人生後半戦の“あるある不安”って?

先のことなんて誰にもわからない。だから中年といわれる年齢になっても、悩みは尽きないもの。

ここ1〜2年、雑誌などでも「人生の後半戦」に着目した特集が増えています。

『MONOQLO』が総勢130名に行ったアンケートを見ても、40代男性はいろいろな悩みが多い年代のようです。

まずは、人生の後半戦に差しかかった男性のリアルな心情が浮かびあがる、アンケートの集計結果をご覧ください。

Q1:平均寿命の81歳を超えて長生きしたい?

Q1:平均寿命の81歳を超えて長生きしたい? 安藤なつさんに介護についてインタビューおすすめ イメージ

3人に2人は長く生きることに不安も

67.2%の人は「絶対、長生きしたい」とは回答していません。3人に2人は長く生きることに不安を抱いているという結果に。

Q2:あなたの不安や悩みを教えてください(※最大5つまでの選択式)

Q2:あなたの不安や悩みを教えてください(※最大5つまでの選択式) 安藤なつさんに介護についてインタビューおすすめ イメージ

全体の約半数が「お金」。1/3が「健康・疲労回復」

最大5つまでの選択肢ということで、漠然としたものから切実なものまで、不安や悩みを聞いてみました。

もっとも多かったのは、「お金」に関すること。「老後2000万円問題」が記憶に新しいところに、ここ数年の「値上げラッシュ」。

子どもの教育費などでの出費も少なくない40歳前後の男性たちの多くが、不安に感じてしまうのも仕方がありません。

Q3:では、もっとも悩んでいる点を具体的に教えてください

Q3:では、もっとも悩んでいる点を具体的に教えてください 安藤なつさんに介護についてインタビューおすすめ イメージ

具体的な悩みの1位は「体力の低下」

漠然とした不安も含めると「お金」が1位でしたが、悩みを分類して集計すると、上のような結果に。

もっとも悩んでいることのランキングでは「体力の低下」が1位となりました。働き盛りの40歳前後の男性にとって、体力の低下は深刻な悩みとなっているようです。

2位は「体重増加」、3位は「現在の収入」と続き、6位には「親の介護」がランクインしました。

人生後半戦の「あるある」な不安を解消する方法とは?

もちろん事情はそれぞれありますが、決して短くはない人生後半戦。ずっと不安や悩みを抱きながら生きていくのもイヤですよね。

そこで『MONOQLO』では、そんな不安を少しでも解消し、40歳以降の人生を超絶楽しく生きるためのヒントを見つけるべく、各分野のプロと一緒に悩み解決におすすめなモノやワザを探しました。

今回は、介護の現場経験がなんと20年あるという、芸人の安藤なつさんにお話しを伺いました!

介護のリアルな体験談をぶっちゃけます!

メイプル超合金 安藤なつ(あんどう なつ)さんとは?

メイプル超合金 安藤なつ(あんどう なつ)さんとは? 安藤なつさんに介護についてインタビューおすすめ イメージ

2009年にお笑いコンビ、メイプル超合金を結成。2015年にはM-1グランプリ決勝進出。その裏で、介護の現場歴20年を誇り、昨年、介護福祉士の免許を取得。太田差恵子さんとの共著『弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門』(KADOKAWA)の第2版が発売されたばかり。

介護の現場歴は
なんと20年!

── 早速ですが、介護を始めたきっかけは何でしたか?

安藤さん:母方の叔母さんの旦那さんが小規模の介護付きアパートのような施設をやっていて、障害者の方や認知症の方がいたんです。

そこに小1のときに遊びに行ったのがきっかけで、一緒におやつを食べたりしたんですね。中学に入ってからは週末泊まりがけで行ってお手伝いをするように。そのときは介護のやりがいというよりは、ただみんなといるのが楽しかったんです。

実は私、「介護」という言い方自体にしっくりきてなくて、人に何かをやってあげる、護ってあげるようなイメージがあるけれど、自分のなかではあまりそういう気持ちはないんですよ。私は小さいときから介護が身近だったのですが、世間的に「介護」は、キツいとか給料が安いというイメージが先行していて、そういう植え付けがよくないなと感じています。

── 小さいときから介護と関わられて、以前はお仕事にもされていたそうですね。

安藤さん:M‐1グランプリ決勝の舞台に立つ前日まで夜間の介護をしていました。でも、ずっと長いことやってきたのは、単純に楽しい仕事だったからなんですよ。なりゆきで去年、介護福祉士(国家資格)もとりました。

介護の現場歴はなんと20年! 安藤なつさんに介護についてインタビューおすすめ イメージ

バケモノになった
夜間の介護

── 介護の現場での思い出はありますか?

安藤さん:中1のときに「認知症の方のお着替え」を任せてもらいましたが、普通にやっていってもうまくいかなさそうだったんですね。

それでテンションを変えようと思って、アニメキャラや時代劇の登場人物になりきって声がけしたことがありました。その人に気に入ってもらえる接し方をしたい。簡単にいうとそれだけだったんです。

あとは、夜間の巡回で「バケモノ」になったことも(笑)。ある日の夜、ベットに近づいたら、利用者の認知症のおばあちゃんに「バケモノ!」って叫ばれちゃったんです。

そのときは、とにかく利用者の方の不安や焦りが大きくならないように、はい私はバケモノですよ〜オムツ換えさせてもらいますね!と、あえて乗っかることに。そしたら受け入れてもらえて、とても嬉しかったです。

── ユーモアのある返しがさすがです!  認知症の方と接していると、叫ばれたり、怒られたりすることもあると思います。正直、傷ついたりはしませんでしたか?

安藤さん:そういうことは、まずないですね。というのも、例えばさっきのおばあちゃんの場合、認知症かどうかはともかく、夜寝てる時に急にゴソゴソされたり電気つけられたり、目の前に私(知らない人)が現れたりしたら、そりゃ、びっくりしますよね(笑)。

何かされてもその人なりの理由や背景があると思うと傷つくことはなかったです。

── なるほど! 安藤さんのお話しを聞いていると、「認知症だから」ということに捉われすぎる必要はないのかもと思えました。

制度やサービスに頼ると気持ちがラクに!
 

── とは言っても、自分の親の介護となるとなかなか一筋縄ではいかない気もします。

安藤さん:自分の親となると大変ですよね。本当は介護状態になる前に親にどういうケアがいいか聞いておくといいです。うちの親は施設に入ってもいいというようなことを軽いノリで言っていました。

また、いざ介護になったときですが、男性が奥さんに任せたり、また、介護は長男・長女がやるものという風潮がまずよくないですよね。みんなで考えればいいじゃんと思うのに、いまだに家族介護をしなきゃいけない、という固定観念があります。

本当はどんどん人に頼っていいですしヘルパーや施設のお世話になってもいい。介護で家庭が壊れたり、これまでの生活が変わってしまうくらいなら、専門家に頼るべきなんですよ。

制度やサービスに頼ると気持ちがラクに!  安藤なつさんに介護についてインタビューおすすめ イメージ

── 相談するとしたら?

安藤さん:まずは、親御さんが居住されている場所の地域包括支援センターに連絡すればいいんですが、どこに電話すればいいか困ったら役場の福祉課に聞いてみるのが早いです。

そもそも、「地域包括支援センター」っていう名前が難しいんですよね。漢字が多いし、包括って何? となってしまう。高齢者相談センターとか高齢者相談所とかにしちゃえばいいのに(笑)。

とはいえ、「地域包括支援センター」は介護の入り口でめっちゃ大事。とにかく覚えておいてほしいですね。

あとは、別に介護に詳しくなったり専門知識を持ったりする必要はないんですよ。なぜなら、地域包括支援センターの方が専門家ですから。母親が最近物忘れがひどくて、こういう状態だったのがこうなっちゃって、みたいな話ができればOKです!

── そう言ってもらえると、だいぶ気がラクになります!

安藤さん:そもそも仕組みがしっかりしているんです。医療の方で連携も取ってるし、もしリハビリが必要となったら理学療法士さんなどの違う職種の人にもつなげてもらえる。

あと、ケアマネージャーさんがプランを作ってくれるというのが、そもそも心強いですよね。介護を受ける人によってどういうふうに最期まで生きていくかっていうのは絶対に違うので、ケアマネの方はオーダーメイドスーツみたいな感じで親御さんに合った介護プランを立ててくれるんです。

個々の専門家に任せられる環境が整っているので、みんなで介護を考えていければいいですよね。

── ほかには、どんなことを知っておくとよいでしょうか。

安藤さん:「介護休暇」も覚えておいたほうがいいです。その言葉自体知らない人もいると思いますが、育児休暇があるように介護休暇もある! 全然特別なことではないんですよ。

介護は大変なものという固定観念って、たぶんこれまでに家族介護を頑張ってこられた方の声からついているイメージだと思うんですが、家族介護って本当に大変なんですよ。

だからこそ、介護の仕事があるわけで。もちろん家族のことを人に頼るのは悪いなと思ってしまう気持ちはめっちゃわかるんですけど、その仕事を楽しみながらやっている人がいるっていうことも知っておいてほしいです。

制度もそうだし、サービスもそう。あるんだから使ってください。だって公的な介護保険は、40歳過ぎたらみんな自動的にお金を払っているんだから、使えるものは使わないと!

── 介護の本音、そして肩の荷が軽くなるお話! しっかり胸に刻んでおきたいと思います。

安藤なつ 氏
メイプル超合金
安藤なつ 氏 のコメント

専門家に頼って全然いい。むしろ頼ってください(笑)。

病院付き添いには「介護休暇」を活用しよう!

インタビューのなかにも出てきた「介護休暇」。有給休暇とは別に取れる休暇のことで、なんと法律で定められています。 

要介護状態の家族の介護や看護が必要な場合に取得でき、対象家族1人につき年に5日間(対象家族が2人以上の場合は年に10日間)というのが基本ルール。病院の付き添いなどに活用できます。

太田 差惠子氏
介護・暮らしのジャーナリスト
太田 差惠子氏 のコメント

このほかに「介護休業」という制度もあります!

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