アイロボット「ルンバ i2」
アイロボット
ルンバ i2
実勢価格:3万9800円
サイズ・重量:W342mm×H92mm・約3.2kg
推奨間取り:3~4部屋
最大稼働時間:75分
付属品:ホームベース(充電用ドック)、交換用フィルター×1、電源コード
アイロボット「ルンバ i2」は、ロボット掃除機購入の壁になっている機能面・価格面の不安(アイロボット社いわく“ルンバ パラドックス”)を払拭するために投入されたルンバシリーズの最新製品。
新製品ながら約4万円という現行の最安機種アイロボット「ルンバ 693」と同じ価格設定ですが、上位機と同じゴムブラシを採用、ブラーバとの連携が可能など、性能・機能面アイロボット「ルンバ 693」よりも大幅に向上しています。
清掃パターンが進化!自動充電・再開機能も搭載
清掃パターンも上位機と同様の規則正しい動きになり、バッテリー切れが近づいて自動充電に戻ったあとの掃除再開機能も搭載。バッテリー切れで止まる心配もありません。中身の部分でも進化しています。
「ブラーバ ジェット m6」と連携して掃除できる
床拭きロボット掃除機、アイロボット「ブラーバ ジェット m6」との連携機能も搭載。ルンバでゴミを取り除いてブラーバで拭き掃除という連続した清掃も自動実行できます。2台のロボット掃除機で床をピカピカに!
上位機と同じゴムブラシを採用
吸引口にある2本のブラシ(デュアルアクションブラシ)は、上位機(ルンバ j7やi3)と同じゴム製のものを採用。髪の毛やペットの毛が絡まりにくく、ブラシの手入れも簡単です。
13項目をテストして「ルンバ i2」の性能をチェック
今回の検証は、雑誌『家電批評』2022年8月号で実施したロボット掃除機の比較テストに基づいて行いました。ただし8月号のテストは“水拭き性能”を評価に含んでいたため、水拭き関連のテストや評価点は除外しました。
ということでチェックしたのは、水拭き関連を除く以下の7カテゴリー13項目です。
テスト1:吸引性能
3種類の床面それぞれに紙片や髪の毛を散布。掃除後に残ったゴミの量で吸引力を評価しました。
テスト2:立ち回り性能
電源コードやぬいぐるみといった障害物に対する回避性能のほか、段差の乗り越え能力を評価しました。
テスト3:静音性
本体の動作音、自動ゴミ収集時の騒音値を測定。それぞれの騒音値が低い製品ほど高評価になっています。
テスト4:アプリ機能
清掃モードや清掃マップの活用など、専用スマホアプリの機能性を実際に使用して評価しました。
テスト5:メンテナンスのしやすさ
清掃後のメンテナンスのしやすさを評価。ユーザーの手間が少ない製品ほど高評価にしています。
テスト6:設置性
掃除機本体と充電ドックの設置スペースの大小を評価。省スペースな製品ほど高評価にしました。
テスト7:担当編集の使用感
担当編集・下田が実際に自宅で動かし、立ち回りや使い勝手などをユーザー視点で評価しました。
なお、前回テストと同様、吸引・騒音などのハードウェア面はLAB.360室長の松下が、アプリや使用感などは編集部の下田が検証・評価しています。
低価格化による機能減少が注目点かも!?
それでは、検証結果を順に解説していきます。
【吸引性能テスト】好成績だったのはクッションシートだけ! 残り2カ所はゴミの取り残しが多め
吸引力のテストでは、フローリング、クッションシート、カーペットの各検証エリアに、コーヒー粉や紙片、髪の毛、砂をまいてゴミの取れ具合(=吸引性能)をチェックしました。
その結果、アイロボット「ルンバ i2」はフローリングとカーペットで前回テスト時に見られなかったゴミの取り残しがいくつか発生。特にフローリングでの紙片2枚、カーペットでの2本の髪の毛を取りきれなかったのは前回テストの製品を含めてもワーストの成績です。
やはりルンバでも低価格だと性能面で不安が残るのでしょうか。
カーペットの検証結果
判定:不合格
前回は全製品が満点だったカーペットの吸引テスト。アイロボット「ルンバ i2」は残念ながら、2本の髪の毛を取り残してしまいました。
判定:難あり
髪の毛と一緒にまいた紙片は、1枚を取り残す結果に。実はこの1枚、充電ドックへの帰還中に落としていました。
クッションシートの検証結果
判定:合格
クッションシートにまいた砂はところどころにうっすら残るものの、量は少なめで合格点です。
判定:合格
表向きはキレイでも砂のザラザラ感が残る場合も。その点、アイロボット「ルンバ i2」は触ってもザラザラせず、砂をしっかり取り除いていました
フローリングの検証結果
判定:難あり
検証エリアの5カ所にまいたコーヒー粉は端や隅に散見してしまう結果に。1回の清掃では取り残しが多めでした。
判定:不合格
コーヒー粉と一緒に置いた全25枚の紙片。アイロボット「ルンバ i2」はこのうちの2枚を取り残し、検証機中でワーストの結果になってしまいました。
【立ち回りテスト】センサーがとらえない障害物は大きく動かしてしまう
立ち回りのテストでは、段差乗り越えは合格点だったものの、障害物回避では前回テストの前面カメラがない製品と同じ挙動を見せました。
具体的には、電源コードに気付けずに乗り上げてコードから脱出する際に激しく動く、脱出時の動きで近くのぬいぐるみを押しのける、散らかったおもちゃは認識せずに蹴散らす、といった具合です。
ちなみに洗濯物の山は家具と認識したのか、外側を軽く押しただけでした。アイロボット「ルンバ i2」は前面カメラ非搭載の製品であるため、この回避性能は妥当といえますが、モノが散らかりやすい部屋での運用は注意が必要です。
段差の検証結果
判定:合格
1.5cm以上は乗り越えられませんでしたが、1cmくらいまでの段差なら乗り越え可能。ただし、段差への進入角によってはスムーズに越えられないケースが数回見受けられました。
障害物回避のテスト結果
判定:不合格
電源コードは引っ張り出してしまいます。
判定:不合格
おもちゃやぬいぐるみはもとの位置から大移動。
このように、電源コードやおもちゃは迷いなく突入して大きく動かす結果になりました。
判定:優秀
一方、洗濯物の山は少し接触したあと、回避していました。
【アプリ性能テスト】マップは作成するものの編集・活用はできない
アイロボット「ルンバ i2」は、上位機のアイロボット「ルンバ j7」やアイロボット「ルンバ i3」と同じアプリなのですが、上位機との差別化のためか機能が制限されています。
特にマップは清掃完了後に作成するものの、あくまで清掃の結果が確認できるだけ。ひと昔前の機能性にとどまるのが残念です。
マップ作成機能の検証結果
判定:難あり
マップ作成機能はあるものの、エリア分けといった機能はなし。履歴確認のみで活用ができません。
付加機能の検証結果
判定:合格
前回テスト時になかった機能が、消耗品の状態確認。アプリ側のアップデートで追加され、アイロボット「ルンバ i2」だけでなくアイロボット「ルンバ j7」でも消耗品の状態が確認できるようになりました。
前回のテスト時は本機能がルンバだけ非搭載だったため、ようやく他製品に追いついたともいえます。
【静音性テスト】本体の動作音は可もなく不可もなく
判定:合格
本体の動作音は69.2dBとそこそこの大きさ。静かとはいえませんが気が散るほどではありません。なお、自動ゴミ収集ドックではないため評価点は高くなっています。
【メンテナンスのテスト】ダストボックスの着脱は○、ゴミの捨てやすさは普通
判定:合格
本体後部のダストボックスは取り外しに難はなく、ゴミ捨ても手間はかかりません。構造的に少し残るのが難です。
【設置性テスト】充電ドックのみで設置はしやすい
判定:優秀
ゴミの自動収集機能がない充電のみのドックであるため、設置時に占有するスペースは小さめです。ゴミ捨ての手間がかかる分、設置できる場所の選択肢は多いといえます。
【使用感テスト】散らかった部屋では事前の片付けが必要
判定:難あり
コード類の回避能力は皆無なので、清掃前にある程度の片付けが必要です。特に障害物に捕まると脱出するために激しい動きをするので、余計に散らかってしまうこともあります。
【結論】低価格なりの性能と機能で万人向けとはいえない
アイロボット「ルンバ i2」
アイロボット
ルンバ i2
実勢価格:3万9800円
サイズ・重量:W342mm×H92mm・約3.2kg
推奨間取り:3~4部屋
最大稼働時間:75分
付属品:ホームベース(充電用ドック)、交換用フィルター×1、電源コード
【総合評価:C】
よかったポイント
ある程度の重みと高さがあれば障害物として認識&回避する
ある程度の重みと高さがあるモノは家具と認識するのか、強いアプローチをしませんでした。その分、段差乗り越え性能は控えめですが、これを活用すればルンバの活動範囲をコントロール可能です。
▼その他のよかったポイント
- 押しても動かない 障害物は回避する
- 整った部屋ならきちんとゴミを取ってくれる
残念だったポイント
エリア指定清掃が不可なので事前に使用環境の整備が必要
マップ編集やエリア指定清掃ができないアイロボット「ルンバ i2」は、いったん稼働すると移動可能な場所すべてをまわります。そのためモノが散らかっていると、ほこりや髪の毛は回収しても、室内をさらに乱雑にする可能性があります。
▼その他の残念だったポイント
- マップが作成できても活用できない
- 子どもが落とした食べ物やペットの吐しゃ物には突っ込む可能性も
- 物理的に移動が可能でも掃除しない部屋があった
【おわりに】
以上、アイロボット「ルンバ i2」の検証レビューでした。
アイロボット「ルンバ i2」の性能は一昔前感があり、使用者や環境を選びます。
たとえば、単身者の家なら予想外の障害物が生まれにくく、障害物回避性能が低いアイロボット「ルンバ i2」でも活躍できます。
一方、小さな子どもやペットがいる家庭は目が届かない場所に不測の障害物(子どもなら食事の食べこぼし、ペットなら毛玉の吐き戻し等)が生まれやすく、これをルンバが掃除してしまうと部屋だけでなくルンバも汚れるという惨事になります。
アイロボット「ルンバ i2」は低価格なりの性能と機能なので、その特性を理解したうえでの購入ならアリ。特性がわからない場合は、アイロボット社が公式で展開する「おためし1ヶ月コース」で自宅の環境に合うか試してみるのもおすすめです。
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