はじめに:バッファロー「おもいでばこ」シリーズとは?
「おもいでばこ」はテレビに接続して使用するHDD内蔵のデジタルフォトアルバムです。
本体内に保存した画像&動画ファイルは、無線LANルーターに接続することで、スマートフォンやタブレット、パソコンでも閲覧できます(同一ネットワーク内のみ)。
昔ながらの「デジタルフォトフレーム」という機器を知っている人も多いのではないでしょうか。それと同様に「おもいでばこ」はアップした写真や動画をテレビの大画面で閲覧するための製品なのです。
デジタル機器に詳しい人なら「それって、NAS(Network Attached Storage)じゃないの?」と思うかもしれません。
しかし「おもいでばこ」はNASとは異なり、画像&動画(と音楽)ファイルしか保存できません。
また、NASはネットワーク接続が必須なのに対し「おもいでばこ」はネット未接続でも使えます。
おもいでばこ「PD-2000E-L」と「PD-2000-L」を実使用視点でチェック!
最新モデルは有線LAN接続モデルの「PD-2000E-L」です。
【有線LAN接続モデル】
バッファロー
おもいでばこ PD-2000E-L
実勢価格:39800円
サイズ・重量:W190×D157×H44mm・747g(本体)
最大出力解像度:最大3840×2160
Wi-Fi:未対応
Bluetooth:未対応
有線LAN:対応(1000Gbps)
以前から販売されているWi-Fi対応モデルの「PD-2000-L」の廉価版の位置付けです。
【Wi-Fi対応モデル】
バッファロー
おもいでばこ PD-2000-L
実勢価格:42800円
サイズ・重量:W190×D157×H44mm・747g(本体)
最大出力解像度:最大3840×2160
Wi-Fi:対応(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax)
Bluetooth:対応
有線LAN:対応(1000Gbps)
さぁ、実際の使い勝手はどうなのでしょうか?
テレビで写真と動画を閲覧することだけに特化した「おもいでばこ」の実力を、デジタル機器に精通したプロと家電批評編集部が忖度なしでチェックしました!
テスト1:初期セットアップの難易度は?
結果:スマホ・パソコンユーザーなら楽々だが、デジタル機器が苦手な高齢者にはフォローが必要
「PD-2000E-L(11月発売の有線LAN接続モデル)」と「PD-2000-L(8月発売のWi-Fi対応モデル)」の初回起動時は、初期セットアップを行う必要があります。
セットアップは画面に表示される指示を見ながら設定を進めていくウィザード方式です。
「PD-2000E-L」はLANケーブルで無線LANルーターと接続することでネットワーク機能が使用できます。
しかし、「LAN端子? 無線LAN親機???」というデジタル機器が苦手な高齢者層(以下、デジタル苦手層)には少々難しいかもしれません。
また、Wi-Fiに対応する「PD-2000-L」には、SSIDを選択して暗号化キーを入力する接続設定があります。
スマートフォンやパソコンのユーザーにとっては簡単な操作ですが、デジタル苦手層にはやや難解な設定です(ちなみに「PD-2000-L」は有線LAN接続にも対応)。
このように初期設定の難易度は、設定を行うユーザーの知識によって大きく異なりますが、本機のメインターゲット層にとっては少し高めの難易度かもしれません。
ご両親が初期設定につまづいた際には、フォローしてあげると良いでしょう。
テスト2:リモコンや本体の操作性は?
結果:高齢者に優しい極限まで単純化された操作性とインターフェースでした
「PD-2000E-L(11月発売の有線LAN接続モデル)」と「PD-2000-L(8月発売のWi-Fi対応モデル)」における操作の大半は専用リモコンで行います。
リモコンのボタン数は今どきのテレビに比べるとやや少なめ。
メインで使うボタンは10個ほどしかないので、デジタル機器が苦手な人でも迷うことなく使えます。
初期設定時に、使用するテレビの機種を選択すると、「おもいでばこ」のリモコンでテレビの操作(チャンネル送り・音量・入力切替)ができるようになります。
次に本体の操作ですが、ボタンは上部の「電源ボタン」、前面の「とりこみボタン」(詳しくは後述)、背面の「電源スイッチ」の3つだけ。
ちなみに、本体電源のON/OFFはリモコンでも操作可能です。
電源スイッチはアダプターの取り外し時くらいにしか操作しないので、主に使うのは「とりこみボタン」のみです。
このように、「おもいでばこ」の操作は今どきのデジタル機器では考えられないくらいに簡略化されています。
直感的に使えて操作にも迷いにくいため、高齢者やデジタル機器に不慣れな人への配慮が感じられます。
テスト3:肝心の写真・動画の取り込みは簡単なの?
結果:簡単です!豊富な対応メディアからワンタッチで保存できた
「おもいでばこ」には、写真や動画を保存する方法が大きく分けて2通りあります。
ひとつは、スマートフォン、タブレット、パソコンに専用アプリを導入し、無線LANルーター経由で保存する方法なのですが、本項では、より簡単なUSBストレージやSDカード、スマートフォン、タブレットなどを直接本体に接続して保存する方法をご紹介します。
接続してワンタッチで様々なメディアから簡単保存!
SDカードなどのメディアからの保存は、本体にメディアを接続して……。
「とりこみボタン」を押すだけでOK。
あとは待つだけでメディア内の画像&動画ファイルが自動で検索され「おもいでばこ」に保存されます。
USBメモリ、またポータブルHDDやSSDからの保存も手順は同じです。
スマートフォンやタブレットの場合も、USBケーブルで「おもいでばこ」に接続することで画像&動画を保存できます。
また、専用のDVD/CDドライブ「PD-OMDR1」(実勢価格:7764円)を購入することで、CD-ROMやDVD-ROMに保存されている写真や動画を「おもいでばこ」に保存できます。
加えて、DVDビデオはタイトル画面やチャプターなどを含めた状態で保存可能です。
プロテクトがかかっている市販の映像DVD作品は保存できません。
テスト4:写真や動画の閲覧機能は便利なの?
結果:自動整理機能が優秀で表示したい写真がすぐ見つかった!
「おもいでばこ」に保存した写真や動画は「ホーム」画面→「アルバム」「カレンダー」「最近とりこんだもの」「おもいで散策」から任意の表示機能を選ぶと閲覧できます。
「アルバム」は、写真閲覧時に「お気に入り」ボタンで設定したお気に入りの写真や、国民の祝日に撮影した写真などが自動で収集されます。
また、アルバムは自分で作ることも可能です。たとえば、子供の誕生日を設定すれば該当日の写真が自動収集されます。
「カレンダー」はひと月ごとに写真が自動整理され、任意の月を選択することで写真が閲覧できます。
「アルバム」や「カレンダー」を開くと整理された写真がサムネイル表示されるので、リモコンで見たい写真を選択します。
なお、操作方法は画面右下に常に表示されているので、迷うことなく操作できました。
写真を開いた状態で「メニュー」を表示すると、メディアへの書き出しやアルバムの編集、写真の削除、コメントの挿入などができます。
動画ファイルも写真と同様に管理され、サムネイル上で選択すると、すぐに再生できます。
このように「おもいでばこ」に保存した写真は自動で整理され、ユーザーは見たい写真を選ぶだけです。
操作方法も常時表示されており、誰でも迷うことなく操作できます。
ただ、メニューなどの文字がやや小さく、筆者の両親(ともに80歳超え)からは読みづらいとの声も挙がりました。
文字サイズの変更機能があれば言うことなしです。
テスト5:ネットワークとバックアップ機能は?
結果:オフライン環境でも不便は感じず、バックアップ機能は万全
本機は無線LANルーターに接続することでパソコンやスマートフォンから写真の転送が行なえますが、これは前述したメディアを介しての保存やUSBケーブルを使った保存で代用できます。
また、同一の無線LANルーターに2台のおもいでばこを接続すると、データの引っ越しが行えます。
USBストレージを介してのデータ引っ越しも可能で、その場合は背面のUSB端子を使用します。
本体にデータを移す(入れる)には前面のUSB端子を使い、本体からデータを吸う(出す)際は背面のUSB端子を使う形です。直感的にわかる配慮がいいですね。
また、「おもいでばこ」でインターネット接続が必須となる機能は「Googleフォト」へのアップロードと本体のファームウェア更新のみです。
Googleフォトへのアップロードは使えればたしかに便利ですが、ないと困るというほどではありません。
また、ファームウェアの更新も絶対必要ということはありません。
特に本機のメインターゲット層である高齢者の家に無線LANルーターやインターネット環境があるとは限らないので、これらに依存せずにほとんどの機能が使えるのは注目すべき点です。
テスト結果とアピールポイントを総まとめ!
以上、バッファロー「おもいでばこ」の有線LAN接続モデル(2022年11月発売)とWi-Fi対応モデル(2022年8月発売)の新製品レビューでした。
【有線LAN接続モデル】
バッファロー
PD-2000E-L
実勢価格:3万9800円
サイズ・重量:W190×D157×H44mm・747g(本体)
最大出力解像度:最大3840×2160
Wi-Fi:未対応
Bluetooth:未対応
有線LAN:対応(1000Gbps)
HDD容量:2TB
インターフェース:HDMI 2.0b出力、USB 3.2 Gen 1×2、SDカードスロット
専用アプリ:Windows・Mac・iOS・Android対応
▼テスト結果
総合評価 | 初期設定 | 操作性 | インターフェース | 写真管理 |
A+ | ○ | ◎ | ○ | ◎ |
【Wi-Fi対応モデル】
バッファロー
おもいでばこ PD-2000-L
実勢価格:4万2800円
サイズ・重量:W190×D157×H44mm・747g(本体)
最大出力解像度:最大3840×2160
Wi-Fi:対応(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax)
Bluetooth:対応
有線LAN:対応(1000Gbps)
専用アプリ:Windows・Mac・iOS・Android対応
▼テスト結果
総合評価 | 初期設定 | 操作性 | インターフェース | 写真管理 |
A | △ | ◎ | ○ | ◎ |
最後にバッファロー「PD-2000E-L」「PD-2000-L」のよかった点と残念だった点をまとめました。
▼よかった点
- 徹底して単純化された操作系統と機能
- 各種メディアからボタンひとつで写真が保存できる
- 保存した写真が自動的に整理される
- インターネット環境や無線LANルーターがなくてもほとんどの機能が使える
-
「おもいでばこ」シリーズを長く使い続けられるように、本機のデータ引っ越し機能を備えている
▼残念だった点
- デジタル苦手層には初期設定がやや難しい
- 文字が小さく、目が悪いと少し読みづらい
デジタル機器が苦手な高齢者でも、簡単に孫の顔が見れる本製品。人と会いづらい今だからこそ、重宝されるツールではないでしょうか?
気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。