「充填豆腐」「カット豆腐」豆腐には2種類の製法があるんです
ふだん何気なく選んでいる豆腐をよく見てみると、水に浮いているものと、水が入っていないものの2種類の形態があります。まずは、その2種類の違いから見ていきましょう。
【充填豆腐】
豆乳とにがりを混ぜ合わせた内容液をケースに直接流し込み、そのままケース内で固める製造方法です。
充填豆腐の場合、できあがった豆腐が水にさらされることはないので、にがり成分がそのまま残ります。また、パック後に加熱するために密閉性が保たれ、賞味期限が長いのも特徴です。
ただし、水切りができないため充填形式の木綿豆腐は作れません。また、ぼそぼそとした食感だと感じることもあります。
【カット豆腐】
昔ながらの製法で作られた豆腐を、水と一緒に容器にパックする方法です。調理の直前まで水にさらされているため、充填豆腐と違って余分なにがり成分がある程度外に出ます。
完成品をパックするので、木綿と絹の両方の製品が売られています。どちらかというとカット豆腐の方が食感に優れているものが多いです。
双方の違いからもわかる通り、日持ちを重視したいなら「充填豆腐」、味わい重視なら「カット豆腐」を選ぶといいでしょう。充填豆腐とカット豆腐の違いが、見た目でわからない場合は、パッケージの「名称」欄を確認すればかんたんに見分けられますよ。気になる方は、一度チェックしてみてくださいね。
「絹ごし」と「木綿」どう使い分けたらいいの?
豆腐の選び方で、「絹ごし」と「木綿」の違いや、使い分け方が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。まずは絹ごし豆腐から見ていきましょう。
【絹ごし豆腐】
絹ごし豆腐の特徴は、水分が多くなめらかなことです。またビタミンB群も多く含んでいます。
つるりとした喉越しを楽しむ湯豆腐や……、
辛みのある麻婆豆腐などの中華料理に向いています。
【木綿豆腐】
木綿豆腐は型崩れしにくく、たんぱく質が豊富です。
味が染みやすいので、肉豆腐や……、
すき焼きにぴったりです。
成分表示で気になる単語「丸大豆」「消泡剤」って?
パッケージを注意深く見てみると、「消泡剤不使用」という言葉が載っているものがありますよね。
また、成分表示に大豆ではなく「丸大豆」と表示している商品も。
実は、これらの違いは味に影響はないんです。消泡剤というのは豆腐作りを邪魔する泡を消すための成分で、完成時にはほとんど残らないことがわかっています。また、豆腐は基本的に丸大豆を使用するのがふつうなので、丸大豆という表示も直接おいしさの証にならないんです。
豆腐の風味に関係するのは凝固剤が「にがり」かどうか!
豆腐の味を重視して選ぶために、何を基準にすればいいのか知らない人も多いのでは。実は、重要なのは「凝固剤」なんです。豆腐を固める凝固剤といえば、「にがり」を想像しますが、すべての豆腐が天然のにがりで固められているわけではないんです。
にがりとは塩化マグネシウムのことですが、天然由来のものと海水から塩化ナトリウムを分離させた、粗製海水塩化マグネシウム(別名・塩化マグネシウム含有物)という人工由来の2種類があります。
天然のにがりよりも生産性が高いことから、最近では硫酸カルシウム(すまし粉)やグルコノデルタラクトンなどの凝固剤を使うことが増えています。凝固剤は濃度の薄い豆乳でも固まるので、豆腐の大量生産に向いていますが、味は淡白な仕上がりです。
一方で、にがりは濃い濃度の豆乳でなければ固まりません。生産性が低いので価格は少し上がるかもしれませんが、その分味が濃くて大豆の風味を感じられる豆腐になります。豆腐の味にこだわりたいなら、凝固剤に何を使っているかチェックしましょう!
いかがでしたか? 食卓によくのぼる豆腐も、使い方で絹と木綿を使い分けたり、凝固成分を比べてチョイスしてはいかがでしょうか。