「ヒートアイゼン」ってどんなツール?
「ヒートアイゼン」は、模型用工具などでお馴染みの「ゴッドハンド」から、2023年6月30日に発売された電熱ペンです。
約300℃の高温でプラスチックを溶かすことができ、付属している7種類の先端チップでさまざまな加工や造形が行えます。
ゴッドハンド株式会社
ヒートアイゼン(GH-UHI)
- ゴッドハンド株式会社ヒートアイゼン(GH-UHI)
- 実勢価格: ¥4,700〜
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太洋電機産業
goot(グット) ホットナイフ HOT-60R
実勢価格:1400円
全長:約250mm
重量:約65g
温度:約300°C(はんだこて時:560℃)
消費電力:55W
これまで同種の模型用ツールとしては「ヒートナイフ」が一般的ですが、アクリル板やプラ板をカットするのが主な目的でした。
基本的にはんだこての先端をナイフに付け替えられる製品が主流で、本体サイズがやや大きめなので細かい作業には不向きです。
ファンテック
カービングヒートペン CH-1
実勢価格:2599円
サイズ:直径19mm×全長136mm
重量:約20g(電池なし)
温度:約280°C
消費電力:2W
電池:アルカリ単3電池1本
より繊細な作業用としては、電池式の「カービングヒートペン」などもありますが、先端が交換出来ないので“自由自在に造形”とはいきませんでした。
この2つの製品の利点を合わせ、さらに改良した製品が「ヒートアイゼン」と言えるでしょう。なお、ゴッドハンドからは同日にもう1製品、「ホットシュライバー」という箔押しができる電熱ペンも発売されています。
ゴッドハンド株式会社
ホットシュライバー(GH-UHS)
実勢価格:7260円
全長:約135mm(コード除く)
重量:約53g(コード含む)
温度:約100°C
消費電力:2W
セット内容:本体、ペンホルダー、ホイル(6色)、先端チップ(4種)、取り替え用バネ
熱で専用ホイルをプラスチックに転写し、箔押しのような加工ができる製品です。今回、併せて検証しているので、興味がある方はぜひそちらもご覧下さい。
「ヒートアイゼン」の実力をモデラーとテスト!
今回、「ヒートアイゼン」の検証を行うにあたり、実力診断だけでなく「実際にどんな使い方ができるか?」が気になるところです。
そこで、プロの意見も聞きたいので、ガンプラなどのモデラーとして活躍中のオオゴシトモエさんにも検証に参加して頂きました。
実際に模型に使ってみて、「加熱の早さ」「使い勝手」「汎用性」「メンテナンス性」の4項目でその実力を評価。
さらに、オオゴシさんに使ってみた感想や実際にどんな使い方ができるかなどをお聞きしました。
テスト1【加熱の早さ】:すぐに使い始められるか?
結果:発熱は早く、1分ほどで使い始められます
電熱系のツールでは、熱くなるまでに時間がかかるものもあり、すぐに使い始められないことがストレスになることが多々あります。
そこで、まずは「加熱の早さ」を検証。
本体を電源に挿してスイッチをオンにし、先端が熱くなるまで付属のペンホルダーに置いて待ちます。
スイッチをオンにしてからわずか1分程度で、プラ板が溶けるくらいの温度になりました。公式でも1~2分程度と書かれており、発熱の速さは文句なしです。
テスト2【使い勝手】:持ちやすく細かい作業がしやすいか?
結果:小型なので持ちやすく、先端がやや長めで見やすいです
本体は小型で軽量なので持ちやすく、先端がやや長いので作業部分が見やすいのも特徴です
一般的なはんだこてと比べるとサイズが結構違い、かなりコンパクトなことが分かります。このコンパクトさと軽さが取り回しの良さにつながっているため、かなり細かい作業にも向いています。
先端チップの交換もドライバーなどは不要で、手で回して外すだけです。ただし、交換用の工具などは付属していないため、毎回4分程度、冷めるのをまつ煩わしさは若干あります。
また、コードの途中にスイッチが付いていますが、位置がやや微妙です。比較的本体に近い位置に付いているため、作業時に持ち上がって腕に当たります。なお、電源コードの端子はUSB Type-Aなので、モバイルバッテリーでも使用できますが、ACアダプターは付属していません。
既存のホットナイフと比べると軽くて細く、コンパクトに使えます。特にグリップが細くて軽いのがいいですね! これなら手の小さい女性でも使いやすいです。スイッチの位置はもうちょっと下にあれば、腕に当たらずにより快適に作業できそうです。
テスト3【汎用性】:先端チップの種類や使い勝手は?
結果:種類が豊富で汎用性はかなり高いです
本体には7種類の先端チップが付属しています。「鈍ナイフ」「先丸 小」「先丸 大」「先細 直」「先細 曲」「円すい」「丸」と形状も幅広く、汎用性はかなり高いです。
「鈍ナイフ」は、穴を開けたり傷をつけてダメージ表現をしたり、パーツの切断をしたりと、かなり幅広い用途で使えます。
当てる角度を変えることで線だけでなく、面でプラスチックを溶かすこともできます。
「先丸 小」は小銃の弾痕などを作るのに向いています。144分の1スケールのキットにちょうどいいサイズです。
「先丸 大」はより大きめの弾痕などを作るのに向いています。100分の1スケールや35分の1スケールのキットにちょうどいいサイズです。
「先細 直」は小さな穴空けや、細かな造形にも重宝します。
「先細 曲」は細かな引っかき傷やモールド作りに向いています。先端が曲がっているので、隙間や奥まった箇所にも入れやすいのが特徴です。
「円すい」は穴開けや細かなモールド作りに向いています。また、本製品をはんだこてとして使う際に最適です。試しにはんだを溶かしてみましたが、はんだこてとしてもしっかり使えます。
「丸」は大きな穴を開けたい時に重宝します。また、押しつけることでより大きなダメージ表現もできます。被弾によって周りが溶けた状態を作りたいときには、まさにうってつけです。
先端チップの種類が幅広く、汎用性は高いです。工夫次第でさまざまな表現や造形に使えそうです。欲をいえば、先端が90°曲がったものや、テクスチャがスタンプできるようなものがあると嬉しいですね。肉叩きみたいな形状があると鋳造表現に使えそうです。
テスト4【メンテナンス性】:まめな手入れは必要か?
結果:先端に樹脂が付くのでまめに拭く必要はあります
プラスチックを溶かして加工するという性質上、どうしても溶けたプラスチックが先端に付着します。
特に面積が広い「鈍ナイフ」が顕著で、作業後もしばらくは煙とプラスチックが溶けた独特な匂いが立ち込めます。先端をまめに拭きながら作業する必要はありそうです。
本体が冷めた後なら付着した樹脂は簡単に取れますが、作業中により快適さを求めるのであれば、はんだこてでよく利用されるコテ先クリーナー付きのスタンドがあるといいでしょう。
さらに言うと、ゴッドハンドから同日に発売されたもう1製品、「ホットシュライバー」の方にはケースや先端チップの取り替え用バネ、上の写真のような先端チップ用ケースが付属していますが、なぜかこちらには付属していません。せっかくなので、こちらにも欲しいところです。
先端チップの交換用工具は欲しかったですね。チップに付着した樹脂を落とすスポンジや、熱いままのチップ置き場などもあれば嬉しいけれど、価格も上がりそうです……。
「ヒートアイゼン」のまとめ
ゴッドハンド株式会社 ヒートアイゼン(GH-UHI)
- ゴッドハンド株式会社ヒートアイゼン(GH-UHI)
- 実勢価格: ¥4,700〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥4,827〜
アイテム毎日更新中!楽天市場で見る¥4,700〜
- 加熱の早さ
- 使い勝手
- 汎用性
- メンテナンス性
結論:コンパクトで手軽に使えて、造形の幅は確実に広がります
「ヒートアイゼン」は豊富な種類の先端チップで、自在に造形できる電熱ペンです。
プラスチックを溶かして加工するので、全体的にダメージ表現に特化した印象はありますが、使いこなせば確実に造形の幅は広がるでしょう。さらに、お手頃価格なのも嬉しいところです。
興味がある方はぜひ、もう1つの新製品「ホットシュライバー」と共に使ってみてください。
スイッチをオンにして、1分程度で使えるので手軽です。加熱待ちで作業が中断されることがないので、気持ちよく流れで作業できますね。