4タイプのスピーカーで 上下階への影響を検証しました

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マンション住まいでも、安心して使えるスピーカーは? ということで、今回はスピーカーから「音」を流したとき、上下に与える影響について検証。まず、スピーカーのタイプによる違いをおさえるため、サウンドバータイプや複数のスピーカーがあるタイプなど、4種類のスピーカーシステムを準備しました。

① シンプルなボードタイプ

 

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テレビを上に載せるタイプで、サブウーハーなどはなくシンプルです。重量物を載せることが前提なので筐体の剛性は高めです。

② ワンボディのサラウンドタイプ

 

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反射を利用してサラウンド音場を作り出すタイプです。比較的低価格なワンボディタイプのほか、別体のサブウーハーを備えた上位機も存在します。

③ 本格ホームシアタータイプ

 

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複数筐体のスピーカーで構成されたホームシアター向けシステム。今回はフロント設置可能な2.1chと5.1chのセットを検証しました。

④ サウンドバータイプユニット+サブウーファータイプ

 

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テレビの前に設置するバータイプのユニットと、低域を担うサブウーハーのセット。背が低い最近のテレビに合わせて、スピーカーユニットは薄型化が進んでいます。

以上の4タイプを対象に、騒音をテストしました。

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検証方法は、これらのオーディオ機器を床に直置きして、その前方で騒音計による騒音測定をしました。このとき、「50dB」と「80dB」でノイズを再生します。

その後、スピーカーを設置した部屋の真下の部屋で、専門の測定器を使用して音圧をチェック。さらに、下階の部屋にスピーカーを設置して「80dB」のノイズを再生し、上階での測定をで行い、下から上の部屋への音の影響についても調査しました。

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参考までに騒音レベルの目安ですが、

50d
騒音レベルはエアコンの室外機と同じ程度


80dB
騒音レベルは窓を開けたときの地下鉄車内


となり、想像するとどのくらいの音量か分かって頂けると思います。

そして、測定結果を4タイプそれぞれグラフにして比較したところ、マンションでの使用に向き不向きがはっきり結果として現れました。

一番静かだったのは ボードタイプのBOSEでした!

BOSE:Bose Solo 15:TV sound system:

BOSE
Bose Solo 15
TV sound system
購入価格:販売終了

ボードタイプ代表として、既に販売終了となっていますが、TVの音質をグレードアップしてくれるBOSEの「Bose Solo 15」を使用して検証を行いました。ボードタイプを上階に設置した「50dB」の実験では、高周波域になるほど音圧が高いというデータが出ています。しかし、階下で実際に聞いてみてもほとんど音が聞こえることはなく、「50dB」では階下への影響は極小という結果になりました。

中古ではまだ購入できるほか、今回の検証には含まれていませんが、よりコンパクトになった後継機の「Bose Solo 5 TV sound system」も発売されております。

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さらに「80dB」の実験でも高周波域はやや音圧が高くなりましたが、低周波域は静音状態の計測値との差は僅少。ある程度大きな音量にしても、低音については下階に影響を与えにくいことがわかります。実際に聞いたときも、騒音というほどの大音量は感じられませんでした。

また、階下の部屋にスピーカーを設置したときも高周波域の音圧はやや高い数値が出ましたが、低周波域の音圧はかなり小さいという結果となりました。BOSEは音がクリアで低音の響きもよいわりに上下階への影響が少なく、高性能といえます。

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音質の特徴は、バランスがとれていて聴きやすく、しかも広がりは十分。テレビの正面でなくても聞きやすく、複数人での視聴にも適しています。ただし定位感はそこまで明瞭ではなく、映画ソフトのような音の方向性の描き方ではありません。

ヤマハ立体的な音質は魅力的 でも、防音対策は必要です

ヤマハ立体的な音質は魅力的でも、防音対策は必要です イメージ

ヤマハ
YSP-1600
購入価格:5万1452円
サイズ・質量:W1000×H65×D130mm・4.7kg
総合実用最大出力:16W(アンプ)+60W(サブウーハー)
音声入力:HDMI、光デジタル、アナログ

ヤマハのYSP-1600は、省スペースが強みでありながら、ビーム状の音を放出して奥行きのあるサウンドを楽しめます。そんなヤマハ機は「50dB」の検証において、低周波域、高周波域ともに静音時との音圧差がかなり小さくて優秀です。

ヤマハ立体的な音質は魅力的でも、防音対策は必要です イメージ2

しかし、「80dB」になると高周波域、低周波域とも、「無音」や「テレビのみ」、他の製品と比べても音圧が強く、階下への影響が大きくなります。また、実際に耳でも上階からの音がかなり大きく聞こえてしまい、騒音と呼べるレベルでした。大音量で楽しみたいアクション映画などを視聴する人は要注意です。

そこで、防音処置を施した検証を行った結果。

ヤマハ立体的な音質は魅力的でも、防音対策は必要です イメージ3
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ラグとコンクリート、防振ゴムを併用したときに、下階での高周波域の音圧が大きく減少しました。

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低周波域の音圧も軽微ではあるが低減しているため、大音量を楽しみたいなら防音対策をしっかり施す必要があると言えます。

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音質は、広がりとともに強すぎない音の方向性や定位感が特徴です。マルチチャンネルの「場所」を無理なく再現しています。ただし構成の限界なのか、低域は軽さを感じました。この点に関して言えば、同社のボードタイプの方が優れていました。

ヤマハのホームシアターは 階下の影響が必至です

ヤマハ:YSP-2500:ホームシアター

ヤマハ
YSP-2500
購入価格:7万5708円
サイズ・質量:W944×H51×D144mm・4.0kg(センターユニット)

ヤマハのYHT-930はレシーバーと5つのスピーカー、1つのウーファーを設置する5.1chシアターセット。ほかのスピーカーに比べて必要となる設置スペースは広くなりますが、多方向からの臨場感のあるサウンドを楽しめます。

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測定結果ですが、迫力のある低音の表現に適しているためか、「50dB」のテストでは125~500Hzの周波数帯で高い音圧を検出しました。

また、「80dB」のテストでも全体的に静音状態と比べると音圧は高く、実際に耳で聞いた場合でも階上から音が響いてきました。これは、テストではウーファーを床に直接置いた状態で音を発生させたため、その振動が階下への騒音につながったためであると考えられます

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音質は、本来の音が聴こえる方向にある筐体がその音を担当するので、方向性や位置関係にはまったく無理がありません。そのため低域を変に強調せず臨場感を生み出しています。

意外にも静かなウーファー付き でも音質はやや物足りません

ソニー:HT-CT380:ホームシアター

ソニー
HT-CT380
実勢価格:3万4800円
サイズ・質量:W900×H51×D117mm・2.4kg(バースピーカー)

ソニーのHT-CT380はサウンドバーとウーファーの2つを設置するタイプ。ただ、テレビ単体より音は良いものの、ずば抜けた性能は感じず、そこそこな印象でした。そのためか、高周波域については「50dB」と「80dB」ともに階下に響く音圧は低めの傾向。

また、意外にも低周波域も静音状態(下のグラフ中の「無し」)とさほど変わらない結果となりかなり優秀な結果になりました。

意外にも静かなウーファー付きでも音質はやや物足りません イメージ

ちなみに、はじめはウーファーが騒音源と考えて、防音対策のテストではウーファーだけにコンクリートや防振ゴムを設置してみましたが、防音対策なしの稼働時よりも音圧が高くなる周波数帯が出現するという意外な測定結果に。

一方、ウーファーとサウンドバーの両方に防音処置を施すと階下への音圧は低下したため、全体的な防音対策が必要となる機種といえます。

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音質をチェックしたところ、音の広がりは悪くは決して悪くありませんでした。ただ、決して強いわけではないのに派手に色付けされた低域が耳に残りやすい。結果として音の方向性や位置関係に不自然さが感じられます。

大音量で楽しむ場合は 防音対策が必須です

検証の結果に鑑みて、マンションなどの集合住宅にオススメといえるのは、サウンドバータイプとボードタイプの2種類です。とくに今回検証を行ったサウンドバータイプのCT380は、イメージとは逆にかなり音が伝わりづらいという測定結果が出ました。また、ボードタイプもそれに準ずる性能で良音でした。

一方で、音質面で優秀なサラウンドセットは、大音量時の音の伝わりが非常に大きくまた設置性も悪いので、集合住宅向きとは言いづらい部分があります。逆に高級サウンドバータイプは、音こそ伝わるものの、防音対策をしっかりすれば使えそうです。導入したい人は検討すべきといえるでしょう。

さらに、4タイプの測定結果を比較しやすいように1つのグラフにまとめました。

大音量で楽しむ場合は防音対策が必須です イメージ

まず、50dBの音が下階にどのくらいに伝わるか測定したデータです。実感的な音は聞こえないスピーカーも多いものの、低音の振動は確実に伝わっています。ウーファーなど低音が強いものは防音対策をして置いた方がよいでしょう。

大音量で楽しむ場合は防音対策が必須です イメージ2

さらに騒音レベルを80dBにあげると、低周波数域、高周波数域ともに下階の音圧は大きくなってしまいます。50dBでは問題ないタイプのオーディオでも、大音量で映画や音楽を楽しみたいなら防音対策は必ず意識しましょう。

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一方で、上階への音の伝わりやすさを測定した結果、床に直置きした場合ではスピーカー間での大きな音圧差は見られませんでした。ただし、CT380の結果には注目。環境に応じた配置がポイントとなりそうです。

以上、スピーカーの騒音検証結果でした。マンション住まいでも良い音で映画を楽し見たいという人は、ぜひボードタイプを検討してみてください。販売終了のBOSE「Bose Solo 15」も中古購入ならまだ可能ですので、そちらも合わせてチェックしてみてください。

後継機も近いうちにあらためてテストしたいと思います!