スマートフォンiPadの新OSはどう進化した?

2022年10月25日にiPadOS16がリリースされました(正式なバージョンは16.1ですが)。そこで今回は、最大のトピックである「ステージマネージャ」について詳しく解説します。

スマートフォン「ステージマネージャ」でiPadがパソコンに近づいた

「ステージマネージャ」でiPadがパソコンに近づいた イメージ

ステージマネージャ機能はiPadをパソコンに近づけるものです。

従来のiPad OSは狭い画面での操作性やクイックなレスポンスを維持するためか、パソコンに比べマルチタスクが大幅に制限されてきました。

アプリを2つ表示する「スプリットビュー」やその上にもうひとつのアプリを重ねられる「スライドオーバー」がそれです。

一方、ステージマネージャではパソコンのようにサイズ変更可能なウィンドウを最大4つ重ね合わせらられるので、複数のアプリを併用した作業が快適になりました

また、見逃せないのがこれまでスプリットビューに対応が進んでいなかったゲームや動画配信アプリもステージマネージャならウィンドウサイズを変更できること。インスタグラムなどiPhoneアプリをiPadで使う際もウィンドウサイズを適正に整えられます。

「パソコン化」に興味がない人にも便利な新機能なのです。

ステージマネージャの使い方

ステージマネージャの使い方 イメージ

ステージマネージャはコントロールセンターでオンオフを切り替えられます。従来の2画面表示「スプリットビュー」を使うにはオフにしましょう。

ステージマネージャの使い方 イメージ2

ウィンドウ上部中央に表示される「…」ボタンをタップ。「別のウインドウを追加」を選ぶと、複数のアプリを同時起動できます。

ポイント1:TVerなどマルチタスクNGだったアプリも同時表示できる

Tverはスプリットビュー非対応のアプリですが、ステージマネージャを使うと他のアプリと同時に使えます。ウィンドウサイズをどれだけ小さくできるかはアプリによって異なります。Tverの場合は縦画面では小さくできず、横画面では縮小可能です。

ポイント2:「最近使ったAppのリスト」

画面左から右にスワイプすると「最近使ったAppのリスト」が表示されます。

右の画面ではTverとTwitterを同時に起動していますが、ここで写真アプリに切り替えると、今度はTverとTwitterがウィンドウの重なりを維持したままAppのリストの1枠にまとめて格納されます。

ポイント3:外部モニターで使うと「マジでPC」!

ポイント3:外部モニターで使うと「マジでPC」! イメージ

現在は外部モニターにiPadをつないでもiPad本体の画面が複製されるだけです。しかし、iPadOSの年内のアップデートでステージマネージャが外部モニターに対応。iPadとモニターで異なるアプリを使用可能になります(キーボードとマウスも必須)。

ステージマネージャ対応のiPadは?

  • Apple「iPad Air」(M1搭載の第5世代)
  • ホームボタンのないApple「iPad Pro」全機種

ステージマネージャは負荷が高く、利用できるiPadはホームボタンのないApple「iPad Pro」シリーズと、M1チップを搭載したApple「iPad Air」のみとなります。

外部モニターでのステージマネージャ

  • Apple「iPad Air」(M1搭載の第5世代)
  • Apple「iPad Pro」(M1かM2搭載モデルのみ)

M1/M2搭載モデルはiPadOSのアップデートで外部ディスプレイでのステージマネージャが使用可能になります。例えば、外部モニターを1枚追加するとiPad本体と合わせて最大8つのアプリを同時表示可能になります。

スマートフォンおすすめアプリや便利な機能

ここからは、ステージマネージャのほかにも進化した機能やアプリを紹介していきます。

【メモアプリ】便利機能がドサッと降臨

「メモ」アプリも大きくアップデートされています。

新搭載の水彩ブラシはメモアプリで凝ったイラストが描けると、お絵描きをたしなむユーザーから大好評。共同制作を利用すれば複数人でお絵描きを楽しむこともできますし、絵の描き方などをレクチャーするのにも使えそうです。

一緒に編集できる

一緒に編集できる イメージ

複数のユーザーでひとつのメモを共同で編集できます。メモだけでなくAppleのプレゼンアプリ「Keynote」なども共同制作をサポート。リモートワークの普及を意識した改良です。

図形を作図できる

図形を作図できる イメージ

手書きする際に使用する「マークアップ」ツールに図形が追加。吹き出しや立方体などのテンプレートを選べるだけでなく、輪郭線の太さや透明度なども調整可能。

図形を作図できる イメージ2

変形も可能で、想像以上に高機能でした。

メモや絵の表現力がUP

メモや絵の表現力がUP イメージ

手書き用のペンが3種類追加されました。モノラインはペンの傾斜にかかわらず均一な太さで書けるので、メモをとるにも向いています

秘密を守れるようになった

秘密を守れるようになった イメージ

メモをiPad本体や本体と別のパスコードでロックできます。他人に見られたくない情報をガードしてくれます。

【写真アプリ】一発で切り抜きができる

被写体の切り抜き機能の使い方は簡単。写真アプリで切り抜きたい被写体を長押しするだけ。すると、写真のどこが背景でどこが被写体なのか自動で推定し、被写体と認識した部分が白い光線で囲まれます。

完璧な精度ではありませんが、資料やノート作りなどに華を添える便利機能です。

▼STEP1:写真アプリで被写体を長押し

【写真アプリ】一発で切り抜きができる イメージ

▼STEP2:「コピー」か「共有」で写真を保存

【写真アプリ】一発で切り抜きができる イメージ2

▼STEP3:背景の削除完了

【写真アプリ】一発で切り抜きができる イメージ3
隙間の切り抜きは苦手
隙間の切り抜きは苦手 イメージ

車輪のスポークのような微細な構造の処理は苦手で、背景ごと切り抜かれます。こういう面倒な処理こそ自動化してほしいところです。

編集した内容を別の写真にコピーできる

「写真」をはじめとした複数の画像編集アプリでは、写真に適用した編集内容をコピー可能に。コピーした編集内容は、他の写真にまとめてペーストできます。

▼STEP1:写真を開いて「編集内容をコピー」

編集した内容を別の写真にコピーできる イメージ

編集済みの写真を開き、メニューからから「編集内容をコピー」を選択します。

▼STEP2:写真を選択して「編集内容をペースト」

編集した内容を別の写真にコピーできる イメージ2

同じ編集を適用したい写真を選択し、「編集内容をペースト」を選べば完了です。

ヤバい写真を確実にロック!

これまでも特定の写真を非表示にすることは可能でしたが、新OSでは削除済み写真や非表示の写真にロックがかかります。

ヤバい写真を確実にロック! イメージ

メニューで確認すると、非表示と削除済みの部分にカギアイコンが表示されています。開くには顔や指紋で認証が必要です。これで確実に隠しておけます。

【音声入力】音声で句読点も入力できちゃう

iPadOS 16では、音声入力時に句読点が自動挿入されるようになりました。

さらに、音声入力時でもキーボードが表示されたままになり、いちいち音声入力を終了しなくても、キーボードによる操作が可能になっています。これにより、音声入力しながら改行を入れたり、修正しながら進めるたりできます。

進化はちょっとしたことですが、作業効率は大きく向上しています。

音声入力で句読点が自動入力される

音声入力で句読点が自動入力される イメージ

実際に音声入力してみましたが、想定どおりに句読点が自動挿入されました。予想以上に精度が高く、かなり使える機能です。

音声入力中でもキーボードが使える

音声入力中でもキーボードが使える イメージ

音声入力を開始してもキーボードが表示されたままになるので、音声入力の合間に改行を入れられます。言い回しを変えたい時の修正もすぐに行えます。

ペンシルでの手書きもすぐ開始可能

ペンシルでの手書きもすぐ開始可能 イメージ

音声入力中にテキスト部分をペンシルでタッチすれば、入力カーソルを移動できます。また、テキストの下エリアをタッチすれば、手書き入力も可能です。

カーソル移動は「空白」キーが便利

カーソル移動は「空白」キーが便利 イメージ

入力カーソルの移動が思いどおりにいかない場合は、「空白」キーを長押ししたままドラッグがオススメ。この方法で入力カーソルを動かせます。

【テキスト認識】動画内でもOK!日本語が認識可能に

カメラ画面や写真内のテキスト認識機能は以前から搭載されていましたが、iPadOS 16ではついに日本語に対応。写真内の日本語部分をタッチすれば、テキストのコピーや検索が可能です。

カメラ画面ではテキストを認識すると枠が表示されるので、画面内の「ライブテキスト」アイコンから別ウィンドウを開き、日本語部分をタッチします。

文字部分に枠が表示される

文字部分に枠が表示される イメージ

カメラ画面でテキストを認識すると、テキスト部分に黄色の枠が表示されます。

ライブテキストを表示

ライブテキストを表示 イメージ

「ライブテキスト」アイコンを選択すれば、認識したテキストをタッチしてコピーや検索、翻訳が可能です。

動画内の文字もいける

動画内の文字もいける イメージ

テキスト認識機能は動画内でも利用可能。撮影した動画を一時停止してタッチすれば、このとおり選択できます。

でも縦書きは苦手……

でも縦書きは苦手…… イメージ

残念ながら縦書きは苦手。文字を選択してみると、1文字が何行もあるという認識になってしまっているようです。

【ファイル】“PCでは当たり前”をiPadでも!

「ファイル」アプリではフォルダー内のファイル数や、ファイルの容量が表示されるようになりました。PCでは当たり前のことで、これまで未対応だったのが不思議なぐらいですが、かなり便利になりました。

開いているフォルダーの名前が変えられるように

開いているフォルダーの名前が変えられるように イメージ

上部に現在開いているフォルダーが表示されていますが、ここからフォルダー名の変更やコピー、移動などの操作も可能になっています。

ファイル数や容量が表示

ファイル数や容量が表示 イメージ

表示項目が追加されただけですが、以前よりファイルを管理しやすくなりました。

PDFを開くと入力欄を検出してくれて便利

PDFを開くと入力欄を検出してくれて便利 イメージ

住所など入力欄のあるPDFを「ファイル」アプリ内で開くと、入力用のボタンがツールバーに表示されます。タップすると記入すべき場所を自動で認識してくれるのでスムーズです。入力欄を追加することもできます。

複数ファイルの一括操作がラクに

複数ファイルの一括操作がラクに イメージ

iPadOS 16では、複数アイテムの操作がさらに快適に。「ファイル」アプリの場合は、圧縮や選択項目で新規フォルダの作成、まとめてコピーや移動など、複数アイテムを選択して長押しすれば一括操作のメニューが表示されます。

【パスキー】パスワードレスの新セキュリティ機能

iPadOS 16は、新しいセキュリティ機能である「パスキー」に対応。これはデバイスの認証機能を使ってアカウントにサインインする方法で、これまでのようにパスワードが存在せず、アカウント情報もデバイス内にしか保存されません。

このため、乗っ取りや情報漏洩のリスクが少ないのが特長。対応アプリやサイトはまだ少ないものの、今後急速に広まっていくでしょう。

パスワードは存在せずパスキーがデバイスに保存

パスワードは存在せずパスキーがデバイスに保存 イメージ

パスキーを使ってアカウントを作成すると、デバイス内にだけパスキーが保存されます。パスワードの漏洩が起こらないので、乗っ取りを防止できます。

アカウント作成時に必要なのはメールアドレスだけ

アカウント作成時に必要なのはメールアドレスだけ イメージ

パスキーを使ってアカウントを新規作成する場合、必要なのはメールアドレスだけ。

アカウント作成時に必要なのはメールアドレスだけ イメージ2

指示に従ってパスキーをデバイス内に保存すれば、アカウント作成は完了。なお、今回はいち早くパスキーでのアカウント作成に対応した旅行管理アプリ「KAYAK」を使いました。

サインイン時には指紋や顔認証でパスキーを使用

サインイン時には指紋や顔認証でパスキーを使用 イメージ

パスキーを使ってサインインする場合、パスキー対応デバイスとそこに保存されているパスキーが必要となります。

サインイン時には指紋や顔認証でパスキーを使用 イメージ2

パスキーの利用にはデバイスの顔認証や指紋認証が必要なので、高いセキュリティを実現しつつもメアドやパスワード入力の手間が省けます。

【連絡先】メールの一括送信が可能に

「連絡先」では、これまでの「グループ」が「リスト」に名称変更されています。特定のリストを選んでメールを一括送信、なんてことも可能になりました。

▼STEP1:リストを選んでメールをタップ

【連絡先】メールの一括送信が可能に イメージ

リストを開いて特定のリストを選択後、上部のメールアイコンをタップします。

▼STEP2:一斉メールの作成画面が表示

【連絡先】メールの一括送信が可能に イメージ2

メールの作成画面が表示され、リスト内のメンバー全員に一括送信できます。

以上、iPad OS16の進化点の紹介でした。

なお、iPadのバックアップはiCloudではなくパソコンで行えるフルバックアップがオススメです。これなら、トラブル時にもMacやWindowsでiPadを復元できる可能性が高まります。

ぜひ今回の記事を参考にして、もっと便利にiPadを使ってみてください。

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