Aladdin X 対アンカー!シーリングプロジェクターはどっちを買うべき?
2018年に登場した「popIn Aladdin(初代)」は、プロジェクターにつきものだった、設置場所の確保が難しい、配線が邪魔になるといった問題を解決。工事不要でプロジェクターを天井に設置できてワイヤレスという、プロジェクター史に残る革新的な製品でした。
その後、フルHD化を果たしたAladdin X「popInAladdin 2」に進化し、手軽なホームシアター製品として知名度も高まっています。
ところが、ついにアンカーから競合製品の「Nebula Nova」が登場。同タイミングでAladdin Xは「popInAladdin 2 Plus」を投入し、輝度のアップなど高性能化を図ってきました。とはいえ、スペック面は一長一短で、決定的な違いはありません。
そこで、本音の家電ガイド『家電批評』では、どちらがおすすめなのかアンカー「Nebula Nova」とAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」を徹底的に比較しました。
そもそもシーリングプロジェクターって?
引掛シーリングから給電する
プロジェクター付属の引掛シーリングキャップを天井のソケットに取り付けます。ここからプロジェクターに給電される仕組みです。
設置時はちょっと大変
プロジェクターは5kg近くあるので、設置作業は慎重に。脚立必須です。シーリングキャップへの押し込みが緩いとぐらつくので力を込めて確実な設置をしましょう。
夜はプロジェクターになる
シーリングプロジェクターが本領を発揮するのは夜間。リモコンで照明を消し、プロジェクターのスイッチを入れれば、壁一面の大画面に映像が表示されます。まさにおうちシアターです。
照明として使用できる
プロジェクターの底面はシーリングライトなので、照明として普通に使えます。ただ、「popIn Aladdin 2 Plus」と「Nebula Nova」とでは照明としての性能に差がありました。
シーリングプロジェクターはカジュアルな使用がおすすめ
▼シーリングプロジェクターと既存のプロジェクターの特徴の違い
シーリングプロジェクターは、配線を張り巡らせる必要がなく、手軽に投影できるのが魅力。既存のプロジェクターと比べると拡張性は少なめで、カジュアルに使う目的に適しています。
Aladdin Xとアンカーのシーリングライトを比較
テスト結果の前に、まずはそれぞれの基本性能や特徴を見ておきましょう。
Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」
Aladdin X
popIn Aladdin 2 Plus
実勢価格:10万9800円
【SPEC】
サイズ:約φ476×H145mm
重量:約4.9kg
プロジェクター:0.33 インチ 1080p DMD、DLP
輝度:900ANSIルーメン
最短投影距離:40インチ@0.85m
最長投影距離:120インチ@2.09m
フォーカス:マニュアル
台形補正:水平40度、垂直40度
照明:最大4300lm(8畳程度を想定)
レンズシフト:0~32度
ファンの駆動音:35〜37db程度まで(※1)
OS:Android 9.0ベースの独自OS
RAM:2GB
ROM:32GB
スピーカードライバー:8W+8W
オーディオ:Dolbyオーディオ(Harman Kardon)
Wi-Fi:IEEE 802.11b/g/n/ac/ax
スマホからのミラーリング:AirPlay/Miracast(※2)
※1:ファンの駆動音は端末から1mの距離で測定した場合
※2:動画配信アプリなど、一部コンテンツはDRM(著作によりAirplayは非対応)
2022年6月下旬発売のAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」は、初代のpopInAladdinからすると3世代目のモデルになります。
「popInAladdin 2」の700lmから900lmに輝度が向上、高速起動モードの搭載や、Wi-Fi6、Bluetooth5.0対応などのアップデートが行われています。
セットアップは親切
Aladdin X「popInAladdin 2 Plus」はフォーカスも台形補正も手動。丸いフォーカス指標がシャープに見えるまでリモコンを使ってフォーカスを調整します。
画面サイズ(インチ)を手軽に測る機能があり、便利です。
アンカー「Nebula Nova」
アンカー
Nebula Nova
実勢価格:9万9990円
【SPEC】
サイズ:約φ478×H170mm
重量:約4.7kg
プロジェクター:0.33 インチ 1080p DMD、DLP
輝度:800ANSIルーメン
最短投影距離:40インチ@0.85m
最長投影距離:120インチ@2.09m
フォーカス:自動
台形補正:マニュアル
照明:最大6100lm(14畳程度を想定)
レンズシフト:0~32.7度
ファンの駆動音:約35〜50dB
OS:Android TV 9.0
RAM:2GB
ROM:16GB
スピーカードライバー:10W×2(20W)
オーディオ:Dolbyオーディオ
Wi-Fi:802.11a/b/g/n/ac
スマホからのミラーリング:Chrome Cast/AirPlay(AirScreen実装)※Netflix非対応
※ファンの駆動音は端末から1mの距離で測定した場合
2022年4月に発売されたアンカー「Nebula Nova」。シーリング設置のプロジェクターでははじめてAndroid TVに対応。つまり Google Playから好みのアプリをインストールできます。
ほかには、照明として明るいこと、オートフォーカス対応などが「popIn Aladdin 2 Plus」に対する優位性といえます。安いことも見逃せません
「popIn Aladdin 2 Plus」にはできないオートフォーカス搭載
アンカー「Nebula Nova」の特徴はオートフォーカス。毎回起動時にピントの補正が入ります。
台形補正は手動。この機能があるため、斜め投影も可能です。
さて、ここからは「設置」「画質」「音質」「照明」の基本性能のテスト結果を順に解説していきます。
【設置】狭い部屋での斜め投影はややAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」が有利
2製品とも投影距離はスペック上同じですが、斜め投影ではわずかな違いが生じました。壁からシーリングまで約135cmでは少しAladdin X「popInAladdin 2 Plus」が大きく投影できました。
正面投影のテスト結果
▼Aladdin X「popInAladdin 2 Plus」
投影距離180cmで約100インチ、下方シフト量100cm
▼アンカー「Nebula Nova」
投影距離180cmで約100インチ、下方シフト量108cm
設置時には上下の投影位置調整も重要。実測ではアンカー「Nebula Nova」のほうがより下方に映像をシフトできますが、Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」のほうがより上方へシフトできました(写真ではほぼ差がないように見えます)。
斜め投影のテスト結果
▼Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」
投影距離135cmから右にシフト約72インチで表示
▼アンカー「Nebula Nova」
投影距離135cmから右にシフト約68.2インチで表示
正面投影から壁の右端に映像が接するように斜め投影し、台形補正で歪みを補正しました。実測ではAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」の方が投影位置を上げられる分、大きく表示できたようです。
【画質】専門家の判定はAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」がわずかに有利
Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」のテスト結果
【評価】
- 暗い部屋での視聴:6/10点
- 明るい部屋での視聴:8/10点
- 合計点数:14/20点
暗い部屋での視聴は、Aladdin X「popIn Aladdin 2」と比べると輝度の向上を実感。ただし照明がついた状態での使用はまだまだオススメできません。
明るい部屋で映画を観ると、きちんと黒が締まり質感もでていました。120インチ程度のフルHD映像としては解像度は十分です。
アンカー「Nebula Nova」のテスト結果
【評価】
- 暗い部屋での視聴:7/10点
- 明るい部屋での視聴:6/10点
- 合計点数:13/20点
Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」より輝度は低いですが、輪郭強調気味の画質が功を奏して、Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」よりやや見やすいです。
明るい部屋での視聴は暗部の締まりが足りず黒浮きがあります。ノイズ処理が強めかつ輪郭強調で質感が損なわれがちでした。
ただし、アンカー「Nebula Nova」はHDR映像に対応
▼Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」
▼アンカー「Nebula Nova」
映像表現はAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」が巧みですが、アンカー「Nebula Nova」はHDR対応という特徴があります。
YouTubeでHDR対応の動画を再生すると、非対応のAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」は白飛びしたうえに解像度が720p止まりになってしまいました。
どちらも画質調整はやりにくい。メニューが豊富な「popIn Aladdin 2 Plus」のほうがマシ
両製品ともホーム画面に戻って画質調整を行わなければいけません。ただ、プリセットがないアンカー「Nebula Nova」よりプリセットが選べ、高輝度モードも存在するAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」のほうが使い勝手は上です。
【音質】サウンドを気にする人はどちらにも不満が残る
Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」のテスト結果
【評価:5/10点】
Aladdin X「popInAladdin 2 Plus」は前モデルの時点で「音が自然に広がる感覚」があり、中低音に厚みがあるため声もそこそこ聴きやすいです。Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」は低音が増強されており、より迫力が増しています。
ただし、各音域の質や解像感はスピーカーとしては物足りません。
アンカー「Nebula Nova」のテスト結果
【評価:5/10点】
低音寄りのバランスで映画視聴には迫力があり、音の広がりもあります。
しかし、中高音域の再現性が低いため総合的にはAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」と同レベル。アンカー「Nebula Cosmos Max」で映画視聴に満足できるスピーカーを実現できているだけにアンカー「Nebula Nova」には期待していたのですが……。
音質改善には若干の遅延は許容して、Bluetoothスピーカ−を使いましょう。
【照明】明るさは劣るものの使い勝手はAladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」
【評価】
- Aladdin X「popInAladdin 2 Plus」:5/10点
- アンカー「Nebula Nova」:4/10点
輝度を最大にして最も寒色寄り・暖色寄りの状態で撮り比べたのが上の写真。アンカー「Nebula Nova」のほうが明るく、リビング向きです。
しかし、Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」はプリセットを自由に4つまで選べるうえ、リモコンで明るさ切り替えと照明オン/オフスイッチが独立しており、操作性でまさっています。
基本性能のまとめ:画質や音質でAladdin X「popInAladdin 2 Plus」が優勢でした
以上のテスト結果から、基本性能のまとめです。
プロジェクターとしての基本機能をAV評論家の折原さんとチェックしたところ、どちらの製品も昼間使うには向いていないという結果になりました。
800〜900ルーメンでカーテンを閉めても昼間は「You Tubeが限界」というレベル。また照明一体型ですが、明るい照明をつけて動画を観ることも難しいです。
というわけで、部屋を暗くして映画などを視聴してみると、Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」がアンカー「Nebula Nova」よりコントラストが強く色や明るさの制御が映画向きだとわかりました。
一方、アンカー「Nebula Nova」はレンズ性能が高いうえ、画像処理も輪郭強調気味でクッキリ感が強い映像になるので、テレビ番組やYou Tubeなどを主体に観るなら適しているといえそうです。
以上、Aladdin X「popIn Aladdin 2 Plus」とアンカー「Nebula Nova」の基本性能の比較結果でした。
次回は、「操作性」「拡張性」について検証した結果と、それらから使い勝手のまとめをレビュー。そして、どちらがおすすめなのか結論をお届けします。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
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「popIn Aladdin 2 Plus」の映像処理は「ホームシアター」として通用するレベルでした。