スパイスカレーが簡単に作れるテクニックって?
スパイスを使った本格的なカレーって美味しいけど、作るのは難しそうだと思っていませんか? でも、実は難しい技術は不要。炒めて煮るだけで作れちゃうんです。
そこで、『MONOQLO』ムックの「スパイスカレーの便利帖」から、素材に合わせたスパイスの黄金比や人気店のプロ直伝のレシピなど、自宅で簡単に作れるスパイスカレーのテクニックを教えます。
スパイスで作る、おうちカレー黄金比
カレー粉じゃ物足りないという人は、スパイスを単品で買い、自分でミックスする本格的なカレー作りに挑戦してみましょう。
ここではスパイス中級編として、基本となるチキンカレーを軸に、ビーフ、ポーク、ラムといったちょっとクセのある肉など、さまざまな食材ぴったりのスパイスの調合を伝授します。
今回ピックアップするのは、ちょっと豪華にいきたいというときにおすすめの「ビーフカレー」です。
ビーフカレーの基本と応用
ビーフカレーは、どちらかというと日本やヨーロッパで花開いたカレー。宗教と生活、両方の側面から、インドには牛を食べる文化があまりないためです。とはいえ、スリランカやバングラデシュ、インドの一部では、牛を食べる人たちはいます。
でも、大勢の人は食べないため、ビーフカレーのレシピはチキンやベジタブル、シーフードに比べて、インドではあまり目立ってきませんでした。
ビーフカレーのスパイスの黄金比
- ローストコリアンダー……小さじ1
- ローストクミン……小さじ1.5
- ターメリック……小さじ1
- シナモン……小さじ1/3
- クローブ……小さじ1/3
- グリーンカルダモン……小さじ1
ビーフカレーにおける基本のスパイスは、チキンカレーで使ったスパイス3種に、グリーンカルダモン、シナモン、クローブなど香りが強いスパイスを入れるのが効果的。
カルダモンで爽やかにして、シナモンで甘みと辛みを補強、クローブでわずかに酸味とビター感が加わります。この3つのスパイスが入手できないときは、代わりにガラムマサラを使ってもOKです。
スパイスそれぞれの役割は?
シナモン:肉の旨みを強調する
加熱すると、お菓子のような甘い香りが。また、スパイスなのに出汁のようなコクを加えてくれる効果も。グリーンカルダモン、クローブと共に3つの柱として機能します。
クローブ:肉の雑味を魅力的に
その強く刺激的な香りから、肉の臭み消しに使われることが多くあります。カレーの場合は特徴的な肉の匂いを横から支えて、魅力的なアクセントにしてくれます。
グリーンカルダモン:クールダウンのスパイス
すっとした、クセのない清涼感のある香りが特徴。チキンよりも匂いがあり、こってりしがちなビーフカレーに爽やかさをプラスして、食べたい!という欲を刺激してくれます。
ローストコリアンダー:華やかな香りはビーフでも必須
その華やかな香りで、ビーフ独特の臭みを抑えながら、魅力的な香りへと昇華。そのまま使うのではなく、ビーフのときはフライパンでローストして深みを出しましょう。
ローストクミン:絶対外せない基本スパイス
カレーの味を決める存在ともいえる、ほどよい芳しさと旨みのスパイス。ビーフの場合は、コリアンダーと一緒にあらかじめローストしてから混ぜると、味に深みが出ます。
ターメリック:カレーなら当然のスパイス
やっぱり筆頭はターメリック。色はもちろんですが、甘みを裏から支えることで、ビーフのおいしさを引き出してくれます。ビーフの場合、分量は相対的には少なくなります。
レッドペッパーはお好みで
スタンダードな辛さなら、「小さじ1/4」。これくらいなら、子どもでも無理なく食べられます。ただ、牛肉はクセがあるのでもうちょっと多めにしたほうが旨みが引き立つ場合もあります。
スパイスをローストしよう
個性の強い肉ほどローストスパイスがよく合います。といってもすべてのスパイスをローストするのではなく、主にターメリック、クミン、コリアンダーの3種。
ローストする際は一種ずつにして、フライパンに入れて最初は中火にして混ぜ続けてください。徐々に色づき、煙が立ってきたら弱火にして、2~3分をかけて焦げ茶色になるまで焙煎しましょう。
カレー豆知識:インドではあまり牛肉を食べない?
インドで牛はミルクを出したり、畑を耕したりと生活に欠かせない存在。だから、牛を食べるという習慣はあまりありません。
また、インドの80%を占めるヒンドゥー教では、牛は神様の使いなので食べることはありません。一部の宗派の人たちが食べる程度です。
キーマとグリーンピースのカレーの作り方
それでは、基本のスパイスをふまえて、グリーンピースのぷりっとした食感が心地よい「キーマとグリーンピースのカレー」のレシピを紹介します。
<材料>※3〜4人分
- 牛ひき肉……400~500g
- グリーンピース(冷凍)……100g
- たまねぎ……大1個
- にんにく……2片
- しょうが……1片
- トマトの水煮缶……200g
- サラダ油……大さじ2
- 塩……小さじ1
- ケチャップ……大さじ1
- バター……大さじ1
- 水……300ml
- ビーフの基本スパイス
<作り方>
STEP1:たまねぎを炒める
フライパンに油を入れて中火で加熱し、たまねぎを炒めます。
STEP2:にんにく、しょうが、トマトを入れる
たまねぎが飴色になったらすりおろしたにんにく、しょうが、トマトを加えて炒めます。
STEP3:ケチャップを入れる
ケチャップを加え、全体がまとまってくるまで炒めます。
STEP4:スパイスと塩を入れる
すべてのスパイスと塩を入れ、さらに炒めましょう。
STEP5:牛ひき肉を入れる
牛ひき肉を加え、肉の色が変わるまでよく炒めます。
STEP6:水を加える
水を2回に分けてゆっくりと加え、フタをして中~強火で10分ほど煮ます。
STEP7:グリーンピースとバターを入れる
表面に油が浮いてきたらグリーンピースとバターを加え、5分ほど煮ます。仕上げに塩で味を調えて完成です。
肉のカレーにアクセントをつけたいときはグリーンピース推し
ビーフはインドではあまり食べませんが、イスラム教徒は食べる人が多くいます。チキンやラムでキーマカレーを作るときでも、当然のことのようにグリーンピースを入れます。色も映えるし、食感もよくなるといいことずくめです。
ちなみに、キーマは肉多めがおいしく作るポイントです。
食べる直前にガラムマサラをふると肉の魅力がより増しますよ!
おわりに
以上、ビーフカレーのスパイスの黄金比と、キーマとグリーンピースのカレーの作り方でした。
キーマカレーは簡単ですぐにできるとあって、インドでも人気があります。主な調理法は肉のみかグリーンピースと合わせる方法です。たまにトマトをたっぷりと、まれにナスやジャガイモを加えることもあります。
本場と言われるインドの北西部では、水を使わず、大量の油とトウガラシで作ります。そんなときにグリーンピースを入れると、フレッシュな甘みと食感のコントラストが楽しめるわけです。
インドで使われる肉はほとんどが鶏肉か羊肉。少数派のイスラム教徒は牛肉も食べています。日本では牛と豚の合挽肉もあり、これもまたおいしくできます。
今回のレシピは日本人向けに辛みを抑え、より刺激を和らげるのと、肉をふんわりと仕上げるために水を使いました。これを叩き台にして、自分好みの肉、唐辛子、水の量を見つけてみてください。仕上げに生姜の千切りをトッピングするとさらにおいしくなります。
ぜひ、試してみてくださいね。
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