実はそこまで暖かくない ヒートテックの新事実
初代ヒートテック誕生から15年が経ち、当時は唯一無二の技術だった「軽くて薄いのに暖かいインナー」の市場は競争が激化。今ではヒートテックよりも安くて、軽くて、暖かいインナーが続々と生まれています。
ただ、依然として「ヒートテック」が本家で一番暖かいと考えている人も多いのではないでしょうか? でも実は違うんです。
ユニクロ
ウルトラウォーム
クルーネックT(超極暖)
実勢価格 : 2150円
保温率:26.7%
防寒インナー20製品の保温性を調査した企画では、ヒートテックの最上位モデル「超極暖」とGUがまさかの同率。しかもムレにくさに加え総合評価もGUの後塵を拝する形に。
最上位モデルの「超極暖」ですら、生地の保温率だけで言えば半額のGUと同じレベル。「有名でコスパは良いものの、特別暖かいわけではない」というのがヒートテックの現在地なんです。
とは言え、すべてにおいて今や平均点でも、総合的に見たらバランスは取れたインナーとも言えます。
そこそこ安くて、そこそこ暖かく、そこそこ軽い。しかも店舗が多いからすぐ買える。そのあたりにヒートテックの存在意義はまだ残っていると言えます。
現在ヒートテックは3種類 購入するなら「極暖」
ここで現在販売されているヒートテックをおさらいしておきましょう。まず一番安価でオーソドックスなレギュラー、続いて極暖そして、一番暖かいとされる超極暖の3つ。
これに加えてGUからは「ウォームコットン」のネーミングでインナーが販売されています。
このうち超極暖は温かさを追求した分厚くなり、インナーとしての使い勝手はイマイチ。
ユニクロ
エクストラウォーム
クルーネックT(極暖)
実勢価格:1290円
むしろ平均的なこちらの極暖の方が薄くてムレにくいので、着ていて快適に感じます。
ヒートテックの新作は 価格に見合わない出来が残念
さらに、2018年の秋「誰も見たことのないヒートテック」とデカデカと宣伝されていたデザイナー「アレキサンダー ワン」とのコラボ商品。デザイン性の宣伝ばかりですが温かさは? と思い編集部で検証したところ......。
この通り、なんと普通のヒートテックより保温率が低下。これで値段は倍とは納得できません。
保温インナー4製品を対象に 買っても良い一枚を検証
ここまでで、ヒートテック=最強の冬インナーでないことが分かりました。では、今ユニクロ・GUでインナーを選ぶならどれをが一番「買い」なのか検証すべく、ユニクロのインナー3製品とGUの1製品を対象に検証しました。
実際の検証方法は以下の通りです。
生地がどれぐらい暖かい空気を逃さないかを「保温率」として数値化しました。
また、着心地の良さ、デザイン性を併せて各項目A~Dの4項目で採点したうえで、総合的にランキングとしています。
それではいよいよ結果の発表です。
デザインも保温性も合格 ヒートテックより使える1枚
ユニクロ
ワッフルクルーネックT(長袖)
実勢価格 : 2145円
素材:綿80%、ポリエステル20%、
色:03 GRAY(写真)ほか全5色展開
同じ素材でヘンリーネックもあり
保温性はヒートテックほどではありませんが、あったかインナーとしては合格点。何より雑誌『MONOQLO』で2018年10月に行った検証でも「買ってイイ」と認定され「1枚で着てもおしゃれ」なのが大きな強みです。
さらにゆったりめの身幅で着心地も快適と、3つのバランスが一番でした。各項目の評価を詳しく見ていきましょう。
「超極暖」に相当する数値なので保温性は確かです。
締め付け感がなく、ゆったり着られるのがポイントです。また、凹凸ある生地感が表情を生み値段以上に見えるのも好評価でした。
縦横の伸び縮みは申し分なし。生地はしっかりしていますが、厚手ではなく着心地も抜群です。
着丈は標準的な長さですが、身幅が同じサイズの他のカットソーと比較して少しゆったりめ。従って、普段通りのサイズでもお腹の出っ張りなどが目立ちません。
保温性は全商品で1番も デザインがイマイチ
ユニクロ
ヒートテックストレッチ
フリースクルーネックT(長袖)
実勢価格:1620円
40%台は予想外の好記録。確かに暖かいです。
身体にフィットしない着心地は好みが分かれます。
快適さを求めてマイクロフリース素材を使ったことがデザイン面で逆効果に。保温性はありますが、Tシャツというよりパジャマといったほうが適当です。
おしゃれ着としては辛い素材 パジャマとして使いましょう
ユニクロ
ソフトタッチ
クルーネックT(長袖)
実勢価格:1080円
値段が安いなりに、作りも安っぽくなっています。1枚で着るには辛いかもしれません。
保温性の数値、体感での暖かさともに「普通」です。
厚ぼったく、フィット感もありません。快適さもイマイチです。また、見た目も袖口がダルっとしていて、全体的に締まりがない印象です。
4位: 全体的に作りが雑で
メインでは着ていけません
GU
起毛クルーネックT(長袖)
実勢価格:850円
最後はGUの起毛インナー。全体的にかなり粗悪で、ヒートテックTがパジャマならこちらは下着レベルでした。
3位のユニクロよりも値段は安いのに、暖かさはほとんど同じです。
起毛感による着心地のよさはあまり感じられませんでした。またデザイン面もダブつきや袖口のバックリ感など細部の作りが雑です。
結果:暖かくて一枚着できる ユニクロのワッフルT一択
検証の結果、とくにヒートテック素材を採用したヒートテックストレッチフリースクルーネックT(長袖)は保温率が40%超えと、ほかの3製品と比較して、圧倒的な保温率をマークして圧勝。このままベストバイ……と思いきや、ネックになったのはそのデザイン性。
フリース素材と組み合わせたことでふんわり感はあるのですが、逆にそれがパジャマのように安っぽく見せてしまっています。
一方、保温性では次点のワッフルクルーネックT(長袖)は、凹凸のある素材感や襟や袖の縫製が段違いにしっかりしており、下着っぽさはありません。
1枚で着られるという実用性を考えると保温率も30%近くあるワッフルTシャツの方が、総合力で上回ると言っていいでしょう。
以上、ユニクロ・GUインナーランキングでした。インナーとしてヒートテックを選ぶなら「極暖」を。ジャケットなどと合わせたり、一枚着で着たりするときはヒートテックはオススメできません。今回1位のワッフルタイプがオススメです!
「保温率」とは、生地がどれぐらい暖かい空気を溜め込む力があるかを数値化したものです。