お米は甘く、煮物は崩れない 一家に一台「ホーロー鍋」がおすすめです
今人気のあるホーロー鍋の多くは鋳物(いもの)という素材で出来ています。この鋳物は重い素材のため、使い勝手の面で言えばマイナスなように感じますが、実はこの「重さ」が調理に役立つ最大のメリットです。
重さのある鋳物は、加熱すると食材にゆっくりと熱が伝わります。すると食材の表面の組織は強度を増し、煮崩れしない上に火が均一に入るため、熱の入りにムラがなく美味しく仕上がるのです。
また、ホーロー鍋は普通のお鍋と違い、表面をガラスコーティングしているためニオイや汚れが付きにくいという特徴もあります。調理後の面倒な洗い物もラクになり、さらにサビに強く長持ち、頑丈で耐久性バツグンと、上手に使えば一生ものになリ得る代物なのです!
「煮込む」「炒める」「無水調理」「炊く」の 4つの調理方法で仕上がりを比較!
「煮込む」:野菜・鶏肉のやわらかさと味を比較
野菜と骨付きの鶏肉を煮込み、やわらかさと味を比べました。また、大根を使って味の染み込み度まで徹底的にチェックしています。
「炒める」:牛肉で焦げや張りつき具合を確認
油を敷いた鍋で薄切り牛肉を炒め、鍋底の張りつきや焦げつきを比較。洗いやすさもしっかり確認しました。
「無水調理」:野菜と魚の味や型崩れをチェック
野菜と魚に50mlの水を加えて沸騰させ、その後弱火で10分放置。5分蒸らしてを型くずれや火の通りを比較しました。
「炊く」:炊きあがったお米の味を評価
それぞれの鍋に同量のお米と水を入れ、沸騰させたのち弱火で10分放置、10分蒸らして味を比較しました。
高くてもやっぱり別格クラス! 米も煮込みも「ストウブ」なら完ペキ
ストウブ
ピコ・ココット・ラウンド 20cm
実勢価格:1万6900円
下の検証結果を見てもおわかりのとおり、どんな料理もほぼカンペキにこなすストウブ。今回の検証では弱点らしい弱点が見当たりません。お値段は格安のIKEA製品などと比べるとそれなりにしますが、一家に一台として選ぶなら安心できる品質です。
鶏肉、野菜、大根の味の染み込み具合と、すべての点において非常に優秀でした。
内側は独自の加工をしているため、張り付きや焦げが気になりません。スムーズに炒めることができました。
どっしりと重いフタが密閉力を高め、水分を逃がすことなくすべての食材がおいしく仕上がりました。
普通においしいごはんが炊けます。しかも、鍋底にごはんが張り付かずキレイに取れました。
重さはシャスールと同じですが、持ち手が広いので軽く感じます。
重いフタで無水調理がバツグン! 煮物は「バーミキュラ」にお任せ
バーミキュラ
オープンポットラウンド 22cm
実勢価格:4万800円
究極の無水調理で話題になったバーミキュラだけに、煮込みと無水調理はバツグンのおいしさを発揮。炒めたりごはんを炊いたりはやや結果が振るいませんでしたが、煮物なら安心して任せられそうです。
鶏は骨の肉離れがよく美味しくできました。ストウブに比べると、大根の味染みは少し劣りましたが、ほかの野菜も甘みがあっておいしく、高評価です。
肉が張り付いて炒めづらく感じました。また、焦げ付きやすく、それを洗うのにもひと苦労です。
フタはストウブと似ています。多少の吹きこぼれがあるものの仕上がりには大満足です。
ちゃんと炊けてはいますが、味はあと一歩。ごはんのこびりつきが多いのも残念です。
持ち手の幅は広いですが、フタと本体両方に持ち手があるので同時には持ちづらかったです。
「ル・クルーゼ」の最大の魅力 甘くてツヤツヤ、ごはんが美味しい!
ル・クルーゼ
ココット・ロンド 20cm
実勢価格:2万2656円
ほとんどの調理で安心の仕上がりを見せたル・クルーゼの最大の魅力は、つやつやのおいしいごはんが炊けること。これは、お米が美味しく炊き上がるために最適な火力と水分を、鍋の中に常に維持させることができるからです。試食をお願いしたプロも「香りや甘みが一番感じられる」と絶賛でした。
肉も野菜もバランスよくやわらかくなるほか、大根の味染みがバツグンで美味しく頂きました。
少し焦げたり張り付きは見られましたが、すぐにはがれるので気になりません。
火の通りが悪く、仕上がりにムラが出ました。とくに根菜類は生のような硬さで美味しくありません。
ごはんの粒が立ちツヤツヤ。舌触りもよく甘みもばっちりと、文句なしの美味しさでした。
加工がよいのか鍋の焦げや張り付きが落ちやすく、洗うのが楽です。
カラバリ豊富は大きな魅力 でも、価格の割に調理結果はもう少し
シャスール
ラウンドキャセロール 20cm
実勢価格:2万3760円
正直、突出した性能のよさはないものの、どの調理もひととおりこなせます。長所はかわいいカラーが豊富なことと、今回、数値には出してませんが保温力が高いこと。このあたりを重視するなら選択肢に入れるのもアリです。
肉に硬さが残ってしまっただけでなく、野菜も染みが浅く、今ひとつの味です。
張り付きと焦げが目立ち、炒めにくかったです。焦げが比較的落としやすいのが幸いでした。
レンコンに硬さが残るなど、イケア同様、素材によって仕上がりに差が出ました。
ごはんの味は甘みが感じられ味は合格点。ただ、ごはんが底に張り付くのが少し気になりました。
持ち手が狭く、指が3本しかかからないため持ちづらいです。力が使えない分、実際の重さより重く感じます。
6000円以下の格安「IKEA」は ご飯が苦手なのが残念
(画像をクリックすると購入ページへ移動します)
イケア
SENIOR 24cm
実勢価格:5999円
今回検証したホーロー鍋では2番目の安さの「SENIOR」はストウブやバーミキュラなどと同じで、ちゃんと「鋳物」でできています。それを考えると破格の安さですが、炒める以外の性能はそこそこ。とくにごはんを炊く人にはオススメできません。
肉も野菜も若干の硬さは残りますが、味は合格です。
肉が焦げることなく、張り付きも見られませんでした。炒める能力はトップクラスです。
やわらかい野菜は見た目もキレイに仕上がりました。ただ、レンコンなどの根菜は硬さが残ってしまいました。
ごはんが固く、芯も残っていてきちんと炊けていません。熱の通りが均一ではない印象を受けました。
マット加工されており、汚れは落ちやすいです。内側が黒いため、焦げが目立たない点も高評価でした。
C評価: ムラが出てしまった「富士ホーロー」
価格と使いやすさは魅力です
富士ホーロー
BMS ハニーウェア ビームス 20cm
実勢価格:2520円
高級な鋳物ホーロー鍋と違い、鋼板から作られているので、全体的に火が通り過ぎてしまう欠点があります。でも、鋳物に比べて圧倒的に軽く扱いやすく、安くて気軽に購入できるので、料理の腕に自信がある人にはアリかもしれません。
鋳物ではないため火の通りが早く、煮崩れや煮込み度合いにムラが出てしまいました。
張り付きは少しありますが、すぐにはがれるので問題ありません。ただ、焦げが落ちにくいので洗うとき大変かも。
もともと無水調理ができる鍋ではないので、水分がなくなり食材が焦げる寸前に。ちょっと無謀でした。
火の強い部分は熱が伝わりすぎてごはんが焦げてしまいました。水分が失われ、ふっくら感もなしです。
指は3本しかかかりませんが、重さ1.5kgと圧倒的な軽さで持ちやすさ抜群です。