Appleの人気製品「買い待ち」ジャッジ
何かと注目を集めるApple製品ですが、新製品なのに見た目がほぼ同じだったり、でも別物と言えるほどパワーアップしている製品もあったりとわかりにくいものが多いんです。
そこで、本音の家電ガイド『家電批評』がAppleの人気製品を徹底検証。すぐに買い替えるべきか、まだ待つべきか、プロと一緒にさまざまな角度から検証しました。
今回は、Apple「Studio Display」のレビューをお届けします。
Apple「Studio Display」
Apple
Studio Display
実勢価格:21万9800円〜(標準ガラス)、26万6800円〜(Nano-textureガラス)
サイズ・重量:W623×D168×H478mm・6.3kg(傾きを調整できるスタンド搭載Studio Display)
スタンドオプション:傾きを調整できるスタンド、VESAマウントアダプタ
2022年3月、Apple「Mac Studio」と同時にApple「Studio Display」が発売されました。
繊細な映像表現に圧倒される、Apple渾身の5Kディスプレイです。
ポイント1:ディスプレイモニターの常識を超えた高音質
4つのフォースキャンセリングウーファーと2つの高性能ツイーターで、空間オーディオにも対応。音の立体感に圧倒されます!
ポイント2:フロントカメラはセンターフレームに対応
ビデオ会議にかかせないWebカメラは高画質でセンターフレームに対応。被写体は明るく、センターに映ります。
ポイント3:USB-Cで充電にも対応
背面には映像入力用のThunderbolt 3を1ポート、充電可能なUSB-Cを3ポート装備。しかし、HDMIはありません。
Apple「Studio Display」は、約60万円という価格がネットをザワつかせたPro Display XDR(32インチ/6K Retinaディスプレイ)よりは安いものの、27インチで20万円超えは簡単には手が出せません。
そこで、いったい何がスゴいのか、カメラや画質、音質などを専門家と一緒に検証しました。
【スペック】発売直後で5Kのライバルは見あたらず!
同価格帯の5Kディスプレイがあまりないことから、今回はスペックの近いAppleの24インチ「iMac」と、約半額で購入できるDELLの27インチディスプレイ「U2720Q」と比較しました。
スペック上は、解像度・スピーカー・カメラとすべての点でApple「Studio Display」が上回っています。
▼Apple「Studio Display」のスペック
価格 | 21万9800円〜 |
サイズ | 27インチ |
解像度 | 5K Retinaディスプレイ/5120x2880ピクセル/218ppi/10億色 |
スピーカー | フォースキャンセリングウーファーを備えた、原音に忠実な6スピーカーシステム/ドルビーアトモス対応 |
カメラ | 122°の視野角を持つ12MP超広角カメラ |
映像入力 | Thunderbolt 3×1/USB-C×3 |
▼DELL「U2720Q」のスペック
価格 | 11万7104円 |
サイズ | 27インチ |
解像度 | 4K/IPSパネル/3840x2160ピクセル/60Hz/10億7000万色 |
スピーカー | - |
カメラ | - |
映像入力 | HDMI/ディスプレイポート/USB-C×2 |
▼Apple「24インチiMac」のスペック
価格 | 17万4800円〜 |
サイズ | 24インチ |
解像度 | 4.5K Retinaディスプレイ/4480x2520ピクセル/218ppi/10億色 |
スピーカー | フォースキャンセリングウーファーを備えた、原音に忠実な6スピーカーシステム/ドルビーアトモス対応 |
カメラ | 1080p FaceTime HDカメラ |
映像入力 | - |
Apple TV+と好相性です
今回検証した3製品は、色域と輝度幅が拡大するHDR動画に対応。「Apple TV+」ならHDR対応動画も配信しているため、高画質で楽しめます。さらにAppleの2製品は、ドルビーアトモスの空間オーディオも再生が可能です。
【画質】Studio Displayの“黒”の階調は完璧に近い
画質のテストは「Apple TV+」のHDR作品「ファウンデーション」と、無段階のカラーグラデーションで行いました。黒が締まっており、白までの階調をリニアに表現したApple「Studio Display」は文句なしの満点評価です。
動画&静止画で画質をテストした結果
映像画質
▼Apple「Studio Display」
【テスト結果:◎】
クリアパネルで美しく、ピーク輝度の眩しさ、影の部分の暗部階調の色まで完璧なほどです。
▼DELL「U2720Q」
【テスト結果:○】
グレア系でぼやけがあります。色域も狭くコントラストもイマイチですが、エンタメ用途ならありです。
▼Apple「24インチiMac」
【テスト結果:△】
真正面で見るとまあまあですが、少しずれると暗くなります。画面のシャープさももの足りません。
静止画質
▼Apple「Studio Display」
【テスト結果:◎】
全体の階調が素晴らしく、特に明るい部分まで正常に出ます。クリアに締まる黒もほぼ完璧です。
▼DELL「U2720Q」
【テスト結果:○】
暗いグリーンやイエローなどに、階調が荒い箇所が見えます。赤色の色域が優秀なのはメリットです。
▼Apple「24インチiMac」
【テスト結果:△】
輝度不足を感じます。イエローやグリーンなどは色域もやや狭そうに見えました。
視野角
▼Apple「Studio Display」
【テスト結果:◎】
角度をつけても見えかたはほとんど変わらず。視野角の広さに驚かされます。
▼DELL「U2720Q」
【テスト結果:○】
わずかに白っぽく見えますが、実用的には問題のない視野角です。
▼Apple「24インチiMac」
【テスト結果:△】
ほんの少しでも左右にずれると黒く見え、周囲も暗く感じるほど。視野角の狭さは問題ありです。
【カメラ】いつでも自分が中心に
Apple「Studio Display」のフロントカメラは、「iPadシリーズ」と同じセンターフレーム機能に対応。視野角が122度あり、撮影中に移動するとカメラが中心に収まるように調整してくれる、テレビ電話やビデオ会議に最適な機能です。
Studio Displayのカメラは1200万画素とiMacの200万画素クラスよりかなり高画素ですが、顔がきれいに映ったのはApple「24インチiMac」でした。これには、iMac搭載の「M1」チップにある画像信号プロセッサの仕事ぶりに感嘆するのみ。「M1」の映像補正の効果で、暗い部屋でも顔が明るく映ります。
Apple「Studio Display」もディスプレイでありながらiPhone 11シリーズに搭載されている「A13」チップを搭載していますが、補正された映像の仕上がりはM1搭載のiMacのほうが良好です。
【音質】画面と音がしっかり一致
▼テスト結果
- Apple「Studio Display」:◎
- Apple「24インチiMac」:△
ドルビーアトモスの空間オーディオに対応するスピーカーを内蔵したAppleの2製品は、こちらも対応作品である「ファウンデーション」でチェックしました。
Apple「Studio Display」は画面と音の一致感、人の声のクリアさ、音の厚みや低音の深さなど、すべてにおいて文句なし。折原さんも「やっぱりいい音ですね」と感心しきりでした。
比べると、Apple「24インチiMac」はスピーカーが真下向きで音のダイレクトさが足りません。
【結論】映像・音とも高い表現力!価格なりの価値はある
以上、Apple「Studio Display」の検証レビューでした。
4Kに比べて高価な5K解像度なうえ、ピーク輝度や、むずかしい暗部の階調も再現できるパネルは、約半額のDELL「U2720Q」を圧倒するほど。パソコンスピーカーとしては音質もよく、この価格にも納得です。
とくに「Apple TV+」などを楽しみたい人なら、検討の価値ありです。
最後に、Apple「Studio Display」の強みと弱点をまとめました。
Apple 「Studio Display」
Apple
Studio Display
実勢価格:21万9800円〜(標準ガラス)、26万6800円〜(Nano-textureガラス)
サイズ・重量:W623×D168×H478mm・6.3kg(傾きを調整できるスタンド搭載Studio Display)
スタンドオプション:傾きを調整できるスタンド、VESAマウントアダプタ
【総合評価:A】
▼Apple「Studio Display」の強み
- HDR映像に対応する色表現の豊かさ
- 音に深みがあり空間オーディオにも対応する
▼Apple「Studio Display」の弱み
- HDMI入力に未対応
- 27インチiMacと変わらない高価な価格設定
- Webカメラの画質がiMacに劣る
「24インチiMac」はコスパの高いMacの入門機
Apple
24インチiMac
実勢価格:17万4800円〜
画質・音質はApple「Studio Display」に比べると見劣りしてしまうものの、20万円以下という価格を考えればApple「24インチiMac」も高コスパ。Apple「MacBook Pro」より処理は遅かったものの、4K動画も編集できます。
4.5Kディスプレイ一体型でキーボードとマウスが付属。同じ「M1」搭載の「Mac mini」よりも高コスパです。
Macで動画視聴をするならApple「Studio Display」があれば、激変します。ただし、スペックもディプレイもそこそこでいいなら、Apple「24インチiMac」でいいでしょう。ぜひ選ぶときの参考にしてみてください。
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