夏場のエアコンはつけっぱなしが正解?
気温も湿度もぐんぐん上がり、エアコンが活躍するシーズンが到来しました。
電気代の高止まりに加えて「激変緩和措置」の終了などもあり、この夏が心配……という人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、節電のために「エアコンをこまめに切ろう」というのは、あまり得策ではないかもしれません。というのも、エアコンをこまめに切ってもつけっぱなしにしても、実は電気代の差はそれほど大きくないという説が。
むしろ、快適性や健康維持を優先して、エアコンをつけっぱなしにするほうが賢明だとすら言えます。
これを裏付けるのが、ダイキン工業が2018年に行った実証実験の結果です。同社は、夏場にエアコンの「つけっぱなし」と「こまめにオンオフ」の電気代を比較。すると夏場の30分程度の外出であれば「つけっぱなし」のほうが電気代が安くなるという結果になりました。
この結果について、家電の専門家である田中真紀子さんは、エアコンの省エネ性能の向上がその理由の一つだと指摘。これにより、安定運転時の消費電力が大幅に抑えられるようになり、何度も立ち上げるより電気代が安くすむようになったというわけです。
また、田中さんは自身の体験談として「夏場にエアコンをつけっぱなしにしていても、マンションだと電気代はそれほど高くならなかった」とも。
そこで雑誌『MONOQLO』では、エアコンのつけっぱなしとこまめにオンオフはどちらが節約になるのか、実際に試してみました!
こまめにオンオフの節電効果が小さい理由
昔は「部屋を使っていないなら、エアコン消さないと電気代がもったいないだろ!」なんて親に叱られたもの。でも最近は「短時間であれば消さないほうがお得」なんて話もよく耳にします。いったいなぜでしょうか?
白物家電ライターの田中真紀子さんにお聞きすると、なんと田中さんも「つけっぱなし」派とのこと。気になる電気代については、「こまめにオンオフするのに比べて高くはなるものの、大きな差にはならない」そうです。
節電効果が大きくないのなら、昼夜快適に過ごせるつけっぱなしのほうがお得な気が……。まずは、田中さんがつけっぱなしでいいと考えるワケを以下にまとめましたのでご覧ください。
つけっぱなしでいい理由:1
インバータ搭載エアコンの普及により、2000年前後に一気に省エネ化が進んだエアコンは、その後も着々と進化。最新モデルほど消費電力が少なくなっています。
たとえば、2022年と2013年のエアコン(同じメーカーの冷暖房兼用、壁掛け、冷房能力2.8kWhの機種)の消費電力を比較すると、冷暖房の期間消費電力は10%以上も少なくなっていました。
また、最近のエアコンは多彩なセンサーやAIを搭載し、部屋や人をより効率的に冷やせるように。電力を食う原因だった汚れも自動洗浄で落としてくれるなど、節電に役立つ工夫が随所に散りばめられています。
つけっぱなしでいい理由:2
エアコン(冷房)で最も電気代がかかるのは、電源を入れて動き出し、暑い部屋を急速に冷やす「立ち上がり」のタイミングです。
こちらのグラフで山型になっている部分が、その立ち上がりを表しています。
こまめにオンオフを繰り返すと、そのたびに室温が上昇。再稼働したときに最初と同じくらいの電力を消費してしまいます。
つまり、つけっぱなしと比較してオフにしている時間の電力が削減できる半面、再稼働時に余分な電力がかかるということ。この差を考えずにオンオフを繰り返すと、つけっぱなしより電気代がかかってしまう場合があるんです。
つけっぱなしが本当にお得なのか検証!
それでは、今回『MONOQLO』が行った検証を紹介します。
日中(10〜16時)にエアコンを6時間「つけっぱなし」にした後、ワットモニターで消費電力を計測。「こまめにオンオフ」は、最高気温が近い別日の同じ時間帯に30分間隔でオンオフを繰り返し、6時間後(合計3時間稼働)に消費電力を計測。
電気代を1kWhあたり31円換算とし、それぞれの消費電力から電気代の目安を算出しました。なお、テスト結果は一例で、諸条件により変わる可能性があります。
▼テスト環境
- 建物構造:RC5階建て
- 部屋:2階北側(北向きの窓あり、カーテンなし)、4畳
- 室内の状態:密閉(在室0名、数回出入りあり)
- テスト機:日立RAS-AW22N
- 設定温度:22℃
- 風量:自動
- 風向:スイング
- 検証2日間の最高気温:28.2℃、28.9℃
▼テスト結果
こまめにオンオフ | つけっぱなし | |
消費電力 | 0.61kWh | 0.49kWh |
電気代(目安) | 18.91円 | 15.19円 |
日中6時間のテストでは、つけっぱなしのほうがこまめにオンオフするより消費電力が0.12kWh少なく、電気代は3.72円安いという結果に。今回の検証では、つけっぱなしのほうがお得でした!
天候条件や建物の構造など、様々な外的要因によって、テスト結果が変わる可能性があります。
こまめにオンオフが有効な場合は?
上記の検証からも、エアコンをこまめにオンオフすると、余計に電気代がかかってしまう場合があることがわかりました。
ただし例外として、こまめにオンオフするのがお得な場合もあるので、そのポイントを紹介します。
ポイント1:気温が低めの夜間などはこまめにオンオフもあり
暑い部屋を冷やすのには大量の電力を消費しますが、日中よりも温度の再上昇が緩やかになる夜間は、部屋を冷やすための電力は少なくなります。再稼働するための電力は必要になりますが、つけっぱなしとの差は確実に小さくなるので、試してみる価値はあります。
日中にこまめにオンオフ
気温が高いので、オフにした途端に室温が急上昇。再びオンにしたときに室温を下げるために大量の電力を消費してしまう。
夜間にこまめにオンオフ
気温が日中よりも低いので、オフにしても日中ほどは室温が上がらない。そのため、再びオンにしたときの消費電力も少ない。
ポイント2:エアコンオフの目安は「1時間以上の不在時」
外出などで家を空ける場合、時間によってはエアコンをオフにするほうが電気代がお得になることも。
たとえば、30分程度のちょっとした外出なら、つけっぱなしのほうが電気代がが安くなる可能性大。一方で、1時間以上の外出になると、切っておくほうが電気代が安くなる可能性が高くなるため、オフにするのがいいでしょう。
なお、つけっぱなしにするかオフにするかを、電気代だけで判断するのはダメ。電気代と快適さとのバランスをとることが重要です。
あまりに暑い日などは、快適性も考慮して1時間でもつけっぱなしにするのはありです。
まとめ:電気代の差はわずかなので猛暑につけっぱなしはアリ
以上、エアコンのつけっぱなしとこまめにオンオフは、どちらが電気代が安くなるのか?の検証でした。
テストではつけっぱなしのほうが安くなりましたが、結果は住宅の断熱性能や外気温、日照時間など、さまざまな要因に左右されることも。そのため、今回はあくまで参考結果扱いとしました。
それでも、つけっぱなしでも電気代はそれほど高くならなそうとわかったのは収穫。在室中ずっと快適に過ごせますし、汗だくで帰宅した際も、部屋がひんやりしていたらかなり幸せです。
エアコンの使用方法は、住宅の特性や生活スタイル、その日の天候などを考慮しながら柔軟に選択することが大切。エアコンを賢く使って、この夏を快適に過ごしましょう!
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冷房時はつけっぱなしでも問題ないことが多いです。わが家はペットのために、6月から10月ぐらいまではエアコンをつけっぱなしにしていますが、電気代が爆上がりした印象はありません。