コンタクトレンズ 「やってはいけない」7つのこと
多くの人が生活必需品のひとつに挙げるコンタクトレンズ。かつては高価なものであったため丁寧に扱われる傾向がありましたが、使い捨てタイプが普及し、安く簡単に買えるようになったことで取扱いが雑になり、その結果として眼を傷めてしまう人が増えているようです。
使い慣れている人ほど意識していないかもしれませんが、「雑な扱い」とは、こんな行為のことです。
①処方せんなしでレンズを購入している
②できるだけ安いものを選んでいる
③手洗い後、手をタオルやハンカチで拭いてからレンズをつけている
④眼が乾いたときは素早くまばたきをしている
⑤1日10時間以上つけている
⑥メガネを持っていない
⑦しばらく眼科に行っていない
え、どこがいけないの? と思う項目もあるかもしれませんが、コレ全部NGなんです。知っているようで知らないコンタクトレンズ、まずは「基本のき」からチェックしていきましょう。
↓こちらのページでは、コンタクトレンズの選び方と、1dayタイプ21製品のランキングを発表しています。
まずは…コンタクトとメガネ 眼にいいのはどっち?
→リスクが少ないのは「メガネ」です
コンタクトレンズは眼に直接触れるものですから、使い方によっては角膜を傷つけてしまう可能性があります。衛生面・健康面でリスクが少ないのはメガネです。
ただし、円錐角膜など特殊な角膜の場合は、コンタクトレンズを使用する必要があります。
コンタクトのソフトとハード 眼にいいのはどっち?
→装用感が良いのは「ソフト」ですが、眼に優しいのは「ハード」です
ハードはソフトよりレンズのサイズが小さく、眼の上でよく動くのが特徴です。そのため涙の入れ替わりが多く、眼への酸素供給量が大きくなります。ただし、ゴロゴロするような装用感が気になってしまう人もいます。
ソフトはハードに比べて眼にかかる負担が大きいですが、装用感が良いのが特徴です。
1dayと2week おすすめはどっち?
→より衛生的なのは1dayです
十分にケアをしていても、レンズには細かな汚れや雑菌が残り、たまっていきます。つまり、レンズは使えば使うほど劣化していくのです。
花粉の時期や、お手入れが苦手な人、汚れやすい環境(スポーツなど屋外での活動をしている、ペットの飼育をしているなど)にいる人には、断然1dayがおすすめです。
続いて、コンタクトレンズを買うときに気をつけたいポイントをチェックしていきましょう。
処方せんなしで 買ってもいいの?
→絶対にダメ! 眼科医を受診し、処方せんを出してもらいましょう
使用する人の眼に合ったレンズを作るためには、医師の正しい診察に基づいて作成された「処方せん」という資料が必要になります。処方せんなしで買うこともできますが、それは「眼の状態をよく把握せずに買う」ことと同じです。
眼の状態に合っていないレンズは、確実に眼にダメージを与えます。診察を受けずに使い続けていると、眼に傷ができていても、レンズの使用法が誤っていても、気づくことができません。
やがてトラブルが積もり積もって深刻な事態となり、最悪は失明する危険性もあるのです。
コンタクトレンズ障害患者の4分の1強が、「まったく検査を受けていない」という調査結果もあります(出典:平成22年度社団法人日本眼科医会 CL眼障害アンケート調査より)。
コンタクトレンズを取り扱うお店の併設ではない眼科を受診して、必ず処方せんを出してもらいましょう。診療内容にもよるので一概には言えませんが、費用は数百円程度。高くても500円くらいです。
処方せんを出して貰った場所で買わなきゃいけないの?
→処方せんを出してもらっても、コンタクトを買う必要はありません
処方せんを出してもらったからといって、必ずしもその眼科でレンズを購入しなければいけないわけではありません。購入を強引にすすめてくるような眼科医には注意しましょう。
信用できるか眼科医かどうか。それが大事です。
眼科医はどうやって 選んだらいい?
→「眼科専門の医師」であることが大前提です
診療行為は医師免許があれば誰でもできるので、コンタクトショップに併設されている眼科などでは、眼科専門外の医師や研修医が診察することも少なくありません。
ひどい場合は医師ですらなく、単なるお店のスタッフだったりすることも……。「眼科専門の医師」がいる病院で診察を受けましょう。
よい眼科医かどうかを見極めるポイントは次の3つ。
・定期検査をきちんとすすめる
・フィッティングと視力検査をしっかり行う
・処方せんの有効期限を短く設定している
さらに、コンタクトレンズに関する知識と技術を保証する「日本コンタクトレンズ学会」の会員であれば安心です。眼科のホームページに記載がある場合が多いのでチェックしてみましょう。
日本コンタクトレンズ学会員なら信頼してOKです!
コンタクトショップは どう選んだらいい?
→売りたさが透けて見えるお店は避けましょう
お店である以上売りたいのは当然のことですが、“売る気”が先行しているショップは要注意です。
たとえば……
・処方せんなしで買える、と堂々と謳っている
・広告にお金をかけている
・お店が出資した眼科が隣接している
など。
“使用者の眼に合った製品を提供すること”を大切にしているお店で購入しましょう。
商売っ気の強い店は疑ってかかりましょう。
高いレンズと安いレンズ 何が違うの?
→新しくて性能が良いものほど高価です
<コンタクトレンズの値段と性能>
コンタクトレンズの価格は、素材や機能、さらには使いやすさに比例します。新素材を使っていたり、新機能を備えていたりするレンズは、その分だけ高価になります。
また、家電製品のように新モデルが登場すると従来品が旧モデルとなり、価格が下がることがあります。
ネットで見つけた激安レンズ 買ってもいい?
→安価な製品は品質が不安定。粗悪品が紛れ込んでいることも
激安ショップやインターネットで販売されている安価なコンタクトレンズの中には、品質や保管状態が悪いものや、国内よりゆるい製品チェックをパスしている海外流通製品があります。中にはトラブルを引き起こすレベルの粗悪品が紛れ込んでいることも。
激安品のすべてがそうとは限りませんが、安価なもの=リスクがあるもの、と認識しましょう。安さに釣られて視力というかけがえのないものを失わないようにしたいですね。
続いて、コンタクトレンズを使用する際に気をつけたいポイントをチェックしていきましょう。
今さらですが 「正しいつけ方」って?
→つける前の手洗いが重要。レンズに異物がつかないように注意!
眼にとって雑菌は大敵。油断しているとコンタクトに付着して眼にダメージを与えてしまいます。装着する際に使う指が雑菌を拾いやすいので、よく洗って、清潔なままでコンタクトレンズに触れるようにしましょう。
レンズに触れる「指や手のひら」をきれいにしておきましょう!
<正しい装用の手順>
1.石けんで入念に手洗いを
指先はもちろん、指の間、手のひら、手の甲、手首まで、石けんを使って念入りに。洗った後は石けんをよく落としましょう。
2.タオルを使わずに自然乾燥
実はタオルやハンカチには驚くほど雑菌が付着しています。レンズに触れる部分は、タオルやハンカチを使わずに自然乾燥しましょう。
3.コンタクトを左手のひらにのせる
ケースの中からコンタクトレンズを取り出し、左手の手のひらにそっと置きます。こすりつけたり、押しつけたりするのはNGです。
4.右手の人差し指にのせる
人差し指の指先にコンタクトレンズをのせます。眼に運ぶ途中で落ちたりしないよう、バランスよくのせることが大事。左利きの人は左手にのせます。
5.ひっくり返っていないか確認して装着
円が歪んでいたら、裏返しです。表裏が合っているか確認したら、眼に装着。これで装用の手順は終了です。
化粧水をつけるのは コンタクトをつける前? 後?
→化粧水はレンズを装着したあとにつけましょう
化粧水も、コンタクトレンズにとっては“異物”です。装着前に化粧水をつけるとレンズについてしまうおそれがあるので、化粧水はコンタクトを装着したあとにつけましょう。乳液や、マスカラなどの化粧品も同様です。
1dayタイプのレンズ 再使用してもいい?
→角膜がダメージを受ける危険性あり。使用は1回限りにしましょう
1dayタイプのレンズは、同じ使い捨ての2weekタイプと比較してもかなり耐久性が低くなっています。汚れも付きやすく、無理に使うと角膜にダメージを与えてしまいます。最悪は失明する可能性もあり、危険です。
度数が同じなら 右目用を左目につけてもいい?
→左右でベースカーブが異なる場合は使えません
ベースカーブとは、レンズが眼球に接する部分のカーブの曲がり度合を示す数値のことで、フィットする数値は人それぞれです。
自分の眼球よりカーブが小さすぎると、レンズが眼に張り付いたようになり、眼が酸素不足になって角膜障害になるリスクがあります。反対にカーブが大きすぎると、レンズが外れやすくなります。
左右の度数が同じでも、ベースカーブが異なる場合は、左目には左目用を、右目には右目用を使いましょう。ベースカーブの数値はパッケージに記載されています。
洗わなくてよい保存液(洗浄兼) ってどうですか?
→洗わなくてよい分、洗浄力が弱いので気をつけて
漬け置きするだけで、洗わなくてよいタイプの保存液(洗浄兼)は、洗浄力が弱く、タンパク質の除去効果が薄くなっているので、取扱には注意が必要です。
しっかり汚れを落とせるこすり洗い洗浄タイプか、過酸化水素で消毒するタイプがおすすめです。
保存液を切らしてしまった! 水道水で代用できる?
日本の水道水はかなりきれいですが、地域によっては角膜炎を引き起こすアカント・アメーバが混入していることがあります。水道水での保存は絶対に避けましょう。
水道水はきれいに見えても無菌ではありません。代用は禁止です。
眼が乾いたときは どうしたらいい?
→ゆっくりと、強めのまばたきを繰り返しましょう
コンタクトレンズをつけているときに眼が乾くのは、レンズと角膜の間の水分(涙)が不足しているから。乾燥を感じたら、ゆっくりと強めのまばたきを繰り返してみましょう。涙が角膜に行き渡っていくはずです。
パチパチと素早くまばたきをすると、レンズが外れてしまうことがあるので、「ゆっくり」を心がけてくださいね。
乾燥を感じたとき、むき出しの臓器の眼をもんだり押したりするのは危険です。
眼の検査はどれくらいの 頻度で受けたらいい?
→最低でも「半年に1回」の検査が必要です
はじめて使用するコンタクトレンズの場合は、購入後1週間・1ヶ月・3ヶ月というタイミングで検査を受けましょう。その後は、最低でも半年に一度は検査を。眼に違和感を覚えたときは、すぐに行きましょう。
合わないレンズを使い続けていると、眼に思わぬ障害が発生することがあります。レンズが合っているか、眼に異常はないかチェックすることで、病気を予防することができます。
装用時間が長くなりがち。 どうしたらいい?
→8時間を超えたら、メガネに切り替えましょう
長時間にわたってコンタクトレンズを装用していると、大気中の汚れが付着したり、眼が酸素不足になったりします。出勤や外出にはメガネを携行し、装着から8時間を超えたらメガネに切り替えましょう。
コンタクトと併用できるよう、メガネは必ずつくりましょう。
レンズが外れてしまった! 目薬で洗ってもいい?
→レンズが変形したり汚れたりする可能性があるので×
レンズが外れてしまったときは、生理食塩水、またはコンタクトレンズ専用洗浄剤を使って洗いましょう。
とっさに、「目薬や洗眼薬で代用できるかも?」と思うことがあるかもしれませんが、それらを使用すると、レンズが変形したり、汚れたりすることがあるのでやめましょう。
眼の調子がイマイチ。 レンズをつけてもいい?
→違和感があるときは使用を控えて
眼に異常があるときにコンタクトレンズを使用すると、症状を悪化させてしまいます。眼が充血している、装用すると眼がゴロゴロする、など少しでも違和感を覚えるときは使用を控えましょう。こんなときのためにも、メガネが必要ですね。
レンズをつけたまま 寝てしまうことがあるのですが…
→眼が酸欠になりトラブルのもと。寝る前に必ず外しましょう
コンタクトレンズをつけたまま眠ると、角膜に酸素が届きにくくなります。角膜が酸素不足になり、トラブルに発展することも。面倒でも、寝る前に必ず外しましょう。
カラーコンタクトレンズ ってどうですか?
→眼の健康を大切にしたいなら、やめておきましょう
ファッションアイテムとして認知度が高まる一方で、トラブルも増えているという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
すべての製品がそうではありませんが、色素の繊維がにじみ出して角膜を傷つけてしまう粗悪品が存在します。また、酸素の透過性が悪いため、眼の呼吸が阻害されてダメージを受けることがあります。
特に、インターネットで販売されている商品に注意しましょう。
【まとめ】眼は唯一無二の 器官であることを忘れずに
コンタクトレンズの買い方・使い方をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?
眼はダメージを受けやすい一方で、そのことに気づきにくい器官です。
毎日のようにコンタクトレンズをつけているとつい忘れてしまいがちですが、眼は代わりのきかないデリケートな器官であること、レンズはその眼にじかに触れるものであることをいつも意識したいですね。
①眼科で処方せんを出してもらう
②安易に激安品に手を出さない
③手洗い後、レンズに触れる部分は、タオルやハンカチを使わずに自然乾燥する
④眼が乾いたときはゆっくりとまばたきをする
⑤装用は1日8時間以内に
⑥メガネをつくって併用する
⑦半年に一回は眼科で検査を受ける
7つのポイントに気をつけて、大切な眼の健康を守りましょう!
処方せんは製品保証書と同じ。信頼の置ける眼科で定期検査を受けましょう。