エレコム「VK300S」の実力をチェック!
エレコム
V custom VK300 TK-VK300SBK
実勢価格:1万3040円
サイズ・重量:W約322.4×D約124.7×H約36.2mm・約691g
対応OS:Windows 11/10/8.1
接続方式:USB有線
キー配列:日本語配列
キー数:71キー
キーピッチ:19mm
軸バリエーション:銀軸スピードリニア
アクチュエーションポイント:1.4mm
キーストローク:3.5mm
今回検証するエレコムから2022年9月発売のゲーミングキーボード「VK300S」は、同社のハイクラス・ゲーミングデバイス「ELECOM GAMING V custom」シリーズ(以下、V custom)の製品です。
「Logicool」「Razer」「SteelSeries」といった海外メーカーがひしめくこのジャンルにおいて、本機は競い合えるクオリティを持っているのか?
家電批評編集部とパソコンに精通したプロが忖度なしでチェックしました!
チェック1:キーレイアウトと筐体の扱いやすさは?
結果:小さくてもキーが打ちやすいゲーム特化型でした!
本機は、71個のキーが並ぶ、独自日本語配列の65%キーボードです。
ちなみに65%とは、ゲーミングモデルにおけるテンキー・ファンクションキー・一部の特殊キーを省略したタイプを指します。
ということで、本機からは、一般的なキーボードにある「F1」から「F12」のファンクションキーに「半角/全角」「かな」「変換」「無変換」「アプリケーション」など、FPS(一人称視点のシューティングゲーム)やTPS(三人称視点のシューティングゲーム)であまり使用しないキーが省略されています。
そのため、一般的なテンキーレスキーボードよりもかなりコンパクトで手軽に持ち運べるため、省スペース性に長けています。
コンパクトになったことの影響か、カーソルキー周辺のクセのある配列に慣れが必要だったりしますが、キーピッチ(隣り合った2つのキーの中心から中心までの距離)はフルサイズのキーボートと同じなので、タイピングは快適です。
ちなみに、省略されたキーは「Fn」キー同時押しで他のキーに割り振られているほか、設定アプリで既存キーに割り当てることも可能。その際に使用する交換用のキートップも付属しています。
ケースは表面マット加工、側面は光沢加工のプラスチックです。
最近のゲーミングキーボードは、掃除しやすいアルミ製トッププレートの製品が多いのですが、掃除しやすさでは劣る反面、プラケースにはキーの端に指が引っかからない利点があります。
底面には、角度調節のチルトスタンドと滑り止めのゴムが付いています。
滑り止めは力が入ると平滑な卓上では動いてしまったので、滑りやすいデスクでの操作時は大型マウスパッドの使用をおすすめします。
チェック2:打鍵感やメカニカルスイッチの質は?
結果:高品質なメカニカルスイッチとキートップの独自加工が光る!
キーボードの打鍵感を決めるメカニカルスイッチは、エレコム「VK300」シリーズの場合、以下の3種類から選べます。
- 青軸…クリッキー(強いクリック感)
- 茶軸…タクタイル(静音性と押し感の両立)
- 銀軸…スピードリニア(接点が浅く高速入力が可能)
今回は銀軸搭載モデルをレビューします。
ちなみに、メカニカルスイッチには、「Cherry」「Kailh」などのスイッチメーカーのものと自社開発のものがあるのですが、本機のスイッチはその刻印から「TTC」の製品だとわかりました。
TTCは品質の高さに定評があり、パートナー企業には「RAZER」「SteelSeries」「CORSAIR」「ROCCAT」など、ゲーミングデバイスではお馴染みの海外メーカーが名を連ねています。
ただ、調べると市販TTCと本機の銀軸とでは、キーストローク(キーが底付きするまでの深さ)、アクチュエーションポイント(キーの動作点)、スイッチ軸の形状が異なるので、本機のためにオーダーした可能性がありますね。
アクチュエーションポイントや打鍵感について
本機のキーのアクチュエーションポイントは1.4mmとやや深め。普段から1.0mmくらいのキーに慣れている人には、反応速度的に物足りないかもしれませんが、ピーキーすぎない分、銀軸のエントリーユーザーには使いやすい設定です。
打鍵音はキーが底付きした際に発生しますが、打鍵圧が強すぎなければ許容レベルです。
打鍵自体は引っかかりがなくスムーズに行なえ、戻りの速さも良好。他社の銀軸モデルと比べて遜色ありません。
感動レベルだったキートップへのこだわり
キートップには指の収まりとキー間の運指を考慮に入れたくぼみが付いています。しかも、キーによってくぼみの深さが異なるというこだわりよう。
例えば、指を上下に動かす必要のある中央の段のキー(「A」の横列)はくぼみが浅く、上段のキー(「Q」の横列)は上部のくぼみが若干深いといった感じです。
これはかなりの注目ポイントですね。
チェック3:接続インターフェースは使いやすいか?
結果:邪魔にならない脱着式ケーブルと遅延対策済みのUSBポートが優秀!
USB接続の有線キーボードである本機のUSBケーブルは、パソコン側がUSB Type-A端子、キーボード側がType-C端子になっていて、脱着が可能です。
脱着式なので持ち運び時にケーブルが邪魔にならないのは、非常にありがたいポイント。
ケーブル自体も布製の柔らかいパラコード仕様なので、取り回しの自由度が高めです。
しかし、持ち運びに非常に便利な一方で、キーボード側の端子はUSB Type-Cで小型かつ物理的な圧力に弱いので、ケーブルを接続したまま持ち歩いたり、乱暴に抜き差しをすると、接点が基板から浮いてしまい故障の原因になります。
端子の持ち手ごと筐体に差し込む構造だと接点が保護できるのですが、本機は接点が剥き出しなので、扱いには注意が必要です。なお、パソコン側との接続は一般的なUSB Type-Aです。
また、キーボード上部にはUSB Type-Aポートを1基備えていて、マウスなどのUSB機器が接続可能です。
ちなみに、このポートにはゲーミングマウスとの接続を想定して、電磁波によるノイズをブロックするECM対策と遅延対策が施されています。
実際に試してみましたが、体感レベルの遅延は感じませんでした。
チェック4:カスタマイズ性は優秀か?
結果:グリップ強化&ブラインドタッチ快適化に使えるグリップシートに注目
本機には、キートップに貼るための「グリップシート」が付属しています。
これを使えば、キートップのグリップ力を飛躍的に向上させるとともに、指ざわりで他キーとの差別化が図れるので、ブラインドタッチでも操作キーを見失いません。
ただし、グリップシートでキーの刻印が見えなくなるという欠点もあるので、使い所には少し注意が必要かもしれません。
グリップシートは単体でも購入できるので、劣化したら買い替えも可能です。
各種キーの役割は専用アプリ「EG Tool」で設定できます。
ボタン操作の入れ替えや、キーボードキーの割り当て、解像度設定などが可能です。
使わないキーは専用アプリで役割を変更し、予備のキートップに付け替えることもできます。
専用アプリで設定した内容は複数登録でき、ゲームごとに使い分けられますが、ゲームの起動に合わせてプロファイル(設定)を自動的に切り替える機能はありません。
ちなみに、このアプリはエレコム製のゲーミングキーボードVKシリーズと共通の設定ツールなので、キーボードとマウスをエレコム製で揃えると設定ツールの使い分けが必要なくなります。
シリーズ名が「V custom」であるように、本機はハード&ソフトの両面でプレイヤーの好みやゲームに合わせた細かなカスタマイズが可能なのです。
FPS・TPSを快適プレイ&デスク周りをコンパクトにまとめたい人にはおすすめ
本機をひと言で表すと「FPS(一人称視点のシューティングゲーム)・TPS(三人称視点のシューティングゲーム)のプレイに特化した携帯性の高い省スペースキーボード」。
一部キーの省略により、文字チャットや多くのキーを使う「MOBA」(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ)やMMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)での使用には、あまり適していません。
また、1万3000円前後のゲーミングキーボード界隈には、有線・無線の両対応製品や反応速度に優れたオプティカルスイッチを採用した製品もあり、競争が激しい価格帯です。
しかし、それよりも「FPSやTPSを快適に楽しみたい!」や「デスクまわりをコンパクトにまとめたい!」そんな気持ちを優先したい方には、魅力的な選択肢となると思います。
テスト結果とアピールポイントを総まとめ!
エレコム
V custom VK300 TK-VK300SBK
実勢価格:1万5980円
サイズ・重量:W約322.4×D約124.7×H約36.2mm・約691g
対応OS:Windows 11/10/8.1
接続方式:USB有線
キー配列:日本語配列
キー数:71キー
キーピッチ:19mm
軸バリエーション:銀軸スピードリニア
アクチュエーションポイント:1.4mm
キーストローク:3.5mm
▼テスト結果
総合評価 | キーレイアウト | キートップ | インターフェース | カスタマイズ性 |
A | ○ | ◎ | ○ | ○ |
最後にエレコム「VK300S」のよかった点と残念だった点をまとめました。
▼よかった点
- 省スペースで机の上でも持ち運び時も邪魔にならない
- ゲーミング用途として十分な品質のメカニカルスイッチとレポートレート(1秒間の情報通信回数)を持っている
- ケーブルが脱着式で周辺機器を接続できるUSBポートを備えている
- グリップシートと専用アプリで自分好みのカスタマイズが可能
▼残念だった点
- FPSやTPS以外のゲームに向いていない
- ファンクションキーがなく、右側のシフトキーが使いにくいのでちょっとした文字チャットにも強いストレスを感じる