[メーカーへ質問①]Wi-Fiルーターって使っているうちに遅くなりませんか?
まずは、そのままストレートに質問しました。「Wi-Fiルーターって使っているうちに、だんだん遅くなりませんか?」そして、「Wi-Fiルーターの定期的なリセットって効果ありますか?」
A社回答:「リセットは有効です」
ルータ自体が、「使い続けるうちに通信が不安定になる、速度が低下する可能性」はありません。ただ、ルーターの使用環境により、通信の不安定、速度低下等の事象は考えられます。当社のシリーズは、電源のOFF→ON時にオートチャネルセレクト機能が動作し、最適な周波数帯に接続します。そういう意味で、リセット(電源OFF→ON)の効果はあります。
B社回答:「不具合時は初期化を」
一般的には数週間の連続使用によって性能が落ちる可能性は少ないです。不安定になった際のリセット、初期化によって症状が改善する事象は全メーカー(NTTのモデム含め)で見受けられ、対策としては有効です。定期的に行うよりも不具合が生じた際に試してみていただければと思います。
C社回答:「電源の入れ直しで速度が回復も」
近隣で無線LAN利用者が増えると使用チャンネルが混雑し「通信速度が低下してきた」と感じることがあります。お使いの無線LANルーターの機能が低下したわけではないので、その場合は一度電源を入れ直すことで空いたチャンネルが使用されるようになり速度の回復が実感できることが多いです。
D社回答:「近隣の無線LANが増加したのが原因」
製品によっては空いているチャンネルを選ぶ機能があります。製品起動のタイミングで動作するものが多いのですが、使い続けるうちに近隣に無線LAN利用者が増えるなどにより使用チャンネルが重なることで、不安定・速度低下する可能性があります。また、基本的にないようにしておりますが、ソフトウェアにバグがあるとメモリリーク等でそのような現象となる可能性はあります。また、定期的なリセットについては、使用チャンネルが重なるケースでは、 電源を入れ直すことでオートチャンネル機能が再度働き、空いているチャンネルを選びなおしますので効果があると考えられ ます。
E社回答:「電源の劣化で不安定になる可能性」
動作保証温度内で使用している限り、数年程度で本体が原因で動作が不安定になるということはありません
ただし、電源の劣化によりルーターの動作が不安定になるということは考えられます
しかし、弊社のルーター製品の保証期間は1年間ですが、同梱ACアダプターは3年間の使用に耐えられる品質の製品を採用しているため、このような問題は起こりにくいといえます。また、定期的なリセットについてですが、弊社の個人向け製品を動作保証温度範囲内で使用する分には、あまり効果はないと思います。ただし、法人向けの製品で、ノイズ干渉の多いところなど特殊な環境で使用する場合は、定期的なリセットを行いメモリのリフレッシュが有効な場合もあります。
F社回答:「ファームウェアや子機ドライバの不具合の可能性」
そのような状態になる場合は、原因を突き止めるのはなかなか難しいものがありますがルーターのファームウェアや子機ドライバの不具合(バグ)が考えられます
ルーターや子機が使用済みメモリー領域を正しく開放できないメモリーリークにより、使用可能なメモリー領域が少なくなっている状態で起こりえます。また、定期的なリセットについては、ルーターの再起動によりルーター側のメモリーリークは解消します。また子機が再度ルーターへ接続し直すことによっても解消する場合があるので、一定の効果はあると言えます。
以上を総合すると……
メーカーの結論
「ルーター本体のせいでだんだん遅くなることはないが、リセット・電源の入れ直しは電波環境改善に効果的」
なるほどなるほど。通信速度が遅くなるのは、ルーター本体の劣化等ではなく、あくまで周りの通信環境の変化によることが多いということですね。ですから、「再起動やリセットという対応は一定の効果が見込める」という回答でした。リセットや再起動は定期的にする必要はなく、「遅いと思ったときでよい」ということで、まずはこちらの対応策をぜひ覚えていただければと思います。
ただ、それでも「遅くなったんじゃない?」という疑念がある場合は、どうすればいいんでしょうか? ということで、続いて質問②です。
Wi-Fiルーターのリセットや再起動方法は、設定画面、ACの抜き差し、本体ボタンなど、さまざまです。説明書をご確認ください。リセットの場合、Wi-Fiの設定をやり直す必要があるので、その点はご注意ください。
[メーカーへ質問②]Wi-Fiルーターは発熱によって性能低下や不安定化する恐れはありますか?
つぎにこちらの質問。熱によって劣化することはあるのか? こちらは各社回答がわかれました。
A社回答:「その恐れはありません」
当社のシリーズは発熱により性能低下や不安定にならないよう放熱設計をしておりますので、ご質問のような恐れはありません。
B社回答:「数年間、パフォーマンスを維持するには排熱に考慮を」
連続使用で一番問題になる部分が熱の影響です。休む間もなく電源が入っているので熱を帯びやすくなります。発熱によってマザーボードの実装コンデンサーが熱を持ち、寿命を迎えることで電気回路が止まります。特に換気効率の悪い場所に置くことで本体が熱を持つと寿命、パフォーマンスともに落ちる傾向は否めません。国内ルーターの保証は1年ですが、弊社のルーターは保証期間を2年としていますので数年は安心してお使いいただけると思います。製品の構造にもよりますが、熱を持たせないというのが連続使用の最重要な部分になります。数年間、パフォーマンスを維持してご使用になられる場合は、考慮していただければと思います。
C社回答:「設計上考慮しており問題ありません」
確かに、発熱でCPUの動作クロックは低下しますので、同時に内部処理が遅くなります。当社Wi-Fi製品は発熱を防ぐためにエアフローを考慮した筐体設計になっていますので特に排熱を意識する必要はありません。
D社回答:「動作保証範囲を超えないようにしてください」
各製品で動作保証している温度があります。当社ではこの範囲であれば性能低下や不安定とならないように設計しております。この温度を上回ると、搭載しているCPUや無線ICの動作が不安定になるケースがあります。動作保証温度範囲を超えないよう、製品の周囲に十分なスペースをあけるように設置していただきたいです。配線を整理するボックスの中に入れてしまうとか、PCのファン排気が当たる場所に設置する、ONU(光回線終端装置)などと重ねて設置する、などは避けてください。また高温での作動は、動作不安定もありますが、製品の寿命を短くすることにつながります。
E社回答:「動作保証温度を超える場所では性能低下の恐れはあります」
動作保証温度内でご使用いただく範囲では問題ありません。しかし、動作保証温度を超える(直射日光の当たる)場所などでは、動作保証を上回る場所も多いため、性能低下や不安定化する恐れはあります。
F社回答:「正しい環境に正しく設置していれば問題ありません」
排熱口を塞いだり閉めきった棚などに設置すると自身の発熱や周囲の温度上昇により性能低下が起こりえます。処理トラフィックの増加によってルーターの発熱量は増加しますが 、正しい環境に正しく設置していれば問題の無い範囲です。
以上を総合すると……
メーカーの結論
「動作保証の範囲内であれば問題はないが、Wi-Fiルーターに過剰に熱がこもると性能低下・故障の原因になる」
興味深いのがB社の回答。他社が放熱設計に自信をみせるなか、発熱がコンデンサーの寿命を縮めることなどを正直に(?)教えてくれました。マニアックな機能を盛り込んだ製品が多く、またパソコンパーツの主要メーカーである同社らしい誠実な回答に思えます。
確かに、Wi-Fiルーターは一度設定すると、ほったらかしという人が多いですよね。動作保証温度を上回らないように、我々ユーザーも気を配ったほうがよさそうですね。
これは極端な例ですが、こういう設置は避けましょう!
編集部ではMac miniの上にルーターを置いていたことを告白します! お恥ずかしい……。
[まとめ]遅くなったら再起動やリセットを! 熱がこもらない場所へ設置することも重要です!
これですべてが解決するわけはありませんが、「いまいち新品のときのサクサク感がなくなってきたなぁ」と思ったら、まずは再起動。それでも効果がなければ設定の初期化を。それと同時に、熱がこもる場所に置いていないか、確認してみることをおすすめします。