そもそもゲーミングキーボードってなに?
「ゲーミングキーボード」はその名の通り、ゲーム用に作られたキーボードです。
一般的なキーボードと比べて耐久性が高く、キーの入力反応が速いといった特徴があります。
また、マクロ(操作を記録する機能)やマクロキー(マクロの実行)、ゲームごとのキー設定を個別に記録できるなど、ゲーム攻略に特化した機能も備えています。
しかし、その分、一般的なキーボードよりも価格帯はかなり高めとなっています。
ちなみに、ゲーミングキーボードをゲーム以外で使う場合、高品質な普通のキーボードとして使えます。しかし、ゲームに特化しすぎている製品は、一般用途では使いにくい場合もあるので注意が必要です。
2023年4月発売の「UP-MKGA75-J」の実力は?
プリンストン
UP-MKGA75-J
実勢価格:2万5580円
サイズ・重量:W327.5×D136.5×H41〜49mm・960g ±50g
キー配列:日本語配列
バッテリー充電時間:約15時間
バッテリー駆動時間:約20時間(LED点灯)・約300時間(LED消灯)
今回検証する「UP-MKGA75-J」は、パソコン周辺機器メーカー「プリンストン」のゲーミングブランド「ULTRA PLUS」が発売したゲーミングキーボードです。
この製品は、2023年2月から3月の間にクラウドファンディングで支援者を集めましたが、目標額50万円のところ約315万円を集め、630%という非常に高い達成率で商品化されました。
満を辞して、2023年4月28日から一般発売が開始。
ということで今回は、一般発売前から多くの支持を集めている本機の実力を、PCやゲームに詳しいベテラン編集者の佐久間氏と『家電批評』編集部がユーザー目線でガチテストしてみました!
それでは、気になるテスト結果を見ていきましょう!
テスト1:キーレイアウトと筐体をチェック!
結果:コンパクトサイズながら余裕のあるキー配列で打鍵感が心地良い!
本機は、85個のキーが並ぶ、日本語配列の75%キーボード(75%は通常のテンキーレスキーボードを100%の大きさとした場合のサイズ)です。
一般的なテンキーレスキーボードよりも25%コンパクトですが、キーピッチはフルサイズキーボードと同じなので、快適なタイピングができます。
また、このサイズは、ゲームと一般用途が両立できるサイズとして人気を集めています。
小型化の代償として特殊キーが「Home」「Delete」「Page Up」「Page Down」の4つ(通常だと9つ)に減っていますが、使用頻度の低い(というか普通は使わない)キーなので、ゲーム以外の用途でも実用性に問題はありません。
実際に使用してみると、すべてのファンクションキーを備えつつ、カーソルキー周りにも余裕があるので、使い勝手は普通のテンキーレスキーボードとほとんど変わりません。
今回は日本語配列の「UP-MKGA75-J」をレビューしますが、英語配列のモデル「UP-MKGA75-A」(写真下)も用意されています。
ゲーム専用キーボードとしてストイックに使うなら、スペースキーの大きい英語配列もアリです。
筐体は、キースイッチが配置されたプレートを柔軟性のある素材(写真オレンジ色の部分)で挟み込む「ガスケット構造」を採用。
打鍵による衝撃と反発を抑え、心地よい打鍵感を得られます。
また、ガスケット構造は静音性にも一役買っており、カタカタと音がうるさい感覚はかなり軽減されています。
チルト(キーボードの脚)は収納時で約4度、スタンド1段階で約7度、スタンド2段階で約10度に設定可能。
また、側面から見るとキーの列に段差が付けられており、キートップに角度が付いていることがわかります。
キーの列とキートップがフラットな製品と比べて、指の収まりがよくスムーズに運指できます。
底面には計4個の大型ゴムパッドを備えています。
これに加え本機は約1kgと重量があるため、安定感があり、激しい操作をしても簡単に動くことはありません。
テスト2:ゲーミングキーボードの命「キー」をチェック!
結果:キートップは高品質で、メカニカルスイッチは1個単位で交換可能!
本機のメカニカルスイッチは、Gateron社の「Gateron Pro Silver」を採用。これは、接点が浅く高速入力が可能な「銀軸」に分類されるスイッチです。
銀軸は昨今のe-Sports界隈ではスタンダードになりつつあるスイッチで、多くのプロゲーマーが愛用しています。
実際に入力してみるとスイッチの潤滑性が高く、軽い力で押せるのでクイックに反応します。
スイッチはボックス型で、入力はなめらかでありながらも軸(ステム)はブレないという理想的な動きをします。
キーキャップは高品質のPBT樹脂製。安価なキーボードで採用されるABS樹脂製と比べて摩耗に強く皮脂によりテカりにくいです。
手触りは硬質で高級感があります。
また、PBT樹脂は熱に強いため、印字が消えない昇華印刷が可能。
昇華印刷は長期間使ってもキー文字が掠れて見えにくくなることがなく、本機のキーもこれを採用しています。
ちなみにキーキャップはメカニカルキー大手Cherry社の「Cherry MX」と互換性があります。
同製品に対応したキーキャップなら交換可能なので、一部のキーだけ色を変えたいといったカスタマイズが可能です。
スイッチは付属のツールで取り外すことができ、交換可能な「ホットスワップ式」。
Gateron Pro Silverはネット通販で5個から購入できるので、壊れたり反応が鈍くなったりしたら自分で交換修理できます。
また、一部のキーだけ青軸や茶軸といったアクチュエーションポイントや動作圧、クリック感の異なるキーに交換することも可能。
さらに、「Cherry MX」と互換性のある他社のスイッチにも交換できるのでカスタマイズの幅は無限大です。
「ESC」「スペース」キーはアクセントで黄色いキーが使われていますが、他のキーと同じ黒のキーも同梱されているので、好みで付け替えられます。
私のようなゲーム初心者にとっては、見た目を変更できる点も含めて、カスタマイズ性が高いのは◎です!
テスト3:接続インターフェースは使いやすい?
結果:邪魔にならない脱着式ケーブルの有線と無線の2系統で接続可能!
USBケーブルはパソコン側がUSB Type-A端子、キーボード側がType-C端子になっており、脱着可能。
ケーブルは布製の柔らかいパラコード仕様なので、取り回しの自由度が高いです。
無線接続する場合は、付属のUSBレシーバーをパソコン側に取り付けて使用します。
キーボード側のUSBケーブルはType-Cで脱着可能なので持ち運び時に非常に便利。
遠征や大会で持ち運ぶことが多いプレイヤーは重宝します。
端子部は少し奥まった構造で、これにより故障や抜け落ちをある程度防げます。
無線接続時に使うレシーバーはキーボードのUSB端子の下に収納されています。
使わないときはキーボードに戻せば紛失を防止できます。
無線接続のON/OFFはスペースキーの下にあるスイッチで切替可能。
また、スイッチが無線接続のONの状態でも、ショートカット操作でスイッチを変更することなく有線接続モードに切り替えることができます。
いちいちスペースキーを外さなくて済むので便利です。
テスト4:設定ソフトの使い勝手は?
結果:基本的な機能はすべてそろっています!
公式サイトで配布されている専用の設定ソフトを使えば、キーの入力設定、LED発光パターンの変更、マクロの設定などが行なえます。
このソフトで変更した設定はキーボード側に保存されるので、接続するパソコンが変わっても同じ設定で使えます。
設定ソフトはこのクラスのゲーミングキーボードとして基本的な機能はすべて備わっています。
音量調節とミュート操作が行える「ロータリーノブ」ですが、設定ソフトを使えばこれを使った入力も自由に設定できます。
例えば「Page Up」「Page Down」をここに割り当てれば、Webページのスクロールがノブ操作で行なえます。
ゲームだけでなく普段の仕事やブラウジングでも何不自由なく使えていいですね。
テスト結果とアピールポイントを総まとめ!
プリンストン
UP-MKGA75-J
実勢価格:2万5580円
サイズ・重量:W327.5×D136.5×H41〜49mm・960g ±50g
キー配列:日本語配列
バッテリー充電時間:約15時間
バッテリー駆動時間:約20時間(LED点灯)・約300時間(LED消灯)
▼テスト結果
総合評価 | キーレイアウト | キートップ&スイッチ | インターフェース | カスタマイズ性 | 価格 |
A | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | △ |
結論:ゲームだけでなく一般用途でも使えるカスタマイズ性の高い高性能キーボードでした!
本機は高いゲーミング性能を備えながら、一般用途でも不自由なく使える汎用性&携帯性の高い省スペースキーボードです。
「Gateron Pro Silver」による“スコスコ”というスピーディーな入力感と、PBTキーキャップとガスケット構造による高級感のある手触りと安定感。
総じて、打鍵感がとにかく気持ちいいです。
個々の構造や機能はゲーミングキーボードとして定番のものばかりですが、本機はそれらが全部入りに近いくらい盛り込まれています。
ただし、価格は高額で、かなり性能が近い海外製品と比べて実勢価格で2倍ほど。
ただ、日本語配列で国内サポートが受けられるという点は本機の強みです。
メンテナンス性&カスタマイズ性が高いので、長く使って元を取ると考えれば価格とも折り合いがつくのではないでしょうか。
最後にUP-MKGA75-Jのよかった点と残念だった点をまとめました。
▼よかった点
- 全体的に高級感がある
- 省スペースながら必要なキーはそろっている
- 採用しているメカニカルスイッチの品質が高い
- ホットスワップ可能でカスタマイズ性が高い
- 有線でも無線でも使える
▼残念だった点
- 実勢価格が高い
- キースイッチのバリエーションモデルがない
- テンキーレス、フルキーボードなどのバリエーションモデルもない
- Blutoothには未対応
以上、UP-MKGA75-Jの正直レビューでした。
魅力的な仕様でクラウドファンディングの支持率が納得の製品でしたが、特典である「早割」目的で支持が集まった部分も少なからずあるかと思われます。
価格さえ折り合いが付けば、性能と使い勝手は文句なしです。
ゲームと一般的用途を兼用できる省スペースな高性能キーボードを探している人は、検討してみてはいかがでしょうか。
非ガスケット構造のキーボードよりも、長時間使用した場合に指が疲れにくい感覚があります。