ダイソン期待の新製品「V10 Fluffy」を徹底検証
【連載シリーズ】ダイソンの真実。第1回目では、ダイソンというメーカーの成り立ちや、コンセプトを紐解いていきました。そして第2回目のテーマは、いよいよ新製品「V10 Fluffy」のレビューとなります。
◎第1回目はコチラ
「ダイソンの真実」今さら聞けない、どんなメーカー?
◎シリーズ第3回目はコチラ
トイレにダイソン? 掃除機だけじゃない、意外なラインナップがこちら
◎シリーズ第4回目はコチラ
【現地取材】ジェームズ・ダイソンに聞く「ロボット掃除機どうなった?」
「V10 Fluffy」は、同社が「もうコードつき掃除機はつくらない」と豪語するほど、完成度を高めた意欲作です。
ダイソン
V10 Fluffy
実勢価格:7万9700円
サイズ:W25×H24.5×D123.2cm
重量:約2.58kg
稼働時間:60分(ソフトローラークリーナー使用時は最長40分)
充電時間:3.5時間
「V8」に比べて各スペックが大きく向上しています。ゴミ捨てもより衛生的に行えるようになり、必要に応じて吸引モードを切り替えることも可能です。さらに、稼働時間も改善されました。先に結論を言ってしまうと、価格さえ度外視であれば、まさに"最強"の掃除機が誕生したといえるクオリティでした。その性能をご説明しましょう。
バッテリーは大幅パワーアップ。ただし、モードによる点は注意です
「V10 Fluffy」ではとうとうバッテリー稼働時間が大台の約60分に突入しました。大幅アップの要因としては、関連企業を買収して電池事業に本格的に取り組むようになったからだと予想されています。その結果バッテリー性能は、「V8」から飛躍的な進化を遂げました。
ただし、60分稼働できるのは、パワーモード1を使用してなおかつ、モーター駆動ではない付属ツールを使用している場合のみ。それ以外の稼働時間を下記にまとめてみました。
【モーター駆動時】
パワーモード1:約40分
パワーモード2:約20分
パワーモード3:約5分
【モーター駆動ではない付属ツール装着時】
パワーモード1:約60分
パワーモード2:約30分
パワーモード3:約8分
実際に使用する際は、モーター駆動も組み合わせながら掃除するので、60分よりも少しだけ短くなる可能性が高いです。また、バッテリー技術の進化は、稼働時間だけではなく充電時間にも良い影響がありました。
過去モデルとの充電時間の比較
稼働時間は歴代モデル最長でありながら、充電時間は歴代でもトップラクラスに短くなりました。また、これまで確認しづらかったバッテリー残量が3段階でチェックできるようになりました。
このランプは、どこかのパーツがしっかりはまっていない場合に、誤作動を未然に防ぐ警告としての役割も果たしています。
パワーはモード1でも十分以上!吸引力は文句ナシです
前述の通り、最長約60分の稼働を実現するには、パワーモード1を使用する必要があります。そこで、吸引力がもっとも弱いパワーモード1での吸引力テストを行いました。
↓
このように最大の特徴である「大きなゴミも押し出さず吸い込む」ことをいとも簡単にやってのけてくれました。
また、カーペットの場合も毛足が長すぎなければぐいぐい吸い込んでいきます。パワーモードというネーミングも納得の吸引力です。さらに、騒音が今までの機種より静かというメリットまでありました。
モーターだけじゃない!ダイソンが最強吸引力である理由
ダイソンが吸引力に優れる理由には、「ソフトローラークリーナーヘッド」が大きく影響しています。掃除機のヘッドとは思えないくらいサラサラで、柔らかいナイロンフェルトとカーボンファイバーブラシでできています。これが床との密着性を高め、静電気を減らして大小問わずゴミを吸うことができるのです。
このヘッドが採用されてから、ダイソンの吸引力はワンランクアップしました。ソフトローラークリーナーヘッドの秘密を、ダイソンの開発エンジニアに聞いてみました。
ケビン・グラント氏
ダイソンのコードレス製品開発部責任者であり、ソフトローラークリーナーヘッド生みの親。
◎ダイソンのヘッドは日本市場を意識して開発
「ゴミを吸うことはもちろん、フローリングを傷つけないことにもこだわっています」
フローリング中心である日本の家庭環境を意識した技術も多く、開発には12年の歳月を要したという話です。また、ダイソン製品のパーツでは珍しく、水洗いができるのも日本人にとってうれしいポイント。簡単に取り外してメンテナンスができるので、ゴミづまりなどが気になったときは分解してみましょう。
◎吸引力アップの要因は髪の毛が絡みにくいこと
掃除機ヘッドのメンテナンスで気分をブルーにさせるのが、髪の毛やナイロンなどが絡まってしまったときです。ナイロンフェルトがつまったヘッドには髪の毛が絡みにくく、スルスルっと吸い取ってくれます。
ゴミ捨ては清潔でになりました。ただ、まだ改善の余地は残ります
V8シリーズまでは本体に対して垂直に備わっていたダストボックスが、「V10 Fluffy」では平行にまっすぐになりました。その恩恵は、ゴミ捨てにおいて効果を発揮します。
前世代機種と同様ワンタッチレバー式なのは変わりませんが、ゴミ箱に向けて真っすぐ捨てられるようになりました。ホコリやゴミに触れることがないので衛生的です。
一見すると変化は分かりづらいですが、V7やV8シリーズまではクリア弁が縦に配置されていました。
ゴミ捨てが快適になった一方で、メッシュ部分(シュラウド)にたまったゴミが取れないのが気になってしまいます。見た目にもあまり気持ちよくはありません。これは分解しきれなかったチリで性能には影響しないとのことですが、次回作では改善されることを期待しましょう。
その他、細かな部分で衛生的になっている点として「空気清浄フィルター」が挙げられます。
部屋の空気よりもキレイな排気を実現するフィルターを搭載しているため、機密性が高く、メンテナンスも手軽にできる構造です。
地味すぎる最高に嬉しい進化が「倒れない」ようになったこと
ダイソンの掃除機を使っている人の間ではあるあるな悩みの「置き場所問題」。今までずっと立てかけて置くことが難しかったのですが、「V10 Fluffy」はその問題を克服しました。
これ、グラグラではなくしっかり安定しています。その理由は…
このゴムラバーがポイントです。これによって、壁からずり落ちてしまうことを防いでいるんです。ただし、急な角度だと落ちてしまうので注意が必要です。これで、掃除中にふと置いておくことが可能になり、さらに充電スタンドの「壁の穴あけ問題」の解決にもつながります。
製品ラインナップは色もスペックも豊富です
ダイソン製品の色と言えばブルーやパープルのようなクールなイメージを連想する人が多いと思います。ですが最近は、暖色系の製品が増えてきています。「V8」シリーズで突如ラインナップに加わったオレンジ色は、「V10 Fliffy」にも採用されました。追加アタッチメント搭載モデルなどはさらにエネルギッシュなレッドに仕上がっているので、スペックと併せてご紹介します。
ダイソン
V10 Fluffy+
実勢価格:9万4800円
付属ツール:ソフトローラークリーナーヘッド、収納用ブランケット、ミニモーターヘッド、コンビネーションノズル、隙間ノズル、ミニソフトブラシ、延長ホース、フトンツール、アップトップアダプター
「V10 Fluffy」に、延長ホースなどのアタッチメントが追加された機種になります。
ダイソン
V10 Absolutepro
実勢価格:10万7260円
付属ツール:ソフトローラークリーナーヘッド、収納用ブランケット、ミニモーターヘッド、コンビネーションノズル、隙間ノズル、ミニソフトブラシ、ダイレクトドライブクリーナーヘッド、延長ホース、フトンツール、アップトップアダプター
従来のソフトローラークリーナーヘッドに加えて、ダイレクトドライブクリーナーヘッドも付属するもっとも充実した機種です。
オレンジもレッドも魅力的ですが、今まで通りの色の製品がほしい人もいるはず。そんな人にオススメしたいのが、直販限定モデルの「V10 Animal+」です。
ダイソン
V10 Animal+
実勢価格:8万6184円
付属ツール:ソフトローラークリーナーヘッド、収納用ブランケット、ミニモーターヘッド、コンビネーションノズル、隙間ノズル、ミニソフトブラシ、ダイレクトドライブクリーナーヘッド
「V10」シリーズで現状、ブルーは本製品だけになります。ヘッドにはカーペットに強いダイレクトドライブクリーナーヘッドを搭載しているのでとても実用的な機種です。
ダイソンの目指すのは「家中をスティック1本で」
ダイソンが「脱コード付き」を宣言したことと、バッテリー駆動時間が伸びたことには一つのコンセプトのもとに一致した改革です。ダイソンは、スティック掃除機1本で、家中の掃除を終えることを目標としています。
ただしそれには、さまざまなアタッチメントを活用する必要があります。
ミニモーターヘッドは、布団を掃除する際にパワフルにゴミを吸引します。
コンビネーションヘッドは、用途によって先端のブラシを出し入れが可能です。
吸引ノズルは、細長いので狭いすき間や届きにくい場所の掃除にピッタリ。
ほかにも、車や階段など、アタッチメントは豊富な種類が用意されています。
提案するライフスタイルと製品開発の方向性が一致していることはさすがという印象ですが、アタッチメントの頻繁な切り替えは、ユーザーにとって必ずしもプラスではありません。ダイソンだからこそ、もっと革新的な方法で、家中の掃除を快適にしてほしいというのも本音です。
【連載シリーズ】ダイソンの真実第2回「V10 Fluffy」レビューでした。今回の新製品はダイソンにとって、単なるNEWモデルではなく、今後ダイソンがどういう方向に進むのかを宣言するような製品でした。
ただ、だからといって飛び道具的な製品ではなく、地に足の着いた実用性を持った製品です。価格もさすがのダイソン価格ですが、確かな品質であることは間違いないと言えるでしょう。
◎連載シリーズ第1回目はコチラ
「ダイソンの真実」今さら聞けない、どんなメーカー?