家電批評が検証テストした最高のアナログ機器の選び方を紹介!
『家電批評』特別編集のムック『アナログオーディオがまるごとわかる本』は、これまで雑誌『家電批評』で検証テストしたアナログオーディオ機器の中から、実際に試してわかった、本当におすすめできる商品だけを紹介しています。
今回は、その中から「ラジカセ・カセットプレーヤーおすすめ5選」を取り上げます!
令和にカセットテープが再流行! 新譜や名盤をカセットで販売する動きも
有名アーティストが続々カセットテープに参入
アナログレコードに続きブームが再熱しているのがカセットテープです。
日本のミュージシャンがアルバムをカセットテープで販売したり、名盤アルバムをカセットテープで再販したりするなど、レコードと同様に徐々に定着しつつあります。
カセットテープ特有の温かみがあって聴き心地のよいサウンドはもちろん、録音できるのも魅力のひとつでしょう。
特にラジカセはAMやFMラジオも聴けるので好きな番組を残すのにも最適です。昔のように自分専用のお気に入りプレイリストをラジカセで作るのも一興でしょう。
録音用のカセットテープの数は減っているものの、いまだに発売され続けているテープももちろんあります。
2021年には海外メーカーのタスカムが50周年記念で新たなカセットテープを発売したり、ネットでも小さなメーカーが販売したカセットテープが売り切れたりなど、新たな動きも出始めています。
ラジカセブーム再熱の理由は?
再熱理由1
細かい部分まで再現されたおしゃれなレトロデザイン
サイズ感やメーターのデザイン、つまみなど、当時を知る人には懐かしく、知らない世代にはレトロなデザインと人気を集めています。さまざまな世代からの支持でラジカセの人気が復活しています。
再熱理由2
カセットテープの音源を最新の音質で聴ける!
カセットテープ独特の雰囲気もありつつ、最新の音質で楽しめる音質重視のラジカセ。Bluetoothやハイレゾ対応など最新機能を兼ね備えている機種も人気を集めています。
再熱理由3
復刻版デザインや持ち運びやすさで人気に!
当時のデザインをイメージした商品など、新作が出ることで注目されているポータブルカセットプレーヤー。カセットテープ人気を受け、こちらも一目置かれています。
デザイン性や機能性の種類などを比較しました!
今回は、迫力の最新サウンドが楽しめレトロだけどおしゃれなデザインのオリオン製品と、ハイレゾ相当の高い音質を楽しめる音質にこだわった東芝製品を検証しました。
どちらも使い勝手のいい操作性とユニークな機能など個性を感じられる製品でした。
また、番外編として軽量でコンパクトなポータブルカセットプレーヤー2製品も合わせて検証を行いました。
タイプ別ラジカセのおすすめは?
プロと一緒に実際に使ってみた、ラジカセ・カセットプレーヤーのおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。
商品 | |||||
---|---|---|---|---|---|
オリオンSCR-B9
![]() |
670mm |
155mm |
275mm(突起物除く) |
6.8kg(乾電池除く) |
|
オリオンSCR-B7
![]() |
425mm |
118mm |
235mm |
3.2kg(本体のみ) |
|
東芝TY-AK21
![]() |
350mm |
218mm |
126mm(突起物含まず) |
3.0kg(約)(乾電池含まず) |
|
東芝AUREX AX-W10
![]() |
94mm(約) |
33mm(約) |
121.5mm(約) |
200g(約)(乾電池含まず) |
|
FIIOCP13
![]() |
120mm |
31.8mm |
88.3mm |
310g(約) |
【ラジカセ編レトロタイプ】オリオン「SCR-B9」
- オリオンSCR-B9
- 実勢価格: ¥43,780〜
- 幅
- 670mm
- 奥行
- 155mm
- 高さ
- 275mm(突起物除く)
- 重量
- 6.8kg(乾電池除く)
- スピーカー構成
- 2WAY バスレフ方式(ドライバー:13.5cm フルレンジコーンタイプ FO 80Hz、ツイーター:3cmコーン、最大許容入力:15W
- 型番
- SCR-B9A
懐かしさもありつつ機能性は最新を搭載!
本機正面にはゴールドのボタンが並び、さまざまな機能が搭載されています。
スピーカーは2WAYバックバスレフ方式で、解像度低めの低域や高音を再生し、X-BASS機能により音質のコントロールも可能。
細かいニュアンスを懐かしのギミックで調整することができます。
【音質】重低音を増幅する「X-BASS」機能を搭載
低音・高音のつまみが独立していて操作しやすい
重低音を再生するX-BASS機能があり、TREBLEのつまみは高音域の調整、BASSは低音域の調整が可能。
低音と高音の調整がそれぞれ独立しているので、自分好みの細かい音域に変更することができます。
【音質】CDからカセットへの録音もノイズが少なく高音質
カセット操作部分は懐かしい重めのボタン
低音がほどよく、高音はヌケがよく出る印象。
フルオートストップ機能が搭載されており、再生、録音、早送り、巻き戻しの際にテープの最後で自動的に停止してくれます。
カセットテープの負担が減ってくれるうれしい機能です。
【機能性】本格的なカラオケ仕様にできる端子を搭載
マイクは2本同時につなげられる
つまみで電子エコーやマイクのボリューム調整ができる本格的なカラオケ仕様。マイク入力端子は2系統で、2人同時に歌うことができます。
左側がカラオケの音量調整などで、右側は録音・再生時のmicroSDカードやUSBメモリの挿入部。
【機能性】VUメーターやカセット、ラジオのボタンが見やすい
VUメーターは出力に連動して動く
音の出力レベルに合わせて動くメーターやカセット、ラジオのボタンなどが集合していて見やすく、調整しやすい位置にあるデザイン。
当時を思い出しながら懐かしさを感じることもできそうです。
操作系のボタンなどがすべてフロントに揃っているので操作しやすい!
【機能性】スマホ内の音源も再生できるBluetooth対応
受信のみの機能でヘッドフォンなどで聴くことは不可
Bluetoothは、カセット上の「MODE」ボタンで操作するため簡単に接続や再生などが可能。
再生している音声はカセットテープ、USBメモリ、microSDカードに録音することができ、色々な楽しみ方ができそうです。
【使いやすさ】外部機器の切り替え可能でリモコン操作しやすい
ボリュームや再生など操作しやすい!
リモコン上段の入力切り替えなど、中央にボリュームと再生、下段が選曲ボタンと、3エリアほどに分かれていて操作しやすいデザイン。
X-BASSの重低音のオンオフもできるので、基本操作は申し分なし。
【ラジカセ編レトロタイプ】オリオン「SCR-B7」
- オリオンSCR-B7
- 実勢価格: ¥17,800〜
- 幅
- 425mm
- 奥行
- 118mm
- 高さ
- 235mm
- 重量
- 3.2kg(本体のみ)
- 実用最大出力
- 7W+7W 総合14W デジタルアンプ搭載
- 型番
- SCR-B7
聴き心地と機能性のバランスがちょうどいい!
独立したトーンコントロールがあるので、調整しやすいですね。
【音質】ノイズが少なくカセットらしい音を楽しめる
高音と低音の音質を調整できる
低音はブーストモード搭載で増幅できる
まず優秀なのがカセットテープ特有のノイズが少ないこと。
高音は中域に負けている感じはあるものの、低音はブーストモードで量感が増え、ちょうどいい聴きやすさに。音のテンポが乱れることもありませんでした。
【機能性】Bluetooth含め再生方法が豊富
スピーカーとして使えるけどハイレゾ未対応
Bluetooth経由でスマートフォンと接続できるため、スピーカーとしても使えます。コーデックはSBCにしか対応しておらずハイレゾは聴けません。
側面に統一された操作部
USBやmicroSDカードに対応。音楽を再生するだけでなく、USB、microSDへの録音もできます。ラジオ音源のデジタル保存にも便利です。
【録音】録音も十分すぎる音質
録音した音質が下がることもナシ!
ラジオやワイヤレスで飛ばした音源をカセットに録音した際、音質が特別劣化した印象はありませんでした。
【操作性】再生や録音など見やすいボタン
懐かしさも感じる大きめのボタン
操作ボタンが大きく、ボタン上のマークで直感的な操作ができます。
スマートフォン連携時の操作部が見にくい
スマートフォンやUSB、microSDカードの音源の操作を本体からできます。しかし製品の側面に操作ボタンが配置されているため、やや操作しにくい印象です。
【ラジカセ編ハイレゾタイプ】東芝「TY-AK21」
- 東芝TY-AK21
- 実勢価格: ¥30,870〜
- 幅
- 350mm
- 奥行
- 218mm
- 高さ
- 126mm(突起物含まず)
- 重量
- 3.0kg(約)(乾電池含まず)
- スピーカー
- Φ6.4cmコーン型+Φ2cmドーム型✕2
- 実用最大出力
- 20W+20W
- 型番
- TY-AK21(S)
ハイレゾ対応の機能とスピーカーで良質な音楽を!
カセットテープなど昔の音源も最新の音質で聴くことができる「アップコンバート機能」は、ボタンひとつで最新のクオリティに変換してくれるので、ストレスなく繊細な音楽を聴くことができます。
逆にフラットな周波数特性の落ち着いた音質を楽しみたいなら「ノスタルジックモード」がおすすめ。
気分や音楽に合わせてボタンひとつでモードを切り替えられるのが魅力です。
カセットテープのノイズが少なく驚きました。アップサンプリングするとボーカルは高域が艶やかになりました。
【音質】ラジオやカセットテープなど非ハイレゾ音源も高音質なハイレゾ相当にする「アップコンバート機能」
アップコンバートとは、非ハイレゾ音源を圧縮する過程で失われた音のデータを補完すること(アップコンバートシステムイメージ図参照)。
失った音質をハイレゾ音源相当の周波数帯域にし、高解像度音源に変換することでカセットテープの音源も最新の音質にすることができる(アップコンバート時周波数分析イメージ図参照)。
引用元:東芝ライフスタイル株式会社(https://www.toshiba-lifestyle.com/jp/pro_radicase/ty-ak21/)
再生中にボタンを押すだけでOK!
カセットテープのほか、圧縮音源のCDやMP3などをハイレゾ音源相当に変換できます。
特にカセットテープの音はノイズが少なく、鮮明でナチュラルな音質を感じられます。
【音質】ノイズが抑制されるスピーカーシステムを搭載
高性能なツイーターとスピーカーを搭載
40kHz以上の高域が再生可能なソフトドームツイーターと、高性能なウーファーによるバスレフ型スピーカーシステムを搭載。
これによりノイズが調整され、繊細な音質を表現することが可能です。
【機能性】テープカウンターや曲名など大きい文字で表示が見やすい
時計など数字も見やすく確認しやすい!
シンプルで文字や数字が見やすいフォントデザイン。テープカウンターが確認しやすく、巻き戻しや早送りなど操作性は抜群。液晶の明るさをリモコンで調整できるのもうれしいです。
【使いやすさ】再生面を下にして入れるから出し入れがしやすい
ケースから向きを変えずにスムーズにセットできる!
テープが見える再生面を上向きにしてセットするのが一般的だが、「TY-AK21」は再生面を下向きにするため、ケースから出した流れでセットできる地味に使いやすい仕様です。
液晶を見ながらの本体操作がやりづらい
ボタン自体は見やすいのに残念
本体の操作ボタンがデッキの上の面にあるため、液晶を見ながらの操作が少しやりづらいです。ただ、ほとんどの機能をリモコンから行えるので許容範囲内。
ポータブルカセットプレーヤー2製品はどちらも安定感のある音で音質も良好!
カセットテープの音質を外出先など、どこでも楽しめるポータブルカセットプレーヤー。コンパクトだけど音質にこだわれるシンプルな2商品をレビューしました。
東芝「AUREX AX-W10」
- 東芝AUREX AX-W10
- 実勢価格: ¥6,100〜
- 幅
- 94mm(約)
- 奥行
- 33mm(約)
- 高さ
- 121.5mm(約)
- 重量
- 200g(約)(乾電池含まず)
- 実用最大出力
- 2.5mW+2.5mW(32Ωイヤホン)
- 型番
- AX-W10C
バーチャルサラウンドが効果的! 広がり感が出てボーカルが聴きやすく高音の抜けもよくなりました。
【音質】高音のヌケが変わるバーチャルサラウンド
音が広がり迫力感がアップする!
左右の音の時間差や音量差などを音響処理・調整してくれるため、圧迫感がなく音が広く感じ取れます。
FIIO「CP13」
- FIIOCP13
- 実勢価格: ¥18,998〜
- 幅
- 120mm
- 奥行
- 31.8mm
- 高さ
- 88.3mm
- 重量
- 310g(約)
- 出力レベル
- 250mV以上(32Ω)
- 型番
- FIO-CP13
【音質】ほかと比べても圧倒的な解像度
ヘッドにモーターが高音質の秘訣
通常のプレーヤーよりも高い電圧で駆動する高電圧モーターが動作の安定に貢献。
カセットとは思えないほど高音が伸び、圧縮感のない高解像度な音質を実現しています。
基本機能のみとシンプル!
以上、『家電批評』特別編集のムック『アナログオーディオがまるごとわかる本』から、「ラジカセ・カセットプレーヤーおすすめ5選」でした。
80年代風のデザインを採用したレトロ風モデルや、カセットをハイレゾ相当の音質に拡張するアップコンバート機能を備えたモデル、持ち運びに便利なポータブルモデルなど、記事を参考に気になったラジカセ・カセットプレーヤーがあったらぜひチェックしてください。
低域の解像度は低めですが量感が出るため心地よい音に感じられます。