :10/20点
- スピーカー:5/10点
- 機能 :13/20点
処理性能は全世代より向上し、普段遣いなら問題ありません。481gと比較的軽めで、「iPad Air」とほぼ同じなので持ち運びしやすそうです。バッテリー持ちは検証製品中ワースト。実使用でも減りは早めです。
前世代より画質は成長していましたが他機種との差は大きく、スピーカーも解像度不足かつ低音が弱いです。映画・音楽共にイマイチでした。
値段なりの機能性であるものの、ペンの扱いはキツめ。総合的に「iPad mini」以上との厚い壁を感じ、C評価に。値段も高めです。
イマイチな点1:ペンの充電が非常に不便
「iPad(第10世代)」最大の弱点がコレ。「Apple Pencil」は第1世代のみ対応かつ、充電には「Apple Pencil」に同梱されている「USB-C - Apple Pencilアダプタ」が必要です。充電のためにこれを持ち歩くのは面倒過ぎます。
Apple
USB-C - Apple Pencilアダプタ
実勢価格:1380円
イマイチな点2:一目でわかる画質の悪さ
※写真左:iPad Pro(第6世代)、写真右:iPad(第10世代)
「iPad Pro」と同じ映像を映すと、画面の暗さや細部表現の甘さは一目瞭然。ただ、黒色の階調表現もある程度見られ、最低限エンタメを楽しむレベルにはあります。
ただし、前世代と比べると画面の明るさは多少アップしていました!
イマイチな点3:負担のかかる処理はキツい部分も
動画提供:Hayato cray waters band
「Premiere Rush」で4K動画編集を行ってみたところ、基本的にはスムーズに動作してくれました。ただし、「iPad Air」や「iPad Pro」と比べると、スムーズさやコントラストなどの画質に大きな差を感じました。
再生しながら色編集がスムーズにできるくらいには、ある程度しっかり動作します!
自分に合ったiPadの選び方は?
iPadは、やりたいことや予算に応じて自分に合ったモデルを選びましょう。「で、何を買えばいいの?」と悩んでしまう人は以下の選び方を参考にしてみてください。
Apple「iPad Air 第5世代」
Apple
iPad Air
第5世代
実勢価格:9万2800円(Wi-Fi版 64GB)、11万6800円(セルラー版 64GB)、11万6800円(Wi-Fi版 256GB)、14万800円(セルラー版 256GB)
サイズ:W178.5×D6.1×H247.6mm・461g(Wi-Fi版)462g(セルラー版)
▼こんな人におすすめ
- iPadでやりたいことがボンヤリある&特にない
- 予算10万円
編集部激推しなのがApple「iPad Air 第5世代」。どんな使い方にも一定以上のレベルで対応できるスペックと使い勝手の良い携帯性。まず後悔しにくい選択です。
Apple「iPad 第9世代」
Apple
iPad
第9世代
実勢価格:4万9800円〜
▼こんな人におすすめ
- iPadでやりたいことは特にない
- とにかく使ってみたい
- 予算5万円
これといった用途を考えておらず予算も少ないなら、iPadの前世代、Apple「iPad 第9世代」がオススメ。5万円以下で購入できます。
Apple「iPad Pro 12.9インチ 第6世代」
Apple
iPad Pro
12.9インチ第6世代
Wi-Fiモデル
128GB
実勢価格:17万2800円〜
※256GB/512GB/1TB/2TBモデルもあり
▼こんな人におすすめ
- iPadでイラストをやりたい
イラストをガチでやるなら、値段度外視でPro最新世代のApple「iPad Pro 12.9インチ 第6世代」に。ホバー機能、リファレンスモードも有効に活用できるはずです。
Apple「iPad Pro 12.9インチ 第5世代」+Apple「iPad mini 第6世代」
Apple
iPad Pro
12.9インチ 第5世代
実勢価格:15万520円〜
Apple
iPad mini 第6世代
実勢価格:7万8800円(Wi-Fi版 64GB)、10万2800円(セルラー版 64GB)、10万2800円(Wi-Fi版 256GB)、12万6800円(セルラー版 256GB)
▼こんな人におすすめ
- iPadをビジネスで使用したい
ビジネス使用なら、動画編集をしない限り前世代で十分。Apple「iPad Pro 12.9インチ 第5世代」を据え置きで使いましょう。持ち歩きには携帯性に優れたApple「iPad mini 第6世代」がオススメです。
Apple「iPad Pro 11インチ 第4世代」
Apple
iPad Pro
11インチ 第4世代
Wi-Fiモデル
128GB
実勢価格:12万4800円〜
※256GB/512GB/1TB/2TBモデルもあり
▼こんな人におすすめ
- iPadをエンタメで使用したい
画面もある程度大きく、持ち運びもギリギリ行けるApple「iPad Pro 11インチ 第4世代」がオススメ。ただ、エンタメ用途では、Androidのタブレットも候補になってきます。
おすすめは「iPad Air」
Apple
iPad Air
第5世代
実勢価格:9万2800円(Wi-Fi版 64GB)、11万6800円(セルラー版 64GB)、11万6800円(Wi-Fi版 256GB)、14万800円(セルラー版 256GB)
サイズ:W178.5×D6.1×H247.6mm・461g(Wi-Fi版)462g(セルラー版)
▼テスト結果
- 総合評価 :A
- 合計点 :77.5/100点
- 処理性能 :19/20点
- 携帯性 :6.5/10点
- バッテリー:11/20点
- 画質 :16/20点
- スピーカー:8/10点
- 機能 :17/20点
今回、AV評論家やビデオグラファーによる画質や操作感の評価を取り入れつつ、現行iPadのパフォーマンスを点数化しました。その結果、「iPad Pro」がトップになりましたが「iPad Air」との点差はあまり大きくありませんでした。
そこに「ほぼ同サイズのPro11インチよりAirが2万円以上安い」ということを加味すると、現状で「もっともオススメできるのはiPad Airだ」というのが編集部の結論です。
本格的なクリエイティブワークではディスプレイの品質や大容量ストレージモデルの有無など「iPad Pro」の優位性を実感できますが、それ以外の用途で「iPad Air」に不満を抱くことは少ないはず。
実際、「iPad Pro」の愛用者に話を聞くと「iPadでやりたいことが明確な人や予算の制約があるひと以外はiPad Air」といった意見が続出しました。また、AppleはM1搭載機向けの新機能をOSに盛り込みはじめています。
つまり、「iPad Air」を選べばOSの発展にもしっかりついていける。これも「iPad Air」の魅力です。
ひと目でわかる映像のキレイさ、低音まででるスピーカーで満足度が高い。
iPadにそこまで知識がないのであれば、Airを買っとけば大丈夫!
特徴1:Proと同じキーボード
▼Magic keyboard
▼Smart keyboard
純正キーボードは「iPad Pro 11インチ」と共通。共用できるケースやカバーも多数あります。
特徴2:10Gbps対応のUSB3.1ポート
「iPad mini」より高速な10Gbpsで通信できるUSB-Cポートを採用。Thunderboltに対応する「iPad Pro」には劣るものの十分高速です
【処理性能】「M1」でProに匹敵する高い処理性能
動画提供:Hayato cray waters band
パソコンのMacにも搭載されるM1チップを採用したため、M1を搭載する前世代の「iPad Pro」とほぼ同性能を確保。
ベンチマークではM2搭載の最新「iPad Pro」に近い数値をマークし、4K動画の書き出しテストでは全く同じ処理時間を記録しました。クリエイティブ系のアプリでも快適に動作します。
▼Geekbenchによるベンチマークスコア
Premiere Rushで4K編集を行ったところ、Airは少しもっさりする瞬間があったものの基本的には快適に編集できました。
【OS】M1だから心OSに完全対応
「iPad Air」の大きなメリットがiPadOS 16の新機能「ステージマネージャ」に完全対応すること。複数のアプリを併用するパソコン的な使い方が快適になります。
【コスパ】「Air」はやっぱりコスパがいい
▼iPad Airと11インチ Proの容量ごとの価格比較(64〜256GBまで)
「iPad Pro」愛用者への取材では「容量は128GBで十分」との見解も多かったのですが、愛用者への取材ではの128GB版より「iPad Air」の256GB版が安く、コスパ優秀です。
【ディスプレイ】「Pro」に劣るもののAV評論家も納得の品質
※写真左:iPad Pro、写真右:iPad Air
「iPad Air」のディスプレイはともにLEDバックライトのIPSパネルで基本スペックはなかなかのもの。ただ、輝度は「iPad Air」の500ニトに対して「iPad Pro」は600ニト。肉眼でも「iPad Pro」のほうがやや明るく発色よく感じられました。
Airでもコントラストがしっかりとあり、キレのいい映像を楽しめますよ。
持ち歩き優先なら「mini」がおすすめ
Apple
iPad mini 第6世代
実勢価格:7万8800円(Wi-Fi版 64GB)、10万2800円(セルラー版 64GB)、10万2800円(Wi-Fi版 256GB)、12万6800円(セルラー版 256GB)
▼テスト結果
- 総合評価 :A
- 合計点 :74/100点
- 処理性能 :16/20点
- 携帯性 :10/10点
- バッテリー:13/20点
- 画質 :14/20点
- スピーカー:6/10点
- 機能 :15/20点
圧倒的なコンパクトさで人気のApple「iPad mini 第6世代」。性能を測ると第10世代iPadより良好でした。
持ち歩き優先ならApple「iPad mini 第6世代」は大いにおすすめです。
Proと2枚持ちもアリ
自宅や職場ではA4サイズで手書きができる「iPad Pro」の12.9インチを使い、外には「iPad mini」を持ち出すという2枚持ちユーザーもいます。とにかく軽いので、どこへでも持ち出せてスマホより多彩な使い方ができるのが魅力です。
画質はAV用途でも合格点
映像や音の迫力は「iPad Air」に譲りますが、「画質も音質もサイズに対して健闘。黒の再現がiPad Airに劣るが発色はキレイ」(折原さん)と十分な品質です。
動画編集では同時再生できる映像の本数などでAirとの差を感じました。
イマイチな点:小型化優先で省かれた機能も多数
Appleの純正外部キーボードやiPadOS 16のステージマネージャなど、小型化を優先されたために省かれた機能も。「iPad mini」で外部キーボードを使うにはBluetooth接続の非純正品が必要です。
以上、iPad新製品のレビューと他のモデルとの比較検証、おすすめのiPadについて紹介しました。
今回の検証では、一般的な用途でほぼ不満が生じない「iPad Air」が新製品よりおすすめという結果に。専門家やヘビーユーザーも「iPad Airで十分」と納得の完成度です。
いまiPadを購入しようと検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
iPadの売れ筋ランキングもチェック!
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画質・音質では第5世代・第6世代どちらを選んでも、不満に感じることは少ないはず。