生活がラクになる!"ヒット家電"は買っても良い?
コロナウイルスの影響で日常が大きく変わりました。「もっとこうしたい」「ここがラクになれば」といった新しいニーズに応えるさまざまな“ヒット家電”が生まれています。そこで、生活をラクにするそんなアイテムを本当に買っていいのか、テストとプロの目線でジャッジしました。
今回は、スマホで食材の温度をリアルタイムに管理でき、出来上がりのベストタイミングがわかる「Weber」のスマート電気グリルの検証レビューをお届けします。
日本初のスマート電気グリル Weber「Pulse 1000」
Weber
Pulse 1000 electric grill
実勢価格:5万9990円
サイズ:W605×D650×H680mm(ふたを開いた状態)、W605×D540×H330mm(ふたを閉じた状態)
重量:13.92kg(フルセットの状態)
燃料タイプ:電気式
電力:1300W/100V
IoT化は調理家電でも一大トレンドです。さらに、昨今は“おうちでアウトドア”ブームも続いています。そこで気になったのが2021年3月に発売された、このスマート電気グリルWeber「Pulse 1000 electric grill」です。
スマホで肉をはじめ、食材の温度管理ができるBBQグリルです。ふたの内側が反射板になっており、均等に熱が行き渡るうえ、最高316℃までの調理が可能となっています。
使用してみると、スマホの指示どおりにするだけで、専門店みたいなステーキが短時間で焼けてビックリ!
しかも電気式なので、炭やガスなどの燃料の用意はいらず、セットも簡単です。
スキル不要でプロ級ステーキに! 新しいポイント3つ
スマホで簡単に高温調理ができる、このスマート電気グリル。Weber「Pulse 1000 electric grill」の注目すべき新しいポイントはこの3つです。
新しいポイント1:下準備から調理までスマホにお任せ!
専用アプリ「Weber Connect」で、食材や作りたい料理、肉の厚みなどを指定してメニューを選びます。
下準備から出来上がりまで、次にすべきことと最適なタイミングがスマホを見るだけでわかります。
手とり足取り教えてくれるので、やり忘れもナシ。肉をひっくり返すときなどはスマホに通知が来るので、そばにいなくてもOKです。
新しいポイント2:プローブ・グリル本体・スマホの連携
食材の中心温度を測る「プローブ」を肉(食材)の中央に差し込みます。
さらに、「プローブ」とグリルを連携します。
Wi-Fiでスマホとグリルを連携しているため、グリル・食材の内部温度をスマホで確認できます。
ふたを開けなくても、グリルの中が一目瞭然です。
新しいポイント3:リアルタイムに1℃単位でモニタリング
目標温度と現在の温度の変化を、リアルタイムにスマホで確認できます。
レシピにないものの調理や、絶妙な火加減にしたいときでも温度がわかれば食材の状態がわかるので、失敗がありません。
検証1:誰でもおいしくステーキは焼ける?
「スマホで焼く」という新発想の調理方法を体験できるWeber「Pulse 1000」。本当に指定したメニューどおりの仕上がりになるのか、実際にステーキを焼いて検証してみました。
検証結果:ステーキ(ミディアム)
▼検証結果
・表面
・断面
味 :S
信頼性:A
ステーキ(ミディアム)は、香ばしくてジューシー。肉のポテンシャルが引き出されています!
ちなみにステーキレシピは豊富にあり、レシピどおりの肉の厚さを選ぶと失敗が少ないです。
このグリルはアメリカンな仕様で厚みのある肉の使用が前提。先にレシピを見て、それにあった厚さの肉を購入しておくのがおすすめです。
検証結果:ステーキ(レア)
▼検証結果
・表面
・断面
味 :A
信頼性:B
ステーキ(レア)の目標温度は35℃でしたが、実際は37度になってしまいました。目標温度よりも上がりすぎて、やはり仕上がりはレアではなく、ミディアムレアでした。
レアで仕上げたいときは、アプリの指示より早めの終了がよさそうです。
なお、食材の中心の温度がわかるということは、食材の状態がわかるということ。好みで終了時間を微調整するのは難しくないですし、調理を大失敗することはないと思います。
検証2:牛肉以外の食材もおいしく焼ける?
続いて、牛肉以外でもおいしく焼けるのかを確かめるべく、ラム肉や魚、野菜を調理してみました。
検証結果:骨付きラム肉
▼検証結果
・表面
・断面
【評価】S
今回のテストでプロが最も絶賛したのが、この骨付きラム肉です。温度も仕上がりもパーフェクト。
アプリの指示どおりで感激ものの仕上がりになりました。なお、食材の仕上がりの温度もアプリの目標温度どおりという、見本のような結果でした。
特にラムは絶品でした。これが家で楽に作れるのはいいですね!
検証結果:魚(本マグロ)
▼検証結果
・表面
・断面
【評価】A
こちらもステーキ(レア)と同様、火が通り過ぎでした。ただ、Weber「Plus 1000」がアメリカの製品のため、レシピも海外仕様だからという可能性があります。
味は良かったものの、日本人の感覚だと、マグロの塊肉は「たたき」のように表面をあぶったくらいがベストですよね。
プロによると、「メカジキやビンチョウマグロを使うとよりおいしいはず!」とのこと。早めに終了でリトライしたくなりました。
検証結果:野菜
▼検証結果
・表面
・断面
【評価】A
レシピにはないので、グリルに入れておいただけです。
おすすめなのが、パプリカと玉ねぎの丸ごと焼き。一般的にはカットして焼かれますが、絶対に丸ごと焼くのを推奨します。香ばしくて甘く、超ジューシーで絶品でした!
掃除や片付けはどうやるの?
パーツはすみずみまで掃除できますが、網が重いうえかさばるので、毎回片付けるのは大変だと感じました。
キッチンやガレージなどで、組み立てた状態のまま置きっぱなしにできるならいいかもしれません。
ただ、本体は重くはないので、網と本体を別々に運べば女性でも問題なく移動させられます。
【まとめ】アウトドア好き、肉好きなら買う価値あり!
さいごに、Weber「Pulse 1000」のよかった点と残念だった点をまとめてみました。
【総合評価】A-
▼よかった点
・とにかく味がいい
・調理がラク
・使っていて楽しい
・いろいろな食材に使える
▼残念だった点
・調理家電としてかさばる
・準備片付けは少し手間
・室内では煙が多すぎ
Weber「Pulse 1000 electric grill」は、もともとアメリカの家電なので大きいサイズ感なのと、分厚い肉の使用が前提です。また、接続が切れると華氏(°F)になり、いちいち摂氏(℃)設定に戻すのがちょっと面倒でした。さらに、煙がけっこう出るので、室内で使う場合は排気にかなり気をつかいます。
とはいえ、手軽においしいBBQができるというふれこみは本当で、間違いなく新体験でした。安い肉を使っても、ポテンシャルがひきだされて、そうと思えないランクアップした味になったのは感動です。
少々値は張りますが、アウトドア好きの方や肉好きの人は買う価値ありですよ!
以上、Weber「Pulse 1000 electric grill」の検証レビューでした。
『家電批評』2021年6月号
晋遊舎
『家電批評』
2021年6月号
実勢価格:700円
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