レンズと絞りを統一し 解像感の高さをチェック
ミラーレスカメラの性能を徹底検証する本企画。前回は各モデルの「高感度性能」についてご紹介しましたが(こちらの記事です)、今回は風景写真などを、よりくっきり撮影できる「解像感」の高いモデルはどれなのか比較してみました。
写真の解像感は、レンズの性能も大きく作用するため、今回の検証では各メーカーごとに安いキットレンズを使い、本体の性能そのものを比較をしました。具体的には、どの機種も同じ焦点距離になるように調整し、エントリークラスのキットレンズを装着、絞り値をF5.6に設定して撮影しました。
撮影したのは、下記の様々なパターンが記されたチャートです。
撮影した画像を拡大し、それぞれどこまで細かく写っているのかを比較し、ランキングを決定しました。
「APS-C」以下の エントリーモデルも大健闘
一般的にセンサーサイズの大きいものほど高画質で高価となりますが、今回の検証では、必ずしもそれが解像感の高さにつながるわけではない、という意外な結果に。また、一見精密に写っているようなものでも、中央の解像感は高いのに、周辺はぼんやり感が強いものになっているものなど、機種によって多彩な結果が得られました。
ではさっそく、一部モデルの撮影画像とポイントを、解像感の高いものから順にご紹介します。
[解像感:高]
NIKON
Nikon 1 J5
センサーサイズ:1型
エントリーモデル
実勢価格:3万1770円(ボディ)
こちらは、センサーサイズ最小ですが、縦横の線がくっきりと写っています。
[解像感:高]
OLYMPUS
OM-D E-M1 Mark Ⅱ
センサーサイズ:マイクロフォーサーズ
ハイエンドモデル
実勢価格:17万9176円(ボディ)
下方線はぼやけて、ほぼ同化しているのが分かります。
[解像感:中]
SONY
α6500 ILCE-6500
センサーサイズ:APS-C
ミドルモデル
実勢価格:12万7800円(ボディ)
縦線は力強く写っています。
[解像感:中]
FUJIFILM
X-T2
センサーサイズ:APS-C
ハイエンドモデル
実勢価格:12万9859円(ボディ)
右線が最後まで粘ってくれています。
[解像感:低]
SONY
α7R Ⅲ
ILCE-7RM3
センサーサイズ:フルサイズ
ハイエンドモデル
実勢価格:35万9800円(ボディ)
細い線の根本はほぼ一体化してしまいました。
このように、センサーサイズが大きいものが必ずしも解像感が高いモデルではないということが分かります。以下は解像感ベスト10のランキングになりますので、ご参考にしてみてください。
1位 NIKON Nikon 1 J5
2位 OLYMPUS PEN-F
3位 FUJIFILM X-Pro2
3位 FUJIFILM X-T2
3位 FUJIFILM X-T20
3位 FUJIFILM X-E3
7位 FUJIFILM X-A3
8位 Panasonic DC-G9
9位 Panasonic DC-GF9
10位 Panasonic DC-GH5M
解像感のもっともある機種は、最小センサー搭載のNikon 1 J5となった一方、メーカーの傾向なのか富士フイルムは、APS-Cセンサー搭載の全モデルがランクイン。いずれにしても、解像感を求めてハイエンドモデルを購入する必要はなく、APS-C以下のセンサーサイズを持つエントリーモデルでも十分くっきりした写真が撮れるというのは、初心者の方にはとくにうれしい結果と言えるかもしれません。
今回の検証では、ハイエンドモデルは全体的に解像感が足りない結果になっていますが、撮影ファイルそのものが高画質であるため、カメラの設定を変えておけば解像感の高い写真を撮ることができます。
それぞれ、設定を変えてみると……
【通常】
ややぼやけています。
【シャープに】
設定によってシャープにできるのがハイエンドモデルの強み。ただし、あまり強めにすると不自然な写真になってしまうので、ほどほどに抑えましょう。
今回の検証のように、初期設定値で撮影する場合は、センサーサイズが小さくてもくっきりきれい! 初心者の方はまずは扱いやすくて価格もお手頃なエントリーモデルからはじめてみてもいいかもしれません。