待望のソニー製ワイヤレスイヤホンまずは基本ディテールをチェック
ソニーらしいメタリックなデザインのカナル(耳栓)型のイヤーピース。フィット感は初期状態でも申し分なく、好みに応じてカスタマイズすることも可能です。
ソニー(Sony)
WF-1000X
実勢価格:2万1321円
質量:本体のみ(左右各)約6.8g、充電ケース 約70g
充電時間:本体約1.5時間、充電ケース約3時間(フル充電)
前後左右のディテールはこんな感じ。
装着したときに見えるのはシルバー面のみです。
ネットでも話題の最新モデルWF-1000は早くも入荷待ち状態といわれていますが、はたしてAirPodsの対抗馬となりえるのでしょうか? その実力やいかに!?
ソニーWF-1000と「AirPods」音質の違いをプロが徹底比較
音のプロであるTOS株式会社東京音研放送サービスの原田氏にご協力いただき、ソニーに一番期待されている音質をチェック。
高音~中音~低音までの音の領域はもちろん、遮音性やタッチノイズ、イヤホンの装着感や形状安定まで、AirPodsと徹底比較しました。
TOS株式会社東京音研放送サービスの原田氏は、少しの違いも聴き逃さない音のプロ。
先に結果を述べてしまうと、プロの耳による試聴でも、ソニーのWF-1000Xの音質は非常に高評価。「最近のBluetoothイヤホンの進化はすごい!」と、唸るほどのクオリティでした。
ソニーはバランス良く高水準の音AirPodsはやや歪みがあるも音質は十分
ソニーのWF-1000Xで一聴した瞬間に感じたのが、AirPodsよりも厚みのある音。カナル(耳栓)型という構造もあり、AirPodsでは不満に感じることもあった低音がしっかりと出ていることがわかります。
【総合点74.0ポイント】
カナル型ということもあり、AirPodsに比べると音の厚みは段違い。「低音は締まりがあり十分、中~高音域は出過ぎず、うるさくないところがいいですね。単品で評価すればバランスのよいイヤホン」と、プロも大絶賛でした。
一方のAirPodsは……、
【総合点65.0ポイント】
「やや歪みっぽいところはあるものの、左右の広がり感はあります。低音は少し緩めではありますが十分に出ていて、多少中音域が多い印象」と、ソニーに比べればやや点数は落としたものの、悪くはない評価でした。
音「は」いい! さすが!でも、ココは頼むよソニーさん
今回音質的にはAirPodsよりも高い評価となったソニー。しかし、どうしても残念なところがあったのも事実です。せっかくの良質な音を最大限に活かせるよう、次回のアップデートの際に期待したいポイントとして、3つにまとめてみました。
[頼むよ①]動画の遅延が大きすぎて「声が…遅れて…聞こえるよ」
とにかく一番気になったのが「遅延」。音楽を聴いている分にはとくに気になりませんでしたが、映像が絡むとその差は一目瞭然。YouTubeを観るとセリフと口の動きがまったくリンクしないほど、ハッキリと遅れがありました。
YouTubeの音は「遅れているように感じる」というレベルではなく、ハッキリとズレが認識できるほど遅れています。よって、動画を観るのは正直厳しいかも……。
この接続の問題はソニーだけではなく、アップル以外のワイヤレスイヤホンで、大なり小なり共通している弱点。だからこそソニーに期待していた部分ですが、まだまだ改善の余地があると思われます。
残念なことに、ボリューム操作にも遅延がみられました。イヤホン側のボタンで再生やボリューム操作が可能なのですが、その点についても遅れがあります。
ペアリングに関しては他社製品と同様、右(R)側をスマホとのメイン接続ユニットとし、その後に左(L)側と連携させるといったもの。
迷うことはありませんでしたが、AirPodsのように、「フタを開けるだけでスグ接続」とはいかないため、その点は多少わずらわしく感じるかもしれません。
ペアリングの操作自体にはとくに不満は感じず。NFC対応機種なら、さらに接続がスムーズです。
[頼むよ②]バッテリー持ちが悪くAirPodsの半分以下しか持ちません
ノイズキャンセリングのオン・オフに関わらず、スペック値では連続再生時間は同じ3時間との公称ですが、それが影響したかしないか、ノイズキャンセリングONでのテストでは約2.5時間しかバッテリーが持ちませんでした。AirPodsに比べるとやや物足りず、どうしても見劣りしてしまいます。
約5時間とバッテリー持ちも非常に優秀。連続再生でこれだけ持てば十分です。
充電ケースがかさばるのも気になるところ。長時間の外出には少し不安があり、こまめな充電が必要です。
[頼むよ③]ノイキャンがむしろノイジーに感じました
ノイズキャンセリングもWF-1000Xのウリのひとつですが、様々な動作のたびに、一瞬ノイズキャンセリングが外れるような「ブツッ」というノイズが入ってしまうようです。
ノイズキャンセリングには3つのモードがあり、ある程度外の音を取り入れることもできます。
専用アプリにはイコライザーも搭載されていますが、その切り替えにもノイズが発生します。
バッテリーやノイズなど、音質以外の部分でも疑問点があり、製品の完成度としてはまだ道半ばという印象のWF-1000X。接続の不安定さに関しては「接続優先モード」を選択しても、それほど違いは感じられませんでした。
音質に対するプロの評価が「さすがソニー」と言えるものだっただけに、アップデートに期待したい3つのポイントはなおさら惜しいと感じられました。
ネット上でのレビューでも接続の問題に対しては同様の辛口な意見が見られ、ソニーに対する期待度が非常に大きかった分、ガッカリも大きくなってしまったようです。
[メーカー直撃!]ソニーさん、これってどうにかならないの?
今回のテストでWF-1000Xの音質と残念なポイントがわかり、ネットのレビュー結果を肌で感じ取ったわけですが、「接続が安定しない理由」について話を聞きたい! と思い、ソニーさんへの直撃取材を敢行。4つの質問をぶつけてみました。
【ソニーに質問①】動画再生やボリューム操作で遅延しますが…
ソニーの回答:仕様上の問題で操作に多少のタイムラグが生じます
「音声の遅延に関しましては、Bluetooth規格であることと、左右独立型であるという製品の仕様上の問題で、操作に対しても動画の閲覧に関しても多少のタイムラグが発生いたします」
音声の遅延は、製品の仕様上の問題ということでした。現状では致し方ありません。
【ソニーに質問②】音楽再生や動画再生前に一瞬ノイズが入ります
ソニーの回答:現時点では仕様となっております
「先ほどの質問の回答と同様に、製品の仕様上の問題となります」
音楽や動画の再生前に一瞬ノイズが入ってしまうことについても、最初の質問と同様に、仕様上の問題ということでした。
【ソニーに質問③】再生中に一瞬動画が途切れることがあります
ソニーの回答:電波が悪い環境では、動画の途切れが発生しやすくなる場合があります
「音途切れという事になりますでしょうか。右側だけにそういった症状が発生する場合、この症状はBluetoothの特性上、また本機の仕組み上、Wi-Fiや電子レンジ、コードレス電話などの2.4GHz帯の電波が多く飛び交う環境など、電波環境が悪い環境では上記のようなことが発生しやすくなる時がございます」
この質問についても、やはり製品の仕組み上の問題とのこと。しかし、電波が悪い環境での動画再生は途切れやすくなるので、視聴する環境には注意した方がよさそうです。
【ソニーに質問4】アップデートで改善される予定は?
ソニーの回答:今後のファームアップデートなどの具体的な予定は、現時点ではございません
非常に残念ですが、現時点ではお言葉どおりに受け止めるしかなさそうです。
取材を終え、レビュー不満だった疑問点は基本的には「仕様」であることがわかりました。ただ、このように正直な回答をもらえたことに非常に誠実な印象を受けました。ユーザーの声をしっかりと聞き、応えるという姿勢には次回以降への期待感があります
ぜひ今後に期待したいものです。