一度にたくさんつくれる! 待望の6杯用が登場

2018年秋にツインバード工業から発売された「CM-457B」。ハンドドリップの味を再現する3万円超の高級コーヒーメーカーとして話題を呼び、当サイト360.lifeでも使用レビューをお届けしました。

まるで喫茶店のマスターが目の前で淹れてくれたかのようなコクのあるコーヒーができる「CM-457B」。味よし香りよし、できるまでの過程が見えるワクワク感ありと概ね満足していましたが、抽出量は最大で3杯(520ml)。大きめのマグだと2杯がやっとの量しかできないことが残念でした。

せめてもう1杯おかわりができたらなぁ……と思っていたところ、6杯用「CM-D465B」が発売されたという朗報が。さっそく購入し使ってみたレビューをお届けしたいと思います。

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また、プロのお二方に3杯用と6杯用を飲み比べていただきました。果たして味わいに違いはあるのでしょうか? どちらを買おうか検討中の方は必見です!

使い方は3杯用とほぼ同じ 本体とサーバーが大きくなりました

こちらがその6杯用「CM-D465B」です。

使い方は3杯用とほぼ同じ本体とサーバーが大きくなりました イメージ

ツインバード工業
全自動コーヒーメーカー6杯用
CM-D465B
実勢価格:4万4436円


大きさ:幅160×奥行335×高さ425mm
重量:約4.5Kg
抽出量:1~6杯(定格容量:900ml)

3杯用を見慣れている筆者の第一印象は「背が高くなったなぁ」。本体の幅と奥行は3杯用と同じですが、高さは約65mm高くなり、重さは約400g重くなっています。

おもな仕様および操作方法は、3杯用「CM-457B」とほぼ同じ。豆の挽き具合は粗・中・細の3段階、抽出温度は83℃・90度の2段階で、豆または粉から抽出。ミルのみの使用もできます。

使い方は3杯用とほぼ同じ本体とサーバーが大きくなりました イメージ2

左が6杯用、右が3杯用。ガラスサーバーもほぼ倍の大きさになりました。

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大小2つのドリッパーが付属。4~6杯を淹れるときは大きい方ひとつだけ。1~3杯を淹れるときは、大きなドリッパーの上に小さなドリッパーを重ねて使用します。

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6杯用のドリッパーに3杯用のドリッパーを重ね、フィルターをつけるとこうなります。ドリッパーひとつでスマートにきまっていた3杯用(D457B)に比べると野暮ったいような……。見た目のカッコよさもツインバード製の大きな魅力だと思うので、この仕様はちょっと残念でした。

最大量の6杯を 淹れてみました

ではさっそく使ってみましょう。取扱説明書の手順にしたがって、6杯淹れてみます。

①6杯分(900ml)の水をはかります

最大量の6杯を淹れてみました イメージ

6杯の目盛りぴったりに合わせます。

②水タンクに水を入れます
6杯分の水が入ったサーバーはなかなかの重さ。3杯用と同じく水タンクは本体の奥にあるので、重みを感じつつ、手を伸ばして水を注いでいきます。

最大量の6杯を淹れてみました イメージ2

今回、3杯用を置いていたのと同じ場所に6杯用を設置しましたが、6杯用は本体に高さがあるうえに、ガラスサーバーが大きいので、注ぎ口から水を注ごうとすると、上にある吊戸棚にぶつかってしまうことが判明。

仕方なく注ぎ口ではないところから水を入れましたが、当然ながらこぼれやすく、ヒヤヒヤしながらの作業となりました。

きちんと注ぎ口から水を注ぐには、タテ方向に本体サイズ+αのスペースが必要です。

③ドリッパーにペーパーフィルターをセットします
本機には3杯用、6杯用のペーパーフィルターが各5枚付属していました。

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市販品では、1~3杯を淹れるときは「1×2」または「2~4人用」、4~6杯のときは「1×4」または「4~7人用」に対応しています。

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今回はメリタ「グルメ 1×4」(4~8杯用)を使用。

④豆を計量してミルに入れます
取扱説明書の目安量(6杯/中挽き)にしがたい、ミルに64gを投入しました。

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⑤豆の挽き方を選びます
挽き方は粗・中・細の3段階あり、今回は「中挽き」を選びました。

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⑥電源を入れてカップ数などを選択し、スタート!
側面にあるスイッチをONにしたら、メニューダイヤルで「豆から」、抽出温度ダイヤルで「83℃」、蒸らし湯量(カップ数)ダイヤルで「6CUP」を選びます。

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スタートボタンを押すと、ミルの回転と湯沸かしが始まります。6杯分で回転時間は5分半ほど。挽き終わると三角形のコーヒー粉の山ができていました。

⑦お湯が注がれます
3杯用と同様に、6方向からシャワーが注がれては、しばし時間を置き、また注ぎ……を繰り返します。

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サーバーにポタポタとコーヒーが落ちる音がして、良い香りがたちこめます。

⑧できあがりです
完成を知らせる音がピピッと鳴ります。

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6杯分の抽出にかかった時間は、約13分30秒でした。コーヒー粉が吸水するため、水タンクに入れた量よりも少なめに仕上がります。

⑨保温時間は30分です
完成と同時に自動で保温になります。3杯用は20分間ですが、6杯用は30分間保温されます。10分の差ではありますが、増量とともに保温時間も伸びているなんて、ちょっとうれしい配慮です。

⑩ガラスサーバー、サーバーふた、ドリッパーを洗います
コーヒーを注ぎ終わり、電源スイッチをオフにしたら、以下のパーツを洗います。

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4杯以上を淹れる場合は、一番右にある「1~3CUP用」のドリッパーが不要となり、洗うパーツは3つになります。

水タンクは外せないので洗えません。マットブラックのパーツは軽くて扱いやすいですが、カルキの跡が白く残りやすいという難点あり。

⑪最後に、コーヒー粉や水滴を拭き取ります
こちらは6杯分を1回淹れたあとの様子。ミルシャッターに粉がついています。

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キッチンペーパーや清潔なふきんなどで、本体に残ったコーヒー粉や水滴を拭き取ります。まだ本体に温かみがあり、水滴がついているうちに掃除をすると粉が周りに飛び散りにくく、きれいに拭き取れます。

コーヒーを淹れて片付けるまでの手順は以上です。

水タンクやミルのメンテナンス方法は3杯用と同じなので、こちらをぜひご参照ください。

3杯用と遜色ない味わい プロの評は「6杯用のほうがマイルド」

今回、3杯用を8ヶ月ほど使ったあとで6杯用を飲んでみましたが、取扱説明書どおりの水量・豆量で淹れれば味わいは3杯用とほぼ変わらず。こちらもハンドドリップで淹れたような、コクと香りがあるコーヒーです。

3杯用と同じく、ガラスサーバーではかった水量より少なめの仕上がり。さらに6杯を淹れるのに約13分半かかり決してスピーディとは言えませんが、何より一度にたくさんつくれるのがうれしい!

素人には3杯用も6杯用も“喫茶店っぽい美味しいコーヒー”ですが、さてプロの評価は。それぞれ83度、90度モードで飲んでのコメントをいただきました。

まずは、3杯用(CM-D457B)から。

3杯用と遜色ない味わいプロの評は「6杯用のほうがマイルド」 イメージ
峯岸繁和 氏
しげの珈琲工房
峯岸繁和 氏 のコメント

83度モードは中挽きにて風味良好。90度で深み濃度がアップします。ミルは中挽き、粗めも目立ちますが、極細は少ない様子です。

さわけん 氏
科学する料理研究家
さわけん 氏 のコメント

83度モードの温度は低すぎず、マイルドな味わい。90度モードは香りがよく、味は濃い目で酸味は少なかったです。

続いて、6杯用(CM-D465B)です。

3杯用と遜色ない味わいプロの評は「6杯用のほうがマイルド」 イメージ2
峯岸繁和 氏
しげの珈琲工房
峯岸繁和 氏 のコメント

83度、90度、両モードともに3杯用の「D457B」よりもマイルドな仕上がりでした。香りは両モードともに良好で、深みがあります。

さわけん 氏
科学する料理研究家
さわけん 氏 のコメント

味は「D457B」よりマイルドな印象ですが、十分に楽しめます。90度モードは「D457B」に比べて酸味を感じました。

3杯用、6杯用どちらも味は濃いめで香りにも深みあり。どちらかといえば6杯用のほうがややマイルド、という評価でした。

6杯用「CM-D465B」の 良い点・残念な点

6杯用を使用してわかった、良い点と残念な点はつぎのとおりです。

◎良い点
 ・一度に6杯分抽出できる

 (以下は3杯用も同じ)
 ・お店で飲むコーヒーの味わいを再現できる
 ・コーヒーができるまでの過程も楽しめる
 ・豆の挽き具合(3段階)や抽出温度(2段階)を設定でき、好みの味を選べる
 ・ミルとしても使えるのでたまには自分でハンドドリップも楽しめる
 ・マットブラックで統一された外観がカッコよい
 ・メニューダイヤルもシンプルにまとまっている
 ・ミルの取り外しが簡単。内部の掃除ができ、スッキリ


◎残念な点
 ・ガラスサーバーが大きく重いのでタンクへの水入れがちょっと大変
 ・本体に高さがあるので設置場所が限られる
  (本体サイズに加え、大きなサーバーを傾けて水を注げるだけのスペースが必要)
 ・3杯以下をつくるときはドリッパーを2つ重ねなければらない


 (以下は3杯用も同じ)
 ・つくりたい量とできあがりの量に差がある
  (コーヒー粉が吸水するため減ってしまう)
 ・出来上がるまでに時間がかかる
 ・電源スイッチだけが側面にあり、切り忘れやすい
 ・水タンクの取り外しができない
 ・クエン酸洗浄後の排水がちょっと大変

【まとめ】ハンドドリップの哲学はぼやけるものの “お店の味”を一度にたくさんつくれます

基本的な仕様や使い方は3杯用と同じなので、長所・短所ともにほぼ3杯用を踏襲するかたちとなっていますが、使ってみての最大の利点はやっぱり「一度にたくさんつくれること」でした。

【まとめ】ハンドドリップの哲学はぼやけるものの“お店の味”を一度にたくさんつくれます イメージ
一番右が本機のサーバーです。

3杯用では、朝食用に1回淹れ、そのあと会社に持っていくマイボトル用にもう1回淹れるという2工程を行っていたのですが、6杯用では朝食用とボトル用を一度に淹れられるようになり、朝の支度がよりスムーズになりました。心ゆくまでたっぷり飲みたいとき、来客時など大人数分を用意するときにも重宝です。

ただ、倍の量を淹れられるということは、おのずと本体やガラスサーバーも大きく重くなるということで、そのサイズ感に馴染めるかどうか。また、設置場所が確保できるかどうかがポイントとなりそうです。

サイズアップしたことで“少しづつ丁寧に落とす”というハンドドリップの哲学がぼやけてしまったような印象があり、4万円台と値も張りますが、喫茶店のようなコーヒーを一度にたくさんつくれるという点では◎のコーヒーメーカーです。