家電批評が検証テストした最高のアナログ機器の選び方を紹介!
『家電批評』特別編集のムック『アナログオーディオがまるごとわかる本』は、これまで雑誌『家電批評』で検証テストしたアナログ機器の中から、実際に試してわかった、本当におすすめできる商品だけを紹介しています。
今回は、その中から「オーディオテクニカ定番カートリッジ(レコード針)おすすめ4選」を取り上げます!
カートリッジの交換だけでも音は驚くほど大きく変わる!
レコーダーやアンプなどのセットアップをカスタマイズするのは、アナログオーディオの楽しみのひとつです。とはいえ、機材を替えるとなると大がかりだし、出費もかさみます。
そこで、おすすめなのがレコード針、つまり「カートリッジ」の交換です。
カートリッジの発電機構にはいくつかの方式があり、これを替えるだけでアナログレコードの音が大きく変わります。
また、針先の形状にも種類があるため、交換針を替えることでもさらに音が変わります。
今回は、針形状や価格によって音にどのような差が出るのか、手軽にカートリッジ交換が楽しめるオーディオテクニカ(Audio-Technica)の定番4製品を比較しました。
まずはカートリッジの種類をおさらい!
針の振動を電気信号に変えて増幅する「音の入り口」となるのがカートリッジ
「カートリッジ」はレコードの音溝の信号を読み取る「針」と、その振動を電気信号に変えて増幅する「発電機構」で構成されています。
厳密にいうと、針はカートリッジの一部ですが、カートリッジ全体を「レコード針」と呼ぶことも多いです。
発電機構にはいくつかの種類がありますが、現在主流なのはマグネットを使った「MM型(Moving Magnet)」と、コイルを使った「MC型(Moving Coilの略)」の2つです。
MM型は迫力のある音が出やすいのが特徴です。
ボーカルが主役で音に厚みのあるポップスに加え、ギターやドラムスなどのエネルギー感を出したいロック、さらにはサックスやピアノなどの温かな音色を感じられるビッグバンドスウィング系のジャズなどに向いています。
一方MC型は情報量が多く繊細な音が出やすいのが特徴です。
フルオーケストラや室内楽など、繊細な音の表現が必要なクラシック、ナチュラルに音を再現するフォークやアコースティックジャズ、繊細で空間的な音場感が重視されるアンビエントやエレクトロニカに適しています。
針先の形状によって音が変わる
丸針より楕円針のほうが音がクリア
カートリッジ先端にある針は、唯ーレコードに触れる部分です。
針先の形状はもともと丸針でしたが、ステレオ録音の普及により音溝の左右に別の音を記録するのが一般的になりました。
これにともない、丸針だと接触面のズレによる歪みが発生するため、正面と背面を削ってズレを軽減した楕円針が登場しました。
楕円針のほうが音が明瞭でクリアになるからです。
【丸針】
柔らかく厚みのある音色が特徴
【楕円針】
クリアで解像感の高い音色が特徴
カートリッジを交換してみよう
固定ビスを外してカートリッジを交換
カートリッジを交換するにはまず、プレーヤーのヘッドシェルとカートリッジをつなぐリード線を先の細いラジオペンチで抜きましょう。
その後、カートリッジを固定しているビスをドライバーで外して交換します。
新しいカートリッジをビスで固定した後、リード線をつなぎ直せば完了です。
MC型カートリッジの交換はメーカーに依頼する
MM型の場合、毎回カートリッジごと替えなくても、針部分だけを簡単に付け替えられます。
一方、MC型は構造が複雑で一体化しているため、メーカーに依頼が必要です。
オーディオテクニカの場合はサポートページで型番を選択。
金額を確認後フォームから依頼が可能です。
【URL】 https://www.audio-technica.co.jp/support/repair/search/
タイプ別カートリッジのおすすめは?
プロと一緒に実際に使ってみた、オーディオテクニカ定番カートリッジのおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。
商品 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
オーディオテクニカAT-VM95C
![]() |
18.9mm |
28.3mm |
17.2mm |
6.1g |
VM型 |
接合丸針 |
1.8〜2.2g(2.0g標準) |
20〜20,000Hz |
4.0mV(1kHz、5cm/sec.) |
|
オーディオテクニカAT-VM95E/H
![]() |
21.4mm |
62.4mm |
21.2mm |
15.5g |
VM型 |
接合楕円針 |
1.8〜2.2g(2.0g標準) |
20〜22,000Hz |
4.0mV(1kHz、5cm/sec.) |
|
オーディオテクニカAT-VM95EN
![]() |
18.9mm |
28.3mm |
17.2mm |
6.1g |
VM型 |
無垢楕円針 |
1.8〜2.2g(2.0g標準) |
20〜23,000Hz |
3.5mV(1kHz、5cm/sec.) |
|
オーディオテクニカAT-VM530EN/H
![]() |
21.0mm |
60.4mm |
21.3mm |
16.8g |
VM型 |
無垢楕円針 |
1.8〜2.2g(2.0g標準) |
20〜25,000Hz |
4.5mV(1kHz、5cm/sec.) |
【U1万円部門】オーディオテクニカ「AT-VM95C」
- 幅
- 18.9mm
- 奥行
- 28.3mm
- 高さ
- 17.2mm
- 重量
- 6.1g
- 型式
- VM型
- スタイラス
- 接合丸針
- 針圧
- 1.8〜2.2g(2.0g標準)
- 再生周波数範囲
- 20〜20,000Hz
- 出力電圧
- 4.0mV(1kHz、5cm/sec.)
- 型番
- AT-VM95C
接合丸針
ロックやポップス、レゲエにおすすめ。
製造コストが安く、コスパが高いのが特徴。耐久性も高くレコードに優しい。音は柔らかく温かな傾向。
【U1.5万円部門】オーディオテクニカ「AT-VM95E/H」
- 幅
- 21.4mm
- 奥行
- 62.4mm
- 高さ
- 21.2mm
- 重量
- 15.5g
- 型式
- VM型
- スタイラス
- 接合楕円針
- 針圧
- 1.8〜2.2g(2.0g標準)
- 再生周波数範囲
- 20〜22,000Hz
- 出力電圧
- 4.0mV(1kHz、5cm/sec.)
- 型番
- AT-VM95E/H
高域がやや強く大雑把な印象はありますが、親しみやすい音で上の「95C」よりはドライ。低域の響きは豊かだが、ピアノは硬質に聴こえます。
接合楕円針
ポップスやダンスミュージックにおすすめ。
丸針よりレコードの溝にしっかりトレースして細部を正確に再現する。トラッキング精度も高い。
【U1.5万円部門】オーディオテクニカ「AT-VM95EN」
- 幅
- 18.9mm
- 奥行
- 28.3mm
- 高さ
- 17.2mm
- 重量
- 6.1g
- 型式
- VM型
- スタイラス
- 無垢楕円針
- 針圧
- 1.8〜2.2g(2.0g標準)
- 再生周波数範囲
- 20〜23,000Hz
- 出力電圧
- 3.5mV(1kHz、5cm/sec.)
- 型番
- AT-VM95EN
芯があって力強い音です。音の立ち上がりや分離がよく、奥行き感が出ます。ボーカルのニュアンスもよくわかり、低域の解像度も向上します。
無垢楕円針
クラシックやモダンジャズにおすすめ。
針全体がダイヤモンドから削り出されているため非常に精密で、音の解像度が高いです。
【2万円台部門】オーディオテクニカ「AT-VM530EN/H」
- 幅
- 21.0mm
- 奥行
- 60.4mm
- 高さ
- 21.3mm
- 重量
- 16.8g
- 型式
- VM型
- スタイラス
- 無垢楕円針
- 針圧
- 1.8〜2.2g(2.0g標準)
- 再生周波数範囲
- 20〜25,000Hz
- 出力電圧
- 4.5mV(1kHz、5cm/sec.)
- 型番
- VM530EN
明るく輝くような音で、高域の解像度が高くヌケがいい。ボーカルのニュアンスが一番出ており、艶やかでウォームな音。中低域の分離もいいです。
無垢楕円針
トラッキング性能に優れ、クリアかつ解像度の高いサウンドを楽しめます。
まとめ:カートリッジは手軽にできるカスタマイズ
現在のレコードプレーヤーは、ユニバーサル型というトーンアームの形状が一般的になっています。
これは、トーンアームとヘッドシェルの接合部にコネクタを設け、カートリッジ交換を容易にした設計のことで、一本のトーンアームで、市販のさまざまなカートリッジに交換できるのが魅力です。
カートリッジを交換するだけで、レコードの音は大きく変化するため、手軽にできるカスタマイズとしてぜひ挑戦してみてください。
以上、『家電批評』特別編集のムック『アナログオーディオがまるごとわかる本』から、「オーディオテクニカ定番カートリッジおすすめ4選」でした。
カートリッジが気になっている人は、本記事を参考に、お気に入りをみつけてください。
高域はなめらかでウォーム。中低域はややおとなしめで、高域の押し出し感が強い。粒立ちよりも音の厚みで聴かせるカートリッジです。