そもそもゲーミングキーボードってなに?
「ゲーミングキーボード」はその名の通り、ゲーム用に作られたキーボードです。
一般的なキーボードと比べて耐久性が高い、キーの入力反応が速い、LEDで光るなどの特徴があります。
また、マクロ(操作を記録する機能)やマクロキー(マクロの実行)、ゲームごとのキー設定を個別に記録できるなど、ゲーム攻略に特化した機能も備えている場合もあります。
一般的なキーボードと比べて価格帯は高めですがゲーム以外で使う場合、高品質なキーボードとして使えます。ですが、ゲームに特化しすぎている製品は、一般用途では使いにくい場合もあるので注意が必要です。
ゲーミングキーボードの選び方は?
1.キースイッチ
ゲーミングキーボードにおける重要な要素として真っ先に挙げられるのが「キースイッチ」です。
キーボードや安価な製品が採用するスイッチは「メンブレン」と「パンタグラフ」が一般的。
高価なゲーミングキーボードになるとキースイッチの種類も変わります。
- 金属接点の機械式スイッチを使った「メカニカル」
- 光によってスイッチのオンオフを判定する「オプティカル」
- 電極の接近による静電容量の変化を検知する「静電容量無接点方式」
SteelSeriesは独自開発した磁気ホール効果センサーで作動する「OmniPoint」を採用しています。
ゲーミングキーボードを選ぶなら最低でもメカニカル、予算に余裕があり、より高いレベルでのプレイを望むなら、オプティカル、静電容量無接点方式、OmniPointを視野に入れましょう。
また、スイッチの仕組みに加えてキーで重要なのが、「打鍵感」と「入力位置(アクチュエーションポイント)」。
打鍵感は感覚的なものなので、好みには個人差があります。なので、可能なら購入前にショップのサンプルなどを実際にタイプして体験するのをおすすめします。
入力位置は、反応が速い設定のキーが最近人気を集めています。ちなみにOmniPointは、専用ソフトによる設定で、0.1〜4.0mmの間で変更可能。これはアナログな仕組みのメカニカルにはできない芸当です。
2.サイズとキーレイアウト
ゲーミングキーボードにも大きさによって計6種類の違いがあります。
- 一般のキーボードと同じテンキー付きの「フル(100%)」
- テンキーが省かれた「テンキーレス(TKLまたは80%)」
- フルキーボードから一部の特殊キーを減らした「96%」
- テンキーレスから一部の特殊キーを減らした「75%」
- 75%から「F1」〜「F12」キーを省いた「65%」
- 65%からカーソルキーと特殊キーを省いた「60%」
このようにキーボードのサイズとともにキーの数が変動するので、自動的にキーレイアウトも変化するのです。
SteelSeriesのラインナップは100%のフルキーボード、80%のテンキーレスキーボード、そして60%キーボードの3サイズです。
キーボードが大きいほどキーが省略されないので、多用途で使えるとともに対応するゲームジャンルも広くなります。
しかし、ゲームによっては使用しないキーは邪魔なだけ。卓上のスペースも圧迫するので、マウスの動かせる範囲が狭くなるデメリットにもなります。
一方、小さいキーボードはファンクションキーと特殊キーが省略されているので、ビジネス系やクリエイティブ系のソフトで使うには向きません。
また、カーソルキーとテンキーもないので、マウスよりもキーボード主体でプレイするゲームにも適しません。
FPS・TPS・MOBA系ゲームとの相性は最高で、特にマウスを動かせるスペースを大きく取れることが最大のメリットです。
加えて、60%や65%などのキーボードは小型故に持ち運びが非常にラクという特徴もあります。
3.接続インタフェース
パソコンとキーボードの接続方法は下記の3通りがあります。
- USBケーブルによる有線
- USBレシーバーを使った無線
- Bluetooth接続による無線
一般的なキーボードでは無線が主流ですが、ゲーミング分野では無線接続だと入力遅延が大きいので、有線が圧倒的な多数派です。
なお、遅延はUSB有線<USB無線<Bluetoothの順で大きくなります。
4.カスタマイズ性
ゲーミングキーボードのカスタマイズは、ハード面で行うものとソフト面で行うものに大別できます。
ハード面ではキーキャップの交換や滑り止めを貼るなどのカスタマイズがあります。対応キーボードのみになりますが、キーを個別に交換できる製品や、スペーサーを使ったストローク(キーの沈み込み幅)の調整が可能。
また、ソフトを使ったカスタマイズは、任意のキーに別のキーを割り当てたり、入力位置の設定が行なえる製品もあります。
ゲーミングキーボードを選ぶ際は、こうした点に注目するといいでしょう。
2022年8月発売の「Apex Pro Mini Wireless」の実力は?
SteelSeries「Apex Pro Mini Wireless」
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今回検証する「Apex Pro Mini Wireless」は、デンマークのゲーミングデバイス専門ブランド「SteelSeries」が発売したゲーミングキーボードで、「Apex Pro」はそのフラグシップモデルです。
しかし、ゲーミングキーボード市場の競争は激しく、本機はこのジャンルにおいて競い合えるクオリティを持っているのでしょうか?
それでは、気になるテスト結果を見ていきましょう!
テスト1:キーレイアウトをチェック!
結果:ゲーミングモデルとして優秀!
FPS・TPS・MOBA特化型キーボードとして優秀なキーレイアウトです。
日本語キーボードは文字入力に使用する「変換」キーなどが必要なため英語キーボードに比べてスペースキーが小さくなることもあります。
しかし、本機のスペースキーは十分なサイズを確保しています。
ただし、ゲーム特化と小型化の代償としてファンクションキーと特殊キーがありません(当然ですがテンキーもありません)。
これらのキーは「Fn」キーを使うことで入力できますが、その都度同時入力が必要になるのは大きなストレスです。
これらのキーを多用する人に本機はオススメできません。
60%サイズのキーボードは、まさにゲーム特化型キーボード。おまけで文字入力もできる程度に捉えたほうがいいでしょう。
テスト2:打鍵感をチェック!
結果:キートップの揺れが気になる!
本機はキーを離した瞬間に入力判定がオフになる「ラピッドトリガー」キーを採用しています。
「キーを離すと入力オフって、当たり前じゃないの?」と思う人も多いでしょうが、従来のキーはオン状態から指を離し、キーが移動を開始してオフ状態になるまで僅かに時間がかかります。
この時間を0にしたのがラピッドトリガーです。
これにより従来のキーよりもオン・オフの判定が早くなり、素早い連射が可能になります。
また、FPS・TPSの重要テクニックである移動状態から停止して撃つ「ストッピング」の操作性が向上します。
肝心の打鍵感ですが、キートップの揺れが気になります。
キースイッチが非常に細かい入力を判定できる反面、グラつきが非常に気になります。
キーのグラつきは他メーカーの上位モデルと比べても大きいです。 打鍵感重視だとオススメできません。
テスト3:キーレスポンスをチェック!
結果:反応速度は現行のキーボードで1番!
キーレスポンスは非常に良く、遅延はほぼありません。
レスポンスタイムは0.7msで業界トップレベルです。
設定可能な入力位置(アクチュエーションポイント)は0.1〜0.4mm。
0.1mmはプレイヤーがキーを押すと意識し、指を動かした瞬間に入力が判定されるレベルで、キーレスポンスに間しては間違いない製品です。
本機を使う場合、キーレスポンスをゲームの負けの理由にはできなくなります!
テスト4:カスタマイズ性をチェック!
結果:キーキャップの変更や専用ソフトによるカスタマイズが可能!
本機には交換用のキーキャップとして、下半分と文字部分が透明な「PRISMCAPS」が販売されています。専用ソフトでは前述した入力位置(アクチュエーションポイント)の設定以外にも、キーの個別入力設定が可能。
また、キーを押し込む深さによって、ひとつのキーで2つの入力を使い分けられる「2-in-1アクションキー」機能も設定できます。
テスト5:インタフェースをチェック
結果:3種の接続でガチ勢からカジュアル勢までフォロー
本機の接続インタフェースはUSB有線、USB無線、Bluetoothの3種。
入力時の遅延で選べばUSB有線接続一択なので、ガチゲーマーなら無線は不要です。
無線によるメリットは卓上のスッキリ感ですが本機は小型かつケーブルの取り回しもいいので、その点でも有線接続のデメリットはあまり感じません。
利便性において無線機能が付いている事自体はマイナスではありません。ゲーム以外のちょっとした用途で使う際には、やはりあると便利です。
ですが、USB無線とBluetoothの対応によりコストアップしている部分もあるので、無線が不要なら価格的にはデメリットです。
本機付属のUSB無線レシーバーはUSB-C。なお、レシーバーとキーボードの距離が離れた場合に使う延長アダプターも付属します。
キーボード側にUSBレシーバーの収納機能がないのは残念。小さくて失くしやすいので。
テスト6:材質(手触りや耐久性、高級感など)をチェック!
結果:耐久性は高いが価格ほどの高級感は……
手触りや材質感は価格を考えるともう少し頑張って欲しい印象。
キーは耐久性は1億回のキープレスが保証されているOmnipoint 2.0なので問題なし。
キーキャップも印字が消えにくいPBT(ポリブチレンテレフタレート)が使用されているので、こちらも高耐久です。
トッププレートはアルミ合金ですが、筐体は飾り気のないプラ素材。価格的にもう少し高級感がほしいところです。
テスト7:バッテリー駆動時間・携帯性・汎用性
結果:ゲームで使うなら無問題!
無線使用時のバッテリー駆動時間はUSBのLED点灯で30時間、BluetoothのLED点灯で40時間。
これは他社製品と比べて取り立てて優れてはいないが、悪くもなくといった性能。
なお、LEDオフ時の時間はスペックに書かれていませんでした。
サイズは60%キーボードなので、非常に小さく重量も60%製品の中では軽量な部類なので、携帯性は高いです。
しかし、前述しましたがレシーバーがキーボードに収納できないので、持ち歩く際は紛失しないよう注意する必要があります。
汎用性は、FPS・TPS・MOBA特化型ということもあり低いです。
目的がFPS・TPS・MOBAならベストバイ品質のキーボードですが、マインクラフトや一般用途には向いていません。
SteelSeries「Apex Pro Mini Wireless」のテスト結果まとめ
最後に、SteelSeries「Apex Pro Mini Wireless」のおすすめポイントとがっかりポイントをまとめてみました!
SteelSeries「Apex Pro Mini Wireless」
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- キーレイアウト
- 打鍵感
- キーレスポンス
- カスタマイズ性
- インターフェース
- 材質
- バッテリー駆動時間
- 携帯性
- 汎用性
本機はプロのeスポーツシーンでも使用されている高性能なゲーミングキーボードです。
FPS・TPS・MOBA系ゲームのプレイに特化している反面、一般用途や他ジャンルのゲームでの汎用性は求められません。
ですが「プレイの質でこれ以上、上位プレイヤーとの差が埋められない」「入力デバイスを勝敗の原因にしたくない」などゲームに対し真剣に取り組んでいるプレイヤーには、この上ない選択肢となると思います。
スペースキーの大きさが確保されており、「W」「A」「S」「D」キー(ゲームではプレイヤーの移動に使用)の近くにあって押しやすいです。