突然大物が釣れてもランディングネットがあれば安心!
あなたは「ランディングネット」を持っていますか?
ランディングネットはタモ網や玉網とも呼ばれる釣具、フレームに固定された網に柄(シャフト)が付いたアイテムを指します。柄の長さは長いものから短いものまでさまざま。後から説明しますが。狙う魚種や場所によって使う種類が変わります。
ランディングネットは、主に魚を水面からすくい上げるために使いますが、他に魚をリリース(逃がす)ときや、水面に落ちた荷物を拾うときなどにも役立ちます。
「せっかく魚を水面まで引きあげたのにバラしてしまった」「大物が掛かったけどタモ網がなくて引き上げられなかった」
――こんな経験、どんなアングラーでも1度はあるもの。
そんなときにランディングネットがあれば、確実に魚を釣り上げることができたはず。突然訪れるチャンスを逃さないために、釣行ではぜひランディングネットを携行することをおすすめします。
そこで今回は釣り歴30年で、メーカーのテスターとしても活躍する山口剛氏に、ランディングネットの基礎知識と上手な選び方を教えてもらいました。
ランディングネットで重要なのは「柄の長さ」
ランディングネットはシャフト(柄)の長さが変えられない「固定式」と、長さが変えられる「伸縮式」の2種類があります。
以下は釣り場で必要とされる長さの目安です。
フィールド(釣り場) | シャフト(柄)の長さ |
管理釣り場 | 50cm前後 |
足場が低めの堤防・河川 | ~3、4m |
一般的な堤防 | 5~6m |
磯場・足場の高い堤防 | 6m以上 |
これを参考に、自分に必要な長さの目安を覚えておきましょう。なお今回のランキングはショートサイズとロングサイズの2つに分けて行いました。
網(ネット)の素材にも気を配ろう
網にはさまざまな素材が使われますが、主に「ラバー(ゴム)」「ラバーコーティング」「ナイロン」の3種類があります。
[ラバー・ラバーコーティング]魚を傷つけにくい
ラバー(ゴム)素材やラバーコーティングは魚を入れても傷つけにくい、フック(針)が絡みにくいというメリットがあります。反面、下のナイロンに比べて重量が重いのがデメリットです。
[ナイロン]軽くて扱いやすい
ナイロンは軽くて扱いやすい、水の抵抗を受けにくいのが大きなメリットです。反面、魚を入れたときに傷つける可能性があり、フックが絡みやすいというデメリットがあります。
ネットへの針絡みは意外に厄介なものです。下手すると針外しに何分も時間を要することにもなりかねません。そういった点で、リリース前提の釣りは、ナイロンよりラバー素材のほうがよいですね。
網の形は大きく2種類がある
ランディングネットにはさまざまな形がありますが、ここでは「オーバル型」と「丸型」の2種類を紹介しましょう。
[オーバル型]
オーバル型は、柄に近い方がフレームの幅が狭く、遠くなるほど広くなる形状です。網を下にして立てかけるときに安定感があります。
[正円型]
正円型は磯玉などに多く見られる形状です。
ネットの大きさや深さは?
網の大きさや深さはあくまでも対象の魚種によりますが、以下を参考に選んでみましょう。
[対象魚が小~中型の場合]
防波堤なら釣れる魚がそれほど大きくないので、直径40~50cmもあれは、ほとんどの魚が取り込めます。深さはあまりにも浅いものでなければOK。
[対象魚が大型の場合]
一方シーバスなど大型魚狙いの場合は直径50~60cmは必要になります。網の深さはだいたい60~80cmを目安に選びましょう。
網は深さもチェックして購入するようにしましょう。枠がいくら大きくても深さがないと魚がうまく取り込めないことがあります。
意外に忘れがちなのが仕舞寸法と重量
仕舞寸法とは収納サイズのこと。この仕舞寸法や重量は車で移動するときはあまり気にならないでしょうが、ランガンスタイル(=足を使ってポイントを移動するルアーフィッシングのスタイル)の場合は非常に重要になります。
仕舞寸法は100~120cm前後の長めのタイプと、70cm前後の短めのタイプがありますが、短めの方が逆に継数が多くなります。その分重量が重くなり、携帯性が悪くなります。
どんな仕舞寸法を選ぶのかは個人の好みによりますが、ランガンスタイルの場合は、できるだけコンパクトにまとまり軽い方がポイント移動はしやすくラクだと思います。
フレームの素材もチェックしておこう
フレーム(枠)の素材もチェックしておく必要があります。フレームの素材には主にステンレス、アルミなどが使われます。
ステンレスはサビに強く耐久性に優れています。一方アルミは耐久性に劣りますが、軽くて携帯性に優れています。
それぞれの特性を理解して、フィールドに合ったフレームを選ぶ必要があります。
早速ですが、今回の第1位は?
今回は、山口氏おすすめのランディングネット7製品を比較。ショートサイズとロングサイズでランキングを分けました。
[ロングサイズ第1位]
- ダイワ玉網(タモ) ランディングポール 2 磯玉網 45-50
- 最安価格: ¥11,500〜
- 全長
- 5.06m
- 継数
- 9本
- 仕舞寸法
- 70.5cm
- 自重
- 587g
- 素材
- カーボン他
- 型番
- 06575305
ロングサイズの第1位はダイワの「玉網(タモ) ランディングポール 2 磯玉網 45-50」。伸縮式で持ち運びに便利。なおかつ全体の作りがしっかりしていて感心させられる商品でした。
[ショートサイズ第1位]
- SANLIKE渓流ランディングネット ラバーコーティングネット
- 最安価格: ¥2,280〜
- 全長
- 39~60cm(約、伸縮式)、枠/39×33cm(約、網の深さ30cm)
- 仕舞寸法
- 43×33cm
- 自重
- 440g
- 素材
- ネット/ラバーコーティング、枠/アルミ(ワンピース)、シャフト/アルミ+滑り止めゴムハンドル
ショートサイズ第1位はSANLIKE「渓流ランディングネット」。伸縮式で汎用性が高く、ラバーコーティングされているため、魚を傷つけにくい作りになっています。
今回の採点基準は?
ランキングは初心者想定で、以下のポイントで検証を行いました。検証ではスペックのチェックに加えて、釣り歴30年を超えるベテランテスター・山口剛氏に実際に使ってもらい採点を行いました。
[1:汎用性]さまざまな釣りに使えるかどうか(配点30点)
柄の長さやフレームの大きさ、形などをチェック。初心者想定で、さまざまな釣りに使えるかどうか、採点しました。
[2:携帯性]持ち運びに便利かどうか(配点30点)
同じタイプの他の製品に比べて重量は軽いかどうか。コンパクト収納して持ち歩けるかどうか。ショルダーベルトなど携帯しやすい工夫が施されているかどうか山口氏に実際に持ってもらって検証しました。
[3:作り]ネットの素材や柄の作りなど(配点30点)
ネットの素材はラバーかナイロンか。網とシャフトのジョイント部などがしっかり作られているか。フレームの素材や質は、など細かい作りをチェックしました。
[4:コスパ]お買い得な商品かどうか(配点10点)
1~3を踏まえた上で値段以上の商品なのか、値段以下なのか。費用対効果はどうなのかなど、山口氏と本誌スタッフがディスカッションして評価を決めました。
ロングタイプのおすすめは?
それではまず「ロングタイプ」3製品のランキングからスタートです!
ダイワ「玉網(タモ) ランディングポール 2 磯玉網 45-50.」
- ダイワ玉網(タモ) ランディングポール 2 磯玉網 45-50
- 最安価格: ¥11,500〜
- 汎用性
- 携帯性
- 作り
- コスパ
- 全長
- 5.06m
- 継数
- 9本
- 仕舞寸法
- 70.5cm
- 自重
- 587g
- 素材
- カーボン他
- 型番
- 06575305
小継玉の柄のロングセラー『ランディングポールII』と『玉網』のセット。長さがあるので、磯はもちろん、防波堤の五目釣りからルアーフィッシングまで幅広く使える汎用性に優れたモデルです。
シャフトの先端部には、ネットとギャフの両方が取り付けることができます。そのため、エギング・磯釣りなどさまざまな釣りで使うことができます。グリップ部はゴム素材が貼ってあるため、水に濡れた手でも滑りにくくなっています。
携帯性も優れています。最大長約1mのベルクロ式ショルダーベルト付きで、網が4つ折りなので、持ち運びにも便利。簡単に着脱可能なため、ジャマなときは取り外して使うことができます。なお今回検証した45-50以外に、全長約6mのモデルもあります。
枠が大きくて取り込みがラクにできます。写真の一番右が1位商品。その左が2位商品ですが、1位商品の枠が大きいことが良く分かります。
非常に作りがしっかりしたランディングネットです。フレームが大きいので大型魚をラクにキャッチできますが、網目が小さいので小~中型魚にも対応できます。1本でさまざまな釣りに使えるモデルですね。
TAKAMIYA「H.B concept ラストウィニング ランガンシャフト300」
- タカミヤH.B concept ラストウィニング ランガンシャフト300
- 最安価格: ¥4,745〜
- 汎用性
- 携帯性
- 作り
- コスパ
- 全長
- 2.96m
- 継数
- 9本
- 仕舞寸法
- 43cm
- 自重
- 577g(シャフト365g、枠+網212g)
- 素材
- グラス繊維、アルミニウム
- 型番
- KP-2039
1位商品に比べ仕舞寸法が短く、携帯性に優れていますが、重量はほぼ変わらず。サイズは他に2.66m、3.26m、3.56m、3.86mがありますが、いずれも4m以下なので、足場が低めの堤防・河川用となります。
ネット素材はラバーより耐久性に優れ、劣化の少ない「PVCコーティングネット」を採用。魚の体を傷つけにくく、バスフィッシングやチニング、ライトゲームなどリリースを前提とした釣りにおすすめです。
なおこちらも1位商品と同じくショルダーベルトと、濡れた手でも滑りにくい「ラバーグリップ」を採用しています。
PVCコーティングなので魚を傷つけにくいのがよいですね。長さが若干短いので、汎用性は1位商品に劣ります。ルアーフィッシングなどにおすすめの商品だと思います。
メジャークラフト「ファーストキャスト ランディングセット」
- メジャークラフトランディングネット ファーストキャスト ランディングセット
- 検証時価格: ¥5,755〜
- 汎用性
- 携帯性
- 作り
- コスパ
- 全長
- 5m(枠込み)
- 継数
- 9(pcs)
- 仕舞寸法
- 60.5cm
- 自重
- 634g(約、シャフト436g、枠+網198g)
- 素材
- ナイロン、アルミ他
重量は編集部計測で634g、仕舞寸法が約60cmと上位商品に比べ若干携帯性で劣りますが、長さが5mあるので、さまざまな釣りに使うことができます。ラインナップは他に4m、6mがあります。
ネットは涙型ですくいやすい形状になっています。フレームはアルミ製で4つ折りになるのでコンパクトに仕舞えます。
長さが5mなので、高い堤防でも使えますね。ただ1、2位商品と違ってショルダーベルトが付いていないのが難点です。自分でベルトを準備して取り付けるという方法もありますが、どちらかというとあまり移動しない釣り向けだと言えます。価格が安いので、ファミリーフィッシングにはおすすめです。
ショートサイズのおすすめは?
続いては、「ショートサイズ」4製品のランキングです。
SANLIKE「渓流ランディングネット」
- SANLIKE渓流ランディングネット ラバーコーティングネット
- 最安価格: ¥2,280〜
- 汎用性
- 携帯性
- 作り
- コスパ
- 全長
- 39~60cm(約、伸縮式)、枠/39×33cm(約、網の深さ30cm)
- 仕舞寸法
- 43×33cm
- 自重
- 440g
- 素材
- ネット/ラバーコーティング、枠/アルミ(ワンピース)、シャフト/アルミ+滑り止めゴムハンドル
網は魚を傷つけにくいラバーコーティング。リリース前提の釣りにおすすめです。
ネットはワンタッチで折りたたみできて、シャフトに重ねる形でコンパクトにまとめることができます。携帯性に優れたフック付きで、収納時はベルトやバッグに掛けられるように工夫されています。
なおラインナップには他に最大に伸ばしたときに全長81cmになる短めのタイプがあります。
網がラバーコーティングされているのがよいですね。他にもワンタッチで折りたためる仕掛けやベルトフックなど、いろいろ考えられた商品だと思います。主に渓流や川、湖での釣りにおすすめですが、伸縮式なので釣る場所に合わせて長さを変えられるのが便利ですね。
プロックス「ラバーランディングネット」
- プロックスラバーランディングネット
- 最安価格: ¥2,064〜
- 汎用性
- 携帯性
- 作り
- コスパ
- 全長
- 56cm
- 枠サイズ
- 12型(外径)37.8×31cm、(内径)37×29.5cm
- 型番
- PX70412CR
網にはフック絡みしにくく、魚も傷めずキャッチ&リリースできるラバー素材を使っています。
※画像はAmazonより
ラインナップは他に19型(全長126cm/仕舞寸法74.5cm)や、15型(全長:112cm/仕舞寸法67.5cm)があります。両方ともコンパクト収納ができるのが便利です。
今回の検証商品は伸縮性がありませんが、他にもタイプがいくつかあるため、釣り場に合わせて選ぶとよいと思います。ネットがラバー素材なのもよいですね。なお12型はシャフトにゴム付きナスカンが付いていて、腰に固定したまま魚がすくえるように工夫されています。
スミス「ランディングネット ラバーネット」
- スミスランディングネット ラバーネット
- 最安価格: ¥2,827〜
- 汎用性
- 携帯性
- 作り
- コスパ
- 高さ
- 30cm
- 幅
- 38cm
- ハンドル長
- 18.5cm(固定式)
- 重量
- 240g
しっかりした網はラバー素材で、魚を傷つけにくい作りになっています。
2位商品と同じく脱落防止の留め具とゴムが付いています。渓流や河川以外に、フローターやカヤックでの釣りにもおすすめです。
※画像はAmazonより
今回検証したハンドル長18.5cmの他にハンドル長62cmと77cmの合計3タイプがあります。
使用感や機能としてはほぼ2位商品と同じですね。こちらもしっかりした作りになっていると思います。若干価格が高い分だけ順位を落とさせて頂きました。
第4位:ドレス「折り畳みランディングネット100」
- ドレス折り畳みランディングネット100
- 最安価格: ¥1,480〜
- 汎用性
- 携帯性
- 作り
- コスパ
- 全長
- 76cm~100cm(約、ネット含む)
- 折り畳みサイズ
- 45cm(約、長さ)、10cm(約、幅)
- 重量
- 300g
- 素材
- アルミニウム、樹脂、ナイロン
▼採点結果
全長は約1mですが、ワンタッチで簡単に折り畳むことができて、携帯性も抜群。また逆三角形型のネットは立てかけたときに安定感があります。
柄の部分も滑り止め使用で、持ちやすいグリップになっています。
アルミ製で超軽量なので、持ち運びには便利です。ただし網がナイロン製なので、魚のぬめりが取れやすく、リリース前提の釣りには向いていません。そのため今回は順位を落としました。
ランディングネットは引き上げ方に注意
最後にランディングネットの使い方の注意点を山口氏に教えてもらいました。
ランディングネットは意外にシャフトが折れやすいので注意が必要です。写真の×のように持ち上げるのではなく、○のように手前に引っ張るように使ってください。伸縮式のものなら順番に節を収納していって短くするのがよいでしょう。
以上、ランディングネットのおすすめランキングでした。
購入するときは、今回の記事をぜひ参考にしてみてくださいね。
携帯性を優先して短めのランディングネット持参する人がいますが、水面下に届かないと役割を果たしません。そのため釣り場に合わせた長さを準備する必要があります。