製品写真、アンダーラインをクリックすると商品ページへ移動します。
1万円でも安バレしない そんな紳士靴を探しました!
紳士靴とひとことで言っても、案外多くの種類がありますが、もっとも汎用性が高い(要するにどんな場面でも対応できる)のは、ストレートチップと呼ばれる、つま先に一文字の縫い目が入ったものと、つまさきがつるんとしたプレーントゥタイプです。
ほかにもいろいろ要素があるのですが、言葉で説明すると長くなるため、下にまとめましたのでご覧下さい。
今回は、どんな場所でも恥をかかず、見た目やつくりがよくて、歩きやすくて、かつだいたい1万円前後という価格帯。そんなワガママを叶える1足を探すため、ストレートチップ&プレーントゥタイプ14足モデルを対象に、下記のテストを行いました。
[つくり]ヒールの形状、革質、縫製、内部のつくり、インソールについて、それぞれのクオリティを服飾ジャーナリストに評価していただきました
[動き]靴を履いた状態で歩きやすさ、滑りにくさをチェック。フィット感と機動性の評価です。
[ビジュアル編]靴に注目する機会が多い元CAに、華やかな場でもふさわしいのかどうか、審査していただきました
[解体]靴を縦に切断して、細かな職人芸をチェックしました
ケンフォード
K641L
実勢価格:8500円~
足囲:EEE アッパー:牛革 ソール:合成底
※サイズにより価格が変化します
服飾ジャーナリストも、元CAも、体験テストした編集部員も納得した、究極の格安紳士靴を徹底的に解説いたします!
[つくり編]小さく整った ヒールの完成度がめちゃ高い!
まずは、全15足のビジネスシューズを服飾ジャーナリストである飯野高広さんに評価していただきました。
一番大切なポイントだと飯野さんが指摘するヒールの造形、そして縫製や革質のクオリティなどを含めた全5項目の採点を集計すると、ケンフォードK641Lが、じつに隙のないつくりをしていることが判明したのです。
具体的には……
かかとが小さい日本人にもピッタリなヒールの形状です。
革質そのものは際立って良くも悪くもない、平均的なレベルでした。
縫製のクオリティは全14足中、最高評価! ここが丁寧だと、値段を感じさせません。
一般的な革靴同様のシンプルな構造です。細部のつくりはしっかりしています。
指で押すと適度に跳ね返るクッション性がありました。
ほとんど弱点がない感じです
ちなみに、ケンフォードというのはリーガルのブランドのひとつで、飯野さんによれば「弟分みたいなものです」という位置づけ。
この完成度の高さはさすがリーガル、といったところでしょうか。
[動き編]フィット感は◎ だけど雨の日は油断できません
続いて、実際に靴を履いておよそ1.3km(地下鉄ひと駅ぶんを往復)歩き、かつ雨の日を想定して設営した特別コース上にて歩きやすさと滑りやすさをチェック。
全テストを通じ、唯一評価が芳しくなかった(といっても平均的ですが)のは、水浸しのプラスチックの上だとさすがに滑ってしまうという点でした。とはいえ、今回のテスト対象のシューズの中には、ほとんどスニーカーみたいな履き心地のモデル(テクシーリュクス)がありましたので、それと比較すると……という話ですが。
足の形は人それぞれですので「絶対!」とは言えませんが、フィット感がよく、しゃがんでもヒールがズレないのは、さすがだな、と感じました。
テストによる評価はこちらです。
下ろしたてでも、立っている状態だとほとんど違和感がありません。
始めのうちはちょっと痛みがありますが、馴染むうちになくなっていきました。8階ぶんの鉄の階段を上り下りしても問題ありませんでした。
かかとはキュッととまるのですが、つま先側は滑りやすいので雨の日のツルツルの道には注意が必要です。
スニーカー型紳士靴には1歩譲る履き心地
先述したスニーカーみたいな履き心地のモデルと比較すると、さすがに1歩譲る、というものでした。しかし、かかとを中心に足にピッタリ寄り添うようなフィット感、そして下ろしたてでも小走りできる機能性は確かです。
余談ですが、「滑りやすさ」検証は、水を流したプラスチック板の上に、脚立から飛び降りて行いました。
これは私が行ったテスト史上、もっとも怖かったもののひとつです。
[ビジュアル編]元CAが絶賛! ファーストクラスでも違和感なし!
編集部員が想定できる一番華やかな場所が飛行機のファーストクラスでした。ゆえに、元CAであるCREW WORLD代表、駒崎クララさんにすべての靴をご覧になっていただいて、ぶっちゃけて言えば安っぽく見えないかをチェックしていただきました。
その結果は……
評価は特A!
「ラウンドトゥと外羽根がキレイですね。ファーストクラスで履いていただいても、もちろん違和感ありませんよ」(駒崎さん)と高評価! なんていうか、すごく安心できるお言葉ですねこれ。
つま先が丸みを帯びたラウンドトゥはトレンドをおさえていて、かつ、全体的にシンプルでありながら立体感があるため、OLさんたちからも高評価をいただきました。
ちなみに、ロングトゥ(つま先がとがっている形状)だと時代遅れ感がハンパないので気をつけましょう。
[解体編]バラしてわかった 質実剛健な職人芸
最後に、より細部をチェックするため、ウォータジェットでこのようにタテ方向から切断しました。
すると、見えない部分でもしっかり、きっちりつくられていることがわかります。
コレが1万円って、ちょっと感動するレベルです。
なお、評価は前出の服飾ジャーナリスト、飯野さんにお願いしています。
複数の素材を組み合わせた構造で、かつ、細部までしっかりつくられています。ソールの厚みと密度もバッチリです。
がっちりしたつくりで、素材同士のすき間もほとんどありません。これは見事です。
「シャンク」と呼ばれる、インソールとアウトソールの間に配置された芯のバランスが適切で、堅牢さを増しています。
くるぶしに当たりそうな部分が大きくカーブしているので、足を痛めません。ダメな靴はここがガシガシ当たるのですが、ケンフォードは優しさがありました。
縫製や接着が丁寧で、堅牢なつくりでした。
ちなみに、靴の切断はウォータージェットという方法を用いています。高圧水流で切断するため水浸しになったのですが、細部までほとんど劣化は見られませんでした。この行程で、バラバラになってしまった靴もあったことを考えると、素直にスゴいと感心してしまいました。
[最終結論]ケンフォードなら 1万円でも恥をかきません!
作り込みが非常に丁寧で、テストを重ねるたびに、とても1万円だとは思えないクオリティであることが次々と発覚したケンフォード。冠婚葬祭、およびビジネスの場面なら、どこで履いても問題ありませんことは、おわかりいただけたのではないでしょうか。
短期間のテストですが、使い込むたびに足に馴染んでいったのはもちろん、最後までほとんどシワがよらなかったのも発見でした。
ソールの張り替えができないタイプなので、どうしても使い捨てが前提になりますが、履き込むごとに味わい深い変化を遂げていくことは間違いありません。
服飾ジャーナリストの飯野さんも、「今回は本当に発見が多く、楽しかったですね」と眼を輝かせた1万円紳士靴。次の1足に、ぜひお試しください!
▼360LiFEで公開中のおすすめ靴下・靴べらランキングはこちら
検証にご協力いただいたのはこちらの方々です!
服飾ジャーナリスト 飯野高広さん
紳士靴を嗜む はじめの一歩から極めるまで』(朝日新聞出版)を著するなど、紳士靴への造詣が深いジャーナリストです。
駒崎クララさん
CREW WORLD代表。世界で活躍する日本人CAのための情報共有サイトを運営する、元CA起業家です。