ラジオも聴けるBluetoothスピーカーが発売!
スマホで聴く音楽も良いけれど、なんだか味気なく感じてしまうこともありますよね。
今年3月にコペックジャパンより発売された台湾Sangean(サンジーン)社のBluetoothスピーカー「WR-304」は、1つずつ職人が丁寧に作り上げたウッドキャビネットを採用。温かみの感じられるレトロなデザインは、ナチュラルなインテリアにもよく馴染みます。
また、この製品はBluetoothや有線接続で音楽を楽しめるだけじゃなく、本体のダイヤルを操作することでFM/AMラジオも聴けるのが大きな特徴。何かとスマホ1台で完結する時代に、なんとも趣のある視聴体験を提供してくれます。
2023年3月発売「Sangean WR-304」の実力は?
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「Sangean WR-304」のBluetoothコーデックは、SBCやaptXだけでなく、より高音質な「aptX HD」にも対応。また、大型3インチ・フルレンジスピーカーを搭載しており「豊かな低域のサウンドを楽しめる」との触れ込みですが、実際のところはどうなのでしょうか?
今回は、オーディオライター・ゴン川野氏のご協力のもと、「aptX HD」と「AAC SBC」の2パターンで音楽と動画を試聴。音質のクオリティを評価するとともに、サウンド傾向についても解説してもらいました!
テスト1:「AAC SBC」の音質をチェック
結果:音は全体的にこもり気味ですが、耳に優しく長時間視聴向きです
まず「AAC SBC」で試聴したところ、低音・高音が主張しすぎないかまぼこ型の特性で耳に優しい聴こえ方でした。
ボーカル曲の言葉の細かいニュアンスを楽しむには不向きですが、BGMなどを長時間流し聴きするにはちょうど良いです。
▼「AAC SBC」の音質評価
合計 | 低音域 | 中音域 | 高音域 | 大音量 | 小音量 | 解像度 | レスポンス | 音の広がり | 動画試聴 |
36.5/75点 | 3.5/10点 | 4.5/10点 | 5/10点 | 2/5点 | 3.5/5点 | 3.5/10点 | 3/5点 | 5/10点 | 6.5/10点 |
- 低音域:強調される帯域があり、バスレフっぽい印象
- 中音域:ボーカルはよく聴こえるが、情報量は少なくなっている
- 高音域:高域は引っ込んでいる。バランスで言えば“ハイ落ち”の状態
- 大音量:低音が先に歪む。大音量では高域とのバランスの悪さがやや目立つ
- 小音量:小音量でも低音が痩せない。大音量よりバランスは良い
- 解像度:音のディティールがわかりづらい
- レスポンス:普通よりやや歯切れが悪い
- 音の広がり:モノラルで正面に一発なので、広がりに欠ける
- 動画試聴:高域が不足気味だが、低音の量感は出ている。セリフはハッキリ聞こえるが、広がり感、空間、サラウンド感が出ない。低音の中でもとくに低い所までは伸びていない。
フルレンジスピーカーのバスレフで、レトロ感のある音色です。
テスト2:「aptX HD」で聴くと音質は改善されるのか?
結果:高域の抜けが良くなり、低域のエッジもやや立って高音質に!
続いて「aptX HD」で試聴したところ、コーデックが変わっても音の変化は少なくスピーカーとアンプの実力相応の音に。ですが、高域特性と音の輪郭は改善されました。
▼「aptX HD」の音質評価
合計 | 低音域 | 中音域 | 高音域 | 大音量 | 小音量 | 解像度 | レスポンス | 音の広がり | 動画試聴 |
46.5/75点 | 4/10点 | 6/10点 | 7/10点 | 4/5点 | 4/5点 | 6/10点 | 3.5/5点 | 5/10点 | 7/10点 |
- 低音域:SBCよりこもりは解消され、少しクッキリするがバスレフのくせはそのまま残る
- 中音域:SBCよりはこもらなくなる。情報量はあまり変化なし
- 高音域:バランスは大きく変わらない。高域はやや上まで伸びて抜けが良くなった
- 大音量:SBCより歪まなくなり、かなり大きな音が出せる
- 小音量:音の輪郭がよりシャープになった。ボーカルもハッキリ聞こえる
- 解像度:音数は増えるが、想像していたよりも変化は少なかった
- レスポンス:SBCよりは歯切れが良くなるが、低域はまだこもっている
- 音の広がり:SBCと比べても変化なし。広がりに欠ける
- 動画試聴:細かい音が出てくるが、空間感などは変化なし。高域の抜けが良くなり、戦闘機が飛び去るシーンのリアリティが増した
「aptX HD」だと高音質になることは間違いありません。
テスト3:使い勝手とサイズ感は?
結果:アナログな使い心地だけど、レトロを楽しむならアリ
モード選択、ラジオの周波数合わせ、音量調節は、すべてダイヤルを手回しして行います。アナログ的な操作でレトロ感を楽しみたい人には刺さるでしょう。
テスト4:操作性は?
結果:ダイヤルの操作感はGOOD。ライトで視認性もアップ
ダイヤルの操作感に関しては「心地よい抵抗感がある」とゴン川野さんも高評価。また、ラジオの周波数を拾うと中央のランプが点灯するため、ダイヤルを回して周波数を合わせる際の目安として役立ちます。
Bluetooth接続はスムーズでした
Bluetooth接続を開始すると本体のBluetoothマークが点滅し、接続が完了すると点灯します。接続されたかどうかが一目でわかりやすいです。
モードは4つで簡単に切り替えられる
モードは、FM、AM、AUX※、BT(Bluetooth)の4つ。ダイヤルで感覚的に切り替えられます。
※AUX入力端子を備えているため、ケーブルを別途用意すればCDプレーヤーやmp3プレーヤー、iPodなどと接続することもできます。
ボタンを何回押す、何秒押すといった手順を覚える必要が無いので、初見でもラクに操作できました。
音量ダイヤルは分かりづらいです…
ダイヤルを右回しすると音量が大きくなるのですが、どこまで回るのかが分かりづらいのが難点。音量を最大まで上げるには、スタート位置から270°以上回転させる必要があります。
テスト5:オーディオライターから見たデザイン性は?
結果:デザインは悪くない…… しかし総じて惜しい!
ウッドの曲げ加工はよくできていてデザインも悪くないですが、「ロゴマークやフォントの選択がイマイチ。フロントパネルの質感もややチープ」とプロ目線では辛口評価でした。
「WR-304」は2カラー展開。今回試聴に使用した明るい色「チェリー」のほか、深い色合いの「ウォールナットブラック」もあります。
テスト6:ラジオの音質は?
他のラジオスピーカ同様、受信環境によってはラジオの音声もややこもってしまいます。ただし、アンテナを張ることでFMの音質は多少改善されました。
FMワイヤーアンテナが付属されています。
テスト結果とアピールポイントを総まとめ!
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- 音質(aptX HD)
- 使い勝手とサイズ感
- 操作性
- デザイン性
- ラジオ音源
▼テスト結果(音質は「aptX HD」の評価です)
総合評価 | 合計 | 低音域 | 中音域 | 高音域 | 大音量 | 小音量 | 解像度 | レスポンス | 音の広がり | 動画視聴 | 使い勝手とサイズ感 | 操作性 | デザイン性 | ラジオ音源 |
B | 72/120点 | 4/10点 | 6/10点 | 7/10点 | 4/5点 | 4/5点 | 6/10点 | 3.5/5点 | 5/10点 | 7/10点 | 7/15点 | 7/10点 | 4.5/10点 | 7/10点 |
- おすすめポイント
-
- 小音量だと聴き取りやすく、バランスが良い
- 「aptX HD」だとこもりが解消され、音の輪郭がハッキリする
- 動画視聴で音の遅延が気にならない
- 本体だけでラジオが聴ける
- がっかりポイント
-
- 音がこもる
- 音の広がりがイマイチ
- 「SBC」で大音量だと音のバランスが崩れる
- サイズ・重量
- W120×H210×D170mm・1.6kg
- 再生周波数帯域
- FM 76-108 MHz(ワイドFM対応)、AM 522-1710kHz
- 内部アンテナ
- (AM)内蔵フェライトアンテナ、(FM)内蔵ワイヤアンテナ
- 対応Bluetoothコーデック
- aptX HD、aptX、SBC
- カラー
- ウォールナット/ブラック、チェリー
- 型番
- WR-304
▼サウンド傾向
- 音域バランス:かまぼこ
- 音像定位:そこそこ
- 音場:やや狭い
- 音色:ややウォーム
▼相性の良い音楽
- 歌謡曲など、音数の少ない音楽
▼相性がイマイチな音楽
- 最近のJ-POPやテクノなど、音数の多い音楽
シビアに高音質を求める方には物足りないかもしれませんが、耳ざわりが優しく、小音量でも音が痩せないので、BGMやラジオを流し聴きするにはピッタリです。
以上、コペックジャパン「Sangean FM/AMラジオ・Bluetoothスピーカー」のレビューでした。見た目も使用感もレトロなスピーカーで音に浸りたい人は、ぜひ試して見てはいかがでしょうか。
音楽は、男性/女性ボーカル曲をひと通り試聴。動画は、洋画のアクション作品を観て、セリフ・効果音がクリアかどうか、音の奥行きや迫力、ズレの有無などをチェックしました。さらに今回は、ラジオ音源の聴こえ方についても評価しました。