「蚊取り機能搭載の空気清浄機」 その効果、ホンモノなの?
「薬剤を使わずに、蚊を捕獲する」というユニークな機能が話題となり、一時は品薄となったシャープの「蚊取空清」をご存知でしょうか。
シャープ
蚊取空清 FU-GK50
実勢価格:2万8448円
基本的には空気清浄機なのですが、そこに蚊を取るシステムを追加したというものです。具体的にはこのようなシステムになっています。
①UVライトで蚊を誘う
青い光(UVライト)に蚊が寄ってくるとのこと。
②気流で吸い込む
近づいてきた蚊を空気清浄機の気流により、側面の小窓から吸い取る。
③捕獲シートでキャッチ
①②の効果により流入してきた蚊を粘着性の高い捕獲シートでキャッチ。
納得できる流れです。メーカー公表のテストでは下記のような報告がなされています。
6畳相当の試験空間に蚊を放ち
22時間後の捕獲率を測定した結果の捕獲率
アカイエカ:約95%
ヒトスジシマカ:約88%
チカイエカ:約98%
数値を見るとかなり効果的っぽいのですが、あくまでも「試験空間による実証結果である」とメーカー側が補足しているとおり、実際の居住空間でどこまで実用性を示すものなのか判然としません。そこで今回、より一般的な環境下でも効果を観察するため、専門機関に協力を依頼し、8畳程度の無人の部屋に20匹の蚊を放置し、2時間でどれだけ蚊を捕獲できるかというテストを行いました。
その結果と、浮かび上がった問題点をご報告いたします。
[テスト結果]20匹の蚊を放置して 2時間後に捕獲できたのは3匹だけ
ほぼ密閉空間に近い8畳の部屋に20匹の蚊を放置。人の出入りは最小限にして実力を検証しました。
スタートして早々に1匹を捕獲。ただ、20匹中の1匹なので、10分間とはいえ、若干捕獲数に物足りなさを感じます。
さらに1匹を捕獲。人間がいたら刺されてもおかしくないのでは?
30分経過で3匹目を捕獲。ただ、このペース換算だと全匹捕獲に3~4時間程度必要になるのが気になります。
追加分はゼロ。ちなみにシート確認中、遂に蚊に刺されてしまいまいた。
ここからちょっと時間を飛ばします。
2時間待ってみましたが、捕獲シートにかかった蚊は3匹のままでした。
ええ~~!?
[問題点]中に人がいたら 絶対刺されますよね?
2時間で3匹捕獲できたので、蚊取り効果があることは確かです。が、
コレ、人がいたらやられてますよね!
事実、テスト開始40分後に捕獲シートをチェックするため中に立ち入ったところ、編集部員がその短時間内に刺されてしまうという一幕も。
そして、協力いただいた蚊の専門家によれば、「蚊はまず二酸化炭素に反応します」とのこと。図にするとこうです。
蚊を引きつける要因にはなりますが、二酸化炭素への反応のほうが強いそうです。ってことは……
やっぱり刺されるじゃないですかー!
[結論]留守番用ならギリ有効? 蚊取りメインではNGです
以上のように、単体で1シーズンの蚊対策とするのは残念ながらアウトです。蚊の羽音が聞こえたら、コレに任せず自分で退治するほうが効率的です。
気がついたら蚊が捕れているくらいの期待感で許せるなら問題ありませんが、同じくシャープの空気清浄機で、蚊取空清と同程度の範囲(適用畳数)を対象としたモデルが、現在およそ1万5000円であることを考えると、蚊取り機能自体はだいたい1万5000円くらいの価値となります。
これはちょっと、お高すぎるんじゃないですか……!!
蚊を捕獲できるという商品キャッチフレーズはウソではありませんが、効果の度合いが低すぎて、おすすめするのは難しい、なんとも残念な1品でありました。