スパイスカレーが簡単に作れるテクニックって?
スパイスを使った本格的なカレーって美味しいけど、作るのは難しそうだと思っていませんか? でも、実は難しい技術は不要。炒めて煮るだけで作れちゃうんです。
そこで、『MONOQLO』ムックの「スパイスカレーの便利帖」から、素材に合わせたスパイスの黄金比や人気店のプロ直伝のレシピなど、自宅で簡単に作れるスパイスカレーのテクニックを教えます。
スパイスで作る、おうちカレー黄金比
カレー粉じゃ物足りないという人は、スパイスを単品で買い、自分でミックスする本格的なカレー作りに挑戦してみましょう。
ここではスパイス中級編として、基本となるチキンカレーを軸に、ビーフ、ポーク、ラムといったちょっとクセのある肉など、さまざまな食材ぴったりのスパイスの調合を伝授します。
今回ピックアップするのは、独特の香りと味わいがクセになる「ラムカレー」です。
ラムカレーの基本と応用
世界で食べられている肉で、チキンの次に多いのはじつはマトン&ラム。肉の主役ともいっていい存在です。独特の風味は、食べるほどクセになるはずです。
ラムカレーのスパイスの黄金比
- ローストコリアンダー……小さじ1
- ローストクミン……小さじ1
- ターメリック……小さじ1
- ガラムマサラ……小さじ1
- 粗びき黒こしょう……小さじ1/2
- ベイリーフ……小さじ1
ラムのスパイスは、肉のクセに対抗すべく、ちょっとマニアックなものを入れたいところ。その代表が、粒が茶色く大きなビッグカルダモン。香りが強い、タフなスパイスです。
そして、その個性を側近として支えるメースも重要。ラムとこの2つのスパイスは相性抜群です。ただ、これらはスーパーで買えないのが難点。
そこで、ガラムマサラが大活躍します。こんな珍しいスパイスもミックスされているので、小さじ1/2ほどで狙った風味に。ベイリーフはローリエ(ローレル)で代用できます。
スパイスそれぞれの役割は?
ガラムマサラ:手に入れにくいスパイスの代用
ラムの基本として入れたいスパイスにビッグカルダモンとメースがありますが、なかなか手に入れにくいのが現状。ガラムマサラなら、そんな希少スパイスも配合されています。
粗びき黒こしょう:さわやかな辛みがいい
レッドペッパーなどのスパイスから感じる辛さとは別のベクトルの刺激的な辛みと芳香をプラス。全体の味を多角的に広げてくれる効果があります。家にあるものでOKです。
ベイリーフ:油にも水にも相性よし
雑味を消すと同時に、うっすらとした旨みもプラス。水でも油でもスパイスの香りや成分を抽出できるので、煮込みのときに加えることも。ローリエ(ローレル)でもOKです。
ローストコリアンダー:ほろ苦さやコクを加える
ふわっとした華やかな香りは、ラムのカレーにも必須。ただし、ラムはクセが強いのでビーフやポークより深めにローストしたいところ。ほろ苦さやコクが加わります。
ローストクミン:香りを支える効果を強化する
クミンもコリアンダーと同様に、深めにしっかりとロースト。香りを支える効果を強化しましょう。ほかのパウダースパイスと混ぜる前に、コリアンダーとクミンはローストしてください。
ターメリック:スパイスカレーの基本
ターメリックは色をつけると同時に、甘みを補う役割が。カレーの基本ともいえるスパイスなので、入れておきましょう。雑菌の繁殖を防いで腐敗しにくくなるので安心です。
レッドペッパーはお好みで
ラム肉は、ほかの肉に比べてクセが強いのが特徴。辛さを強調したほうが全体の味にまとまりが出ます。思い切って「小さじ1/2」から。お好みでもっとプラスしてもいいでしょう。
羊肉は酢でマリネしよう
肉をカットしたら、酢でマリネ。ラムやマトン独特のクセは酢の力でセーブします。レシピによってはヨーグルトを使うことも。
酢は家にある米酢でOKですが、りんご酢はラムとの相性が抜群。黒酢を使うと深みのある味わいになります。好みの味を探っていきましょう。
豆知識1:ラムとマトンってどう違うの?
マトンは大人の羊、ラムは子羊。ラムのほうがやわらかくてクセがないのが特徴。日本のスーパーでもマトンよりは比較的買いやすいです。ラムに慣れたらマトンにも挑戦したいところです。
豆知識2:スパイスは深くローストする
ラムカレーでは、クミンとコリアンダーをビーフよりも深くローストします。これがカレー屋さんで出てくるラムカレーがやや黒っぽい理由のひとつです。
赤いラムカレーの作り方
それでは基本のスパイスをふまえて、インドのハイデラバードにありそうだけど辛くない「赤いラムカレー」のレシピを紹介します。
<材料>※3〜4人分
- ラム肩肉……400g
- たまねぎ……小1個
- トマトの水煮缶……300g
- ヨーグルト……50g
- にんにく……1片
- しょうが……1片
- グリーンチリ……2~3cm
- 塩……小さじ1~1.5
- サラダ油……大さじ2
- 水……400~600ml(好みで調整)
- しょうが……(千切り)適宜
- ラムカレーの基本スパイス
- 追加スパイス
- フェヌグリークシード……小さじ1/3
- コリアンダーシード(ホール)……小さじ1/3
- ランペ……ひとつまみ
<作り方>
STEP1
肉の余分な脂を取り、3cm角ほどに切り分けます。ヨーグルト、ターメリック小さじ1/3を入れてよく混ぜ、30分以上寝かせましょう。
STEP2
フライパンにサラダ油、ベイリーフ、フェヌグリークシード、コリアンダーシードを入れて熱し、スパイスから小さな泡が出てきたら薄切りにしたたまねぎ、粗みじん切りしたグリーンチリ、ランペを入れて炒めます。
STEP3
たまねぎが薄茶色になったら、ペーストにしたトマト、すりおろしたにんにく、しょうがを加えます。
STEP4
全体がまとまってきたら、すべてのスパイスと塩を入れましょう。
STEP5
「STEP1」の肉を加えてよく混ぜ、水を2~3回に分けてゆっくりと加え、さらに煮込みます。
STEP6
表面に油が浮いてきたら、塩で味を調えて完成です。
お手軽本場ワザ:レッドペッパーをトマトで代用した赤いソース
今回はイスラムタウンのハイデラバードのカレーをイメージしました。ハイデラバードは肉をよく食べるインドでは珍しいエリアです。
ただし、本格的なハイデラバードのカレーは、大量のレッドペッパーで真っ赤。クセになるおいしさですが、家庭で普通に楽しめるよう今回はトマトで赤い色を出しました。
豆知識:超辛い ! ハイデラバードの赤いカレー
ハイデラバードのカレーは、レッドペッパーやペパーオイルたっぷり。リッチな材料を使った、辛くてコクのあるカレーです。
一度本場のものを食べてみたいですね。
おわりに
以上、ラムカレーのスパイス黄金比を応用した、ハイデラバードにありそうな赤いラムカレーの作り方でした。
赤い色が食欲をそそりますが、トマトの赤だから辛くありません。また、トッピングした千切りしょうがにより、爽やかで鮮烈なしょうがの風味が心地よいです。
ぜひ、試してみてくださいね。
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