テレビ・オーディオ・AV機器のアイコンイヤホン界隈大注目の「SONY WF-1000XM6」

2017年発売の「WF-1000X」以降、連綿と続くソニー製完全ワイヤレスイヤホンの最上位シリーズ「WF-1000XM」シリーズ。従来モデルの「WF-1000XM5」の登場(2023年秋)以降、「Technics EAH-AZ80」やJBL「Tour Pro 3」など強力なライバルが次々登場し、競争が激しくなっていました。

そんな中、ついにデビューした「WF-1000XM6」は間違いなく2026年の完全ワイヤレスイヤホンを語る上で外せない製品になるはず。そこで、予約購入した筆者(家電批評-編集長)の“ファーストインプレッション”をお届けします!

なお、ライバル製品との比較などを含めた詳細なレビューはオーディオの専門家と編集部で綿密な採点を経て、「家電批評5月号」(4/3発売)にて掲載予定。最終的な評価はそちらをお待ちください。本記事はあくまでもインプレですので悪しからず。

テレビ・オーディオ・AV機器のアイコン前モデルからノイキャン用のチップや形状を一新!

 ソニー WF-1000XM6 イメージ1
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 ソニー WF-1000XM6 イメージ3
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  • ソニーWF-1000XM6

完全ワイヤレスイヤホンの性能を左右するのが、サウンドやノイズキャンセリングの処理を担うオーディオチップ(SoC)です。「WF-1000XM」シリーズは、WF-1000XM5から「統合プロセッサー」とノイズキャンセリング用のプロセッサーを組み合わせたデュアルチップ構成を採用。WF-1000XM6は統合プロセッサーこそXM5と同じ「V2」ですが内部処理を24bitから32bitに拡張し、オーディオ処理の高精度化、さらに、ノイズキャンセリング用のチップを「QN2e」から「QN3e」へ更新するなどして、ノイズもXM5比で約25%低減したと謳っています。そのほか、ドライバ形状の改善やイヤホン形状の見直しによる装着感の向上など、さまざまなアップデートが施されているモデルです。

おすすめポイント
  1. 最上位モデルらしい上質なサウンド
  2. 豊富な独自機能
  3. 圧迫感の少ないノイズキャンセリング
がっかりポイント
  1. aptX系のBluetoothコーデックに非対応
  2. 4万円オーバーと高額
6.20cm(ケース)
奥行
2.65cm(ケース)
高さ
4.11cm(ケース)
重量
約6.5g×2(イヤーピース(M)含む)、58.5g(ケース)
ドライバーユニット
8.4 mm
対応コーデック
SBC, AAC, LDAC, LC3
連続使用時間
連続通話時間:最大5時間 (NCオン) / 最大5.5時間 (NCオフ) 、連続音声再生時間:最大8時間 (NCオン) / 最大12時間 (NCオフ)
型番
WF1000XM6 SZ

【デザイン】従来より耳への収まりがよくなった!

サイズ比較
左:WF-10000XM6・右:WF-1000XM5

イヤホンの形状は(WF-1000XM5)によく似ていますが、若干、縦長かつ細身になっており、収まりが良くなりました。なお、耳に真っ直ぐ入れるだけでは耳の穴とイヤホンに隙間が空いてしまうので、前か後ろに軽くひねりながら押し込むと、より強いフィット感が得られ、音質も安定します。

 

イヤーチップは従来通りのポリウレタンフォーム。潰しても元に戻る素材で、耳の穴に密着させやすい特性があります。遮音性が高く、音質やノイズキャンセリングの向上が期待できます。最初は圧迫感があるのですが、5分10分と装着していると、筆者の場合はだんだん馴染んで違和感が減りました。1時間以上、装着していてもさほど疲れません。装着感は上々と言えるでしょう。

【デザイン】従来より耳への収まりがよくなった! イメージ
ノイキャンのお試しも兼ねて新幹線で長時間装着してみました

イヤーチップのサイズはXS/S/M/Lの4タイプ。筆者はMとLの中間が欲しくなりました。

WF-1000XM6の付属品
本体にはMが付属。左からXS、S、L

ケースは前モデルと比べて、ちょっぴり背が高くなりました。「高級感がない」などと否定的なコメントも見かけるWF-1000XM6。確かに、ロゴや通気孔がゴールドからシルバーになりデザイン上のアクセントが減った印象です。また、手触りもさらにマットな少しざらついた質感になりました。プレミアム感は薄まったかもしれませんが、裏を返せば、ガジェット臭さのない、ナチュラル志向のデザインと言えるでしょう。実際、手触りはよく、滑りにくいですし、視覚的には装着時も目立ちません。

ただ、天面も底面もフラットなので、ケースが上向きなのか、下向きなのか、手にしただけではわかりづらくケースを下向きに開けてイヤホンを落としそうになりました。上と下の区別がつくデザインのほうが使いやすいのではないでしょうか。

イヤホンケースを比較
ケースの裏にはリセットボタンを配置。いつでも確実にリセット・ペアリングでき、ユーザーフレンドリーですね

テレビ・オーディオ・AV機器のアイコン【音質】ロックやポップスを聴きたくなる明るく元気なサウンド

【音質】ロックやポップスを聴きたくなる明るく元気なサウンド イメージ

ここからはサウンドのインプレッションです。ただ、筆者はオーディオの専門家ではありませんので、以下はあくまでも個人の印象論ということで、ご了承ください。

なお、今回はiPhone 15でのAAC接続で視聴しています。LDACもサポートするので、対応するAndroidスマホで聴けば、さらなる音質向上が期待できるでしょう。

まず、WF-1000XM6を試聴し始めて感じたのが、サウンドステージの広さと定位の明瞭さ。楽曲を構成する音同士が近接しすぎておらず、音数が多くても各楽器のリアリティが損なわれにくい印象です。埋もれがちな細かい音も明瞭に聞き取れます。

それでいて、音が細いというわけではなく、楽曲を構成するひとつひとつの音にしっかりと芯がある=適度な太さがあるという印象です。

家電批評ベストバイのTechnics EAH-AZ100と聴き比べてみました

EAH-AZ100・WF-1000XM6
手前が「Technics EAH-AZ100」です

本誌でベストバイに認定している、「Technics EAH-AZ100」とも聴き比べると、キャラクターの違いをはっきりと感じます。

その違いを一言でまとめると、

  • WF-1000XM6:明るく、ノリがいい
  • Technics EAH-AZ100:やや暗く、しっとりめ

といったところでしょうか。特に、女性ボーカルの楽曲で違いがわかりやすく、たとえば、サラブライトマンの「Time To Say Goodbye」ではEAH-AZ100のほうが、歌声がしっとり、まろやか。WF-1000XM6はやや硬く感じます。坂本美雨の「THE NEVER ENDING STORY」や宇多田ヒカルの「花束を君に」も表現の違いが出やすい。丁寧で落ち着いた“大人の音”を楽しむならTechnicsのほうが上手でしょう。

一方、WF-1000XM6の持ち味は、思わず体を動かしたくなるような躍動感。ロックやポップスを楽しく聴くならWF-1000XM6だと思います。

また、筆者はイヤホンの音量をついつい上げてしまうタイプなのですが、WF-1000XM6は音量を控えめでも音が痩せにくく、満足度が高い印象です。これは耳の健康のためにもいいことではないでしょうか。

ちなみに、WF-1000XM6のサウンドは「サウンドエンジニアとの共創」がソニー的にはアピールポイントで、同社によると

アリアナ・グランデや宇多田ヒカルの楽曲を手掛けたランディ・メリル(Sterling Sound)、リアーナやBLACKPINKの楽曲を手掛けたクリス・ゲーリンジャー(Sterling Sound)、ボブ・ディランやジェームス・ブラウンの楽曲を手掛けたマイク・ピアセンティーニ (Battery Studios)、そして、アリシア・キーズの楽曲やスター・ウォーズのサウンドトラック(エピソード4,5,6)を手掛けたマイケル・ロマノフスキ(Coast Mastering)の4名のサウンドエンジニアが音質の調整に携わっています。

とのこと。最新のポップス、R&B、ファンク、60s/70s、オーケストラなど幅広いジャンルでチューニングされていることがわかります。

final TONALITE・WF-1000XM6
筆者の個人的ベストバイでもある「final TONALITE」(手前)

ちなみに、家電批評2026年3月号で絶賛されていたfinalの「TONALITE」と比べると、TONALITEの方が、空間がさらに広く、より立体的に聞こえました。“空間解像力が高い”とでもいうべきでしょうか。ハッとする表現はWF-1000XM6より多い印象です。もっとも、TONALITEは「個人最適化」を主軸に据えたやや特殊なイヤホンなので、同列に比較するものではないかもしれません……。

阿部淳平
家電批評 編集長
阿部淳平 のコメント

WF-1000XM6のサウンド、ハイクオリティであることは間違いないように思われます。専門家による詳細な比較は「家電批評」5月号をお待ちください。

BGMエフェクトがおもしろい!

BGMエフェクトがおもしろい! イメージ
アプリには「リスニングモード」が新たに登場。興味深かったのが、「BGM」エフェクトです。「カフェ」に設定すると本当に喫茶店のBGMのような聞こえ方に変化します。音楽に向かう意識が薄れるので、食事や読書などのながら作業にちょうどいい感じ!特に、このエフェクトと外音取り込みを組み合わせて散歩をすると、目の前の風景にBGMが追加されるような感覚で筆者的にはおすすめです。ぜひ試してみてください。
BGMエフェクトの切り替え
カフェの他にマイルームとリビングも選べます

カナル型イヤホンをながら聴きイヤホンに近づける機能とも言えるでしょう。音像を大きく歪ませているはずなので、音質的には「劣化」しているのですが、強力なエフェクトの割には違和感は少ないと感じました。ひょっとすると、32bitに拡張された統合プロセッサV2の恩恵かもしれませんね。

テレビ・オーディオ・AV機器のアイコン【ノイキャン性能】幅広い帯域で騒音を低減

ソニーご自慢のノイズキャンセリング性能。まずは、新幹線で試してみました。

iPhoneの音量50%程度で音楽を再生すると列車の走行音はほぼ聞こえなくなります。音楽を止めても、車内に響く「ゴー」という連続的な低域の騒音が大幅に低減されており、十分に静かです(加速中のモーター音や乗客の話し声は残りますが)。

次に、さまざまな雑音が混じるカフェで、Technics EAH-AZ100と比べてみました。空調の音や人の声などが目立つ=低域をカットして、高域を残したような聞こえ方のTechnicsに対して、WF-1000XM6は空調音などをより強く抑え込んでおり、中高域も含めて騒音を和らげているように感じられます。Technicsより幅広い音域でノイズキャンセリングが効いていると言えるでしょう。

また、風が少ない環境でしか試していませんが、風切り音も気になりません。

自然かつ新機能も追加された「外音取り込み」

自然かつ新機能も追加された「外音取り込み」 イメージ
外音コントロールの画面

外音取り込みは、音の聞こえ方(方向感覚や人の声の質感)に違和感が少なく、自然な聞こえ方です。また、1〜20で強さを調節可能。音楽を再生中は20くらいまで強くしたほうが良さそうです。

Technics EAH-AZ100と取り込み量を最大にして聴き比べると、WF-1000XM6の方が、空調や空間ノイズの音が少なく自然な聞こえ方でした。Technicsも外音をしっかり取り込むのですが、空調音などのノイズもソニーより多めに拾ってしまい「マイクで取り込んでいる」感がソニーよりやや強いです。

そして、WF-1000XM5にはなかった新機能として、周囲の騒音レベルに合わせて、外音の取り込み量を自動制御する「自動外音取り込み」が登場したのもトピック。

しかも、周囲の音を「多めに取り込みたい」のか「抑えたい」のかを「標準」「高感度」「低感度」から選択可能。筆者は「標準」では自動車などに気付きにくいと感じたので、取り込み量を増やす「低感度」にセットしました。このように、外音取り込みの挙動を細かくカスタマイズできるのがWF-1000XM6の特徴の1つです(もっとも、標準設定で十分な取り込み量とノイズの少なさを実現しているAirPods Proのほうが使いやすい気はしますが……)。

外音取り込みとノイキャンを自動で切り替え!

また、ユーザーの状態(乗り物・静止・歩行)を検知して、歩行中は外音取り込みに、乗り物や静止状態ではノイズキャンセリングに自動的に切り替える「アダプティブサウンドコントロール」も引き続き搭載されています。

外音コントロール機能

上の写真は歩行中。「外音コントロール」が自動的に「外音取り込み」となっています。

外音コントロール

立ち止まると、15秒ほどで「外音コントロール」が「ノイズキャンセリング」に切り替わり、再び歩き始めると数秒で外音取り込みに移行しました。電車内ではノイズキャンセリングだが、下車してホームを歩き出すと外音取り込みに変わるといった具合に、なかなか効果的に機能してくれます。ただ、横断歩道での信号待ちでノイズキャンセリングになってしまうのが惜しい。周囲の音は常時マイクで捉えているはずなので、「道沿いで静止している場合は外音取り込みのまま」というオプションがあるといいですね。

テレビ・オーディオ・AV機器のアイコン【マイク性能】歪みが少なく優秀です!

「複数のマイク、骨伝導センサーおよびAIの組み合わせ」でソニー最高の通話性能を実現したというWF-1000XM6。通話用マイクの数も増えています。そこで、屋外でiPhoneのマイクをイヤホンに切り替えて「ボイスメモ」アプリに吹き込んで、マイク品質を確かめてみました。

iPhoneのオーディオインプット画面
iOSのオーディオインプットをイヤホンに切り替えて試しました

こちらもTechnics EAH-AZ100と比べてみました。両者ともに、声が途切れたり大きく歪んだりはせず、完全ワイヤレスイヤホンのマイクとしてはかなり優秀ですが、WF-1000XM6のほうはより柔らかく、自分の声に近いトーンで録音できていました。WF-1000XM6はスマホとパソコンなど2台のデバイスに同時接続できるマルチポイントにも対応しているので、ビジネスシーンでも活躍してくれそうです。

なお、ソニーによると、完全ワイヤレスイヤホンで問題となる音切れ対策も向上しているとのこと、AAC接続でしか試していませんが、試用中、音楽が途切れるようなことはありませんでした。

Bluetooth接続の仕様はWF-1000XM5と同様。コーデックはSBC/AAC/LDAC/LC3で、相変わらずapt-X系には対応していないのが残念です。

テレビ・オーディオ・AV機器のアイコン【操作性】シンプルで覚えやすい

WF-1000XM6を操作中の様子
タップの誤認識などもなく操作にすぐ慣れます

「トントン」とイヤホンを叩いて操作する、完全ワイヤレスイヤホンで一般的な操作方法。最も多用する1タップは、左耳に「ノイズキャンセリング」と「外音取り込み」、右耳に「再生」と「一時停止」が割り当てられており、単純明快。また左の連続タップでボリュームダウン、右の連続タップでボリュームアップできる機能もタップと音量調節のラグが少なく、実用的でした。

また、「うなづき」などで着信の応答・拒否ができる「ヘッドジェスチャー」機能も搭載しています。

【操作性】シンプルで覚えやすい イメージ
ヘッドジェスチャー機能

テレビ・オーディオ・AV機器のアイコンまとめ:音質以外にも見所が多い「フラッグシップ」らしい高機能イヤホン

WF-1000XM6を手にした

WF-1000XM6は高品質なサウンドやノイズキャンセリング、自然な外音取り込みなど、ハイエンド機に求められる基本性能をしっかり確保。さらに、外音コントロールやBGMエフェクトなど日常生活でイヤホンをより便利に使う機能も多数盛り込まれており、サウンドから使い勝手までハイレベルで作り込まれています。4万円を超えるプライスタグは確かに高価ですが価格に見合う価値はあるでしょう(コスパがいいとは言えませんが)。

サウンドはキャラクターがはっきりしているので、ロックやポップスは楽しく聴きたい!というユーザには特に喜ばれそうです。全体的に完成度が高く、2026年を代表する完全ワイヤレスイヤホンになるには間違いないと感じました。