家電批評が検証テストした最高のアナログ機器の選び方を紹介!
『家電批評』特別編集のムック『アナログオーディオがまるごとわかる本』は、これまで雑誌『家電批評』で検証テストしたアナログオーディオ機器の中から、実際に試してわかった、本当におすすめできる商品だけを紹介しています。
アナログレコード人気の再熱にともない、近年発売されているレコードプレーヤーもBluetooth対応機種が主流になってきましたが、せっかく買うならよい音でレコードを聴きたいですよね。
そこで今回は、音のプロが「Bluetooth対応レコードプレーヤー」のおすすめの一台を探すべく人気商品6機種を聴き比べた、プロがえらんだ「Bluetooth対応レコードプレーヤーベストバイ6選」を取り上げます!
各メーカーともに、より手軽にレコードを楽しめるBluetooth対応モデルを発売
レコードを再生する手間こそアナログの醍醐味と考えている愛好家も多いようですが、現在のレコードブームを支えているのは若い世代です。
そういった新たな顧客を獲得するためか、ここ数年は多くのメーカーが手軽にレコードを楽しめるBluetooth対応のレコードプレイヤーをリリースしています。
フォノイコライザーも内蔵しているため、スピーカーはもちろんのことイヤホンやヘッドホンさえ用意すればすぐにレコードを楽しめる利便性の高さが魅力です。
また、USB端子を備えたモデルも増えており、レコード音源のデジタル化も以前より容易になりました。中には、USBメモリーに直接録音可能な機種も登場しています。
ワンボタンでBluetooth接続
音質を重視するなら有線がおすすめですが、ボタンひとつで手軽にスピーカーやイヤホン・ヘッドホンなどと接続し、レコードを楽しめるのは、Bluetooth対応機の魅力でしょう。
Bluetooth対応レコードプレーヤーの検証項目
今回は、同じアンプとスピーカーを接続し、下記の8項目でレコードプレーヤーの音質をチェックしました。
Bluetooth対応モデルのため、有線に加え、ワイヤレスヘッドホンで無線接続時の音質もチェックしています。
検証項目1:低音
低音域の出力や豊かさ、音の歯切れのよさなどをチェック。
検証項目2:中音
主にボーカルの質感や細かなニュアンス、リアリティがあるかなどを確認。
検証項目3:高音
音がこもらず伸びやかに低音が出ているかどうかを確認。
検証項目4:S/N感
測定器で測る厳密な数値ではなく、体感的にノイズが多いか少ないかを評価。
検証項目5:ステレオ感
音が立体的に感じられ、ライブハウスのような臨場感があるかなどを確認。
検証項目6:音像感
楽器やボーカルの位置などを感じられるかに加え、音の広がりがあるかも評価。
検証項目7:情報量
ボーカルや楽器のディテールまでしっかり感じられるかをチェック。
検証項目8:操作性
ボタンの使い勝手やアームの自動高さ調節機能があるかなどを確認。
Bluetooth対応レコードプレーヤーのおすすめは?
プロと一緒に実際に使ってみた、Bluetooth対応レコードプレーヤーのおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。
商品 | 低音(Bluetooth) | 中音(Bluetooth) | 高音(Bluetooth) | S/N感(Bluetooth) | 情報量(Bluetooth) | S/N感(有線) | ステレオ感(有線) | 音像感(有線) | 情報量(有線) | 操作性 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
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オーディオテクニカAT-LP120XBT-USB
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|
452mm |
352mm |
141.6mm |
8kg |
Qualcomm aptX Adaptive audio、Qualcomm aptX audio、SBC |
ダイレクトドライブ |
33-1/3、45、78回転/分 |
Bluetooth標準規格Ver.5.2準拠 |
||||||||||||
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ティアックTN-400BT-X
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|
420mm |
356mm |
117mm |
4.9kg |
Qualcomm aptX Adaptive、Qualcomm aptX、SBC |
ベルトドライブ |
33-1/3、45、78回転/分 |
Bluetooth 5.2(デュアルモード) |
||||||||||||
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JBLJBL Spinner BT
![]() |
|
435mm |
368mm |
155mm |
5.3kg(約) |
Qualcomm aptX HD audio |
DCベルトドライブ |
33-1/3、45回転/分 |
Bluetooth 5.2 |
||||||||||||
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The House of MarleyEM STIR IT UP WIRELESS SB
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|
420mm |
345mm |
115mm |
3.6kg |
ベルトドライブ |
33-1/3、45回転/分 |
Bluetooth4.2 |
|||||||||||||
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ティアックTN-280BT
![]() |
|
420mm |
356mm |
117mm |
4.9kg(約) |
SBC |
ベルトドライブ |
33-1/3、45回転/分 |
Bluetooth 5.2(デュアルモード) |
||||||||||||
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ジャパイヤーVINshin
![]() |
|
450mm |
360mm |
140mm |
6.9kg |
ベルトドライブ |
33-1/3、45回転/分 |
Bluetooth |
【1位】オーディオテクニカ「AT-LP120XBT-USB」
- オーディオテクニカAT-LP120XBT-USB
- 実勢価格: ¥54,000〜
- 低音(Bluetooth)
- 中音(Bluetooth)
- 高音(Bluetooth)
- S/N感(Bluetooth)
- 情報量(Bluetooth)
- S/N感(有線)
- ステレオ感(有線)
- 音像感(有線)
- 情報量(有線)
- 操作性
- 幅
- 452mm
- 奥行
- 352mm
- 高さ
- 141.6mm
- 重量
- 8kg
- コーデック
- Qualcomm aptX Adaptive audio、Qualcomm aptX audio、SBC
- Bluetooth
- Bluetooth標準規格Ver.5.2準拠
- 型式
- ダイレクトドライブ
- 回転数
- 33-1/3、45、78回転/分
- 型番
- AT-LP120XBT-USB
付属カートリッジも優秀だが高級なものにも交換できる
ヘッドシェルごと交換可能!
しっかりとした油圧式リフター
この価格帯でも針にこだわれる
5万円台ながら「AT-LP120XBT-USB」は、ヘッドシェル(トーンアームにカートリッジを取り付けるアダプター)ごと交換できるようになっています。
ただ、付属のカートリッジ(レコード針)が非常に優秀で、標準のセットでも十分に楽しむことができます。ゆっくりと盤面に針を落とせる油圧式リフターも高評価です。
安定した無線接続に加え、機能も充実
ワンボタンで無線接続できる
78回転レコードにもしっかり対応
ベストな状態なら48kHz/24bit
無線接続のコーデックは「aptX Adaptive Audio」に対応。環境に応じてビットレートをリアルタイムで変化(280~420kbps)させ、安定した接続を実現しています。
また、78回転にも切り替え可能で、SPレコード(1963年に生産が終了した直径30cmの古いレコード)も楽しめます。
フォノイコライザー内蔵で有線接続も安定
フォノイコライザーにUSB端子搭載で接続も簡単
アナログ入門機としても最適!
フォノイコライザーは内蔵されているため、「AT-LP120XBT-USB」付属のオーディオケーブルでアクティブスピーカーに接続するだけでもレコードを楽しめます(音質を重視するならアンプ+パッシブスピーカーを推奨)。
オーディオテクニカ公式オンラインストアでセットアップムービーが公開されており、初心者でも安心です。
リフターが動くときは上下ともにスピードが速く、アームの動きとレコードの回転が連動しないのはマイナスポイントです。
【2位】ティアック「TN-400BT-X」
- ティアックTN-400BT-X
- 実勢価格: ¥57,195〜
- 低音(Bluetooth)
- 中音(Bluetooth)
- 高音(Bluetooth)
- S/N感(Bluetooth)
- 情報量(Bluetooth)
- S/N感(有線)
- ステレオ感(有線)
- 音像感(有線)
- 情報量(有線)
- 操作性
- 幅
- 420mm
- 奥行
- 356mm
- 高さ
- 117mm
- 重量
- 4.9kg
- コーデック
- Qualcomm aptX Adaptive、Qualcomm aptX、SBC
- Bluetooth
- Bluetooth 5.2(デュアルモード)
- 型式
- ベルトドライブ
- 回転数
- 33-1/3、45、78回転/分
- 型番
- TN-400BT-X/WA
無線接続した状態での音場感がいいですね。音像定位もよく、ボーカルがセンターにピシッと定位しています。中森明菜のレコードを聴いたときはボーカルが耳元で甘くささやきかけてくるようでした。
オート機能はないが針を落とす手間が楽しい
針は手動で優しく乗せる
針はヘッドシェルごと交換できる
すべて自分で操作するマニュアル機
レコードを自動再生・停止するオート機能は備えておらず、自分で操作する必要があります。手間はかかるものの、針を落とすまでの手間もアナログの醍醐味でしょう。
リフターの速さが絶妙で針を落としやすいのもうれしいポイント。ヘッドシェルごと交換できるため、カスタマイズ性も高いです。
美しい天然木目のキャビネットでインテリアにも映える
木目の温かみが感じられるデザイン
ヴィンテージ家具のような高級感!
見た目も秀逸な木目キャビネット
回転方式はベルトドライブ方式を採用しているため、キャビネットは薄く仕上がっています。素材にはオイル仕上げにしたウォルナット突板を採用しており、天然の木目が印象的です。
コア材には高密度MDF(中質繊維板)を使用しており、十分な剛性と制振性を確保しているのも特徴です。
SP78回転にも対応
ツマミを切り替えて再生するだけ
古いコレクションも今によみがえる
LPやEPより古い、SPの78回転レコードにも対応。本体のツマミで簡単に切り替えられます。
なお、本体上面に備えられたツマミやスイッチは、これと回転オン・オフの2個のみです。LEDや液晶画面もないシンプルなデザインになっており、木製キャビネットの存在感を引き上げています。
トーンアームとターンテーブルが同期しない
レコードの回転はツマミでオン・オフを切り替えるようになっています。
アームリフターを上げるだけでは回転は始まらず、アームを戻しただけでは回転は止まりません。
【3位】JBL「Spinner BT」
- JBLJBL Spinner BT
- 実勢価格: ¥49,299〜
- 低音(Bluetooth)
- 中音(Bluetooth)
- 高音(Bluetooth)
- S/N感(Bluetooth)
- 情報量(Bluetooth)
- S/N感(有線)
- ステレオ感(有線)
- 音像感(有線)
- 情報量(有線)
- 操作性
- 幅
- 435mm
- 奥行
- 368mm
- 高さ
- 155mm
- 重量
- 5.3kg(約)
- コーデック
- Qualcomm aptX HD audio
- Bluetooth
- Bluetooth 5.2
- 型式
- DCベルトドライブ
- 回転数
- 33-1/3、45回転/分
- 型番
- SPINNER BT
中森明菜のレコードを聴いてみると、ボーカルのニュアンスがしっかりと出ており、口もとが見えそうなほどにはっきりと感じられました。音像定位も優秀です。
【4位】The House of Marley「EM STIR IT UP WIRELESS SB」
- The House of MarleyEM STIR IT UP WIRELESS SB
- 実勢価格: ¥29,800〜
- 低音(Bluetooth)
- 中音(Bluetooth)
- 高音(Bluetooth)
- S/N感(Bluetooth)
- 情報量(Bluetooth)
- S/N感(有線)
- ステレオ感(有線)
- 音像感(有線)
- 情報量(有線)
- 操作性
- 幅
- 420mm
- 奥行
- 345mm
- 高さ
- 115mm
- 重量
- 3.6kg
- Bluetooth
- Bluetooth4.2
- 型式
- ベルトドライブ
- 回転数
- 33-1/3、45回転/分
- 型番
- EM STIR IT UP WIRELESS SB
無線接続の音は予想以上によかったです。ただし、音量が小さめなのが残念。ワイヤレス接続した上で、ヘッドフォン側などで音量調節をすると便利です。
【5位】ティアック「TN-280BT」
- 低音(Bluetooth)
- 中音(Bluetooth)
- 高音(Bluetooth)
- S/N感(Bluetooth)
- 情報量(Bluetooth)
- S/N感(有線)
- ステレオ感(有線)
- 音像感(有線)
- 情報量(有線)
- 操作性
- 幅
- 420mm
- 奥行
- 356mm
- 高さ
- 117mm
- 重量
- 4.9kg(約)
- コーデック
- SBC
- Bluetooth
- Bluetooth 5.2(デュアルモード)
- 型式
- ベルトドライブ
- 回転数
- 33-1/3、45回転/分
- 型番
- TN-280BT
トニー・ベネットのレコードではベースによる低音の量感と、左右の広がり感も出ていました。ただし音数はやや少なめ。無線接続で聴いた際は低音の量感とメリハリのある音でした。
【6位】ジャパイヤー「VINshin」
- ジャパイヤーVINshin
- 実勢価格: ¥24,800〜
- 低音(Bluetooth)
- 中音(Bluetooth)
- 高音(Bluetooth)
- S/N感(Bluetooth)
- 情報量(Bluetooth)
- S/N感(有線)
- ステレオ感(有線)
- 音像感(有線)
- 情報量(有線)
- 操作性
- 幅
- 450mm
- 奥行
- 360mm
- 高さ
- 140mm
- 重量
- 6.9kg
- 無線規格
- Bluetooth
- 型式
- ベルトドライブ
- 回転数
- 33-1/3、45回転/分
中森明菜のレコードを聴いてみると低音の量感があり、ボーカルの音像定位もなかなか優秀でした。付属のケーブルだと少しノイズが乗るので、アース付きケーブルに変えてみるのもありです。
Bluetooth対応レコードプレーヤーのおすすめ まとめ
以上、『家電批評』特別編集のムック『アナログオーディオがまるごとわかる本』から、プロがえらんだ「Bluetooth対応レコードプレーヤーベストバイ6選」でした。ベストバイを振り返っていきます。
Bluetooth対応レコードプレーヤーの1位でベストバイを獲得したのは、オーディオテクニカ「AT-LP120XBT-USB」でした。
欧米で大ヒットしたレコードプレーヤーの最新モデルで、低〜高音域まで高い表現力を発揮したアナログの良さがしっかり伝わる音色です。
音の広がりは有線接続時により強く実感できるものの、無線でも充分なアナログの味わいを楽しめるようになっています。
今回検証したBluetooth対応レコードプレーヤーも、他のカートリッジ(レコード針)やアンプ・スピーカーと組み合わせれば音質が向上する可能性があります。
アンプやスピーカー、カートリッジ(レコード針)など色々なオーディオシステムの組み合わせを探るのもカスタマイズの醍醐味ではないでしょうか。
Bluetooth対応レコードプレーヤーが気になっている人は、本記事を参考に、お気に入りをみつけてみてください。
Bluetooth対応レコードプレーヤーのおすすめ
オーディオテクニカ
「AT-LP120XBT-USB」
レコードプレーヤーの売れ筋ランキングもチェック!
レコードプレーヤーのAmazon・楽天の売れ筋ランキングは、以下のリンクからご確認ください。
トニー・ベネットのレコードを聴いたときは「ようやく本物の低音に出会えた」という印象。高域も伸びてレンジが広がっています。アナログのよさを知ることができるプレーヤーといえます。