家電勘違いしていませんか?
説明書のスペックはあくまで参考

暖房器具の大きな違いは、みなさんが気にするであろう電気代。ネット上によくあるコスパランキングも暖房家電には必ず記載されている「消費電力」の項目を参照していますが、実はこれ、あまり信用ならないんです。

確かにネット上でよく見る暖房の比較は、計算自体はおおむね合っています。とはいえ、それはあくまで理論上の数値。スペック上の消費電力を基に電力を試算していることが多く、この比較の仕方は非常に大雑把で参考にしにくいのが実情です。

条件も「同じ部屋、同じ設定温度で一時間稼働させたときの暖房代」と、一見統一されていますが、同じ部屋ってどういう環境かわかりませんよね。さらに「最大稼働」状態で一時間稼働させた場合、というのも日常ではありえない条件だったりします。

それでは一体何を信じればいいの? ということで、家電批評が長年のテストを通じて確認した「本当のこと」をお見せします!

家電電力計算は超複雑
掛け算だけで電気代は出せません

電気代は簡単に計算できると思いがちですが、消費電力を掛け算しても正確な電気代は出せません。例として、エアコンの電気代計算に必要な要素は

・対象の定格消費電力(特定の条件の下で機器類が安全に使用できる最大出力の電力)
・対象の最小消費電力:対象の最大消費電力
・検証地の所在
・期間内の外気温変動データ
・室内の平均気温のデータ
・起動時の計算方法の設定  etc.

このように計算がとにかく複雑で、スペック上の数値を単純に計算しても正確な電気代を割り出すことは困難です。

エアコンについて考えてみましょう。外と室内の温度差によって消費電力が大きく変わるため、外の気温が同じだったとしても、20℃の部屋を1℃上昇させるのと、10℃の部屋を1℃上昇させるのではまったく意味が変わってきます。そのため、気温変動のデータなどまで考慮しなくては電気代を割り出すことは難しいんです。東芝製2012年モデルのエアコン(消費電力445W)でテストしてみたところ……

起動時

30分後

60分後
消費電力が安定したのは60分後で、この値は立ち上がり時とまったく違う数値でした。

ところで、「エアコンの暖房は1日つけっ放しにしたほうが安くなる」というネット上の噂を聞いたことありませんか? 実際の条件に限りなく近づけて計算した結果、現行のエアコン1000台中の998台が「つけっ放しは損」という結果になりました。都市伝説はウソでした。

家電即暖VS体感温度
暖めるのは空気か部屋か

暖房には大別して二種類あり、一つはエアコンやファンヒーターに代表される対流式と呼ばれるもの。これは起動と同時に温風を送るので、広い部屋でもすぐに暖まります。

もう一つはストーブやオイルヒーターなどの輻射式暖房。こちらは対流式と比べて暖まるまで時間がかかりますが、部屋の空気だけでなく壁や床まで暖めてくれるんです。体感温度という点では、輻射式暖房のほうが優れていると言えるでしょう。

それでは暖まり方がどのように違うのか、実際にサーモグラフィーで温度上昇の様子を確認してみましょう。テストする部屋の条件は、ベッドを置いた5.5畳ほどの寝室でヒーターとエアコンをそれぞれ稼働。設定温度はどちらも20.0℃としました。

10分後
エアコンは起動して10分後にはもう暖まっていました! 一方、オイルヒーターは起動してから実際に部屋が暖まり始めるまでしばらく間がありました。

60分後
起動後1時間後の状況は、どちらもほぼ同じ程度の暖かさでした。サーモグラフィーで確認してみても、この段階ではそこまで大きな違いはないように見えます。

ここで暖房器具の電源を切り、暖かさがどの程度キープできるかみてみましょう。

30分後
電源をOFF後、しばらくしてからの状況を確認してみるとその違いは一目瞭然。エアコンが急激に温度を下げていったの対し、オイルヒーターはまだまだ暖かいまま。

60分後
1時間後、エアコンはすでに起動前に近い温度まで下がってしまいました。一方、オイルヒーターは温度を保っていて、体感としてさらに1時間後も熱が持続していました。

家電発熱効率の高さを比較
同じ「赤外線」ヒーターでも違いあり

[TEST2]でオイルヒーターの体感温度が高いことがわかりましたが、赤外線ヒーターも同様に体感温度は高く、空気も汚さないといったメリットがあります。ところで、赤外線ヒータ-の仕組みをご存知ですか?

赤外線ヒーターは、赤外線が身体に直接当たるか、壁にぶつかり反射して当たることで暖まるんです。

基本的に、放出される赤外線が多ければ多いほど暖房効果が高くなります。したがって、赤外線の放出量=ヒーターとしての性能と考えられ、タイプによって体感温度が違ってきます。どのようなタイプがあるのかを、体感温度が高い順にご紹介します。

・シーズヒーター

ダイキン:ERFT11TS:電気代:ヒーター:電気:毛布:節約:家計:暖房:防寒

ダイキン
ERFT11TS
実勢価格:2万7940円
●サイズ・質量:W320×H725×D300mm(縦置き時)・W564×H576×300mm (横置き時)・6.8kg
●電源:単相100V ●運転電流:2.5~11A ●消費電力:0.25~1.1kW ●電源コード:2m

最も体感温度が高い赤外線ヒーターはシーズヒーター。ニクロム線を絶縁体で包み、金属管で覆ったものを発熱体としていて、破損しにくくなっています。赤外線の放出量、耐久性ともにカーボンヒーターより優れています。


・カーボンヒーター

炭素繊維を入れた発熱体を熱源として利用しています。赤外線の放出量は多く、身体の芯まで暖まりやすいヒーターです。


・ハロゲンヒーター

ハロゲンランプという発熱体を利用しているヒーター。即暖性は高いのですが、体感温度は低めです。


・パネルヒーター

電熱線の熱で優しく暖めます。部屋全体を暖めるのは得意ではありませんが、安価で小型なものが多く、置き場所を選びません。

体感温度を重視する場合、赤外線の放出量が多いシーズヒーターがオススメですが、値段が高価なものが多いので、予算によってはカーボンヒーターも視野に入れておきたいところ。当然ですが、安価なパネルヒーターとシーズヒーターでは体感温度がまるで違います。

家電コスト見直し必須!
ムダの多いホットカーペット

リビングの暖房としてホットカーペットはポピュラーな存在ですが、実は使い方をよく考えたほうがいい暖房の一つなんです。何も考えずに使っている場合、かなりの電力ロスになっている可能性ありです。

ホットカーペットの消費電力自体は少なめですが、その構造上、全身で寝転がったとしても、どうしても使わない場所ができてしまいますよね。さらにやりがちなのが、ソファに座って足元だけをカーペットに乗せている場合ですが、これは超もったいない! 下手をするとカーペットの9割以上がデッドスペースとなり、電気代が無駄になってしまいます。そこで、ホットカーペットを使う場合は、暖かくなる面積を調整できる機能のついたもの、特に暖房面の大きさ・位置をかなり細かく設定できるものがオススメです。

富士通ゼネラル
HC-20E3A
実勢価格:1万3800円
●サイズ:176×176cm ●表面素材:アクリル100% ●消費電力:510W(全面)・340W(2/3面)・170W(1/3面) ●カラー:T : ブラウン

もし一人用として選ぶならば、Amazonなどで人気になっている電気毛布なども全身を覆う形で使うことができるので、非常に効率的です。もしかしたら最もムダがないのは電気毛布かも。

椙山紡織:NA-023S:電気代:ヒーター:ホットカーペット:電気:毛布:節約:家計:暖房:防寒

椙山紡織
NA-023S
実勢価格:2210円



いかがでしたか? スペック上の消費電力や温度上昇はあくまで理論的な値であり、消費電力=電気代とは一概には言えません。広い部屋の場合は広範囲でもすぐに暖めることができるエアコン、広くない場所ではオイルヒーターなど、それぞれの用途で一番効率的な暖房を選ぶことが大切ですね。暖房は使用する環境によって、効果や電気代が大きく変わってきます。機器のスペックに目がいきがちですが、特性を理解して上手に使い分けてください。