電子ペーパー端末の進化は?
電子ペーパーは液晶や有機ELより目に優しい表示方式。目にかかる負担は紙と同等と言われています。
しかも、消費電力が少なく、軽量で持ちやすいことから「本」が読みやすいのも特徴です。
従来はモノクロ表示でしたが、最近はカラー化が進みつつあり、エンタメ性が向上しています。そんなカラー電子ペーパーを採用するモデル3機種を比較検証。
本の読みやすさ、メモや図の書きやすさ、データ転送など、電子ペーパー端末の各機能を編集部やモニターが実際に使用し、比べてみました。
電子書籍の市場動向
※株式会社インプレス『電子書籍ビジネス調査報告書2023』より
グラフを見ると、電子書籍の利用者は年々増える一方です。現在も電子書籍アプリが増え続けており、需要は今後も増え続けるでしょう。
漫画も雑誌も色付きに
白黒だった電子ペーパーにカラーモデルが増えて、読書がさらに楽しくなっています。
液晶よりも省電力
電子ペーパーは液晶のようにバックライトを発光させる必要がありません。同じものを表示し続けるだけなら、電力を消費せず、表示の切り替え時に電力を使います。このことから、タブレットに比べて消費電力は少なめです。
反射式表示で目に優しい
電子ペーパーは紙と同じく、反射光で見えるため、長く見ても疲れにくいです。
カラーになった電子ペーパー 読書やメモははかどるの?
そんなカラー電子ペーパーを採用する最新モデル3機種を比較検証。本の読みやすさ、メモや図の書きやすさ、データ転送など、電子ペーパー端末の各機能を編集部やモニターが実際に使用し、比べてみました。
電子ペーパーの選び方は?
テスト1:書き味
ペンの書きやすさや消しゴムの使いやすさなどを、編集部とモニターでチェック。
テスト2:ノート機能
メモや作図のほかデータ転送のしやすさを調査。テンプレの種類も確認しました。
テスト3:使い勝手
視認性や色の正確性、ページ移動や本棚のソートなどの読書機能の使い勝手を検証。
電子ペーパーの実力は?
SKT「NoteAir4C」
- SKTNoteAir4C
- 実勢価格: ¥87,799〜
- 書き味
- 視認性
- 色の正確性
- 読書機能
- 表示速度
- ノート機能
- ペン機能
- 解像度
- おすすめポイント
-
- 書き味もまずまずのレベル
- ノート機能は充実している
- がっかりポイント
-
- 色の正確性がイマイチ
- 8万円台(検証時)はコスパが悪い
- 幅
- 226mm
- 奥行
- 193mm
- 高さ
- 5.8mm
- 重量
- 430g
- CPU
- Qualcomm 8コア
- OS
- Android 13
- ディスプレイ
- 10.3インチ Kaleido 3(4096色) Carta1200 ガラススクリーン
- 解像度
- 2480×1860(B/W 300ppi), 1240×930(Color 150 ppi)
- 型番
- NoteAir4C
ボイスメモも使える!
【書き味】ほどよいザラつきで筆圧検知も正確
画面はザラつきのあるタイプで、過去検証の書き味テストで「優秀」を獲得したKindleScribeよりもペンを滑らせたときの抵抗感はやや強め。
実際に使ったモニターの多くが「ほどよいザラつきで筆が進む」「筆圧検知でとめやはらいがしっかり表現される」など高く評価。
その一方、「ペンの種類を変えるときなどの動作がワンテンポ遅れる印象」「消しゴムで文字が消えるのが少し遅い」など動作感はイマイチという声も。
付属のペンは太すぎず細すぎず、握りやすくてスムーズかつ正確にペン先を動かせました。
【表示速度】ページ移動はスムーズでした
画面の両端をタップして漫画や雑誌のページを切り替える際の待ち時間は0.5~0.8秒程度。遅さは感じず、ストレスフリーで読めます。
【ノート機能】転送は少し面倒だが機能は充実
直線と曲線の補正機能を搭載するほか、塗りつぶしや図の回転など、デザインソフトのような機能を搭載。テンプレートも豊富で、メモ書きだけではなく、資料作成でも役立ちます。ただ、線の描写スピードは遅めです。
赤みがかっていて色合いはやや不自然
画面は赤が強めで、グレーの冷蔵庫が赤っぽく見えます。色の判別が重要な資料や雑誌の閲覧は厳しい。
楽天 Kobo「Kobo Libra Colour」
- 楽天 KoboKobo Libra Colour
- 実勢価格: ¥31,042〜
- 書き味
- 視認性
- 色の正確性
- 読書機能
- 表示速度
- ノート機能
- ペン機能
- 解像度
- おすすめポイント
-
- 軽くてコンパクトだから持ちやすい
- 暗くても明るくても見やすい
- がっかりポイント
-
- ツルッとした書き味は好き嫌いあり
- 画面の表示速度が遅い
- 幅
- 144.6mm
- 奥行
- 8.3mm
- 高さ
- 161.0mm
- 重量
- 199.5g
- ディスプレイ
- 7インチE Ink Kaleido 3 タッチスクリーン
- 容量
- 32 GB
- 防水機能
- IPX8等級
- 型番
- N428-KJ
ページ移動のときに色が反転するのは好みが分かれそうです。
明暗どちらでもしっかり見えた
内蔵のフロントライトで輝度調節が可能な本製品。室内を暗くした状態で、電子ペーパーの「明るさ」を最大にしたところ、小さな文字までしっかり視認できました。また、屋外の直射日光下でも画面の反射や映り込みがほぼなく、見えにくさは感じられません。
電子ペーパーとしては十分
iPadと比べると発色や鮮やかさは劣りますが、実際の色と違って見えることはありませんでした。また、色のにじみやぼやけも問題なしです。
ビジネス特化の富士通はどう?
富士通「QUADERNO A5」
- 富士通QUADERNO A5
- 実勢価格: ¥40,900〜
- 書き味
- 視認性
- 色の正確性
- 表示速度
- ノート機能
- ペン機能
- 解像度
- おすすめポイント
-
- 薄くて軽いので携帯性はバツグン
- ノートのテンプレが豊富
- がっかりポイント
-
- 読書機能が非搭載
- 直線や曲線の補正機能がない
- 幅
- 173.2mm(約)
- 奥行
- 242.5mm(約)
- 高さ
- 5.9mm(約)
- 重量
- 261g(約)
- 内蔵ストレージ
- 32GB / 約22GB以上
- ディスプレイ
- 10.3型フレキシブル電子ペーパー
- 解像度
- 1404×1873ドット(16階調グレースケール:227dpi、4096色カラー:113dpi)
- 型番
- FMVDP53CA5
屋外の明るい場所や暗い室内でもくっきり見えました。携帯性が高いので、外出先でも手軽に使えます。
A5サイズで持ち運びがラク
厚みが5.9mmと極薄で、約261gという軽さ。会議やミーティングで資料と一緒に持ち運びやすく、カバンに収納しても邪魔になりません。
ペンの書き味もまずまず
画面のザラ感は強め。好みは分かれますが普通に書けます。
ノートはメモ特化だがテンプレが充実
さまざまなテンプレートをダウンロードして利用できるのが魅力。ただ、直線と曲線の補正機能がなく、メモ書きに特化しています。
エンタメ向けがかなり少ない
読書や動画などのエンタメアプリは搭載しておらず、ストアからダウンロードすることもできません。ただ、PDFデータであればPCから取り込んで閲覧することは可能。また、外部機器との連携は専用アプリが必要で、一般的なクラウドは利用不可です。
まとめ:メモ書き・読書に使える
今回、電子カラーペーパー端末を検証した編集部員やモニターの感想のほとんどが「iPadなどのタブレットのほうがよい」というものでした。
電子ペーパーは目に優しく、省電力のディスプレイを採用しているため、色の鮮やかさや画質の精細感でタブレットに劣るのは仕方がないことです。
しかし、それを加味しても、動作のクイック感はタブレットと比べて大きな開きがありました。とくにノート機能の線描補正や図形挿入でのもたつきはかなりのストレスに。
また、動画を視聴できても画質が粗すぎてまだ実用レベルに至っていないなど、気になるところが多々あります。タブレットが軽量かつ薄型になり、電子カラーペーパーの価格が割と高いことを考えれば、いまだタブレットの優位性は揺るがなそうです。
とはいえ、「遅くて粗い」と言われた昔の電子ペーパーに比べると、画面の切り替わり速度や色の正確性が向上しているのは確か。また、アプリストア機能を利用し汎用性を高めるなど、進化しているモデルも増えています。
まだタブレットに及びませんが、今後の改善に期待したいです。
電子ペーパーのおすすめ
SKT
NoteAir4C
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