『MONOQLO』2回連続ベストバイ! パナソニック最強説を検証します

テストするモノ批評誌『MONOQLO』にて2回連続ベストバイを獲得している、パナソニックの「NC-A57」。一体何がそんなにスゴイのか、私も実際に使ってみました。

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パナソニック
沸騰浄水コーヒーメーカー
NC-A57
実勢価格:1万6136円


大きさ:幅220×奥行245×高さ345mm
重量:3.0Kg
抽出量:5杯(最大使用水量670ml)

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プロによるテストで、特筆すべきと注目されたのがこちらの形状。

いわゆるハンドドリップを再現したような構造が多い中、パナソニックは、ミルからドリッパーへの経路に角度をつけた一体型。

ツインバード製がコーヒーができるまでの過程を「見せる」構造になっているのとは対称的に、パナソニック製は「見せない」つくりになっています。

プロの味寸評は 「クリアで良好なテイスト」

まずはプロのお二方による味寸評をご紹介します。「マイルド」「リッチ」「デカフェ」3つのモードで淹れたコーヒーを飲み比べていただきました。

プロの味寸評は「クリアで良好なテイスト」 イメージ

「マイルド」モードは84.8℃、「リッチ」モードは81.3℃、「デカフェ」モードでは82.1℃。“沸騰浄水”とうたっているだけあり、いずれも80℃以上のアツアツの仕上がりでした。

お味はどうでしょうか。

プロの味寸評は「クリアで良好なテイスト」 イメージ2
峯岸繁和 氏
しげの珈琲工房
峯岸繁和 氏 のコメント

マイルドモードは口当たり良好、リッチモードは濃いめながらも仕上がりはクリア。リッチモードの方が酸味は少なめです。デカフェモードは通常より水量を減らして作るので、濃度が高めですね。

さわけん 氏
科学する料理研究家
さわけん 氏 のコメント

マイルドモードは、アツアツで文字通りマイルド。冷めると酸味を感じます。リッチモードは苦味が十分に出ています。デカフェモードは苦味がやや多め、酸味は少なめで濃いですね。

では続いて、使い勝手をみていきましょう。

コーヒーを淹れる前に “洗える全パーツ”を洗浄

取扱説明書にあるとおり、使用前に水容器・活性炭フィルター・ガラス容器・ガラス容器ふた・バスケット・バスケットふた、の6点を水洗いしました。

コーヒーを淹れる前に“洗える全パーツ”を洗浄 イメージ

その後、水容器の目盛り「ホットコーヒー5」まで水を入れて本体にセットし、水だけでのドリップを2回繰り返しました。水が温まると、本体からプラスチックのにおいが。新品にはよくあることなのかもしれませんが、ちょっと残念。

「マイルドコース」で 1杯淹れてみました

パーツの洗浄が終わったところで、コーヒーを淹れてみましょう。

①バスケットを開けて、メッシュフィルターを装着します
メッシュフィルターは「粗挽き」「中細挽き」の2種類があり、淹れたいコーヒーにあわせて付け替えることができます。

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購入時は「中細挽き」のフィルター(茶色)がセットされています。

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※画像は公式サイトより「4通りの味をたのしめる」

②ガラス容器ふたで酸味を調節します
ガラス容器のふたに酸味調節レバーがついており、「ストレート」はそのまま、「ソフト」に合わせるとコーヒーがミネラルフィルターを通過し、酸味が抑えられるとのこと。

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まずは「ストレート」で淹れてみます。

③ペーパーフィルターをバスケットにセットし、ガラス容器を保温板にのせます
バスケットを開け、ペーパーフィルターを取り付けてふたをし、ふたたびバスケットを閉めます。

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バスケット本体・ふた共に左側に突起があるので、そこを目印にするとスムーズにふたをセットできます。

④コーヒー豆を豆容器に入れます
豆容器ふたを開け、付属の軽量スプーン1杯分の豆を入れて、ふたを閉めます。

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粉から淹れるときは、ペーパーフィルターに粉を入れます。ペーパーフィルターは「1×2」(2~4杯用)を使用。

カップごとの目安を記した「豆量ガイド」が付属しています(下の写真左)。シールになっており、取扱説明書によると「本体に貼ってください」とのこと。いかにも日本製的な親切心あふれるオマケです。

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付属の計量スプーン(右)はなぜかチープなプラ製。コーヒーを淹れるたびに必ず使う重要アイテムのわりには、ちょっと心もとない小ささ・軽さなので、失くしてしまわないよう注意。「パナソニックオンラインストア」で購入できます(税込110円)。

⑤水容器に水を入れ、本体にセットします
「ホット1杯」のところまで水を入れます。目盛りの線がけっこう太めなので、その下に合わせるのか、真ん中か、線の上に合わせるかでけっこう水量が変わってきそう。今回は真ん中を狙いました。

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容器の上部左についている黒いものは「活性炭フィルター」。必ず取り付けるものとされていますが、給水時にここに水を注いではいけない(横からこぼれてしまう)とのこと。

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水容器のふたが取っ手代わりになり、付けるときも外すときも便利です。

⑥電源プラグを差し込み、希望コースを選択します
取扱説明書によると「マイルド」は「コクと苦味のバランス」、「リッチ」は「コク、苦味をしっかりと」抽出できるとのこと。今回はマイルドコースを選択しました。

「豆」「粉」いずれかを押すと動作がスタートします。

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ボタンがすべて前面に集約されているので、操作がしやすいです。

⑦ミルが回転します
ミルの動作時間は短く、1杯で10秒程度でした。

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⑧煮沸します
ウィーンという大きめのモーター音がしたあと、ゴポゴポゴポ……! と湯沸かしが始まります。

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なかなか激しい煮沸です。湯気がモウモウと上がります。

「ピーピーピーピー」と音が鳴り、抽出終了。1杯の所要時間は5分21秒。5杯では10分12秒でした。ちなみに、取扱説明書には抽出にかかる時間が記載されています。これはツインバード、シロカのコーヒーメーカーにはなかった情報です。

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※画像は取扱説明書より

抽出後は自動で保温に切り替わり、持続時間はなんと2時間。煮詰まりを軽減するため、30分後には自動で保温温度を下げてくれる優秀な機能付きです。「保温/取消」ボタンを押せば、保温を切ることもできます。

⑨カップに注ぎます
スムーズに注ぐことができました。

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こぼれたり、サーバーにコーヒーが残ったりするようなことはありませんでした。

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しっかりと濃さが出ています。ただ、使用前の洗浄や湯通しをしたものの、コーヒーの香りのなかにプラスチック臭がかすかに混ざっているように思われ、香りは楽しめず(※後述しますが、このあとクエン酸洗浄をしたところプラスチック臭は消えました)。

温度は、煮沸していただけあってかなり高温。猫舌の人はちょっと待たないと飲めない温度です。アツアツで出来上がるうえに保温も2時間とたっぷりなので、温かさに重きを置く人には長所となりそうです。

⑩電源プラグを抜いて、本体・豆容器ふた・豆容器を拭きます
水滴や残った粉をよく絞ったふきんで拭いて乾かします。

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かなり湯気がこもり、水滴がついているので、ちょっと手間ではありますが、拭き掃除はマストです。

⑪パーツを洗う
使用するたびに洗うパーツは6つ。水容器を取り外して洗える点は評価したいですが、数の多さが気になります。

「活性炭フィルター」は浄水効果がなくなってしまうため、「ガラス容器ふた」はミネラルフィルターの効果がなくなってしまうため、洗剤や漂白剤を使えないので水洗い。その他、バスケットのふたなど豆の油っぽさが残っているものは台所洗剤をつけて洗います。

パーツ数が多いうえに、洗剤で洗えるもの・水洗いをするものを区別しなければならない点はマイナスです。

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バスケットの取り付け・取り外しはスムーズにできます。

⑫ミルについた粉を落とします
写真は下から覗き込んだところです。

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メッシュフィルターを取り外し、棒状のものでミルを回して粉を落とします。ミルの自動洗浄機能のおかげなのか、あるいは使い始めて間もないせいなのか、覗き込んで見える範囲のミルはきれいで、ほとんど粉は落ちてきませんでした。

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⑬「プラスチック臭問題」のその後
取扱説明書に、蒸気の量が増えたり、抽出スピードが遅くなったときの対処法として「クエン酸洗浄」の方法が紹介されていました。

・活性炭フィルターを取り出す
・水容器の目盛り「ホットコーヒー5」まで水を入れ、クエン酸約10gを混ぜる
・「粉モード」で抽出し、お湯を捨てる
・このあと、水のみのドリップを1~2回繰り返す


上記の手順でクエン酸洗浄をしたあと、コーヒーを豆から淹れてみたところ、プラスチックのにおいはほぼなくなり、コーヒーの味と香りを楽しめるようになりました。

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クエン酸洗浄中の様子。このときも活性炭フィルターを取り出す必要があります。このフィルターは付けなければいけなかったり、外さなければいけなかったり、洗剤がダメだったりと、小さいながらも扱いがちょっと面倒な存在です。

パナソニック「NC-A57」の 良い点・残念な点

パナソニック「沸騰浄水コーヒーメーカー NC-A57」を使用してわかった、良い点と残念な点はつぎのとおりです。

◎良い点
 ・最大5杯のコーヒーメーカーにしてはコンパクトなので設置しやすい
 ・ボタンがすべて前面にあり操作しやすい
 ・パーツが多いもののどれも着脱しやすい
 ・豆量や抽出にかかる時間が取扱説明書等に丁寧に提示されている
 ・抽出後、自動で2時間保温できる
 ・ほどほどの濃さとコクがあり飲みやすい
 ・アツアツに仕上がる
 ・ガラスサーバーからコーヒーを注ぎやすい


◎残念な点
 ・新品時はプラスチックのにおいがする
 ・パーツ数が多いので、付けたり外したり洗ったりの手間がかかる
 ・洗剤を使えるもの、使えないものを区別して洗うのが面倒
 ・ガラスサーバー以外のパーツはすべて黒いプラスチックなので見分けにくい
 ・外観がいかにも「家電」でデザイン的な面白みが少ない
 ・抽出の過程が見えない(今なにをしているのか音で推測するのみ)

【まとめ】パーツ数は多いものの 味と使いやすさは優等生

いかにも「家電」という感じのルックスと、どれも真っ黒で違いがよくわからないたくさんのパーツを見て、期待度が高かったとは言えなかったものの、使ってみればどのパーツも着脱がスムーズで操作ボタンもわかりやすく、とても使いやすいマシンであることがわかりました。

【まとめ】パーツ数は多いものの味と使いやすさは優等生 イメージ

豆量や所要時間が丁寧に提示されていること、キッチンに置きやすいコンパクトなサイズ感、水タンクを取り外して洗えるところも日本人ユーザーの心に響くポイントです。

肝心の味はというと、ほどほどの濃さとコクがあり、クリアな味わい。喫茶店のコーヒーというよりはコンビニのコーヒーに近い雰囲気を感じました。飲みやすい反面、面白みに欠けるかもしれませんが、だからこそ普段遣いにぴったりのコーヒーメーカーと言えるのかもしれません。

また、保温が2時間と長いので、お代わりをするときもまだ温かいのがうれしいです。

いろいろとソツのないつくりで、実勢価格は2万円弱。MONOQLOベストバイの常連であるのも納得の1台でした。