そもそもピュアオーディオとは?
「ピュアオーディオ」とは、純粋に音楽を楽しむためのオーディオのこと。好みの音を追求するのを目的とし、まず専用のオーディオ製品を揃えることから始まります。それぞれ選んで音楽を聴けば、これまでとは別物のクオリティに感動することでしょう。
3つのオーディオ製品を揃えればシステムが完成
ピュアオーディオを始めるには、「スピーカー」「アンプ」「プレーヤー」が必要です。第1回目は、それぞれの選び方の基本を紹介しました。
▼第1回の記事はコチラ
また、第1回目では予算30万円で、ブックシェルフ型のスピーカーをメインに以下の2つのシステムを作りました。
ブックシェルフ型1:狭い部屋でも設置可能なコンパクトシステム
ブックシェルフ型2:豊かな低音で床置きもできる中型システム
第2回目の今回は、これらのシステムをより高音質に育てる「スピーカー編」。音の出口だけに、小さな変更でも音質に影響する重要ポイントです。
検証方法について
今回は、スピーカーの配置や、ケーブル、接続プラグ、バイワイヤ、インシュレーターなどを調整することで、どれくらい音質がアップするのかを検証しています(結果は以下の矢印で表記)。
<評価基準>
↑ :かすかに増えた
↑↑ :やや増えた
↑↑↑:大きく増えた
→ :変わらない
↓ :かすかに減った
↓↓ :やや減った
↓↓↓:大きく減った
検証は8畳の洋室にて、正三角形ポジションを基本に実施しました。
スピーカーのベストポジションは?
オーディオ製品を厳選し、システムを作ったら、次にやるべきことは「配置決め」です。
スピーカーは配置が命。特にブックシェルフ型は置き方で中低音の量感が大きく変化します。部屋の隅で床に直接置くと低音の量感は最大になりますが、音が濁って解像度が下がり、中高音にも悪影響があります。
また、距離は近いほど直接音が増えてライブ感が出ます。離れると間接音や反射音が増えて、広がり感や奥行き感が出やすくなります。製品を買ったら、まず配置を試行錯誤してみることが重要なのです。
それでは配置の「角度」「距離」「高さ」について、それぞれを詳しく見てみましょう。
【角度】基本は平行、厚みが欲しければ内振り
スピーカーは平行設置を前提に設計されています。音場感を優先させる場合は、並行のほうがよい結果が得られます。しかし小音量再生の場合は、音のロスを抑えるため内振りもアリ。内振りにすると直接音が増え、壁の反射の影響が少なくなります。
平行:スケール感がありオーケストラが自然
▼テスト結果
- 高音:→
- 中音:→
- 低音:→
- 解像:→
音の帯域バランスがフラットに近付き、どのジャンルの曲も自然に聞こえます。広がり感もMAXです。
内振り:音の密度が上がり鮮明な音
▼テスト結果
- 高音:↑
- 中音:→
- 低音:↑
- 解像:↑
音の鮮度が上がり、細かい音までハッキリ聞こえるようになります。悪影響はほとんどありません。
【距離】正三角形を基本に前後移動でベスポジを
スピーカー位置は、正三角形の頂点で聴くのが原則です。音の広がりは左右のスピーカーの間隔で決まります。スケール感重視なら、間隔を広くしましょう。聴く位置を下げられないなら、それに合わせて左右の間隔を狭くしていきます。
正三角形
▼テスト結果
- 高音:↑
- 中音:→
- 低音:→
- 解像:↑
二等辺三角形(近め)
▼テスト結果
- 高音:→
- 中音:→
- 低音:→
- 解像:→
左右間隔1.5mに対して1mまで接近すると音は前に出ますが、平面的で奥行きのない音になります。また、センターの音が薄くなります。
二等辺三角形(遠め)
▼テスト結果
- 高音:→
- 中音:→
- 低音:↓↓
- 解像:↑
基本は正三角形ですが、左右間隔1.5mに対してさらに下がった二等辺三角形も問題ありません。スケール感ある音で解像度が高まり、低音の量感だけはやや少なくなりました。こちらも理想形のひとつ。
高さ:厳密な高さよりスタンドが重要
スピーカーの高さは耳の高さに合わせるのが原則ですが、現代のツイーターは指向性が広いため、厳密に高さをそろえる必要はありません。やや低めでもいいでしょう。
それより問題なのは、床からの反射で低音がこもったり、量感が出すぎたりすること。これを避けるためにスピーカースタンドを使って、スピーカーを点接点で支えます。これにより床置きより全体的に音が出るようになり、スピーカーの実力が発揮されます。
▼テスト結果
- 高音:↑
- 中音:↑↑
- 低音:↑
- 解像:↑↑
スピーカーケーブルの選び方
スピーカーには細いスピーカーケーブルが付属していることがありますが、これで実力が発揮できるのか疑問ですよね。
そう考える人も多いため、スピーカーケーブルは1m数十円から数十万円まで豊富にあります。しかし、高級ケーブルでも元の実力以上の音は引き出せないので、バランスを考えて選びましょう。
スピーカーケーブルは製品によって構造も素材も違い、まさに十本十色。そこで、価格帯の違う4製品を比較したので紹介します。
100円/m以下
Amazonベーシック
スピーカーケーブル
実勢価格:1161円
長さ:15m
▼テスト結果
- 高音:→
- 中音:→
- 低音:→
- 解像:→
Amazonベーシック「スピーカーケーブル」の素材はアルミに銅メッキ。明るくメリハリのある音で、聞きやすいです。やわらかく扱いも容易。今回の基準となるケーブルです。
1200円/mクラス
カナレ
4S6G 無酸素銅線
実勢価格:3700円/1.5mペア
▼テスト結果
- 高音:↑
- 中音:↑↑
- 低音:↑↑
- 解像:↑
カナレ「4S6G 無酸素銅線」は4芯構造のOFCを使用。中低域に量感があって、明るく華やかな高域が魅力。やわらかく扱いやすいです。
1500円/mクラス
オーディオテクニカ
AT-ES1400
実勢価格:1320円/m
▼テスト結果
- 高音:↑
- 中音:→
- 低音:↑
- 解像:↑
オーディオテクニカ「AT-ES1400」はOFC単線を使用。絶縁体は発泡ポリエチレン。スッキリした音で、粒立ちよく高域に透明感があります。非常に硬いです。
2500円/mクラス
トランスペアレント
HW-SC8
実勢価格:1万1800円/2.4mペア
▼テスト結果
- 高音:↑
- 中音:↑↑
- 低音:↑↑↑
- 解像:↑
トランスペアレント「HW-SC8」はOFCのツイストペア構成。情報量が多く、粒立ちがいい鮮明な音。色付けはなく音色は変わりません。
ケーブルの方向は?
なお、スピーカーケーブルの中には、接続方向に指定がある製品もあります。逆につないでも音は変わりませんが、メーカーの指定通りにつないでおきましょう。
ケーブルのたすき掛けは効果ある?
ケーブルのたすき掛けは効果アリ。スピーカー端子の右下と左上にケーブルを接続することで、音質の向上を確認できました。すぐにできて費用もかからないので、ぜひ試してみてくださいね。
接続プラグの選び方
解像度に不満がある場合は、接続プラグを見直すのもおすすめです。
ケーブルによく使われるOFCは、空気中で酸化するため端末処理が必要となります。代表的なものにバナナプラグとYラグがありますが、バナナプラグは挿すだけで接続完了。Yラグはしっかり圧着できます。
それでは価格帯の異なる4製品を見てみましょう(※価格分けは4個1セットをそろえた場合を想定しています)。
1000円以下
アマゾンベーシック
バナナプラグ
実勢価格:1463円(12個)
▼テスト結果
- 高音:→
- 中音:→
- 低音:→
- 解像:→
1200円クラス
オヤイデ電気
BP-208CG
実勢価格:605円(2個)
▼テスト結果
- 高音:→
- 中音:→
- 低音:↑
- 解像:↑
4500円クラス
オーディオテクニカ
AT6303
実勢価格:4400円(4個)
▼テスト結果
- 高音:↑
- 中音:→
- 低音:↑
- 解像:↑
1万円以上
オヤイデ電気
SRBN
実勢価格:1万1800円(4個)
▼テスト結果
- 高音:↑
- 中音:↑
- 低音:↑
- 解像:→
接続プラグを使うと接続が便利になるだけではなく、元のスピーカーケーブル音に変化が見られますよ。
バイワイヤを交換する
すでにスピーカーケーブルの交換を紹介しましたが、じつはそれよりも手軽で意外と効果があったのが、スピーカーのウーハーとツイーターを接続するバイワイヤリングコードの交換です。付属の金具から付け替えると、想像以上に変わりました。
価格帯の異なる2製品を紹介します。
2500円クラス
Youkamoo
HFi
実勢価格:2500円
▼テスト結果
- 高音:↑↑
- 中音:↑↑
- 低音:↑
- 解像:↑
1万円クラス
トランスペアレント
SBAB-G6
実勢価格:9900円
▼テスト結果
- 高音:↑↑
- 中音:↑↑↑
- 低音:↑
- 解像:↑↑↑
インシュレーターは中高域に効果あり
振動を伝えないために、スピーカーの下に挟んで使用するインシュレーターと呼ばれるアクセサリーがあります。検証では2製品どちらも効果がありましたが、できればスピーカースタンドを併用するとより高い効果が得られます。
オーディオ製品ではなく代用品を使う手もありますが、逆効果になる場合もあるので注意しましょう。
3000円クラス
yazi
インシュレーター
実勢価格:2699円
内容量:8個
▼テスト結果
- 高音:↑
- 中音:↑
- 低音:→
- 解像:↑↑
4000円クラス
オヤイデ電気
INS-US
実勢価格:2112円
内容量:4個
オヤイデ電気
INS-SP
実勢価格:1584円
内容量:4個
▼テスト結果
- 高音:→
- 中音:→
- 低音:→
- 解像:↑
ケーブル用のインシュレーターもある
インシュレーターにはスピーカーケーブル用もあります。今回の検証では、床がコンクリートのせいか変化は確認できませんでしたが、床材によっては効果があるかもしれません。
音工房Z
ケーブルインシュレーター
実勢価格:2480円
容量:12個
以上、ピュアオーディオのシステムを高音質に育てる「スピーカー編」でした。
このあと、アンプ編、プレーヤー編、ルームチューニング編を順次紹介していきます。ぜひチェックしてみてくださいね。
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今回は素材と構造の違うケーブルを集めて比較してみました。