スマホとタブレット、ノートパソコンと どこででも複数台でネットが使えます!
モバイルルーターはその名の通り、どこにでも持ち歩くことができるWi-Fiルーターです。中に入っているSIMカードの回線を利用してインターネットに接続でき、スマホやタブレットなどの機器とはWi-Fiでデータをやり取りします。
もちろんスマホなら単独でもネット接続はできますが、モバイルルーターならタブレットやノートパソコンなどのWi-Fiのみの機器でもネットが使えます。
また、国内だけでなく海外でも利用可能で、スマホやタブレット、ノートパソコンといった複数の機器を同時にネット接続できるのが大きなメリットです。
海外旅行の際にレンタルしたことがあるという人も多いかも知れませんが、レンタル製品やキャリアで取り扱っているモバイルルーターは、原則として回線契約がセットになっています。
これとは別に、回線契約なしで本体だけ販売されているモバイルルーターがあり、その中にはSIMフリーの製品が存在します。
このSIMフリー製品は、時と場合に応じて最適なSIMカードに挿し替えて使うことが可能。海外旅行時の面倒な利用契約や製品のレンタルが不要で、必要な時に必要な場所で使えるプリペイドSIMを購入するだけで利用できるのが魅力です。
もちろん海外だけでなく、国内でも格安SIMを差しておけば、スマホでキャリアの通信容量を節約できるので、安いデータプランで済ますなんて使い方もできちゃいます。
そこで今回は、回線契約セット製品よりもランニングコストが安いと人気の「SIMフリーモバイルルーター」に注目しました。機種選びのポイントをもとに、アマゾンで購入できる新旧の人気機種6製品の使い勝手&性能をチェック。
通信速度に関しては、国内・海外(タイ・バンコク)でそれぞれ同じSIMを挿し、通信速度や安定性をテストしました。
ということで、まずはベストバイに輝いた製品を紹介しましょう。
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設定も使い方もカンタン! まずはベストバイ製品を発表
今回、SIMフリー製品の選び方とともに、各製品の使い勝手を紹介していきますが、まず最初にベストバイとなった製品を紹介しておきます。今回、SIMフリーモバイルルーター比較でベストバイとなったのは、NEC「Aterm MR04LN」でした。
NEC
Aterm MR04LN
実勢価格:2万9680円
国内ではAPN設定が必要ですが、海外ではSIMを挿して起動するだけで接続が完了しました。また、タッチパネルを搭載しているので、操作に迷うこともありませんでした。
なお、本モデルはすでに生産終了品で、対応回線やバンドをやや絞って稼動時間を長くした新モデル「Aterm MR05LN」が販売されています。実勢価格はほとんど一緒なので、対応回線やバンドで困ることがなければ、新モデルを購入してもいいでしょう。
NEC
Aterm MR05LN
実勢価格:2万7280円
のちほどNEC「Aterm MR04LN」の使い勝手や通信速度、ベストバイの理由と共にその他のオススメ製品も紹介していきますが、まずは、モバイルルーターのキホンや選び方を解説しておきましょう。
【キホン】モバイルルーターは 大きく3つに分けられます
今回は「SIMフリーモバイルルーター」に注目していますが、そもそもモバイルルーターには大きく分けて3種類があります。それぞれメリット・デメリットが異なるので、まずはその特徴を把握しておきましょう。
(1)有名なWiMAXやワイモバを含めた「回線契約タイプ」
回線契約タイプは携帯キャリアの他、CMなどでもお馴染みのWiMAXやワイモバイルなどで扱っているモバイルルーターが該当します。これらは原則として回線契約とセットとなっており、価格や利用料金はやや割高になります。
例えば、ドコモの「HW-01L」などがこの回線契約タイプですが割高な反面、通信の安定性やサポートがしっかりしています。
ドコモ
HW-01L
(メリット)
・本体と回線契約をバラバラに選ぶ必要がない
・繋がりやすさや速度がある程度安定している
・サポート体制がしっかりしていて安心
(デメリット)
・利用料金が比較的高くなってしまう
・容量制限や契約期間の縛りがあることが多い
・基本的に契約したSIMしか利用できない
(2)格安運用が可能な「SIMフリータイプ」
SIMフリータイプの製品は契約不要で本体だけで販売されており、プリペイドSIMを含めた格安SIMや現地SIMなど、回線を自由に選んで使うことができます。
今回は、このSIMフリータイプの製品を中心に紹介しています。
NEC
Aterm MR04LN
(メリット)
・速度や容量制限などで回線を自由に選べる
・国内だけでなく海外でも利用が可能
・料金を抑えつつネット接続が可能
(デメリット)
・回線契約はその都度自分で行う必要がある
・機種や使用回線によっては設定が必要となる
・回線を変えるたびにSIMの交換が必要
(3)世界中どこでも手軽に使える「クラウドSIMタイプ」
SIMフリー製品の中にはさらに、SIMカードではなくSIM情報をネットから取得して利用する「クラウドSIM」を採用した製品もあります。
今回も一部製品を紹介していますが、GlocalMeの「G4 モバイルWiFiルーター」などがこのクラウドSIMタイプに該当します。
GlocalMe
G4 モバイルWiFiルーター
(メリット)
・速度や容量制限などで回線を自由に選べる
・国内だけでなく海外でも利用が可能
・SIM交換が不要でSIM情報を取得するだけで使える
(デメリット)
・回線契約はその都度自分で行う必要がある
・接続設定等はすべて自分で行う必要がある
・海外製品も多く、サポート体制もバラバラ
【選び方】通信速度も大事ですが 使えるSIMが多いことが超重要です
モバイルルーターと聞くと、どうしても通信速度が気になってしまいがちです。でも、SMフリー製品の場合、通信速度は使用する回線で変わります。もちろん本体の最大通信速度は決まっているので上限はありますが、速度以上に重要なのが対応回線と対応バンドの数です。
「対応回線」はもうお馴染みの「3G」や「LTE(4G)」といった通信方式のことですが、問題は聞き慣れない「対応バンド」のほうです。これは利用できる周波数帯のことで、同じLTEや3Gで接続していても国や回線業者、地域によって使われている周波数帯が異なります。
つまり、回線業者が利用している通信方式とバンドに本体が対応していないと、SIMカードを差してもネットに接続できません。
このため、SIMフリーモバイルルーター選びの最大のポイントは、“対応回線とバンド数が多い”こと。さらに、それと同じく重要なのが“使い勝手”です。通信速度は使用回線で変えられますが、使い勝手は製品を買い替えない限り常について回ります。
それでは、SIMフリーモバイルルーター選びで特に注目したい「4つのポイント」を解説していきましょう。
ポイント1【通信】対応回線とバンドが豊富な方がベター
先ほども触れましたがSIMフリー製品といえども、世界中のすべての回線が使えるわけではありません。機種ごとに接続可能な回線やバンドは決まっています。このため、利用したい地域や回線業者で使われている回線の種類だけでなく、バンドにも本体が対応している必要があります。
つまり、対応回線とバンドが多い機種の方が利用できる国や回線業者も増え、より多くの選択肢から回線を選べるということです。
たとえば上の図の場合、ある回線業者が利用しているのがLTE回線で、バンドが1/19/21です。そして、モバイルルーター本体もLTE回線および、1/19/21バンドに対応しています。つまり、この回線業者のSIMはこのモバイルルーターで問題なく使えることになります。
一方、速度を見てみると、本体の最大通信速度は300MB/sとかなり高速です。しかし、回線業者の通信速度が最大40MB/sなので、結局のところ最大40MB/sしか速度は出ないことになります。
ちなみに、よく耳にする「LTE」にも実は「FDD-LTE」と「TD-LTE」の2種類が存在します。そして、それぞれ特徴や採用している回線業者が異なります。
- LTEの種類: FDD-LTE: TD-LTE
- 特徴: 電話通信から生まれたLTE回線で国内3キャリアすべてが採用しています: 無線通信から生まれたLTE回線でその代表格といえるのがWiMAXです
- メリット: 国内で主流なLTE回線なので基地局が多いのが利点。上りと下りが別回線なため電波が効率よく行き来できます: 上りと下りが同回線で利用比率をその都度調整でき、アクセス集中による通信障害を緩和できます
- 採用業者: ドコモ/au/ソフトバンク(4G LTE)/ワイモバイルなど: ソフトバンク(4G)/UQ WiMAX/ワイモバイルなど
利用したい回線業者がある場合は、その回線業者のホームページなどで利用回線とバンドを必ず確認しておきましょう。その際、「FDD-LTE」と「TD-LTE」のどちらのLTEを使っているかも、忘れずに確認しましょう。
なお、モバイルルーター本体の対応回線やバンドは、メーカーの製品情報ページや仕様表で確認できます。
ポイント2【スペック】SIMスロット数や同時接続台数も確認
対応回線とバンド、最大通信速度以外にも確認しておきたいスペックはいくつかありますが、そのひとつがSIMスロットの数です。
デュアルSIM製品なら毎回SIMを挿し換える必要がなく、2枚のSIMを切り替えて使えます。なかには自動で切り替え可能な製品もあります。さらに、片方がクラウドSIMに対応したeSIM製品もありますが、eSIMは差し換え不要なのでさらに手間いらずです。
ほかにも、対応しているWi-Fi規格も確認しておきましょう。2.4GHz帯だけでなく、5GHz帯のWi-Fiにも対応している方が電波干渉が少なく、安定して接続できます。ただし、5GHz帯は屋外利用の規制が厳しいので、屋外用5GHz帯にも対応しているかは確認しておきたいポイントです。
また、同時接続台数も多い方が快適です。さらに、Wi-Fiだけではなく、Bluetoothでもルーターと機器を接続して使えるBluetoothテザリングに対応した製品もあります。
ポイント3【使い勝手】常について回る使い勝手は超重要!
通信速度が遅ければ回線業者を変えればすみますが、SIMを挿し換えても本体は常に同じモノです。このため、使い勝手も速度以上に重要なポイントといえます。
画面表示の言語や分かりやすさ、設定の簡単さ、専用アプリの有無や使い勝手など、使い勝手には多くの要素が絡んできます。
とくに慣れないうちは、初期設定にもつまづきがちです。日本語マニュアルが付属しているかなども含めて総合的に判断し、少しでも使いやすいモデルを選びましょう。
ポイント4【バッテリー】稼動時間は長い方が安心
国内で利用するのであれば、最近では充電できる場所も多く、さほどバッテリー切れの心配はないでしょう。しかし、海外での利用時はそうはいきません。外出時間も長く、充電できる場所も不明なことが多々あるでしょう。
海外での利用も考えているなら、稼動時間は少しでも長い方が安心です。モバイルバッテリーを持ち歩くという手もありますが、海外旅行時に手荷物が増えるというのも考えものです。
【検証方法】同じSIMで速度を計測し 通信状況や使い勝手で総合的に評価
上記の選び方で注目した4つのポイントを踏まえ、今回は人気のSIMフリーモバイルルーター6製品を比較しました。なお、通信速度に関しては、国内・海外(バンコク)でそれぞれ同じSIMを挿し、通信速度や安定性をテストしています。
ちなみに、国内の検証ではb-mobileの「VISITOR SIM」を使用しました。ドコモのFOMARやXiRのエリアで使える訪日旅行者向けの高速データ通信プリペイドSIMで、21日間・7GBまでの通信が利用できます。訪日旅行者向けなので公式サイトも英語表記ですが、特に困ることもなく利用できました。
b-mobile
VISITOR SIM 7GB/21days Prepaid
実勢価格:2700円
海外(バンコク)の検証ではAmazonで購入したAISの「LUCEY SIM」でテストしました。こちらは8日間使えてデータ通信は無制限。3GBを超えると最大384kbpsの速度制限がかかりますが、2枚セットで1000円以下とお得なプリペイドSIMです。
AIS
LUCEY SIM(2枚セット)
実勢価格:827円
なお、速度の測定はiPhone 11 ProでSIMを入れたモバイルルーターにWi-Fi接続し、Ooklaの「Speedtest」アプリで計測しています。計測は5回行い、その平均値を出しています。
Ookla
Speedtest - インターネット速度
価格:無料
各製品の評価は、選び方で挙げた「通信」「スペック」「使い勝手」「バッテリー」の4つのポイントで採点し、トータル50点満点としています。それぞれの項目の配点は以下の通りですが、「通信」は計測した速度だけでなく、対応回線やバンド数、通信状況なども含めて評価しています。また、「使い勝手」は初期設定のしやすさや使いやすさ、アプリの有無や使い勝手など、評価項目が多いので配点が高めになっています。
- 通信: 15/15
- スペック: 10/10
- 使い勝手: 20/20
- バッテリー: 5/5
- 総合得点: 50/50
それでは、ベストバイ製品を筆頭に、新旧の人気SIMフリーモバイルルーターの評価を発表していきます。
海外ではSIMを挿せば自動接続! NEC「Aterm MR04LN」
今回、SIMフリーモバイルルーター比較で見事にベストバイとなったのは、NEC製の「Aterm MR04LN」でした。初期設定も非常に簡単で、タッチパネルも搭載しているため操作に迷うこともありませんでした。
NEC
Aterm MR04LN
実勢価格:2万9680円
対応回線:4G LTE(1/3/8/11/17/18/19/21)/3G HSPA+(1/8/9)/3G HSPA(1/5/6/8/9/19)/3G W-CDMA(1/5/6/8/9/19)/2.5G GPRS
最大通信速度:受信300Mbps・送信50Mbps
Wi-Fi:IEEE802.11ac/n/a/g/b
Bluetooth:IEEE802.15.1
対応SIM:microSIM×2
インターフェース:microUSB
連続動作時間:Wi-Fiテザリング時:約12時間/Bluetoothテザリング時:約24時間
接続台数:16台
ディスプレイ:2.4インチタッチパネル
サイズ:W63×D111× H11mm
重量:約111g
対応回線やバンド数が豊富でLTEや3Gだけでなく、以前の2.5世代の通信にも接続できます。
デュアルSIMにも対応しており、microSIMスロットを2つ装備しています。さらに、SIMの自動切り替え機能も搭載しています。
国内ではAPN設定が必要でしたが、海外ではSIMでも挿して起動するだけで、自動で接続されました。
新たなSIMを認識すると設定変更メッセージが表示され、すぐにAPN設定にジャンプできます。タッチ操作で設定が可能で、本体のみで完結できるので手軽で分かりやすいでしょう。
なお、家庭用のWi-Fiルーターでもお馴染みの設定用アプリ「Aterm らくらくQRスタート」を使って、スマホから本体設定も可能です。
▼通信速度は以下の通りです
- : ダウンロード: アップロード
- 国内通信速度(b-mobile): 18.82Mbps: 8.60Mbps
- 海外通信速度(タイ AIS SIM): 5.34Mbps: 11.76Mbps
通信速度は今回比較した6製品の中でも最速でした。でも、高評価のポイントはその速度よりも使い勝手です。
画面は本体よりひと回り小さめですが、各種情報が見やすく、通信量も一目で把握できます。通信量の上限を設定しておけば、ホーム画面にカラーバーで表示されるので、いま全体量のうちのどのくらいを使ったのかがすぐに確認できます。
タッチパネルを搭載しているので、物理ボタンはシンプルに電源ボタンのみです。
タッチ非対応の製品では2~3個のボタンで操作するのが一般的で、操作に戸惑ったり間違えたりしがちですが、この機種にはまるで無縁の話です。
11acのWi-Fiにも対応しており、切り替えは手動ですが屋内用・屋外用の両方の5GHz帯を使えます。さらに、Bluetoothテザリングにも対応しています。
▼総合評価は以下の通りです
- 通信: 14/15
- スペック: 9/10
- 使い勝手: 16/20
- バッテリー: 4/5
- 総合得点: 43/50
対応回線やバンドも十分で初期設定も簡単、タッチ操作で使い勝手も抜群と本体は申し分ありません。ただし、マニュアルは分かりにくいです。昔の携帯電話のような「安全にお使い頂くために」的な前置き部分が多く、文字だらけです。
また、専用アプリ「Aterm Mobile Tool」で休止や復帰といったリモート操作が可能ですが、利用前にブラウザーで「クイック設定Web」を開いて管理者設定をする必要があります。ここら辺も正直、分かりにくいです。
なお、本モデルはすでに生産終了品で、対応回線やバンドをやや絞って稼動時間を長くした新モデル「Aterm MR05LN」が販売されています。実勢価格はほとんど一緒なので、対応回線やバンドで困ることがなければ、新モデルを購入してもいいでしょう。
NEC
Aterm MR05LN
実勢価格:2万7280円
国内は要APN設定だけど親切! NETGEAR「AirCard AC785」
もっと安いSIMフリーモバイルルーターを探しているなら、NETGEAR「AirCard AC785」もオススメです。
対応回線やバンド数はさほど多くありませんが、国内・海外ともにAPN設定なしでも接続できました。とはいえ、国内は設定なしでは3G回線のみだったのでAPN設定は必要ですが、アプリもマニュアルも非常にわかりやすいので、初心者でも安心です。
NETGEAR
AirCard AC785
実勢価格:1万159円
対応回線:4G FDD LTE(Rel.9 Cat.4, Carrier Aggregationなし)/4G LTE(1/3/5/6/9/19/21)/3G HSPA+(1/5/6/9/19)
最大通信速度:LTE:受信150Mbps
Wi-Fi:IEEE802.11n/a/g/b
対応SIM:microSIM×1
インターフェース:microUSB
連続動作時間:約10時間
接続台数:15台
ディスプレイ:1.77インチカラー液晶
サイズ:W109.9×H68.9×D14.6mm
重量:約127g
対応回線やバンド数はさほど多くなく、国内ではドコモ系回線のみ利用可能です。接続台数は15台なので、多くの機器を同時に接続できます。
SIMはmicroSIMスロットを1つ装備しており、SIMの差し換え時にはバッテリーを取り外す必要があります。海外利用時にはAPN設定を要求されるものの、設定せずとも接続できました。
国内SIIMはドコモ系回線のみの対応ですが、こちらも設定しなくても3G回線には接続できました。もちろん、APN設定をきちんと行えばLTEが利用可能です。
設定は専用アプリ「NETGEAR Mobile」で行う必要がありますが、アプリもマニュアルも非常にわかりやすいのがポイントです。見やすく要点がまとまっているので、初心者でも迷うことはないでしょう。
▼通信速度は以下の通りです
- : ダウンロード: アップロード
- 国内通信速度(b-mobile): 7.17Mbps: 7.21Mbps
- 海外通信速度(タイ AIS SIM): 2.5Mbps: 4.28Mbps
通信速度は国内外ともにそこそこといったところで、ベストバイのNEC製品と比べると半分ほどでした。
画面はタッチ操作には対応しておらず、現在の通信量は画面に大きく表示されますが上限容量は表示できませんでした。Wi-Fiの2.4GHz帯・5GHz帯の切り替えはアプリで行いますが、切り替えるたびに本体の再起動が必要です。なお、5GHz帯は屋内のみ利用可能です。
操作は本体上部の「電源ボタン」と「MENU」ボタンの2つで行います。このため、慣れないうちは操作に戸惑ったり、間違えたりもするでしょう。
▼総合評価は以下の通りです
- 通信: 8/15
- スペック: 5/10
- 使い勝手: 18/20
- バッテリー: 3/5
- 総合得点: 34/50
海外メーカー製だけあって海外SIMには強い印象ですが、国内でもドコモ回線なら利用できます。アプリも機能は少なめですが非常に分かりやすく、海外旅行向けに安めのモバイルルーターをひとつ持っておきたい、という人にはピッタリでしょう。
国内では設定がややわかりにくい! HUAWEI「Mobile WiFi E5577」
HUAWEI「Mobile WiFi E5577」もすでに生産終了品ですが、ネット通販でもいまだ人気の製品です。グローバル企業だけあり、海外ではSIMを挿すだけで接続できました。
一方、国内のSIMでは回線は認識するもののなかなか接続できず、つながるまでやや難航しました。ブラウザーから利用する設定ページもパソコン向けに作られており、スマホでは見づらさや使いにくさを感じます。
HUAWEI
Mobile WiFi E5577
実勢価格:9720円
対応回線:4G FDD-LTE(1/3/5/7/8/19/20)/3G W-CDMA(1/2/5/6/8/19)/2G GSM
最大通信速度:受信150Mbps
Wi-Fi:IEEE802.11n/a/g/b
対応SIM:標準SIM×1
インターフェース:microUSB
連続動作時間:約12時間
接続台数:10台
ディスプレイ:1.45インチTFT
サイズ:W96.8×H58× D17.3mm
重量:約112g
対応回線やバンド数は比較的多めで、4G・3G以外に2G GMSの通信にも対応しています。ちなみに、国内ではすでに2G通信は使われていないので、海外向けの通信回線といえます。
SIMは標準SIMスロットを1つ装備しており、SIMの差し換え時にはバッテリーの取り外しが必要です。もう片方のスロットはmicroSDカード用です。
前述の通り、海外SIMでは設定なしですんなり接続できました。しかし、国内SIMではドコモと表示されるものの、設定なしではエラーで接続は出来ませんでした。
設定用Webページのほか、管理アプリ「HUAWEI HiLink」も用意されていて、一見わかりやすそうです。
しかし、うまく設定できず……。結局最後はパソコンのブラウザーで設定ページを開き、やっとドコモ回線に接続できました。また、マニュアルも見づらく感じました。
▼通信速度は以下の通りです
- : ダウンロード: アップロード
- 国内通信速度(b-mobile): 6.28Mbps: 6.42Mbps
- 海外通信速度(タイ AIS SIM): 2.1Mbps: 8.73Mbps
通信速度はネットギア製の「AirCard AC785」からやや落ちる程度ですが、海外でのアップロードだけなぜか高速でした。
画面には通信回線しか表示されず、通信容量は専用アプリで確認する必要があります。
タッチパネルは搭載していないので、操作は液晶の右側にある「電源ボタン」と、本体上部の「MENUボタン」の2つで行います。こちらも慣れるまでは、やはり戸惑いそうです。
▼総合評価は以下の通りです
- 通信: 10/15
- スペック: 4/10
- 使い勝手: 8/20
- バッテリー: 3/5
- 総合得点: 25/50
専用ケーブルを使用してスマホに給電したり、microSDカードに入れたデータを共有するなど、便利な機能も用意されています。しかし、残念ながらmicroSDは動作がかなり不安定です。
海外メインの安いモバイルルーターが欲しい人なら、先に紹介したネットギア製と併せて検討してみるのもいいかもしれません。
国内のみで使うなら全然アリ! NEC「Aterm MP01LN」
NEC「MP01LN」は、1万円以下で購入できるNEC製のモバイルルーターです。
LTE回線の3バンドのみの対応なので海外利用には向いていませんが、国内ならSIMを挿すだけで設定が自動完了し、この価格ながら十分に使えます。
NEC
Aterm MP01LN
実勢価格:9250円
対応回線:4G FD-LTE(1/19/26)
最大通信速度:受信150Mbps・送信50Mbps
Wi-Fi:IEEE802.11ac/n/a/g/b
対応SIM:nanoSIM×1
インターフェース:microUSB
連続動作時間:約10時間
接続台数:10台
ディスプレイ:0.77インチ有機EL
サイズ:W50×D91× H12mm
重量:約71g
対応回線はLTEのみで対応バンドも3つのみとかなり少なめです。海外利用には向いていませんが、国内なら設定いらずで手軽に使えます。
SIMは開閉式のnanoSIMスロットを採用しており、金属部分を起こしてSIMカードを取り付けます。なお、SIMの差し換え時にはバッテリーの取り外しが必要です。
スマホのブラウザーで「クイック設定Web」を開いて設定を行いますが、管理者設定を行って設定画面を開くまでがやはり分かりにくいです。マニュアルもMR04LN同様に見づらいです。
▼通信速度は以下の通りです
- : ダウンロード: アップロード
- 国内通信速度(b-mobile): 10.15Mbps: 3.69Mbps
- 海外通信速度(タイ AIS SIM): 接続できず: 接続できず
国内でのダウンロードは海外製の2製品より速いのですが、海外ではやはり接続できませんでした。
液晶は非常に小さいものの、現在の通信量は確認しやすいでしょう。タッチパネルは当然ですが搭載していません。
操作は本体の右側面にある「電源ボタン」と「メニューボタン」の2つで行います。海外製2製品同様に、やはり慣れないうちは操作ミスも多いでしょう。
なお、電源を入れてから回線に繋がるまでに割と時間がかかり、機器の接続が早すぎるとWi-Fiのパスワードが違うといわれてしまいます。
▼総合評価は以下の通りです
- 通信: 5/15
- スペック: 6/10
- 使い勝手: 9/20
- バッテリー: 3/5
- 総合得点: 23/50
国内SIMではそれなりに速いほうですが、海外SIMでは利用できず。国内専用で持つのならアリかも知れません。
なお、本機もすでに新モデルが登場しており、やや価格は上がりますが新モデルは3G回線や国際ローミングにも対応しています。
NEC
Aterm MP02LN
実勢価格:1万1570円
便利なクラウドSIM製品も SIMカード利用ではやや面倒です
SIM情報をインターネット上から取得して使用するクラウドSIM製品の中には、個別にSIMスロットも搭載した製品があります。こちらもSIMフリーモバイルルーターとして利用できるので、併せて紹介しておきましょう。
今回、GlocalMeの2製品に同じ国内SIMを挿して使ってみました。まずはタッチパネル搭載した「GlocalMe G4」から見てみましょう。
タッチ操作で快適に使える「GlocalMe G4」
GlocalMeの「GlocalMe G4」は5インチの大型タッチパネルを搭載したクラウドSIM製品です。
4G LTE・3G WCDMAのほか、2G GSMにも対応しています。最大通信速度は150Mbpsで、5台まで同時に接続できます。
GlocalMe
GlocalMe G4
実勢価格:1万8990円
本体が割と大きめのスマホ程度で、SIMスロットもスマホ同様のトレー式です。トレーにはnanoSIMとmicroSDをセットできます。
手動でクラウドSIMからSIMカードに切り替えたうえ、APN設定が必要となります。とはいえ、G4はタッチで操作できるため、本体のみで設定できるのでかなり手軽です。
▼通信速度は以下の通りです
- : ダウンロード: アップロード
- 国内通信速度(b-mobile): 8.51Mbps: 7.12Mbps
通信速度はそこそこですが、eSIMが優先されてしまって上手く接続できないことがありました。また、アカウント登録が必須でアプリや本体との紐付けも思った以上に面倒でした。
それでは続いて、液晶非搭載の「GlocalMe U2」です。
画面がない「GlocalMe U2」はトラブル時に困ります
GlocalMeの「GlocalMe U2」は画面非搭載のクラウドSIM製品です。G4同様に4G・3G・2Gに対応しており、同時に5台の機器を接続できます。
GlocalMe
GlocalMe U2
実勢価格:1万7990円
eSIMのほかmicoSIMスロットを装備しており、本体カバーを外して装着します。
画面がないU2はスマホのブラウザーで設定ページを開いて、各種設定を行います。しかし、なかなか接続できず、設定と再起動を何度か繰り返してやっと接続できました。
クラウドSIMが優先されてしまって接続できないことも多々ありましたが、画面がないため状況が把握しにくく、G4と比べると不便さを感じます。
▼通信速度は以下の通りです
- : ダウンロード: アップロード
- 国内通信速度(b-mobile): 5.13Mbps: 0.71Mbps
ダウンロードはそこそこの速度ですが、アップロードは極端に遅い結果となりました。
クラウドSIM製品2機種にSIMを挿して使ってみましたが、結論としてはやはり、クラウドSIM製品はクラウドSIMで使うのが一番のようです。
利用シーンや目的によって 最適な製品は変わる
以上、SIMフリーモバイルルーターのおすすめ製品を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
利用シーンや目的によって最適な製品は変わりますが、大事なのは目的の地域や回線できちんと使える製品を選ぶことです。紹介した製品や選び方のポイントを参考に、自分の用途にピッタリの1台をみつけましょう。