先輩キャンパーの多くがネット激安品で失敗を経験…
アウトドアにまつわる道具購入の失敗談において、ネットの激安品に飛びついた結果、キャンプ場で悲劇に遭ったという話は珍しくありません。
以下のグラフは、50人のキャンパーに「道具購入の失敗談」を聞き込みした結果なんですが…。
ね、回答で最も多く4割以上だったのは「安すぎて粗悪」な商品を掴んでしまった失敗なんです。
通販サイトには、有名アウトドアブランドの半額以下で流通する激安類似品なども多く、その中には雑なつくりのため、粗悪でもろかったり、組み立てが困難な物も数多くひそんでいるのです…。
以下に、先輩キャンパーの悲痛な失敗談をまとめてみました。これからキャンプをはじめる方は、先人たちの“ありがたいお言葉”として受け止め、これからの道具購入にお役立てください。
[先輩キャンパーの失敗談①]
使って即壊れたタープクリップ
「小物系のアイテムだから、安くても大丈夫だろう」と油断して買ってしまったタープクリップ。
プラスチックパーツの表面がすでに白っちゃけていて、パッと見で強度に不安があったのですが、そのカンが的中……。使い始めてすぐに割れてしまいました。
[悲痛な叫び]
「安くても使い捨てじゃ意味がない…」
アウトドア歴30年のハチローさん
[先輩キャンパーの失敗談②]
カセットガスが使えないガスバーナー
ついつい安さに負けて、カセットガスが使えない「OD缶(アウトドア缶)オンリーのガスバーナー」を購入…。OD缶だと購入できる場所が限られるんですよね…。
カセットガスよりも「小馴れた感」は出るけど、キャンプ場で使いやすくないと意味ないですから…。結局、いまは物置で眠っています。
[悲痛な叫び]
「慣れぬ地で燃料を求めて1日が終わる…」
アウトドア歴20年のGOTOさん
[先輩キャンパーの失敗談③]
たたみづらいポップアップテント
子どもたちは楽しんでたけど、やたらとフレームが固くてたたみづらく、うまくたたむ自信がないので広げなくなりました…。
固くてたたみづらいという現象は、商品によって性能のギャップが大きいポップアップテントに起こりやすいらしいのですが、気がついたときにはもう遅かったです。
[悲痛な叫び]
「子どもは喜んでいたし、もっとしっかり選べばよかった…」
アウトドア歴8年の北村ファミリー
先輩キャンパーのみなさんも道具購入では色々と苦汁を飲んでいるんですね…。
通販にひそむ激安類似品の地雷対処の心得、教えます
ここでは前項で触れた「激安類似品」の対処の心得を3つご紹介します。買うと損する危険性をはらんだ商品ですが、「安かろう悪かろう」を把握した上で購入するのであれば、使える可能性もあります。
そんな商品は掴まないのが一番の正解であることに間違いありませんが、ご自身のキャンパーレベルを向上させたい方はご一読ください。
[その①]激安類似品は
本家の劣化版と認識する!
見た目は似ていても、縫製の甘さや素材のチープさが目立つのが激安類似品。それが本家に劣る使い勝手にも繋がります。
しかし、安く購入できるのはやっぱり魅力。どうしても欲しい激安類似品に通販サイトで出会ってしまったら、「本家よりも劣る可能性がある」ことをしっかりと認識して購入しましょう。そうすれば、ガッカリすることも少ないはずです。
[その②]激安類似品は
キャンプに慣れてから使う!
キャンパーに経験やスキルがある場合、商品に多少の欠陥があっても補える場合があります。そうなるとNGな激安類似品でもコスパの良い商品に転じる場合も…。
しかし、これはあくまでレアなケース。初心者は最初からトラブルを避けた購入をすることが安全です。
[その②]激安類似品は
使い捨て感覚のサブ活用ならあり!
激安類似品は、数回の使用で破損する可能性があるため、メインではなく、足りないときの予備として使うのであれば活躍できるかもしれません。その場合は、使い捨て感覚で買える価格帯の物を選ぶようにしましょう。
以上が通販サイトにはびこる、激安類似品で大損しないための3つの心得です。
とはいえ、本当にダメな商品なら最初から購入しないほうが安全。ということで、編集部が試してみて「買ったら損」と判断したダメ商品を実名公開しちゃいます!
キャンプ道具修理のプロが編集部とタッグで徹底検証!
前項では、ネットにはびこる激安類似品の対処法をお教えしましたが、本当にダメな商品なら最初から購入しないほうが安全。
ということで、今回はキャンプ道具の修理屋さん、アルスネットドットコムのゲンさんに協力を依頼し、どこかで見たことあるフォルムの激安アイテムの検証を敢行!
使いづらさ、危険度、構造欠陥度の3項目でダメさ加減を5段階評価してもらいました。
[チェック①]使いづらさ
プロと編集部で対象商品を実際の使用シーンを想定して使用し、使い勝手をチェックしました。
[チェック②]危険度
使いづらさと同様に、実際の使用シーンを想定して使用。ケガなどのトラブルにつながる危険性をチェックしました。
[チェック③]構造欠陥度
通販サイトにおける商品のキャッチコピーや商品説明を踏まえ、その機能が問題なく実践できるのかをチェック。キャッチコピーや商品説明の内容と機能が乖離(かいり)している場合、低評価と見なしました。
それでは気になるダメ商品を見ていきましょう。
[ダメ商品①]持ち運ぶと燃料もれ携帯できないアルコールバーナー
ノーブランド
金属アルコールバーナー
アルコールランプ携帯用
実勢価格:1379円
高さ:45㎜
▼テスト結果
使いづらさ:×××
危険度:××
構造欠陥度:××××
有名通販サイトで複数の業者が出品している商品なのですが、実際に届いて驚くのがその小ささ。燃料を入れるタンクも小さいため、燃焼時間がせいぜい1時間程度。
さらに他の出品者の同商品のレビューを見てみると、「燃料もれする」との指摘も…。そこで実際に持ち歩いてみると、フタをしっかり閉めているのに、たしかに燃料もれしてしまいました…。
[検証1]持ち運べば燃料もれ…
燃焼時間は1時間足らずという性能
タンクを燃料満タンにして燃焼実験をしてみると、約1時間前後で燃料がなくなることが判明。タンクに入る量を計測すると約12ml程度。これではあまり役に立たないかもしれません。
また、撮影時にタンクを満タンにして上着のポケットに入れて持ち歩いていたら、燃料もれを起こし、ポケットがオイル臭くなる残念な事態に…。
[検証2]火の大きさの調節がかなり面倒
ペンチで火の強弱をつけるハメに…
シンプルな構造なので、芯を出したり引っ込めたりする機能はありません。そのため、点火したままで火を大きくするためには、ペンチなどで芯を引き出さなければいけません。
しかし、火力を大きくすると前出の燃焼時間はさらに短くなります。八方塞がりとはまさにこのことですね。
[検証3]一度芯を取り外すと
再度セットするのが大変…
芯を一度取り外して再度セットしようとするとなかなか穴に入らず苦労します…。プロによれば、その場合は芯の先を接着剤などで固めておくとラクに通せるとのことです。
ちなみに、芯は1時間の燃焼でだいたい1cmほど燃え尽きます。代わりの芯は付属していないのでご注意を。
[ダメ商品②]大きな鍋を乗せるとCB缶が熱くなる危険なミニコンロ
ノーブランド
ミニコンロ 折りたたみ式
カセット収納ケース付き
実勢価格:1590円
重量:366g
※編集部計測
▼テスト結果
使いづらさ:×××
危険度:×××
構造欠陥度:××××
日本のメーカー品と比較して値段が4分の1程度なので、思わず食指が動いてしまう商品。ただ日本の製品検査を経ていない商品なので、使用は自己責任に…。
CB缶(カセットガスボンベ)を取り付け使用するタイプですが、鍋が大きいと炎が広がり、CB缶が熱くなる心配も…。使用では十分すぎるくらいの注意が必要になる危険なミニコンロです。
[検証1]CB缶と点火部の間に
遮熱板がないので注意が必要…
点火部、ゴトクとCB缶の間に熱を遮断する板がないので、心配な場合はアルミ箔をCB缶にかぶせるなど自分で工夫する必要があります。
CB缶と本体の接続部はカチッとしっかりはまらず、外れやすくなっている点も不安をあおりますね。
[検証2]もろい点火スイッチ
数十回で使用不能になりました
これはカスタマーレビューでも指摘されていたポイントですが、編集部に届いた商品も数十回の使用で点火スイッチが使えなくなりました。代わりにライターなどで着火することに。
プロに聞いてみたところ、「圧電方式でケーブルが粗末なため、放電して使えないのでは」との見解。
[検証3]ゴトクに乗せる容器の
限界サイズは直径14cm程度
上の写真は、直径約14㎝の小型鍋を載せた状態です。これくらいのサイズであれば、炎が外に広がる心配はなさそうでした。これ以上に大きなサイズの鍋だと、CB缶が熱くなる可能性が出てくるので要注意です。
着火しないときにガスの調節ネジを最大にすると危険とのレビューも。一体なにが危険なのか。詳細が書かれていなかっただけに恐怖が募ります…。
日本のメーカー品とは違って、安全対策が十分に取られていないんです。
[ダメ商品③]飾りレベルの切れ味ロープを切るのに苦労するナイフ…
キーチェーン
ホルダーナイフ EDCツール
ステンレススチールミニナイフ
実勢価格:999円
長さ:50㎜
重量:16g
※編集部計測
▼テスト結果
使いづらさ:××××
危険度:××
構造欠陥度:××××
非常に評価に苦しむ商品…。商品説明では「緊急のとき、例えば、シートベルトを開けないときに、素早く切ることができる」とありますが、実際に試すとロープを切るのもひと苦労で紙やビニールがやっと切れる程度でした。
また、安全性を考えて、刃がナイフ状になっていないことも、汎用性を下げているポイント。デザインはユニークですが、せいぜいアクセサリーとして使う程度ですね。
[検証1]実際にロープで試すと
3分かかってやっと切れた…
写真のようにナイフ部に引っ掛けて、引っ張りながら切断にトライすると3分ほど続けてようやく切ることができました。
釣り糸でも試してみたところ、2号は簡単に切れますが、14号になると力が必要でした。
[検証2]紙なら簡単に切れるが
刃の形状の問題で美しい断面はムリ…
紙やビニールは簡単に切れましたが、刃の形状の問題なのか、キレイなカットは難しいのが正直なところ。アウトドアという環境下で切れる物が限定されてしまうので、実用性は低いといえます。
アイテムとしてはおもしろい形状なので、アクセサリーとしてならよいかもしれません。また、刃が鋭くないのは事故の危険性が低いという見方もできるので、安全面では評価できるかもしれませんね。
せいぜい鉛筆削りに使えるぐらいか。刃が鋭くないので、ロープやシートベルトは切ることができない。デザインは面白いので、話題づくりとして持っていくとよいかも。
[ダメ商品④]ヤスリがムキ出し…モノを傷つけるマルチツール
tick tack dachs
マルチツール20in1
20徳カラビナ型
万能ポケットツール
実勢価格:798円
長さ:82mm
重量:35g
※編集部計測
▼テスト結果
使いづらさ:×××
危険度:×
構造欠陥度:××
「ドライバーやスパナ、栓抜き、ヤスリなど便利な20機能を装備」との商品。機能が多すぎて逆にどこをどう使っていいのか迷ってしまいます。しかもどの機能も中途半端な使い勝手…。
[検証1]カッターもネジも微妙
いまいちな機能が多い印象…
ドライバーでネジを回してみましたが、柄になる部分が短いので回しにくく、ヒモも相当力を入れないと切れないという結果に。
機能が多くても使い勝手が悪いのでは、元も子もありません。
[検証2]バッグの素材によっては
ヤスリ機能で傷つけてしまう恐れも
今回の検証でバッグに付けて持ち運ぶ程度では、バッグに削れは見受けられませんでした。
とはいえ、バッグの素材によっては注意が必要なのであまりオススメはできません。また、持つときにヤスリが手に触れるのも気になるポイントでした。
細々と機能があるのはいいけど、以外と使えない。利用範囲がかなりせまい。
[ダメ商品⑤]使える機能は笛だけ火花が出にくい火打ち石…
Laix
D3 ファイヤースターター
火打ち石 小型
実勢価格:899円
長さ:11.2㎜
重量:22g(編集部計測)
▼テスト結果
使いづらさ:×××
危険度:×
構造欠陥度:×
笛が鳴らないとのレビューがいくつか寄せられた商品。編集部に届いた商品は鳴りましたが、問題はファイヤースターター。他の商品に比べて火花が出にくく、実用性に欠ける結果に…。
[検証1]コットン付属ですが
肝心の火が出ないんです
コットンがついていて、それに向かって火を飛ばすのですが、他の商品と比べても火が出しにくい印象でした。
コットンの収納に限りがあるのもNGなポイント。数回しか火を起こせません。
[検証2]マルチ機能は嬉しいけど
使えるのは笛くらいでした…
火起こしは前述の通りですが、底に装着されたコンパスも小さすぎて、暗いところで見る際はかなり苦労します。なんとか合格ライン超えだったのは笛くらいでした。
ちなみに火起こしの際は写真のようにバラして使うのですが、元に戻すのが面倒でした。全体的にもうひと工夫欲しい商品だといえます。
キャンプに話のネタとして持って行くのなら星4つだが、実用性は低い。「生存ツール」とのキャッチコピーだが、火も起こしにくくその役割は果たせないだろう。
[ダメ商品⑥]数回で燃え尽きる寿命が短すぎるオイルマッチ
ノーブランド
ファイヤースターター
パーマネントマッチ(オイルマッチ)
実勢価格:99円~
▼テスト結果
使いづらさ:×××
危険度:×××
構造欠陥度:×××
オイル漏れするとのレビューが多数寄せられた商品ですが、それよりも問題なのは、芯が数回で燃え尽きてしまうこと。
編集部での検証でも数回で芯が使えなくなってしまいました。火の勢いが強い点は評価できるのですが…。
[検証1 ]火の勢いが強すぎるため
数回で芯が使用不可能に…
強すぎる火によって、写真のように、1回の使用でヒモの半分近くが焼けてなくなりました。あと、数回の点火でヒモは燃え尽きて使用不能に…。
[検証2]密閉性は低いので
燃料の液もれ・蒸発の恐れも
写真の穴にオイルを入れて持ち歩くのですが、密閉性が低いため、オイルがもれたり、蒸発する恐れがあります。
補填用に常に予備のオイルを持ち歩かなければいけないのも面倒ですよね。
火花も火の勢いもOK。ただ数回で使えなくなる点やオイルもれはいただけない。オイル蒸発の短所から実用性は低いといえる。
以上、通販におけるアウトドア道具購入の心得と買うと損するダメ商品の検証結果をお伝えしました。
通販での道具購入には、危険がつきまといます。もし、ちょっとでも不安を感じたときは本記事を見かえしてみてください。
どんな用途で使ったらよいか教えてほしい商品。キャンプでの実用レベルは低く、非常用としても使えない。ただし、小皿をしき、その上に乗せて、ちょっとしたキャンプサイトのアクセントとして使うのはありかも。